俺が考えた 仮面ライダーBLACK SUN 作:井上ああああ
犬養が死んだ翌日。
国際ゴルゴム平和連合・日本本部。
そこにはコウモリ怪人羽田がいた。
「うそではありません、本当です!!!」
羽田は必死で説得したが、警備員は相手にしなかった。
ふとそこへ魚住がやってきた。
「なんだ、あいつ…。」
「ええ、なんでも『キングストーンをみてしまった』とか…。」
魚住は震えた。
『キングストーン!?』
いや、待て…もしかしたらた他人の空見かも。
でも、一応聞く必要はあるな。
魚住は秘書に命じた。
秘書は羽田に近づくと、肩を叩き魚住の方を指さした。
やがて、3人は応接室へ向かった。
「キングストーンをみた、というのは本当ですか。」
「本当です…自分は30年前中国の博物館でみたことがあります。あの赤い石は間違いありません!」
はぁ…。
魚住はため息をついた。
そして、首を横に振った。
「いるんだよ…こういうやつ…。」
羽田は慌てふためいた。
「あのな、オッサン…。」
魚住はかけていた眼鏡をはずすと、羽田をにらみつけた。
「証拠あんの?いるんだよ…たまにただの赤い石を勘違いする人。うちらでも30年かけて探せなかったんだよ。証拠あるの?なあ…。」
しかし、羽田はあっさり答えた。
「ありますよ。」
すると、羽田は複数の写真をとりだした。
少女、端正な顔立ちをした青年、そして…赤い石。
魚住は震えあがった。
「こ、コイツは…!!!」
ホンモノだ。
本物のキングストーンじゃないか!!!
「これを一体、どこで…。」
「写真の女の子が持っていました。」
魚住は焦って周囲を見回した。
そして、急ぎ足でドアとその鍵を閉めた。
その焦りっぷりに秘書とコウモリはお互いの顔をみあわせ首をひねった。
なんでこんなに焦ってるんだこいつ。
「いいか、これは俺たちだけの秘密だ。誰かにバレたら…お前たちのうち一人を殺すからな!!!」
羽田と秘書は震えあがった。
魚住は微笑んだ。
「しかも、この女…俺が以前主催したデモの参加者だ。名前も知っている、住所も…さーて…どうしてやるかな…。」
うまいこといった。
このままいけば、俺は…王になれる。
魚住ことビルゲニアはふてぶてしく笑った。
そして、ケータイを取り出した。
「おお、久しぶりだな。俺だよ…魚住だ。鰐淵に頼みごとをしたい。俺の名前は出すなよ…。」
秘書はふるあえがった。
「先生、鰐淵はダメです!あいつは殺しを楽しんでいます!!被害が大きければ大きいほどバレたら批判がきつくなりますよ!どうするんですか!!そうなったら!」
魚住ことビルゲニアは秘書を振り払った。
「女をさらってこい、名前と住所を教えてやる」
魚住は話をテキトーに済ませ住所と名前を教えると電話を切った。
そして、羽田に目をやった。
「おっさん、仕事何やってんの?」
「えーっと…む、無職です。」
「じゃあ、さ…俺が個人的にスパイとして雇ってやるから…例の仮面ライダーのことも情報探っておいてよ。金は弾むよ。むろん、女も…。」
羽田は首を縦に振った。
安いもんだ、ゴルゴムも人も変わらない。
欲望にくるっている、扱いやすい。
さあ、鰐淵はどうしてくれるのかな…。
和泉 葵はその日、早く帰ってきていた。
ああ、仮面ライダー。
私のことを二回も助けてきれてくれた。
その見た目はハンサムだった。
まるで幼いころに見たミュージカルの主役俳優のようなハンサムさ。
彼に会いたいから…早く帰ってきちゃった。
そんな時だった。
後ろから声がした。
「こんなところで何やってる。」
男の声。
聞き覚えがある。
あの仮面ライダーだ。
あのバイクに乗っている。
「い、今下校中なんですけど!」
「そうだったのか、話しかけてごめんな。ほら昨日言っていた調書。とりにきたから…」
え?調書!
