俺が考えた 仮面ライダーBLACK SUN   作:井上ああああ

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第8話 シャドームーン

和泉葵は目を覚ました。

手が動かない。

 

 

「ここは…。」

 

 

薄暗くて周囲がみえない。

 

 

「クククク…。」

 

 

誰かの含み笑いが聞こえてきた。

誰だろう。

目を凝らすと、ようやくその相手がわかった。

それは彼女が何度か観た男だった。

コウモリ型の怪人。

 

 

「久しぶりだな、お嬢さん。」

「あ、あなた…。」

「前は血が飲めなくて残念だったぜ…。だがな、お前の血が欲しくてお前を狙ったわけじゃあない…。」

 

 

すると、コウモリの背後から背の高い精悍な顔つきをした男が姿を現した。

葵はその顔に見覚えがあった。

テレビでよくみる、ゴルゴムの国会議員の顔…。

そして、以前彼女が参加したカウンターデモの黒幕。

 

 

「魚住議員?」

「俺を覚えているのか…。」

「なぜあなたが…あなたほどの人が…。」

「それはね‥。」

 

 

ビルゲニアは腕をのばすと、葵の顎を触りながら顔を近づけた。

 

 

「君が、キングストーンを持っているからだ。」

 

 

葵は目を見開いた。

 

 

 

「全ては聞いていたよ、クジラとの会話でね…。君が、創生王の巫女であること。キングストーンは君以外を認めていないこと。ククク…俺の野望のために、君は俺のモノになるのだ。光栄だろ…。」

「今まで刺客を使ったのも…。」

「そう、俺だ。」

「あなたがパパとママを…。」

 

 

ビルゲニアは彼女から離れた。

 

 

「アレは鰐淵がやったことで俺は関係がない。アレについては非礼を詫びよう。君が俺に協力をしてくれるなら…今までの全てを詫びる。そして君を国会議員にしてあげよう。どうだ?協力してくれるかな。」

 

 

葵は目の前にいる彼への殺意で心が燃えそうだった。

 

 

「ふざけるな!!!!」

 

 

ビルゲニアはすっと指をのばし、葵の頬をゆっくりねっとりと撫でた。

そして、顔を近づけた。

魚臭い息が、葵の鼻孔に突き刺さった。

不愉快だ。

そして、ビルゲニアの手は葵の首にうつっていった。

やがて葵の首を優しく触った。

 

 

 

「お前の自由は俺の掌の中にある、どういう意味かわかるよな。」

 

 

ビルゲニアは葵の首をつかむと徐々に力を増していった。

 

 

「死なない程度にかわいがってやろう、そうすりゃわかるだろ。」

 

 

その様子をみていた秘書がビルゲニアに話しかけた。

 

 

「ビルゲニア様…首相からお電話でございます。」

「フン…。」

 

ちっ、タイミングのいい時に…。

空気の読めねえ野郎だ。

葵はため息をつくと、肩を垂れた。

 

 

「総理、お久しぶりでございます。」

「魚住、俺は終わりだ。総理大臣はやめにするよ。」

 

 

いつもびくびくしているこいつらしくない。

冷静だ。

ぢがなおったのか?

様子がおかしい。

 

 

「そうでしたか、お疲れ様でした。」

「…お前もだ。」

 

ビルゲニアは首を傾げた。

こいつ何を言ってる。

 

 

「はい?」

「お前も終わりだ。」

 

 

ビルゲニアは困惑した。

 

 

「な、なんですって!!!!」

「先日、アメリカから情報が来た。お前が複数の殺人事件に関与したこと。そして、テロリストと手を組んでいること。そしてこれが、マスコミにバレたんだ…。今日の朝刊、読んでないのか?」

 

 

ビルゲニアはすぐさまインターネットを開いた。

そこにはトップニュースで『魚住議員、カルト宗教と手を組んでいた!!』『魚住議員の名前はビルゲニア!!!』『首相も関与、首相辞任を表明!!!』という記事が目に入った。

