俺が考えた 仮面ライダーBLACK SUN 作:井上ああああ
葵の前に光に包まれた何かがやってきた。
「私は創生王、この世界の創造主だ。さあ・・・はじめよう。」
「何を?」
「地球の王である世紀王を決めるのだ、君と私でな。」
葵は呆然とした。
光に包まれた創生王と呼ばれる影はゆっくりと彼女に近づいた。
「あなたが創生王、世界の神様。本当にいるの!?」
「…そうだ。まずは全ての説明から始めよう。」
すると、彼女の周囲の景色が変わっていった。
まるで虚無に包まれて行った。
「私は、上帝と呼ばれる上位個体により生み出された。彼の魂の1部をわけられた。ここの次元の生命の全てを統括するためにね。」
「あなたより上がいるの…。」
「私もおぼろげにしかみえなかった。どんな方なのか知りたいね。」
やがて、周囲がまた光に包まれた。
光は炎になると、周囲を焼き尽くした。
その炎は、土にまみれると一つの塊になった。
「これが地球の原型だ。」
やがて、土の塊に巨大な隕石が衝突した。
「この隕石こそ、私だ。そこからキングストーンは産みだされた。」
隕石は地面深くにめりこむと、大きな水を噴出した。
水は海になり、海からは様々な生命がでてきた。
蟲になり、魚になった。
魚は両生類に、両生類はトカゲを産みだした。
トカゲは恐竜になり、恐竜は消え去ると…。
脇からネズミがでてきた。
ネズミは人になっていった。
そして、再び暗黒が広がった。
その中を声だけが響いていた。
「このように生命は進化してきた、だが私は考えた。人類に対になる存在が必要だと。そこで私はゴルゴムを産んだ。人類のみが世界の支配者ではない、と気づくためのカウンター、それがゴルゴムだ。だが、ゴルゴムが驕った時、その時のカウンターとして生み出した。君たちが仮面ライダーと呼ばれるものだ。」
葵は声のする方に近づいた。
「じゃあ、全てがあなたがしたことなの!」
「…君たちには申し訳ないが、その通りだ。」
葵はそれ以上は追及しなかった。
どこか彼が寂しく悲しいものにみえたからだ。
葵の周囲を何かが包んだ。
人だ。
葵は人に触れようとしたが、触れられなかった。
幻影か。
「さあ、君と私の出会いについて振り返ろう。」
人々は慌ただしく動いていた。
ここは博物館か。
その中を二人の若い男女が周囲を見回しながら何かをしていた。
彼らは赤い石を奪うとそのまま去っていった。
「30年前、君の両親はこのキングストーンを奪った。恐らくはゴルゴム三神官の想う通りにしたくなかったのだ。人間の未来のために…。そして、逃亡生活は20年近く続いた。だが、それも限界がきた。」
すると、先ほどの男女のその後のような中年夫婦がやってきた。
彼らは赤い石の片割れを段ボールの中に飢えていた。
そこには赤ん坊がいた。
「あ、ここ!!!私のいた託児所だ!!!」
「そう、この赤ん坊は君だ。」
葵は驚いた。
まさか、これが自分。
そうか、このころから、ずーっと私を見守っていたんだ。
という事は…。
「じゃあ、この人たちは私の父さんと母さん。」
「…そうだ」
葵はゆっくりと実の両親をみた。
優しそうな顔をしている。
「もっと眺めているか。」
「うん…。」
「よかろう。」
葵は涙が出た。
お父さんとお母さん…。
「父さんと母さんは今でも生きてるの?」
「残念だが…殺された。」
「そう…。」
葵はわかった。
そうか、父さんと母さんは…殺されたのか。
それをわかっていたから、私に赤いキングストーンを託して…。
「そう…あなたはずっとこの赤いキングストーンの中で私をみていたのね。」
「葵、そろそろ目的について決めよう。世紀王を決めてほしい。」
「それはなぜ?」
「世紀王は、この地球の守護神。世紀王がいることで、地球のパワーバランスは満たされるのだ。」
葵の周囲があの光景に戻っていった。
銀色のシャドームーンがいて、ブラックサンが倒れていた。
ブラックサンである南光太郎は死んでいる。
あの冷酷なシャドームーンはこの地球の王に相応しくない。
「・・・・・」
「葵、どうしたのだ。」
「ねえ、創生王。あなたは神様なのよね。」
「ああ。」
「魂を操ることができる?」
「可能だ。」
創生王はその時彼女の真意を知った。
この娘はブラックサンを愛する男を蘇らせようとしているのだ。
