俺が考えた 仮面ライダーBLACK SUN   作:井上ああああ

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第9話 最終決戦 前編

警視庁関東方面総本部。

そこでは南と黒川が、羽田をかこんで尋問していた。

コウモリ型怪人の羽田はすっかりしょげた顔をしていた。

 

 

「だ、だから…言ってるじゃないですかぁー、そこにいるんですよ。」

 

 

羽田が示した場所は南太平洋にあるゴラス島だった。

この島は現在、人が住んでいない。

無人島だ。

 

黒川は羽田に顔を近づけて確かめた。

 

 

「こんな無人の島に本当にいるんだな。」

「なんどもいいましたよねー、間違いないですよー!!!ビルゲニアさんの持っていた本にはそこにいるって!!!」

「罠じゃないだろうな…。」

「罠じゃないですって!!!!なんどもいってるじゃないですか!!!僕はビルゲニアさんが殺されていい迷惑なんですよー!!!」

 

 

黒川の尋問を南は横で観ていた。

嘘をついているようにはみえない。

 

 

「本当なんだな。」

「本当ですよー!!!」

 

 

南は羽田の肩をがっつりとつかんだ。

 

 

「もしも罠だったらお前を殺す。」

 

 

羽田は黒川のそれとは違う迫力に息を吞んだ。

そして、黙ってゆっくりと首を縦に振った。

 

 

「お前にはついてきてもらうぞ…。」

 

 

南はそういうと羽田をたたせた。

その様子をみて、黒川はうろたえた。

 

 

「待て、お前…行く気か?海外だぞ?日本政府管轄の仮面ライダーがいったとなれば国際問題になるかもしれんぞ!!!」

「もう、アメリカの連中がきてますよ。国際問題にはなりません。」

 

 

黒川はネクタイを整えた。

 

 

昔からこういうやつだった。

ガンコモンだ。

こうだ!と決めると…そうなってしまう。

もうやつの中では覆らない。

思えばあいつの父親が死んだ時、引き取ったのは何かの間違いだったのか。

そして、もう一度聞いた。

 

 

「…何が待っているかわからん。お前より強いヤツがいるかもしれん。覚悟はできているのだな?」

「できてます。」

 

 

南は尋問室のドアをこじ開けた。

そして、羽田の背中を借りてきたドラネコのように掴むと、南は背を向けたまま呟いた。

 

 

「黒川総監、お世話になりました…。」

「死ぬなよ。」

 

 

黒川は南を見送った。

もう彼にできることはねぎらいの言葉をかけることのみだ。

 

 

 

 

数日後、南太平洋ゴラス島。

 

 

黒川の情報は間違っていた。

その島は何十年も前に、ダロムが所有していた。

ダロムはアメリカ財政界でも指折りの大富豪。

彼の所有するダミー企業を通じて、どのゴラス島を合法的な形で所有していた。

 

 

そのゴラス島の地下には、ゴルゴムの一部にしか教えられていない秘密の地下遺跡があった。

三神官のうち、ダロムとビジュムはそこにいた。

そして、シャドームーンも。

 

 

 

しかし、三神官のうちのビジュムは少し物を考えていた。

10年前、最強の仮面ライダーであった、シャドームーン後継者であった14歳の秋月信彦を誘拐してきた。

そして、今日の日まで彼女は保護し教育して育てていた。

だが、念入りということでビジュムは改造手術を施した。

その結果、信彦は強くなった。

父であった先代シャドームーンよりも。

全ては…この日のためだった。

彼女はシャドームーンの元を訪れた。

 

 

地下遺跡には白い岩でできた石像のみがたっていた。

周囲を暗黒が覆っていた。

岩でできた階段をおりながらビジュムはシャドームーンのいる場所へ向かっていった。

 

 

「シャドームーン様。」

 

 

シャドームーンこと信彦は顔を背けていた。

彼は岩山に並ぶ石柱に座りながら、その底で流れている川の流れをみていた。

ビジュムは石柱をぴょんぴょんととにながら、信彦の元に近づいた。

 

 

「いよいよです、創生王の復活の儀式。まもなく…あなたはこの世界の王になるのです。」

 

 

ビジュムは信彦の頬に優しく触れた。

 

 

「そして、私はあなた様の妃に。」

 

 