ああ、そうだ…私は昨日ゴルゴムに襲われたんだ。
「でも、君って未成年だろ。だから、事情聴取するにも親の同意が必要なんだ。さあ、乗っていくか。」
葵は顔を赤くした。
「どうした、風邪でも引いてるのか。」
葵は首を横に振った。
なんてハンサムなんだろう…。
のぼせあがりそうになる…。
「の、乗ります!」
葵は改めて後ろに乗った。
南の腰に思わず抱き着いてしまった。
大きい…。
すごくごつごつした、大きい背中だ。
「名前、なんていう名前なの。」
「・・・・いずみ、あおいです。」
「葵か、いい名前だな。」
「あの、あなたのお名前も。」
「俺は南光太郎、警視庁特務捜査官…仮面ライダーブラックサンだ。」
「なんていえばいいですか、南さん?それともブラックさん?ブラックサンさん?」
「好きによべ。」
バイクに乗りながら二人は他愛もない会話をしていた。
その時、南は尋ねた。
「なあ、和泉さん。」
「葵でいいですよ。」
「ダメだ、和泉さんだ。」
「……。」
「わかった、葵さん。」
下の名前で言ってくれた。
うれしい!
葵は背中で顔をすりあわせた。
「そのいつもしてる赤いペンダント、何なんだ。」
葵はふと気が付いた。
「私もわかりません。」
「・・・・そうか。」
南は何かを含んだしゃべり方をした。
葵は首をかしげながら話し続けた。
「これは実の両親の物なんです…。私もよく覚えてないけど託児所に赤ん坊だった私とこれが置いてあったって…。今住んでるのは私を施設から引き取ってくれた義理のパパとママなんです!」
南は黙った。
そうか…この子にも何か事情があるんだ。
ふと、彼女の自宅近くについた。
その時だった。
南は何かを感じ取った。
「少し下がっていてくれないか。」
「え?」
「頼む…。」
葵はその時、家の玄関をみた。
不自然に…開いていた。
「!!!!」
南は降りた。
「グラスホッパー、命にかけても『その娘を守れ』!」
バイクに命令をした。
すると、グラスホッパーという名前のバイクのライトの部分が明るく光り始めた。
そして、巨大なフォースフィールドを張ると、葵を守り始めた。
「待って!南さん!」
南は、黙って突き進んだ。
「和泉さん、いますか?」
声かけだ。
これをしないと法律違反になってしまう。
彼が周囲をみると、家の中は荒れ果てていた。
箪笥は崩れ、壁は破れ…そして女性と男性とみられる遺体があった。
女性は肩から、首を引きちぎられていた。
男性は下半身を食いちぎられて、腸が飛び散っていた。
「うっ…!」
あまりの悪臭に鼻をつまみ、十字を切った。
南は立ち止まると、その両者の遺体の目を閉じさせた。
「ケっ、しけた家だぜ…。」
男の声がした。
南には鼻でわかった。
ゴルゴムだ、ゴルゴムの臭いだ。
「金は30万しかねェ・・・・しけてやがる。娘はどこにいったのかわからねェ!!!」
壁際にかすかにみた。
198cmを超える巨躯をした禿頭の巨漢がそこにいた。
体中が筋肉でできている。
体中血まみれだ。
やつが犯人だな。
「クチャ…クチャ…」
咀嚼音が響く。
何を食べている…。
南はかすかにみた。
男は人の腕らしきものをほおばっていた。
「うまくねェ…しけてんなーおい!」
男は口にした肉をぺっと吐きだしていた。
まずいみたいだ。
「なあ…仮面ライダーよォ!!!」
気づかれていた。
南は、男の前に躍りかかった。
「この家の夫妻を殺したのはお前か?」
「ケケ…だったらどうする?連中は娘がどこにいったのかと聞いても何も答えなかった。だから『食って殺した』のさ。大してうまくもねえまずい連中だったな。」
男は笑っていた。
南は怒りで手が震えた。
「お前のやったことは『強盗殺人』だ、問答無用で死刑になる。」
「それで?」
「仮面ライダーは、重罪を犯した悪質なゴルゴムの処刑を許されている。」
「…のヤロォ!!!!!」
大男は苛立たし気に南の顔面を殴り飛ばした。
南の体は大きく吹き飛んだ。
顔は傷んだが、これで冷静になった。
「これで『公務執行妨害』だ。」