「葵、まさか…死んだブラックサンを蘇らせたいのか?」
「ええ」
創生王は震えた。
神である彼は恐怖に震えていた。
「死んだ魂を蘇らせる、それは世界の理を越えること。代償がいる。もしもしたいのなら君が死ななくてはいけない。できるのか?」
世紀王、この世界の創造主は14歳の少女にもう一度聞こうとした。
だが、彼女はそれをさえぎってしゃべった。
「…私が死んだ後、彼を世紀王にして。」
「君は死ぬんだぞ。」
「だから何!?」
「わからんのか、死ぬんだぞ。死後の世界なんてものはない。あるのは虚無だけだ。やめろ葵。」
葵は微笑んだ。
「随分とおしゃべりだね。」
「君は死んでもいいんだな。」
「光太郎は私のために何度も傷ついた、何度も死にかけた。その恩返しがしたいの。」
世紀王は彼女を失いたくなかった。
分身であるキングストーンとはいえ、長い間ずっとそばにいた彼女を失いたくなかった。
だが、彼女の決意は固かった。
葵は首を縦に振った。
「何を言っても聞かないか。」
「ごめんなさい。」
「…君と話せてよかった。さようなら、葵。」
「さようなら、創生王。」
その時、葵の体も光はじめた。
この時、彼女にはようやくわかった。
彼女も創生王のような力が入ってきたのだ。
葵はゆっくりゆっくりと、南の近くによってきた。
「ごめんね、コウちゃん。」
南は端正な顔立ちで眠っている。
時間は止まっている。
このまま止まっていればいいのに…でも、それもできない。
知れば怒るかもしれない。
でも、私はやるしかないんだ。
この人が生きるためには私が死ななくてはいけない。
葵は光太郎の頬を優しく触れた。
そして、彼の唇と自分の唇を重ね合わせた。。
光は徐々に、南の中へと入っていくと…一層光輝いた。
そして、時間は再び動き出した。
シャドームーンは何が起きたのか理解できなかった。
葵の姿を確認したが、彼女は南光太郎に覆いかぶさって倒れていた。
「おい、創生王はどこだ!!!おい!!!!!」
シャドームーンは焦った。
創生王がいない!?
まさか、そんなはずはない。
まさか…この女に俺は騙されていたのか!!!!
というか、そもそもなぜ一瞬で移動した。
「俺を世紀王にしろ!!!創生王にあわせるんだ!!!」
シャドームーンは葵にかけよった。
そして、彼女をつかんだ。
その時わかった。
「こいつ、死んでいる!!!!」
シャドームーンはのけぞった。
なぜだ。
彼の冷静な思考も一瞬で困惑に変わった。
「クソ…バカな!!!!どういうことだ!!!!」
荒れ狂った世紀王候補者は周囲を切り刻みながら怒りをぶつけていた。
その時だった。
何かが動いた。
「…葵。」
この声は南光太郎だ。
そんな馬鹿な…俺はあいつの心臓をついたんだ。
シャドームーンは悲鳴をあげると、死人が蘇ったことに驚いた。
光太郎はそんなことは知らないとばかりに、彼女を抱えて立ち上がっていた。
「そうか、葵…俺のために。死んだんだな。」
事切れていた少女の体を抱きかかえると、光太郎は抱き寄せていた。
光太郎にはわかった。
葵は、自分の命と引き換えに俺を蘇らせた。
そして、俺を世紀王に選んだ。
その結果、葵は死んだ。
14歳の少女は死んだのだ。
「葵、なんでお前が…。」
彼女の記憶が、全てが光太郎の頭の中で教えてくれた。
創生王は、宇宙からやってきたすべての生命体の父。
そして、世紀王はその創生王の代理人。
この地球の守護者だ。
「すまない。」
光太郎は泣いた。
葵の亡骸を抱えながら、大いに泣き始めていた。
その時、シャドームーンには何かがわかった。
まるで、その悲しみは海のようにとどろいた。
圧倒的な力を感じた。
「しまった…あの小娘、俺を欺いたのか。創生王と手を組んで…。」
シャドームーンはサタンサーベルをつかむと、光太郎に飛び掛かり襲い掛かろうとした。
だが、光太郎は目を赤く光らせると凄まじい怒りのエネルギーをシャドームーンにぶつけた。
その迫力にシャドームーンの動きはピクリと反応した。
「・・・!!!」
シャドームーンはなんとか、別の方向に逃げた。
そして、恐怖に震えあがった。
全身にわたる寒気、阿寒。
これはひょっとして…。
そうか…。
「アレはあの恐怖はまさしく、世紀王!!!!そうか、あの小娘は光太郎を世紀王にして蘇らせたのか!!!!!!」