そして、口づけをした。

彼女は信彦の背中に腕を巻きつけ接吻をした。

だが、信彦は別の考えがあった。

 

 

「・・・・・・・。」

 

 

10年前、俺はこの女に攫われた。

そこで、ひどい実験を受けた。

筋肉増強剤や様々なものを打たれた。

その結果、睡眠薬と睡眠装置抜きでは眠れなくなった。

この女は俺に迫っているが、わかっている。

この女がみているのは俺ではない。

権力だ。

 

 

信彦はビジュムの肩をつかむと優しく振りほどいた。

 

 

「やめろ。」

「シャドームーン様…。」

「気色悪い、お前の顔をみているだけで吐き気がする。そもそも息が臭い。」

 

 

 

信彦は見据えていた。

天を‥。

 

 

俺に興味があるのは、南光太郎それだけだ。

こいつらを殺して、逃げる事もできたが…それはしなかった。

全ては南光太郎、否仮面ライダーブラックサンを倒すため。

あの女をさらえば、ここにヤツがくる。

そして、創生王の観ている前でヤツを倒す。

その時、俺は世紀王になる。

興味があるのはそれだけ。

 

 

なぜなら、俺が世紀王、世界最強であるべきだからだ。

 

 

 

「俺は権力の座に興味はない、南を殺せばそれでいい。それで世紀王になれるんだろう。」

「はい、ですが…。」

「鬱陶しい、黙っていろ。」

 

 

ビジュムはためらった。

ここまで私に興味がないのか。

 

 

「…わかりました、黙ります。」

「そろそろ時間だな、行くか。」

 

 

 

信彦はビジュムを押しのけた。

ビジュムは濡れた犬のようにトボトボと彼の後をついていった。

信彦が向かった先では、ダロムが儀式の準備を始めていた。

 

 

「フフフ、準備は整っているようだな。ダロム。」

「ははっ、シャドームーン様。」

「やめろ、信彦でいい。」

「…そうはいきません、あなた様は我らの王でございます。」

 

 

信彦は不愉快そうな顔をした。

 

 

「ビジュムにも言ったが、俺は権力に興味はない。だが…この手でヤツを、南を殺さん限りは…俺は世界最強とは言えんのだッ!!!!俺が真の王か否かは、歴史が判断する…。だが、俺はヤツをこの手で倒す!!!世紀王になるのはそこからだ…。」

 

 

ふと、ダロムは手をかざした。

 

 

「あなたの心が乱れておりますな…。」

「わかるのか。」

「はっきりとはわかりません、だがうっすらぼんやりとなら…。」

 

 

 

 

信彦は幼いころから、南が許せなかった。

友人として、兄弟として愛している部分はあった。

だが、それ以上に許せないことがあった。

それは自分の父が死に、ヤツの父が生きているこの世界の理不尽さだった。

それを乗り越えるために…今日まで生きてきていた。

 

 

「もう話は良いだろう。始めよう…。お前たちの神とやらに会いに行こう。」

「はっ。」

 

 

石柱を飛びながら、進んでいった。

ふと、900mほど石柱が開いていたが信彦はなにもかまわなかった。

まるでトランポリンを跳ねるように飛び越えた。

そこには祭壇があった。

その前には虚無の空間のように、黒い沼がうかんでいた。

祭壇の上で、両手両足を縛られた葵はキッと信彦を睨んだ。

 

 

「フン、どうした。」

「何も…。」

「何かあるだろ、いえ。」

 

 

葵は鼻でフンと笑うと口を開いた。

 

 

「アンタ、その二人から王様扱いされてるよね…。」

「ああ。」

「確かアンタは世紀王になるんだよね。」

「ああ、今からお前が呼ぶ神様に会えればな…。」

 

 

 

葵は目で睨みつけながら大笑いを始めた。

その笑いように少し警戒を覚えた信彦は尋ねた。

 

 

「なんだ…。」

「だったら、さ。アンタはなんでそいつらの小間使いなんかしてるわけ?」

 

 

信彦の手がピクリと反応した。

 

 

「王様王様っていわれてるけど、まるで年上の高校生にパシリにされてる幼稚園児みたいなんだよね。なんていうの、アンタ…まるで『裸の王様』なのよね。知ってる?『裸の王様』って…。」

 

 

信彦は手をギュっと握り震えはじめた。

 