ビルゲニアから全身の血が引いていくのがわかった。

 

 

「恐らくCIAの手口だろう。お前は調子に乗り過ぎた。」

 

 

違う、それだけじゃあない。

三神官だ。

三神官の仕業だ。

 

 

「ど、道波…貴様ァ!!!!!!!!!!」

「まあいいじゃないか、お前には3千億円以上の資産がある。しばらくはそれでハワイでもいったらどーだ?あ、アメリカに行けば捕まるか・・・まあ、年貢の納め時ってやつさ。あばよ。」

 

 

首相は電話を切った。

ビルゲニアはとうとう、議員という立場も失った。

彼がやろうとしていることが三神官にみつかったのだ。

秘書は困惑しながら、近づいた。

 

 

「ど、どうしたのです・・・。」

「なんでもない!!!」

「なにがあったんですか!!!」

「何もないといってるだろ!!!!」

 

 

そんな時だった。

先ほど姿を消していたコウモリが帰ってきた。

 

 

「ビルゲニア様ぁ!!!!!!仮面ライダーです!!!!仮面ライダーがやってきましたああああああああああ!!!」

「チクショー!!!!!」

 

 

あ、いや待て…。

そうだ、ここは…多くのボディーガードがいる。

ここに来るのは骨が折れる。

ここは地下だ。

そして、魚住家に伝わる抜け穴を使えば、海に出れる。

そうすれば…。

 

 

ビルゲニアは冷静になった。

 

 

「羽田、お前は上空から見晴れ。」

「はいっ!」

 

 

コウモリははばたくと、空へと舞いあがった。

耳にイヤホンをつけながら…。

それを見終えた。

 

 

「おい…。」

「はいっ!!!」

「花房はどこにいる。」

「一階中庭です。」

 

 

 

ビルゲニアは笑った。

まだ大丈夫。

ヤツなら仮面ライダーも倒せるな。

それだけじゃない、海にも多くいる。

他のゴルゴムからも嫌われた危険な連中がな…。

 

 

 

 

一方、魚住邸前。

 

今朝、警視総監の黒川から電話があり、魚住に逮捕状が出ているので逮捕してこいとのことだ。

魚住議員の正体は怪人ビルゲニア。

それ以前に、南には葵を誘拐したのはビルゲニアの手のモノ。

コウモリ怪人だ。

 

 

海がみえる山奥に建てられたその屋敷では恐らく何人かの守衛がいる。

 

 

ここにやってきた南とシンディは、二つに別れて移動することにした。

しかし、シンディはどうやら変身がなかなかできないようだ。

恐らく、先日のバラオムとの対戦で、装甲が傷ついたことに原因があるのだろう。

 

 

「いけるのか。」

「…何とか、変身しなくても私は強いから。」

 

 

シンディは銃を持った。

彼女は軍人だ。

こういう時、頼りにはなる。

 

 

「死ぬんじゃないわよ。」

「お前こそ。」

 

 

南はシンディが海の側からの侵入を図るのを知ると、彼女を見送った。

アイツは一人でなんとかできるだろう。

南は壁の中でも少し空いている部分をみつけると、そこから門へと忍び込んだ。

中庭だ。

中庭は奇麗な庭園が並んでいる。

だが、不思議なことに…誰もいない。

 

 

「フフフ…。」

 

 

女の声だ。

どこから聞こえている…。

南は周囲を見回した。

するとそこに、30代後半程度の妙齢の女性が立っていた。

濃い化粧に、年齢を考慮していない太腿を露出した格好をしていた。

 

 

 

「かわいい坊や…こんなところに入ったのが間違い。お前は私に殺されて死ぬのよ。」

 

 

そうか、コイツも刺客か。

南光太郎は精神を集中させ、全エネルギーを腰に巻いたベルトに溜め込んだ。

だが…変身できなかった。

 

 

「まさか、そんな馬鹿な…。」

 

 

俺も、先日傷ついたからできないのか…。

いいや、違う。

何かが違う。

鼻をひくひくさせると、ようやくその変化の理由がわかった。

 

