不老不死のチートを持って異世界転移した俺が無双したい話   作:あま蛙ひき蛙

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第3話

 いや人数少ないんだから遠回りしろよと俺は最初に思ったがこのルート以外だととても厳しいらしい。なんでも町からちょっと離れた森にはBランクの魔物がゴロゴロ出るとか、Aランクの魔物も棲みついてるとか。

 このせいで国を越えるにはこの町を必ず経由しなければいけない。俺もまたスライムの悲劇を繰り返したく無い、なので町越えルートにしたのだ。

 

 目の前の要塞を越えればこの国を脱出出来る。だが城塞の中や周りの町中にも衛兵が監視の目を光らせている。それは分かっていたが具体的な作戦とかは特に練っていない。

 俺1人だけなら強引に突破してすぐに回復するスタミナ任せに振り切れるが、部下達が居る。突破する時には国境を守る衛兵達が放つ魔法とかからこいつらを守る必要がある。そうなれば突破するのも遅れるし最悪頭の中の核を封印されるかもしれない。

 とりあえず他の奴に何か作戦があるか聞いてみるか。いい作戦があったらそれに乗る、無くてもこいつらを置いてけばいい。聞いてみた。

 

 「えっ作戦とかは無いんですか?」

 

 マンモーニのステュルルが質問に質問を返した。

 

 「へへへっ団長だったらアイツら全員をぶっ殺せますよ」

 

 お調子者ジョンジがヘラっと笑って言った。俺1人だったら行けるかもしれないがお前らを守りながらだと無理だぞ。国境を守る精鋭だ、冒険者だとBクラス、坊ちゃんの所にいた護衛にも劣らない奴等がゴロゴロ居るだろう。もしかしたら聖騎士とかAランク冒険者クラスの、つまり剣の一振りで地形を崩せる奴がいるかもしれないのだ、やってられっか。

 

 黙っていたトーマスを見つめる。俺は出来ればこいつらを助けたい。冒険をしていたのだ、情も湧く。日本に居た頃は積極的にコミュニケーションを取っていなかった。昔の俺はクールキャラだった、本当は胸に熱い心をメラメラと燃やしていたが色々理由があって表には出さなかった。

 あまり人と関わらなかったので俺の熱いハートと仲間を大切にする情熱は発揮されなかったが、今は違う。こいつらを助けようと一生懸命に他力を使っている。

 前の2人は役に立たなかったがまあ予定調和だ、本命はこの影が薄いトーマス。

 

 この男トーマスは前の奴らとは格が違う、まず字が読める。この国は識字率が他に比べ高い方だがそれは国民の話だ。こいつら敗残者の奴隷はこき使われまともな教育もされない。だがこの男トーマスは持ち前の影の薄さを使いひっそりと観察、文字を覚え様々な知識を蓄えた。ジョンジもトーマスに地理を教わった様だ。

 それを知っていればジョンジのやかましい話を聞かずに静かに旅を出来たと後悔したがまあいい。

 

 「トーマス、お前は何か考えが有るか?」

 

 トーマスは引っ込み思案で自分から動くことはないが聞かれれば応える。

 全員がトーマスを見た、果たしてトーマスの作戦は?

 

 「隊長が森に突っ込んで魔物を町に引き寄せて混乱させる。俺たちはその間に見つからずに逃げる」

 

 MPKであった。

 確かに俺なら可能だ、体力もすぐに回復するし怪我を負っても気にならない。だがこの町は敵国の近くで戦力も他より高い、Aクラスは確実に居るだろう。その場合モンスターはAランクの物を引き連れなければいけないが俺には無理だ。Bランクだけでも行けるかもしれないが確実に俺は捕まる。

 

 つまりトーマスは俺に捨て駒になれと言ってるのか?

 やはり元盗賊はダメだな、情がない。忘れていたがこいつらは人を殺して追い剥ぎをやってたのだ。もしもの時は仲間を切り捨てるだろう、その証拠に他の奴らが名案だとばかりにウンウンと頷いていた。

 こいつら〜。

 

 殺す予定だったジョンジはまだいい、ステュルル、お前は母の最後の頼みで故郷を一眼見たいと語っていたな。俺はその話を聞いて素直に応援していたのになあ。それをステュルルお前……。

 こいつらどうしてくれようかと俺が考えていた時だった。

 

 目の前が突然白く塗りつぶされ目が見えないと感じた時には俺は空を飛んでいた。

 空気抵抗を感じながら再生した目で緑を見る。速すぎてよく分からなかったがこれは森だろう、俺たちが進んでいた森。

 つまり前の方から攻撃されてそのまま後ろに吹っ飛ばされているのか俺は、いやなぜバレた?さっきの攻撃を放ったやつは分かる、あの町を守っていた最高戦力だろう、この世界の最上位の人間はこれぐらいは軽々と出来る。スキルか?まあスキルならどんな効果があっても驚かないが思考停止しても良くないだろう。

 

 空中で考える人になっていた時だった、体を貫かれ血を吐いた。

 痛い、追撃か?痛みが無くならない、つまり硬い武器によって刺されたままで再生が出来ない、下を向くと水晶の刀身。つまりは魔剣グリムだった。

 追いついてきたのか?この距離と速さで?