 

「図星なんだ!アハハハハハハ!」

 

 

葵は嘲笑した。

信彦は手を振るえ、顔を紅潮させた。

それを見るや否やビジュムが飛び上がりながら、祭壇に近づくと葵の頬を叩いた。

 

 

「小娘!!!」

 

 

葵の唇から血がたれた。

だが、彼女はつづけた。

 

 

「あんた、ビジュムさん?だっけ?話聞いてたけど、アンタ…どう考えても相手にされてないよねー?そもそも『王の妃』って何?自分からは権力を勝ち取ろうとおもわないの?恥ずかしいんだよね、そういう男に媚びる女って。ダサいって。まるでなんていうか政治家に枕営業してる女子タレントみたい。」

 

 

葵は嘲笑をつづけた。

ビジュムは激高し怪人形態に戻り始めた。

手指は裂け、翼竜の如き翼を伸ばし始めた。

 

 

「キサマッ!!!!!!」

 

 

 

信彦は手を伸ばした。

ビジュムはそこから得体のしれない恐怖を感じ取り、震えあがり一歩下がった。

 

 

「もういいよ。」

 

 

葵も何かを感じた。

信彦はほくそ笑んだ。

 

 

「お前の目の前で、ブラックサンを殺してやる。その時まで、創生王は呼ばないことにする。いいか?それが終わった後、お前は殺す。」

 

 

怒りに震えた信彦はダロムとビジュムをみつめた。

その勢いに呑まれた恐怖に顔を歪ませビジュムは頭を下げた。

ダロムはひきつった笑顔を浮かべうなづいたあと、頭を下げた。

承諾だ。

 

 

その時だった。

地面が揺れた。

轟音が、地鳴りが響いた。

そして、無線を通じて連絡がきた。

 

 

「…何事だ!」

 

 

ビジュムは問い詰めた。

すると、無線の先の警備隊長は悲鳴をあげ叫んだ。

 

 

「仮面ライダーですッ!!!!!!!!」

 

 

信彦は笑顔になった。

よく来たな、南光太郎。

 

 

「フン、ビジュム行ってこい!」

「え?」

「お前は俺を愛しているのだろう、迎撃に行けッ!!!!」

「は、はい!」

 

 

ビジュムは赤色の翼竜形態に変化すると、飛んで去っていった。

ダロムはその時一つの提案をした。

 

 

「シャドームーン様、私にいいアイデアがあります。」

「何だ,言え。」

「その女をあなた様の妃にしてみてはいかがでしょうか。あなた様と巫女の子供が生まれれば、いつでも創生王様に会う事や次元の間を開けることができましょう。あのビジュムではない、その娘こそあなたの妃に相応しい。ちょうど若いですので…。」

「フフ、それは名案だ。」

 

 

葵は顔を青くすると首を横に振った。

信彦は葵の顔をつかみ微笑んだ。

 

 

「クク、お前、俺の子を孕むか?」

「…無理!」

 

 

信彦は笑った。

それにあわせてダロムも高笑いをした。

その時、信彦の白人の血を引いた青い目は光輝いた。

そして、サタンサーベルを抜くとダロムを切り裂いた。

 

 

 

「ななな!!!!!!???!!!!!!!????」

 

 

ダロムは自分になにが起きたのか理解できなかった。

赤い血しぶきが飛ぶと、石柱と石柱の間から転げ落ちるように転落した。

 

 

「爺が、バカなことを言うな!」

 

 

サタンサーベルについた血をペロリと舐めた。

その時信彦の体に電撃が走った。

ダロムの能力は念力と相手の思考を読むこと。

今、これが自分の中に備わった。

その時、死にゆくダロムの魂から一つのことがわかった。

こいつは俺を世紀王にして裏から権力を得ようとしていた。

心底ゲスな連中だ。

 

 

 

「フン…、自分ひとりでは何もできん無能め!俺を利用し世界を支配する気だったのか!それはかなわん夢だ!!!フハハハハハハ!!!!せいぜい冥土で地獄の黒幕になる夢で抱いて寝ていろ!!!永遠にな!!!!ハハハハハハ!!!!」

 

 

信彦は高笑いをした。

そして、腕を振るうと石柱を動かし始めた。

念力を使い、轟音をひびかせると石柱はぐねりながら階段を産みだした。

まるでブラックサンを迎え入れるように…。

 