 

「匂いだ。」

「その通り、私は今…特殊能力を持ったゴルゴムに一定数の花粉を放った。お前たちは今私に特殊能力を奪われているのだ。だが、私は自分の好きなように能力を使うことができる。」

 

 

すると、女は素早い動きとともに南の腹部に鋭い蹴りを繰り出した。

 

 

「!!!」

 

 

想像以上に痛い。

南は腹部をおさえると地面に倒れた。

すると、再び女の蹴りが南の顔面にみえた。

 

 

「うっ!」

 

 

よけきれない。

南は唇に傷ができた。

 

 

「…ううっ…。」

 

 

そして、女は高笑いをつづけた。

 

 

 

「フフフ、面白いわね‥。」

 

 

 

楽しんでいる、こいつサディストか。

そして、女は両手の手指の皮膚を突き破ると、蔓状の触手のようなものに生え変わった。

 

 

 

「植物系の怪人か…。」

「あたしはね、アネモネ怪人って名前なんだよォ!!!」

 

 

 

 

呻き声をあげ苦しむ南を嘲笑うと蔓に変わった触手を使い鞭のように振るいながら、南の背中にたたきつけ始めた。

 

 

「オラぁッ!!!!」

「うっ!!」

「オラァ!!!」

 

 

怪人になると、口調まで粗くなる。

相当危険だぞ、コイツ…。

 

 

「小僧ォ!!!土足で入ってきてんじゃないよ!!!!!!!」

 

 

何度も、何度も南のシャツを切り刻むような打撃を咥えると、再び腹部を蹴り上げてきた。

骨の何個かが砕けるような音がした。

 

 

「うごォ!!!!」

 

 

南の体は吹き飛ぶと、壁に叩きつけられた。

 

 

 

「ヒャは、アハハハは!!ボーヤったらサッカーボールみたいだねェ~~~~~!!!」

 

 

狂っている…。

 

 

「…うう。」

「おら立てボーヤ!たてぇボーヤ!!!立てつってんだろ!!!!!」

 

 

アネモネ怪人は悦びで口がV字状に割けると、何度も何度もその両腕の蔓を鞭のように使い南の背中に向かって攻撃をしてきた。

次第に背中からは血が出始め、シャツもボロボロになっていった。

 

 

 

「立てないの?降参しちゃう?ほらぁ…今降参したらおねェーさん許してあげるけどなー!!!ギャハハハ!!!」

 

 

 

南はなんとか起き上がろうとすると、その時シャツがボロボロに破れほとんど上半身が裸になっていることに気がついた。

 

 

 

「ケケ、いいからだしてんじゃない、ハハハハハハ!!!!」

 

 

その頃、南はなんとか立ち上がると、アネモネは片腕を人間形態の時の形に戻していた。

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

そういうと、アネモネは南の首を持ち上げ万力とともに締め上げた。

 

 

 

「ぐうううううう~~~~~~~~~!!!」

 

 

 

南はなんとかその腕を剝がそうとしたが、離れないようだ。

 

 

 

「苦しい?ただで殺してあげないよ…。苦しめて、苦しめてとことん苦しめて…そして優しくして…私への愛情でいっぱいになったところ、殺してあげる。」

 

 

 

やがて、アネモネ怪人は南の首を締め上げている方の腕を再び蔓状に変化させた。

アネモネ怪人は蔓のような手指を使い南の首を縛り付け絡みつけてきた。

そして、凄まじい力で締め上げてきた。

 

 

 

「~~~~~~~~~~~~!!!!」

 

 

声が出せない。

首が締まって息ができない。

 

 

「オラああ!!反撃してみなさいよォオラァ~~~~~~~~!!!」

 

 

 

よくみると、完全に怪人形態に変化している。

花びらにまみれた顔の中に、人間の時代の輪郭を残した顔が浮かんでいる。

そして、体は触手にまみれている。

足の部分は人間を思わせる輪郭を残しているが、肌は緑色になっている。

余った触手を使うと、南の両腕も縛り付けた。

動けない…。

南の意識は徐々に薄れつつあった。

 