 この魔剣は呪いの武器で手元を離れても追いかけてくる。

 

 寝ていた時に部下に刺され魔剣を取られた事があった。そいつは刺されたまま立ち上がった俺を見て手に持った魔剣で切り掛かってきたが俺を切ることはできなかった。突然手が弾け飛んだからだ。  

 俺はそのままこっちに不自然に落っこちてきた剣をキャッチしてそいつを殺した。そしてこの事件でこの魔剣は持ち主が死なない限り離れない呪われた武器であることをトーマスから教えてもらった。

 

 そう、トーマス。あいつは主体性が無くて夢や目標を持っていなかったが努力していた。将来楽に生きたいからと俺に語ってくれた。

 ステュルル、あいつも俺と同じで家族が母親だけだった、俺もあいつをカライカルへ連れて行きたかった。

 ジョンジはいい。

 

 くそ。よくも俺の部下達を殺したな。それに今までの移動がパーだ、振り出しに戻ってしまったじゃないか。

 着地、ぐちゃぐちゃの体をまっすぐにして腹から剣を抜く。

 森から抜けよう、あんな事ができる奴らと戦いたくない。森のモンスターもちっこい人間は狙わないだろ。

 

 いや何処だよここ。

 道が全く分からない、森の中は何処も同じに見える、もう俺は一生森で暮らすしかないのだろうか。それは嫌……でも無いな。

 なぜなら俺は不老不死、時間はいくらでも有る。それにここは景色もいいし鳥の鳴き声も虫の歌も大変綺麗だ。一生は住めないがまあいつかは何処かに着くだろう。

 

 そんな感じでゆっくり散歩。根っこにつまづいてこけたりモンスターに囲まれて食われながら戦ったり体から花が咲いたりとトラブルも起きながら俺は進んだ。

 なんか森が濃くなってる?周りも静かだ、見たことのない植物を踏み潰しながら適当に歩くと後ろに引っ張られ丸呑みにされた。

 暗い、粘っこい壁に潰されて手も動かせない。剣もさっきの衝撃で落としたがもうスライムの二の舞は起こさない、壁がぶるぶると震えると同時に俺も刺された。

 

 魔剣グリム、外から俺ごと腹を刺した。痛いが計画通り、できた穴を剣で広げて外に抜け出し下手人を見る。

 4メートルくらいのカメレオンがジタバタしながら血を撒き散らし身体中の色を変えている。

 カメレオンかよ、何処から攻撃受けたのか分かんなかったけどまあベタだな。とどめを刺してやるよ。

 首を切り落としたがまだ動いてる、魔力持ちで特殊技能もあるけど身体能力はそこまでだからギリギリBランクのモンスターだな。つーかベトベトにしやがってよぉ。

 死体打ちは趣味じゃ無い、このまま立ち去ろうとしたが俺の頭はポロリと落ちた。それに続く様に千切りキャベツみたいに体が切り刻まれる。 

 

 「俺はなぁ、首を切られるのが嫌いなんだよ!それを分かってやってたらてめーマジで覚悟しろよ!」

 

 不意打ちしやがって、つまんねえ奴がつまんねえ事したなぁ。

 見るとミミズの化け物が警戒しながら俺を見ている。ミミズなのに目が無数にあった。ライオンみたいにタテガミもある。魔法か?それともタテガミ伸ばしてバラバラに?まあいいか、これぐらいなら俺が勝つ。

 首を切られた感覚に悶々としながら剣を向けたと同時に体を焼かれた。目が乾燥しながら周りを見る、居た、鳥の化け物。

 濡羽色の巨躯で突っ込んできた、狙いは死体か?それともミミズ?

 ミミズもさっきの炎をかわし損ねたのか体を地面に擦り付けている。巨鳥に気が付くと風の刃を幾つも飛ばすが身体中を炎に変えた鳥には効果は今一つの様で勝負は接近戦に。

 

 流れ星のように近づく炎をタテガミを触手のように操りミミズが迎撃するも勢いは止められず胴体の何割かを削られる。

 地面に不時着した鳥にはダメージが見られない、体が丈夫なのだろう。この世界の上位モンスターはどこかおかしい、絶対に殺せないと思えるようなモンスターを何種類か聞いた事がある、この鳥もそれに近いモンスターなのだろう。

 自身の不利にミミズが鳴いた。鳴いた!?

 口も無いのに鳴いたミミズの周りに同種が何匹も現れる、これで形成逆転か?