 

地上

 

ビジュムは翼竜形態の翼を広げながら、急いで向っていた。

なぜだ…三神官のうちの私がなぜこんなことに。

よく考えれば、私は父の仕事を引き継いだだけ…。

なのになぜ…。

こんな目にあっているのだ。

そうだ、全ては父上が悪い。

父上が、中国のゴルゴム美術館から日本人研究者にキングストーンを盗ませたことが…。

 

 

遺跡を抜け、地上にあがった。

そこには無数の怪人の倒れた姿がそこにあった。

 

 

「なんということだ…。」

 

 

ビジュムは頭を抱えた。

精鋭部隊がアレほどまでに…。

伝説によればブラックサンは経験を積むことで強くなっていく。

ヤツはまさしくその典型例。

ふと、彼女はジャングルの中からブラックサンを探した。

 

 

 

「!!!」

 

 

いた、黒い仮面ライダーとコウモリ型の怪人がいる。

 

 

 

「死ねェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

ビジュムは人間の顔立ちがまだ残っている口から火球を複数繰り出した。

火球に気がついたブラックサンはコウモリ型をつかむとともに火球を抜け出した。

ジャングルの木々に火は燃え広がった。

 

 

「死ね!!!!死ね!!!!死ねッ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

ビジュムは狂乱したように火球を繰り出している。

何百という火球はあめのようにジャングルに振ってくる。

なんとか、洞窟の中に逃げ込んだブラックサンとコウモリは話をした。

 

 

「おい、コウモリ空を飛んであいつらをなんとかしろ。」

「そ、そういわれても…。怖くて行けないですよ…。」

「だが、このままでは俺たちは劣勢だ。」

「ですが…無理ですよ、近づけないですよ。」

「もういい、わかった。」

 

 

ブラックサンはコウモリを置いて、外に出た。

「危ないですよ」というコウモリの声が聞こえたが、無視だ。

ビジュムはそこにいた。

 

 

「ハハハハハ!!!逃げ腰かい!仮面ライダー!情けないねえ!」

 

 

ビジュムは体をよじるり、回転すると大きな竜巻を繰り出した。

竜巻は炎に包まれていた木々を巻き込むと巨大に、さらに巨大になった。

 

 

 

「クソっ!!」

 

 

ブラックサンは舌打ちをすると、逃げ始めた。

想像以上に強い。

 

 

「ハハハハハハハハ!!!!」

 

 

ビジュムは竜巻の中心にいながら、木々を破壊してブラックサンを追いかけた。

そんな時だった。

南は空からなにかふってくるのがみえた。

振ってきたそれは、巨大な電撃を帯びていた。

やがて、それはビジュムの竜巻の中に入ると大きな一撃を加えビジュムを沈黙させた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・!!!?」

 

 

 

ごおおおおおおおおおおおんん!!!!!

 

 

 

衝撃波とともに、その電撃の主は地上に降り立った。

そこにいたのは仮面ライダーバルキリーだった。

 

 

 

「生きていたのか。」

「あなたたちのことを人工衛星で追いかけていたの。」

「流石だな。」

 

 

 

すると、うめき声をあげながらビジュムが立ち上がった。

 

 

 

「キサマら~~~~~~~~~~~!!!ただではすまさん!!!!」

 

 

 

ビジュムは雄たけびをあげた。

すると、密林の中から10mほどの大きな茶色の髪が生えた類人猿のような怪物がやってきた。

 

 

「フフフ、これが何かわかるか…ギガントピテクス型怪人!!!それを筋肉増強剤で強化させたものだ!!!!それも一体だけではない!!3体だ!!!!」

 

 

 

だが、バルキリーは冷静だった。

そして、指を鳴らすと誰かを呼んだ。

 

 

 

「レックス、やっちまいな!!!」

 

 

 

すると、雄たけびをあげながら地鳴りが響いてきた。

その主にビジュムやピテクス怪人はもちろん、ブラックサンまでもうろたえた。

そして、ジャングルの中からでてきた。

 

 

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

 

爬虫類の肌。

ピテクス型を越える巨体。

恐竜ゴルゴムだった。

 

 

 

「ぐぎゃあああああああああああ!!!」

 

 

 