「ゴチャゴチャうるせェんだよ!!!屁理屈バカが!!!!!さっさと変身しろ!!!殺してやる!!!!殺し合おうぜ!!!」
巨漢の体はふくれあがると、皮膚が吹き飛んだ。
そして、その中から緑色の大きな鱗に包まれた二足歩行のワニの姿があった。
「グオオおおおおおおおおお!!!!!!!!」
ワニ怪人は咆哮をあげた。
「…お前は死刑だ。」
南は精神統一を行い、腕を構えそしてポーズをとった。
「変身!!!!!!!!!!!」
南の体を黒い装甲が覆った。
仮面ライダーブラックサンに変身だ。
ワニ怪人と仮面ライダーの一騎打ちが始まった。
素早く襲い掛かったのは仮面ライダーのほうだった。
「フン!!!!」
渾身の力をこめた、拳が決まった。
はずだった…。
「う・・・・!!!」
仮面ライダーの腕に激痛が走った。
「硬い…!!!!!」
皮膚が固すぎて打撃が通じない。
ワニ怪人は高笑いをした。
「なんなんだァ、今のは・・・・。」
その時だった。
ワニ怪人は3mほどある大きな尾をふるうと、仮面ライダーの全身をたたきつけた。
「うごッ!!!!!!」
仮面ライダーの体は吹き飛び、家の壁を突き破った。
やがて、仮面ライダーの体は川岸のほうへと吹き飛んでいった。
そして、川辺に大きな水音をたてて倒れこんだ。
「くそ…強い…。」
その時だった。
巨大な緑色のワニが近づいてきた。
「クク、仮面ライダー…運が悪かったな。水辺は俺様の得意なフィールドだぜ!!!!!」
そういうと、ワニは川に飛び込んだ。
そして、大きな顎を開けると仮面ライダーの体にかみついた。
やがて、剛力とともに川のなかへと仮面ライダーを引き込んだ。
「お前はうまそうだ、仮面ライダー!!!!強いヤツを食えば俺様は強くなる!!!!特に硬くて歯ごたえがあるやつをかみ砕いてバラバラにするのが好きだ!!!生き甲斐を感じる!!!」
仮面ライダーの胴にワニ怪人の牙が食い込んだ。
胴に電撃と痛撃が響く。
ただでさえ強いのに、水辺ではうまく動けない。
「ぐ、ぐああああああああああああああ!!!」
仮面ライダーは思わず悲鳴をあげた。
こんなに強い奴はなかなか出会ったことがない。
劣勢だ。
「お前を殺したら…次はあの女だ!!!あの女は…キングストーンのかけらを持っているッ!!!!」
キングストーン…?
父上から聞いたあの伝説の石。
すべてを揃えば、地球の神である創生王が目覚め…。
全てのゴルゴムの王が決まり、人類はゴルゴムのえさになる…というアレか!!!
「フハハハハハ!!!!死ね!!!裏切り者!!!死ね!!!仮面ライダーブラックサン!!!!死ね!!!死ね!!!」
その時、不思議なことがおきた。
仮面ライダーブラックサンの目が赤く光り輝いた。
ワニ怪人の歯が通じなくなっていた。
「・・・・!!!!!なんだァ!!!!」
その時だった。
ワニ怪人の顎はブラックサンにつかまれた。
「・・・・お前、今年だけで10人以上も殺してるな。この歯形・・・・この40年の間におきたすべての未解決事件のものと一致している!!!!!よくもあの娘の親を!!家族を失ったんだぞ!!!」
まずい、覚醒したんだ。
勝てない。
覚醒すればより強化される。
「ま、待て…仮面ライダー!!!!話せばわかる!!!!」
ブラックサンは、ワニ怪人の顎をつかむと力まかせに引き離した。
そして、怪力を振るい顎をつかんだまま、顎を引き裂いた。
「ぐぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!」
ワニ怪人の悲鳴と赤い血が川に浮かび上がった。
彼は地上に浮かび上がった。
そして、それを追いかけて、仮面ライダーは川から陸上に戻ってきた。
こいつを殺すのはパンチやキックだけでは無理だ。
ということは・・・・。
「グラスホッパー!!!!!」
彼の雄たけびに応じると、グラスホッパーは剣の形に変わった。
そして、仮面ライダーは剣を構えた。
「ゆるさん!!!!!!!!!!!!!」