 

 だが鳥もさる者ミミズに張り合うかのように大きく翼を広げ炎を吐き出す。炎の勢いはどんどん強くなり嘴が限界ギリギリまで開かれ体も白熱する。

 ミミズたちも黙って見ているわけがない、風の槌を何発も叩きつけるが効果は薄い、しかしダメージは着実に与えている。あと何十発か与えればミミズ達の勝利だろう。

 だが鳥は間に合った。引き裂かれて冗談の様に開かれた嘴から熱光線を吐き出した。それは1発でミミズ達を蒸発させ近くで見学していた俺も発火し、森が炎に包まれる。

 

 まさに怪物、まさにモンスター。

 誇る様に鳴き王者の如く炎を身に纏わせた巨鳥が出オチみたいに食べられた。

 

 目だけでも十数メートル、全長はどれくらいになるのだろうか。怪物が進むだけで辺り一面がぐちゃぐちゃに弾け飛ぶ、さっき食べた火の鳥すらも もう忘れている様だった。

 早く出よう。こんなインフレが進んだ森に居られるか、俺は自分より弱い奴しか相手にしたくないんだよ。

 すたこらさっさと逃げる。

 

 森の途中には宝石の様に輝くナメクジが山を食べていたり湖がひとりでに動いていたり周囲を切り刻みながら超高速で飛ぶ何かが居たりで生きた心地がしなかった。今までの森とは大違いだった、身体中から花が咲いてきた時はめっちゃビビったがこんなのに比べればまだマシだった。

 

 殺されながら食われながら止まらずに走り続ける。空も見えないので何日経ったのかも分からない。理不尽性能の怪物は小さな獲物には興味がない様だったが攻撃範囲が広いし軍隊型の奴らにはたまに食われるもなんとか抜け出して逃げ続けた。

 そんな怪物に出会う頻度がどんどん減って行き生物の声も大きくなっていく、周りの植物も目に優しい緑色だ。あの黒い木やグロい植物ももう見えない。抜けられたらしい。

 だが足は止められない、もう森は懲り懲りだった。

 

 足が砕けても再生、頭が枝に当たって首が折れても止まれない。ものすごく痛いが痛いのも少し慣れた。本当に少しだ。やっぱり痛いのは嫌だ、だが化け物の胃の中に住むよりはマシだろう。

 そんなふうにぐちぐち考えながら進むと周りの木が減っていく、どんどん明るくなってくる、目の前を見ると踏み込まれた道がある。

 道、ということは着いたのか、森以外のところに。

 嬉しい、嬉しすぎてジャンプして踊って歌詞が掠れたアニソンなどを歌ってひとしきり楽しんだ。

 

 「つーかここカライカルなのここ?」

 

 道しか見てないし人とも会ってないからなぁ。まあここがどこでもいいだろう、俺より強いやつはあんまり居ないしあの馬鹿みたいなモンスターもここには来ない、つまり俺の時代だ。

 道なりにまっすぐ進む、空は木に遮られる事なく目一杯に広がり風も心地いい、やっぱり人間1箇所だけに住みづけるのはダメだなと考えながら歩く

と道の端にゴブリンの死体があった。昔殴り殺されたゴブリンとは違い筋肉はあまりついてないが数は多い。雑に片付けられ虫に食われているそれらに近づき剣で刺してみた。スパッと切り裂け赤黒い血肉を見せた。

 

 ククク、フハハハハハ!

 弱い、弱すぎる。こんな物なのか、ここのモンスターは。まるで豆腐じゃないか、よくここまで生きてこられたな、感心するよ。

 死体にイキって嘲笑する。馬鹿みたいだが今はただただ愉快だった。

 

 美味しいものが食べたいな、腹は減ってないけどまともなのを食べたい。それに宝石だ、リグジェイル人の目は宝石みたいで綺麗だった、アイツらが誇りにするのも分かる、綺麗で高貴なもので身を飾りたい。

 そして魔法だ、炎の光線で破壊しつくし辺りを火に染める、あの鳥の火が目を離さないし森で見た数々の力を再現して操りたい。

 

 夢はたくさんで大きすぎるが時間はたっぷりある、それが俺の強さだ。

 そしていつかはAランク、未来は明るい。

 いつのまにか当たりが赤に染まっていた。もう少しで夜になる。眠らなくても大丈夫だが気をつけて行こう。

 日はあっという間に沈んでいった。夜の星は日本と違ってキラキラと輝いている、異世界のいい所だな。

 あっ壁が見えてきた。入り口の近くには兵士が立っている。頭には兜を被ってるし暗くて目も見えない、それに夜に入っても泊まれる場所はないだろう。

 朝になるまで待ってよう、今日は久しぶりの星空だ、いつもより綺麗に見える。

 道の端に座り込み空を見上げる。仲間達との冒険やあの森で見た常識破りの怪物達を思い出していれば飽きは来ないだろう。

 あれはデネブアルタイルベガーなどと聞いた事があるフレーズを繰り返し歌いながら星を見上げる。

 星々が俺を祝福するかの様にキラキラと輝いていた。

 

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