 

 

 

その様子をモニターでみていたビルゲニアは爆笑していた。

秘書も少し、うっとりとしている表情をみせていた。

 

 

「おいおい、興奮してンじゃねえゾお前~!!マゾかー!!」

「やめてくださいよー魚住さーん。」

 

 

葵は顔を青くした。

あのままだと、殺される。

 

 

「お願い…もうやめて…。」

「何?」

「もうやめて…。」

 

 

葵は懇願したが、ビルゲニアは嘲笑した。

 

 

 

「あー無理だなーあいつは俺の部下の中でも一番サディストだ。俺のいう事なんか聞かねーよ。オーストラリアにいった時、向こうの白人美少年を勝手にさらってきて、拷問して殺しちゃったんだよーあれ困ったよなー。」

「外交問題になりかけましたね。」

「だなー。」

 

 

ビルゲニアは葵が目を背けていると気がつくと、無理矢理瞼を開かせた。

 

 

 

「ちゃーんとよーくみておかないと、これは社会勉強なわけよ。お前の大好きなあのお兄ちゃんが、ボコボコにされてくたばる惨めな姿をよォ~!!!」

 

 

 

ビルゲニアは下卑た高笑いをあげると、モニターを葵に無理矢理みせた。

南のピンチの一方、シンディにもトラブルがさしかかろうとしていた。

シンディはウェットスーツに着替えようとしていると、守衛の一人が気がついたのか後を追いかけてきた。

 

 

「おい、そこで何をしてる。」

 

 

守衛は声をかけた。

シンディはその長い脚を使うと、守衛の顔面を蹴り飛ばした。

普通の人間のようだ。

気絶させると、シンディはウェットスーツに着替えた。

だがその全てをコウモリ怪人羽田はみていた。

 

 

「おい、ヤツが動く…タコ!イソギンチャク!遊んでもいいが、ちゃんと仕事しろよー!」

 

 

羽田は嫌味を飛ばした。

俺は常に安全圏を確保していたい。

ヨゴレ仕事は御免だ。

シンディはウェットスーツに着替え、海を泳いでいるとそのあとをタコ型が追いかけていた。

シンディは洞窟にたどり着き、ウェットスーツを脱いだ。

そして、着替え用のタンクトップに着替えようとした矢先だった。

まだ水着の段階だった。

 

 

 

「ケケ外人の姉ちゃんヨー!!!きれいだなー!!!」

 

 

すると、海状から巨大なタコの吸盤にまみれた触手が生えてくるのが目視できた。

 

 

「な、なに!!!」

 

 

シンディが驚いていると、タコの触手はシンディの足に絡みついた。

 

 

「こっち来て、おじさんと遊ぼうよ!!!でへへへ…。」

 

 

シンディはナイフを使い切ろうとした。

すると、浅瀬の方から別の触手がよってくるのがみえた。

 

 

「!!」

 

 

イソギンチャクだ。

巨大なイソギンチャクがあった。

イソギンチャクはシンディの両腕と両足に絡みついた。

 

 

「楽しいことはよー。俺とわけ分けって話だろーォが!!!」

「わかったわかった、お前はそっちは抑えてろ!!!」

 

 

イソギンチャク特有の麻酔毒で両腕が動かない…。

このままでは…。

シンディは思わず転倒した。

 

 

「…う…。」

 

 

そして、タコ型は陸上にあがってくるとそのまま複数の触手を使いシンディの首を締め上げたはじめた。

 

 

「う、う………。」

 

 

シンディの美貌が、苦痛の表情に変貌していく…。

 

 

 

「えへへへへ、奇麗なお姉ーちゃん苦しそうだなー。も~ッと苦しませてえー!!!」

 

 

 