シャドームーンは震えあがった。
もう敵わない。
奴は、今現在の俺以上に強い。
「なんてことだ。」
彼は震えた。
それに対して南は怒りのエネルギーを増幅させていた。
「キサマ…ゆるさんッ!!!!!!!!!!!!!」
南光太郎は怒りのエネルギーに震えると、巨大な光でこの島中を包み込んだ。
シャドームーンはそれに吹き飛ばされまいと地面にしがみついたが変身の時に発生した衝撃波で石碑の近くまで吹き飛ばされた。
「ぐああああああああああああああああああ!!!!!」
シャドームーンは起き上がった、するとそこにはブラックサンがいた。
だが、先ほどまでとは違う。
より強化された装甲は黒く光り輝き、胸部や腹部は緑色で輝いていた。
そして、大きくなっていた。
その旨にはRXとローマ字で書かれたような文字があった。
「キサマ…!!!!」
シャドームーンは怒りのエネルギーを掌にこめた、そして念動と衝撃波をこめブラックサンにぶつけようとした…。
だが、それに相対するためブラックサンも掌をだした。
「フンッ!!!!」
そこからおびただしい憤怒のエネルギー波動が襲い掛かってきた。
「う、うわあああああああああああああああああ!!!!!」
シャドームーンの念力は跳ね返され、彼は壁に叩きつけられた。
全身が痛む。
体中に苦痛が浮かび上がってくると、シャドームーンは血反吐をはきそうになった。
骨が砕けている。
「なんてパワーだ…。」
ブラックサンはパンチを繰り出した。
シャドームーンは吹き飛び、装甲に罅が入っていった。
ブラックサンは何度も何度も殴った。
シャドームーンはその一撃のたびに、全身に激痛が走っていった。
「うがあ!」
シャドームーンは、横をみた。
サタンサーベルがある。
彼はブラックサンに砂をかけた。
ブラックサンはたじろいた。
その隙に逃げることに成功した。
「お前…。」
南は呻いた。
隙ができた。
「姑息?卑怯?勝つ奴が正義なんだよ!!!!!!!!!!!!」
そして、サタンサーベルを抜いた。
やがて、精神を集中させた。
全エネルギーをサタンサーベルにためこんだ。
「死ねッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
シャドームーンは両手を鞭のようにしならせると、サタンサーベルを使い、最強の一撃を放った。
壁に大きな亀裂が入り、地面は轟音とともに揺らぎ始めた。
その地鳴りはゴラス島だけではなく、地球全土を揺るがした。
やがて、地面は崩れ二体はもつれあったまま奈落の底の底に堕ちた。
みれば、マグマが広がっていた。
「死ね!!!!光太郎ォ!!!!!!!!!」
シャドームーンはサタンサーベルでブラックサンの胸を斬るとそのまま大きな念動による圧を加えた。
ブラックサンはマグマの中へ落ちていった。
流石のこれを喰らえば、あいつもまずいだろう。
ふと、近くに先ほど殺したダロムの死骸もあった。
マグマにおちて燃えていたようだ。
ブラックサンもダロムの近くでマグマに呑まれて行った。
「やったか!!!???」
土煙があたりを包んだ。
するとマグマがその赤い色から、まるで水をかけられて落ち着いたかのように土色に変化した。
そして、まばゆい赤い色がの光がマグマを貫いた。
「!!!!!」
シャドームーンはその明るさに目をとじようとした。
その時だった。
「バトルホッパー!!!!!!!!!!!!!」
赤い光は姿を見せた
それはブラックサンだった。
「ば、バカな・・・・バカなああああああああああああ!!!!」
ブラックサンはマグマを吸収していた。
世紀王となった彼は地球上全てのエネルギーを自分の体のように扱えるのだ。
シャドームーンはその真実に絶望した。
「終わりにしよう。」
光太郎はそういうと、愛機バトルホッパーを剣にした。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
雄たけびをあげると、ブラックサンはブラックサンは全身全霊のエネルギーをバトルホッパーにささげた。
大きな剣に変化したバトルホッパーはぐんぐんと成長していった。
そして、飛び上がった。
「!!!!!」
飛び上がったブラックサンは大剣を構えるとシャドームーンにとびかかってきた。
シャドームーンはそれを捌くために、なんとかサタンサーベルを持ち振り払おうとした。