ピテクス型は雄たけびを上げとびかかろうとしたが、1体は簡単に恐竜ゴルゴムに食いちぎられるとそのまま血しぶきをあげて息絶えた。

 

 

 

「さあ、ブラックサン…何をしているの!さっさといって!」

「だが…。」

「こいつらの相手は私がするわ。」

「わかった。」

 

 

ブラックサンは地上は、バルキリーと恐竜ゴルゴムに任せた。

ビジュムはバルキリーにとびかかり、彼女はそれに応戦しているのが最後にみえた。

南は走りながら遺跡の中へと向かっていった。

 

 

暗闇は続いた。

そして、石柱につまずき転げそうになったが何とか飛び越えた。

なんとなくだが、どんなに暗くても葵が近くで待っているような気が南にはした。

そして、気がつけばまるで階段のようなものができていることに気がついた。

 

 

「そうか、これは・・・。」

 

 

 

ブラックサンは歩みを遅くすると階段を下りた。

そして、下へと向かっていった。

 

 

コツ…コツ…

 

 

足音だけが響く。

そして、その先には祭壇に眠らされていた葵がいた。

 

 

 

「葵!」

 

 

 

ブラックサンは駆け寄った。

そして、葵のそばに近づいた。

葵はゆっくりと目を覚ました。

 

 

 

「…コウちゃん。」

「葵…無事か?」

「コウちゃん。」

 

 

葵はふと思い出した。

ここまでになったのは、自分のせいだ。

最初からアメリカに逃げれば、こんなことには…。

 

 

「コウちゃん、ごめん。」

「いいんだ葵。」

「私、コウちゃんの事好きなの。」

 

 

ブラックサンの動きがピクリと止まった。

葵はブラックサンの頬をさわった。

冷たい。

ひんやりしている。

これが仮面ライダーの装甲か。

 

 

「だから、離れたくなくて‥わがまま言った。」

「もう俺のそばから離れるな、葵。」

「…コウちゃん。」

 

 

葵の手はブラックサンに触れた。

すると、ブラックサンの変身は解除になっていった。

そして、光太郎自身の手で葵の手を握った。

 

 

「俺のそばにいろ、ずーっとずーっとだ。」

「コウちゃん。」

 

 

 

ようやく暖かい。

この手だ。

葵は微笑みかけたその時だった。

 

 

 

「フフフフ、家族ごっこはもう終わりにしてくれないかな。光太郎。」

 

 

信彦がきた。

信彦の日本人離れした、どちらかと言えば白人に近い顔は怪しく輝いた。

 

 

「信彦、なぜだ。」

「なぜ?」

「なぜ、お前が俺の前に立ちふさがる。」

 

 

信彦は金髪交じりの髪をうっとうしげにさわると、少し黙った。

そして、指を刺すと睨みつけていった。

 

 

 

「お前だよ。」

「何?」

「お前だ、いつも…俺の前に立ちふさがりいつもいつも邪魔をする。俺の欲しいものはお前は持っていた。家族!名声!その全てを!…俺には家族がいなかった。最初から…ずーっと!ずっとだ!」

 

 

 

南は黙っていた。

 

 

「でもな、最初はお前の事なんてどうでもよかった。お前の父親が誰かに殺されたと聞いた時、俺は…びっくりした。だからお前の事なんて忘れて世紀王になろうとおもった。だが‥4年前、お前が仮面ライダーになったと聞いた時、あの時俺は誓った。お前を殺さなければならないと…。」

 

 

さらに南は黙った。

 

 

「だから、俺はお前をこの手で殺すと誓った。そのためにさらに投薬をして強くなってきた。このサタンサーベルとともに…お前を殺すために!!お前を殺した後、俺は世紀王になる!!そしてこの世界の全てを俺のモノにしてやる!」

 

 

 

信彦が語り終えると、南は動いた。

そして、沈黙を破った。

 

 

 

「そのためだけに葵を…。」

 

 

 

南は震えた。

そして、怒りのエネルギーをためこみ、腕を動かし精神統一をした。

腰のベルトが反応した。

 

 

 

「ゆるさんっ!!!!!!!!!!!」

 

 

 

再びブラックサンに変身した。

それは信彦も同じだった。

彼も同じ行動をすると、シャドームーンに変身した。

 

 

 

「バトルホッパー!!!!!!!!!!」

 

 