そういうと、タコは彼女の腕と足をそれぞれ締め上げ固定した。

やがて地面に倒れた彼女の体中をイソギンチャク型が毒のこもった触手で絡みつくことで動きを完全に奪っていった。

両者が完全にピンチに陥ってる中、突如何かが姿を現した。

南は薄れゆく意識の中、その銀色に光った何かに驚いた。

 

 

 

「くくく、光太郎…弱いなあ…。」

 

 

 

アネモネ怪人の手が緩んだ。

解放された南は大きく咳をしながら呼吸を整えた。

視界が薄れつつあったが、なんとか戻ってきた。

そこには銀色の仮面ライダーが立っていた。

光太郎はそれに見覚えがあった。

 

 

「…シャドームーン!!!」

 

闇夜に浮かぶ月のように怪しく輝くその姿。

銀色の仮面ライダー、シャドームーンだ。

 

 

「10年前と変わらない、お前は雑魚だ光太郎。俺のように、ゴルゴムの使う毒に耐性がなければな…。」

 

 

この口調にも聞き覚えがった。

 

 

「…ノブヒコ!?」

「お久しぶり。」

「なぜ…。」

 

 

アネモネ怪人は怒りに震えた。

 

 

「なんだァ!!!!!貴様ぁああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

シャドームーンは赤い剣を取り出すと、素早く剣を振った。

すると、アネモネ怪人の腕と足は一瞬で切り裂かれた。

そして、青い血を噴射すると地面に崩れ落ちた。

 

 

「・・・・ええ?アレ?」

「ブサイクなヤツには地べたが似合う。」

 

 

そして、胴体だけになったアネモネ怪人は激痛にのたうちまわった。

 

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!いだいいだいぢいいいだい痛い痛いいだい!!!!!!!!!!!助けて、だずけで…!!!!fごめんなざああああああああああああああああい!!!!!」

 

 

 

シャドームーンはアネモネ怪人の顔面に剣を串刺しにすると、そのまま怪力とともに引き払い引き千切った。

アネモネ怪人はとうとう絶命した。

女性の顔を残した生首は目を白黒させると、息絶えた…。

 

 

「こんなゴミの命を消しても楽しくともなんともない…。あとそうだ、光太郎。あの娘はいただく。傷を治して出直してこい。」

 

 

娘、まさか…葵のこと!!!

こいつも狙っているのか!!!

 

 

「待て…。」

 

 

南はなんとか立ち上がろうとすると、シャドームーンは掌をかざした。

その時発生した衝撃波は南の全身を押そうと、そのまま風圧に推され南は壁に叩きつけられた。

 

 

「またな。」

 

 

そういうと、シャドームーンは去っていった。

と、同時にボロボロになった南はそのまま意識を失った。

闇に包まれる中、南は自身の無力感を痛感したまま、気を失った。

 

 

 

アネモネ怪人が死んだのと同じだった。

触手で縛り付けられていた、シンディの体に電撃が走った。

と、同時に「変身」がおきた。

金色の仮面ライダーバルキリーに。

 

 

 

「ああああああああああああ」

「うわああああああああああああああ」

 

 

 

タコ型とイソギンチャク型があわてていると、バルキリーは自身に絡んでいた触手を引きちぎった。

そして、立ち上がった。

 

 

 

「よくやってくれたな…お前ら!!!!」

 

 

 

仮面ライダーバルキリーはまず、イソギンチャク型に蹴りを入れて粉砕した。

そのあと逃げようとするタコ型の触手をつかんだ。

そして、怪力とともに、引き上げた。

 

 

 

「ご、ごめんなさあい!!」

「命乞いしても無駄!」

 

 

 

すぐさま全身に溜まっていたエネルギーを使い、放電するとタコ型は一瞬で消し灰のごとく消え去っていった。

彼女はすぐさま、ビルゲニアの部屋へと向かっていった。

 

 

 

モニターでは、アネモネ怪人花房を瞬殺した銀色の仮面ライダーをみた秘書が震えあがっていた。

さらに今のモニター状では守衛ゴルゴムが何度も殺されている姿をみている。

 