「・・・・・・・・・・!!!!!」
互角だった。
サタンサーベルはバトルホッパーを抑えると、じりじりと火花を散らしながら迎え撃っていった。
「葵のためにも、貴様は倒す!!!!!!」
ブラックサンはそういうと、全エネルギーを腕にためこんだ。
剣を通じて、黒い電撃がシャドームーンの体を包み込んだ。
そして、全身に激痛が走った。
「うぎゃああああああああ!!!!」
サタンサーベルはひび割れをした。
限界がきた。
サタンサーベル、魔剣は押し負けた。
そして、粉々に砕けった。
ヒュンッ…。
シャドームーンの耳には、空気を斬る音がした。
そして、胸に激痛が走った。
今まで感じたことのない激痛が…。
「バカな…。」
シャドームーンはふと、胸をみた。
大きな稲妻上の傷が浮かび上がり、装甲が切り裂かれていた。
「バカなああああああああああああああ!!!!」
シャドームーンは地面に倒れ、口から血を吹き出した。
そして、片膝をついた。
その時だった。
ブラックサンは全身のエネルギーを左足に込めた。
「!!!」
その時、一瞬時間が止まったような感覚が両者の間に流れた。
止まった、時間が。
ブラックサンは一瞬戸惑ったが、足が動いていくのがわかった。
葵の魂の1部が俺の中にいる。
それが、創生王の力を俺に引き継がせているのか。
南はそのまま全身のエネルギーをさらに左足にためた。
全神経を、全エネルギーを…。
その時、葵の笑顔が彼の頭に浮かんだ。
「葵、いくぞ!!!!!!」
ブラックサンは左足にこめた全エネルギーをぶつけてシャドームーンの胸の装甲に渾身の蹴りを当てた。
蹴りが当たったと同時に時間は動き出した。
轟音と衝撃波が包んだ。
「うぼああああああああああああ!!!」
シャドームーンは悲鳴をあげた。
そして、大きく吹き飛ぶと地面に崩れ落ちた。
装甲は完全にボロボロに砕け、ガラス片のように散っていった。
やがて、人の形に戻っていくとシャドームーンこと信彦は胸からラグビーボールほどに匹敵する大きな穴が開いた、血を吹き出し地面に倒れた。
「…光太郎!!!!!」
光太郎は変身を解除した。
そして、信彦のもとへむかった。
地面に倒れる、その姿はかつての友のままだった。
邪念が消えていた。
かつての爽やかでどこか寂し気な彼がいた。
「覚えてるか、光太郎。冷蔵庫のアイスを食った食わないで…殴り合いのけんかをしたことを…。あの時と俺は変わらないな…お前が成長して俺をこえちゃったんだ…。ずるいぜお前は…。」
この声、あの信彦だ。
何も変わっていない。
10年前と…。
「なぜだ…その気になれば、お前と俺は…手を組めたはずだ。」
信彦は光太郎を一瞥した。
その目には失望と後悔があった。
まだこんな甘いことをいうのか。
「無理だぜ、そ…んなの…。」
そして、口から血を大きく吐いた。
せきこみ、血と唾液の池ができるほど信彦は吐いた。
「俺を、殺すのが…お前でよかった…。」
光太郎の膝の上で信彦の心臓の鼓動が消えていった。
彼は信彦が死んでいくのがわかった。
かつての友、信彦。
それとようやく会えたと思ったらこれか。
光太郎は地面を俯いた。
後悔・同情・悲しみ…光太郎の胸に一気に全ての感情が押し寄せた。
そしてこの感情は一切消えることがない。
光太郎はかつての友の目をつぶらせた。
彼が死ぬのと同じ時、地上に舞い上がっていた古代遺跡は海の中へと落下し落ちていった。
シンディをの手足を縛り首を締め上げていた蔦も消えていった。
恐竜ゴルゴムと戦っていた石の恐竜も消えていった。
そして、世界を襲う天変地異も…。
アメリカ、ワシントンではケイン将軍が大喜びをしていた。
日本の首相官邸では同波が閣僚を握手し、災害が消えたことを心から喜んでいた。
ゴラス島の地上では、シンディがレックスと出会い、お互いに抱擁をしながら無事を祝った。
世界が安堵に包まれる中、南光太郎は友人二人を失ったことで、悲しむ気力すらもきえていた。
彼は石碑から赤い石をとると、それをつけた。
そして、去っていった。
また彼は孤独になってしまったのだ。
「お前を殺したのが俺でお前は本当によかったのか…信彦。もう一度教えてくれ…。それがお前の想いだったのか。」
暗闇の中で、光太郎はうめき声をあげた。
次回エピローグです。