 

ブラックサンは愛機を呼んだ。

愛機は剣に変身すると、それを構えシャドームーンに飛び掛かった。

だが、その時だった。

一瞬時が止まったようにすべてが止まった。

そして、シャドームーンは掌を広げた。

そこからは念動のまじった衝撃波が起き、ブラックサンの体を壁にうちつけた。

 

 

 

「ぐああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

バトルホッパーは弾かれ、地面に落下していた。

シャドームーンの念動はベキベキとブラックサンの体内の骨・筋組織にダメージを咥えると、そのまま壁を突き破り天井を突き破った。

 

 

 

「さあ、神に会いに行こう。」

 

 

信彦はそういうと、余ったほうの腕を使い念動の力を溜め込んだ。

そして、轟音とともに地下遺跡は宙に浮かんだ。

地上で戦っていたバルキリーとビジュムは地中から何かが出てくるのを感じた。

バルキリーはビジュムの腹を蹴り飛ばすと、そこから退散した。

 

 

恐竜ゴルゴムは生き残ったピテクス型の腕に噛みついた。

もう一体が恐竜ゴルゴムの背中にはりつこうとしていたが、尾の一撃で弾いた。

そして、剛力とともに噛みついていたピテクス型の腕を食いちぎった。

ふと、背部にバルキリーがいるのを感じた。

 

 

「逃げるよ!」

 

 

その声に応じ、恐竜ゴルゴムは少年に姿を戻した。

そして、バルキリーの背中に飛び乗ると、すぐさま島から離れた。

 

 

 

「腰抜け!!!!」

 

 

 

ビジュムはそう、叫ぼうとしたその時だった。

地面から巨大な地割れが起きると、その中から地下遺跡の祭壇が浮かび上がってきた。

ビジュムはあまりの光景に目を白黒させた。

その時、落石がふってきた。

ビジュムはなんとかよけたが、落石はピテクス型を踏みつぶすとそのまましにいたらしめた。

コウモリもあわてて外にでてきていた。

 

 

 

 

「もう知らねー!!!!」

 

 

 

コウモリ怪人羽田は悲鳴を上げると、そのまま退散していった。

ビジュムも頭を抱えた。

まずい、なにかがおかしい。

彼女はコウモリと違い、遺跡の方へ向かおうとした。

その矢先だった。

ビジュムは天空に大きな雷が発生し、海が荒れているのがみえた。

そこら中に竜巻がおきている。

 

 

 

その頃、パプアニューギニアでマグニチュード10の地震が起きた。

そして、10件の竜巻が世界中の海を荒らしていた。

あらゆる異常気象が起きていた。

世界中で。

 

 

 

同じ頃東京

首相官邸から荷物を出そうとしていた道波はそれをそとでみていた。

雷が、風が雹が全て同時で起きている。

一体どうしたんだ。

 

 

 

「道波さん!!!!」

「どうした!!!」

 

 

秘書が走ってきた。

 

 

 

「世界中で異常気象が起きています!!!!」

「何!?」

 

 

 

秘書はテレビをつけた。

するとそこにはすべてのチャンネルでNY・パリ・北京・キンシャサで激しい落雷・雹・竜巻その全てが一気に発生して、ビルや市街地を破壊していくのがみえた。

 

 

 

「どういうことだ。」

「さらに…大阪でマグニチュード10の地震が!!!!」

「…まずいな、これは何かが起きているぞ。」

「どうします?」

「首相辞退を先延ばしにするぞ!今から全ての対応をする!!!さあ!!」

 

 

 

 

道波はそういうと、秘書の手をつかみ閣僚を集め会議を始めた。

 

 

 

 

さらに同じ頃ワシントン、ペンタゴンでは会議が行われていた。

アメリカ大統領ジョージ・ワイデンはブルース・ケイン将軍を呼び出していた。

 

 

「これはどういうことだ。」

 

 

ワイデンは、怒った顔でケイン将軍に詰め寄った。

 

 

「…全てのエネルギー波はゴラス島から出ています。世界をゴルゴムが破壊しようとしているのです。」

 

 

ケインは冷静に返した。

だが、ワイデンは怒っていた。

 

 

「君は、これは仮面ライダーで解決できる、そういったな。」

「はい。」

「もう無理だ…。」

 

 

 