 

「い、今の…観ました!!!」

「待て…。」

 

 

ビルゲニアは少し焦った。

確かに強いのかもしれん。

だが、今の俺も強くなっている。

培養液の再生手術を施し、今の俺は以前より強くなっている。

筋力も運動神経も倍増となっている。

ただでは負けん。

 

 

「今の俺は以前の俺とは違う。」

 

 

 

ビルゲニアは覚悟を決めた。

鞘にあった一族に伝わる宝刀「海鬼」を持つと精神統一を行った。

そして、怪人形態に変化した。

 

 

 

「お前は、逃げたけりゃ逃げろ。」

 

 

 

秘書にそういうと、ビルゲニアはすぐさまドアを蹴破り侵入者を迎え撃つべくむかった。

 

 

「長い間、世話になったな。」

 

 

秘書は少し考えると、一目散に走りながらどこかへと走り去った。

葵は自分だけが残されたことを知ると抗議の雄たけびをあげた。

 

 

 

「ちょっと!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

ビルゲニアは「海鬼」を握った。

 

 

俺は誇り高き、「魚住家」の跡取り。

先祖は「怪人武将」として、関ヶ原の戦いで東軍についた。

曾祖父は日露戦争に参加し、「怪人伯」というあだ名がついた。

祖父はインドシナ戦線に参加し、「軍神」として戦後も高い地位についた。

父は小物だった。

情けない男だった。

その背中をみてきたビルゲニアは父のような存在になりたくなかった。

誇り高き『魚住』をここで絶つわけにはいかない。

彼が愛用している、道場にシャドームーンがいた。

 

 

 

「シャドームーン。」

「ビルゲニア。」

「最強の仮面ライダーと呼ばれた男がなぜ、ここへ。」

「キングストーンと巫女をよこせ、そうすれば…お前の命は助けてやる。」

「笑わせるな!」

 

 

ビルゲニアは「海鬼」の鞘をとると、シャドームーンにきりかかった。

シャドームーンは肘で受けた。

火花が飛び、徐々にビルゲニアが押し始めた。

 

 

 

「中々やるな…。」

 

 

シャドームーンは余裕そうだった。

ビルゲニアは歯ぎしりをすると、いったん離れた。

シャドームーンは、魔剣サタンサーベルを抜いた。

 

 

 

「それはサタンサーベル、やはりお前が世紀王第一候補!!!」

「そうだ。」

「だが、お前を殺せばそれは俺のモノだ!」

「お前に殺せるかな…。」

 

 

 

ビルゲニアは再び、海鬼をつかみシャドームーンに斬りかかった。

シャドームーンはそれに迎撃すべく、サタンサーベルを振った。

だが、ビルゲニアにはその動きがよめていた。

海鬼を使い、サタンサーベルの動きを止めると、素早く胴打ちの容量でシャドームーンの腹部を斬りつけた。

 

 

「ぬっ!!!」

 

 

シャドームーンは腹部を抑えて、地面に片膝をついた。

腹部から血が流れ、火花と電撃が飛び交っている。

ビルゲニアはニッと笑った。

 

 

「あなどってはいけないな、次期世紀王殿。剣術では俺が上だ。」

 

 

そういうと、ビルゲニアは再び斬りかかった。

シャドームーンは起き上がり、迎撃しようとしたが…。

 

 

 

がきぃいいいいいいいいいいいいん!!!!

 

 

 

サタンサーベルがはじかれた。

海鬼が勝ったのだ。

 

 

 

「!!!!」

「命もらったぞ!!!シャドームーン!!!!」

 

 

 

ビルゲニアはシャドームーンの首めがけて、斬りかかろうとした。

だが…、その時腹部に隙がでた。

それをシャドームーンは逃さなかった。

腕を使い、ビルゲニアの腹部を殴り抜けた。

 

 

 

ドゴォ!!!