大きく飛び上がった、仮面ライダーはワニ怪人の体に刃を当てた。
するとワニ怪人の装甲以上に固い皮膚が裂けるチーズのように切り裂かれた。
血は噴水のように飛び出た。
「ごげ・・・!!!!ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
ワニ怪人は爆破四散すると、その肉と魂は河の中へ包まれていった。
ワニ怪人が死ぬと、同時に変身は解除となった。
その時だった。
「い、いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
葵の声だ。
しまった。
南は急いで声のほうへとかけよった。
「無事か!!!」
葵は無事だった。
家に入っていた。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
彼女はみてしまった。
育ての親の死体を…。
「…。」
南はふと思い出した。
子供のころ、先代仮面ライダーブラックサンであった父が死んだときのことを・・。
ちょうどこの娘と同じ年齢だ。
同じ傷を抱えている。
「パパ…ママ…。」
南は彼女の背に立った。
そして、重い口を開いた。
「俺も、名も知らぬゴルゴムに殺された。俺は今でも思い出す。今でも夢に見る。犯人は今でも捕まらない。仮面ライダーに恨みを持った者の仕業だ。だから俺は仮面ライダーの称号を継承した。」
葵は南をみつめた。
そうか、この人はこの人で傷ついていたのか。
「俺たちは、例えどこにいっても人からはゴルゴムと蔑まれ、ゴルゴムからは裏切り者と揶揄される。人間の法秩序を守るために、戦うのが俺たちだ。人間でもゴルゴムでもない。それが俺たち仮面ライダーだ。」
葵は南をみつめた。
「私、ゴルゴムの友達がいた。だから…だから、私は…あなたたちのことが嫌いだった。でも…今はあなたよりも…ゴルゴムが憎いわッ!!!!!」
葵は口を覆った。
言ってはいけない言葉…。
南は悲しそうな顔をしていた。
「違う、ゴルゴムのほとんどは善人だ。ゴルゴムを憎むな、悪を憎め。やさしさ・善意をどうか捨てないでくれ…。じゃなければ、俺だって…時々法や秩序が正しいのかわからなくなるんだ…。だから…そういう悲しい事をいうのはやめてくれ。」
南はそういった。
二人の間に冷たい風が吹き込んできた。
周囲に警官が増えてきた。
今、一人の少女が家族を失ったのだ。
一方、アメリカ国防総省。
国際ゴルゴム平和連合・日本本部で盗聴されていた記録が再生されていた。
そこにはブルース・ケイン将軍がそこにいた。
刈上げた髪をいかめしい筋肉をした彼はとある兵士を呼び寄せた。
「シンディ・クーガー特務陸軍大尉か?」
野太い声で彼は聞いた。
目の前にはタンクトップの上にアーミージャケットを羽織った、美貌で筋肉質な女性が立っていた。
「はっ!そうであります、サー!」
「大尉、われらが捜している。赤いキングストーンがみつかった。それをゴルゴムの手に入ると面倒なことになる。すでに手配は整っている。向こうの仮面ライダーと協力して、赤いキングストーンを確保せよ。」
シンディ・クーガーは敬礼をした。
彼女には別の顔があった。
仮面ライダーバルキリー…。
アメリカの仮面ライダーだった。
シンディは席を外した。
「レックス、仕事よ。日本に行くわよ。」
レックスと呼ばれた白人の少年はシンディにかけよった。
14歳になったばかりのレックスはどこかおぼこさが残っていた。
「本当!?日本にいってみたかったんだ!」
「観光じゃないんだから…遊びじゃないからね。」
「ダメなの…」
悲しそうな顔をしたレックスに胸が苦しくなったシンディはため息をついた。
「仕方ない、アニメグッズ買おうかっ!」
「本当!?」
「でも、危ない人についていっちゃダメだからね。」
レックスとシンディは、ゆっくりと空港に向かっていった。
仮面ライダーなのになんでキックしねえんだと思いの方もおられるかもしれませんが
次話で出てきます。