ワイデンの手の先には核ミサイルのボタンがあった。

 

 

 

「お待ちください!あそこには私の部下がいるのです!!!何卒!!!!!」

「神のご慈悲を」

 

 

ワイデンはケインの意見を無視してボタンを押した。

すると、人工衛星から核ミサイルが放たれた。

シャドームーンにはわかっていた。

浮かび上がる遺跡の中で、彼はほくそ笑んだ。

その時、ビジュムがやってきた。

 

 

「お待ちください!!!シャドームーン様!!!」

「なんだ。」

「もしや、この世界で起きる災害の全て…あなたが起こしているのですか?」

「そうだ、先ほどダロムを殺してその能力を奪った。俺はこの世界中に起きるありとあらゆるエネルギーを念力を通じて操ることができる。」

 

 

 

ビジュムは震えあがった。

もうコントロールできない。

そうだ、10年前この男をさらって薬物実験にかけ強化した。

だが、強化はしすぎてしまったのだ。

 

 

 

「あ・・ああああああああ・・・・・。」

 

 

 

世界は終わる。

このままでは、全て私のせいか。

ビジュムは決意した。

 

 

 

「お覚悟を!!!!!」

 

 

 

彼女は飛び上がった。

そして、爪に力を籠め襲い掛かろとした。

だが、シャドームーンは念力のエネルギーで彼女を止めた。

 

 

 

「お前は俺を愛しているのだろ、だったら…お前があのミサイルを止めてこい!!!」

 

 

 

 

シャドームーンは念動でビジュムを吹き飛ばした。

吹き飛ばされたビジュムの念動のエネルギーは大気圏にあるミサイルまでのびると一気に核ミサイルを轟音とともに爆破四散させた。

ビジュムの魂も、それで散っていった。

 

 

 

「・・・・なんてことを。」

 

 

 

葵は沈黙した。

 

 

 

「フフフ、俺を愛しているなら死んでも当然だよな。」

 

 

 

その時だった。

上空から何かが降りてきた。

シャドームーンは掌を使い、念動のエネルギーをこめようとした。

だが、相手は早かった。

素早く動くと、それはシャドームーンを串刺しにした。

そして、地面に突き刺した。

 

 

 

どごおおおおおおおおおおおおおおんん!!!!!

 

 

 

地面に大きなクレーターができた。

だが、シャドームーンは無傷だった。

彼の前には、仮面ライダーバルキリーがいた。

 

 

 

 

「・・・・お前か。」

「久しぶりだなシャドームーン。」

「お前の相手は退屈だ。」

 

 

 

バルキリーの装甲にひびが入ると変身が解除となった。

シンディに戻っていった。

先ほどの衝撃で大きなダメージを受け過ぎたのだろう。

 

 

 

「…どうやらお前の装甲は弱いようだな。俺が直接殺す価値もない。」

 

 

 

指をパチンとならすと、あたりの植物のつたがシンディの腕・足・首に絡みついた。

 

 

 

「ああああああああああ!!!!!!」

「ハハハハハ!!!お前にはその姿がお似合いだ!」

 

 

 

シンディはなんとか声に出して叫んだ。

 

 

 

「れ、レックス!!!!」

 

 

 

 

その時、地面をける轟音とともに何かがやってきた。

恐竜ゴルゴムだ。

シャドームーンは念力と衝撃波を起こし対応しようとしたが、彼が起こした念力と衝撃波は恐竜ゴルゴムにはじかれた。

そして、恐竜ゴルゴムの巨大な牙はシャドームーンの腹部の装甲を突き刺した。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・!!!!ぐあああああああああ!!!」

 

 

 

恐竜ゴルゴムはシャドームーンを放り投げた。

そして、口を赤く光らせた。

 

 

 

「まずい!アレは火炎光線だ!!」

 

 

伝説によれば恐竜ゴルゴムの火炎は100億度以上。

流石に喰らえば俺でも死ぬかもしれない。

 

 

シャドームーンは地面を起き上がらせると、念力を地面に向けて起こした。

すると、岩や土が立ち上がり、土や岩でできた恐竜土偶を産みだした。

恐竜土偶は、恐竜ゴルゴムに襲い掛かると彼を押さえつけた。

 

 

 

「オマエらと遊んでられん…。」

 

 

 