 

 

その時だった。

ビルゲニアの口から血が溢れた。

と、同時に腹部に激痛が走るのを感じた。

そして、彼は腹部をみつめた。

 

 

 

 

「!!!!!!!」

 

 

 

シャドームーンの拳はビルゲニアの腹部を貫いていた。

 

 

 

「まさか・・・・。」

 

 

ビルゲニアをみて、シャドームーンは笑いとともに言った。

 

 

「ビルゲニア、お前の剣術は俺より上だ。確かにそうだ…だが、戦いは技術だけではない。頭脳でやるものなんだ。」

 

 

 

その時彼は気がついた。

遊ばれていたのか…。

 

 

 

 

 

シャドームーンは拳を引くと、ビルゲニアはあふれ出る血を抑えながら地面に倒れた。

 

 

 

「おのれ・・・シャドームーン・・・卑怯もの・・・・。」

「遊ばれていたことに気がつけなかったお前の負けだ。」

「お、の、れ・・・。」

 

 

 

 

ビルゲニアはそのまま地面に倒れ、血にまみれ息を引き取った。

シャドームーンは魔剣サタンサーベルを抜くと、鞘に戻した。

そして、道場をあとにした。

 

 

 

 

その頃、地下では…仮面ライダーバルキリーが拘束されていた葵の近くにきていた。

 

 

 

「助けに来たわ!!」

「シンディさん!!」

「さあ、逃げるわよ。」

 

 

 

葵の両手両足を拘束していた拘束具を外すと、彼女を地面におろした。

その時だった。

凄まじい悪のオーラが近づいてくる気配を感じ、バルキリーは身構えた。

そこからやってきたのは、銀色の仮面ライダーだった。

 

 

 

「小娘を俺に渡せ。」

「断る。」

「なら、死ね。」

 

 

バルキリーは大きく飛び上がると、足に全エネルギーを集中させ飛び掛かった。

そして蹴りを入れようとした。

 

 

 

「お前、ビルゲニアより…弱いな。」

 

 

 

そういうと、シャドームーンはその蹴りをよけることなく胸で受け止め、弾いた。

 

 

 

「なんですって!!!」

「本当の闘いを教えてやろう…。」

 

 

 

シャドームーンは掌に力をためると、強大な衝撃波を放った。

その衝撃波の勢いに押されると、バルキリーの装甲は一瞬ではがれ背中にあった壁も大きな轟音とともに崩壊した。

 

 

 

「あああああああああああ!!!!」

 

 

 

バルキリーは悲鳴をあげた。

装甲もはがれ、人間形態に変化し服も破けていった。

そして、シンディは吹き飛ぶと海の中へ消えていった

その力の強さに葵は絶句した。

 

 

「お前は俺について来い…。」

 

 

 

シャドームーンは葵をつかむと、そのまま屋敷から出ると消えていった。

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

南はようやく目覚めた。

だが、その時は遅かった。

魚住の死体がみつかった。

何よりも親友が悪に染まったことが理解できなかった。

パトカーと救急車が来る中、南は絶望を感じていた。

 

 

 

「…南。」

 

 

 

警視総監黒川の声がする。

 

 

 

「お前、どうしたんだ。」

「俺は負けました…、こんなこと初めてです。何もできず目の前の少女を奪われたのです。どうすればいいでしょうか。」

 

 

 

黒川はため息をついた。

そして、彼に珈琲を手渡した。

 

 

 

「それを飲んでから、考えよう…例えば、そうだな…敵のアジトに潜入するとか…。」

 

 

 

その時だった。

背後に物音がした。

そこにはコウモリ怪人が立っていた。

黒川と警官隊が銃を向けた。

 

 

 

 

「…待ってくれ!お、俺なら知ってるんだ…あいつらがいきそうなところを…ゴルゴム神殿だ!!!ゴルゴム神殿に行くんだ!!!」

 

 

 

南と黒川はめをあわせた。

 

 

 

 

 

最終決戦の火ぶたが落とされた。

その時がこようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回以降最終決戦(2回)で終わります。
週末に行います。
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