シャドームーンは空中に浮かんだ古代遺跡の中にいる葵を念力でつかむと、地面に引き寄せた。

そして、大きな空洞の中に飛び込んだ。

それは葵も一緒だった。

そこには残っていた祭壇のみがあった。

そして、サタンサーベルも。

 

 

「さあ、巫女よ…神様に会おうではないか。」

 

 

 

彼はそういうと、彼女を念力で操りながら祭壇の近くにある石碑にキングストーンを並べようとした。

葵の体は強制的に動いてしまった。

 

 

「俺を王にしろ!!!!」

 

 

その時だった。

黒い影が動いた。

そして、黒い影は大きな剣を使うと、シャドームーンの腕を切り裂いた。

 

 

 

 

「うぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

シャドームーンは片腕を抑え地面に倒れた。

血しぶきが噴出している。

彼は自身の腕を切り裂いた相手をみた。

 

 

 

「ブラックサン!!!」

「信彦、いいやシャドームーン。お前はここで死刑だ!!!!」

「ぬかせ~~~~~~~~~~!!!」

 

 

 

シャドームーンは自身の切り裂かれた腕にエネルギーを溜め込んだ。

すると、肉はふたたび戻り血が通い再生を瞬時で始めた。

そして、銀色の装甲は元に戻っていった。

彼は両腕でサタンサーベルを抜くと、怒りのエネルギーを溜め込んだ。

 

 

 

「死ねぇぇえええええええええええええええええ!!!!!!」

 

 

 

凄まじい憎悪と憤怒のエネルギーはサタンサーベルの力を倍増させた。

斬撃と念動と衝撃波のまじった一撃。

ブラックサンはよけようとしたが、よけきれなかった。

彼の装甲をえぐり、胸を切り裂いた。

 

 

「うがああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

 

ブラックサンは地面に倒れた。

そして、地面を這うように動いた。

 

 

 

「・・・コウちゃん。」

 

 

葵はうめき声をあげた。

彼女の声に反応し、ブラックサンは言った。

 

 

 

「あおい、にげろ・・・。」

 

 

それを追いかけたシャドームーンは背中を蹴り飛ばした。

ブラックサンは呻き声をあげた。

そして、変身は解除されると南光太郎に戻った。

彼はあおむけの状態で倒れていた。

シャドームーンはサタンサーベルを構えた。

 

 

 

 

「悪いな、光太郎。」

 

 

 

 

 

 

 

シュッ。

空気を斬る音が響いた。

そして、光太郎の心臓をサタンサーベルは一突きにした。

 

 

 

「コウちゃん!!!!!!!!!!!」

 

 

 

葵は絶望した。

南光太郎は死んだ。

仮面ライダーブラックサンは死んだのだ。

 

 

 

 

「フハハハハハハ!!!!ハハハハハハハ!!!誰も俺を倒すことなどできんのだあああああああああああ!!!!!」

 

 

 

シャドームーンは高笑いした。

 

 

葵は感じた。

世界は終わる。

もうおしまいだ。

ヤツは世紀王になる。

 

 

 

世紀王?

 

 

 

 

そうだ、私は創生王の巫女。

彼らの神の巫女。

そして、伝説がホントならば、この赤いキングストーンを石碑に埋め込めれば創生王がやってくる。

何かがわかるかもしれない。

もしかしたら、光太郎を蘇らせることも…。

葵は首から下げていたペンダントを引きちぎると、石碑にはめ込んだ。

 

 

そして、両手を仰ぎ叫んだ。

詳しくはわからないが、こうすれば神は来る。

それが世界の共通のはずだ。

 

 

 

 

「創生王よ!!!来たれっ!!!!!」

 

 

 

 

その時、不思議なことがおこった。

地下から巨大なエネルギーがわきあがった。

シャドームーンすらもその巨大なエネルギーの正体は何かと困惑していた。

 

 

 

やがて、光は輝いた。

そして、時がとまった。

葵は目を開けると、周囲をみつめた。

動きが止まっている。

 

 

 

「…ようこそ、葵。」

 

 

 

声がした。

優しそうな壮年の男性の声だ。

葵は声がする方を振り向いた。

そこには彼女にもよくわからないが、何かが立っていた。

 

 

「私は創生王だ。」

 

 

葵は絶句した。

成功したんだ…。

 




次回最終回です
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