不老不死のチートを持って異世界転移した俺が無双したい話   作:あま蛙ひき蛙

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第5話

 ゴブリン一匹で鉄貨6枚、物凄く安いが数は多いのでこれで結構稼げる。

 投擲された石を避け、目の前の4匹をまとめて切り伏せた。

 これで残りは石を投げ続けてる2匹とどこかに隠れた子供5匹、爆発的な速度で距離を詰め、慄く2匹を叩き切る。

 足を再生しながら残りの子どもたちが何処に隠れたか目星をつけようと周囲を探る。

 

 ここは街の近くの森だ。虫けらの如く増えるゴブリンたちが野生動物を狩ったり虫を貪ったり木を齧って啜ったりして生活している様だった。

 今も木のうろに隠れている子ゴブリンたちが大人が全滅していることに気づかず百足の様な虫を奪い合ってギーギー騒いでいる。とりあえず剣を中に突っ込んだ。

 兄弟か幼馴染かは知らないが一緒に暮らして来た同族が突然死んだことに驚いたのだろう、手につかんでいたかじりかけの百足を逃してしまった。

 食われて散り散りになった百足達が何処かに行ってしまう。グロい。

 

「きっしょいわぁ……俺はさ、動いてない虫ならまだなんとか直視できるんだけど、動くとやっぱ色々削れてダイス回しそうになるかも?よく食えるよなぁお前らは、人間やっぱドン引きすると逆に」

 

 驚いたのは一瞬、すぐに子ゴブリンたちが目の前の仇に爪や牙を食い込ませる。

 今度はこっちが驚いた番だ、頭が衝撃と驚愕でフリーズするって痛いわクソが! 

 

 魔剣で強化した腕を振り回して両腕を噛んだゴブリンたちを振り落とす、再生した左手で首に爪を突き立てたゴブリンの意外と太い足を掴んで木に叩きつけた。

 腹に抱きついてる最後の一匹を剣で突き刺し、逃げようとしている2匹の右の方に剣を投げ結果を見ずに遠くに逃げた左の方を足の痛みを無視して追いかける。2匹のゴブリンを貫いてる剣をキャッチして追いついた背に向けてズブリ、三兄弟の完成だ。

 

 油断した、序盤にやられる雑魚キャラのノータリンの子供に傷つけられるとは、音ゲーの最後にミスしてパーフェクトを逃したみたいな悔しさが溢れる。まあ傷はすぐに再生したし誰も見てないしほぼパーフェクトだろってやっちまったか?

 

 切り落とした首を袋に詰めて木に叩きつけて殺した子ゴブリンの頭を剣で見やすいようにひっくり返す、頭はスイカみたいに破裂して脳を喰おうと虫たちが蠢いていた。

 

 駄目だなこれ、触りたくないし持って行っても買い取ってもらえないだろ。

 腹いせに剣を叩きつけて粉微塵にした。脳を失った体がピクリと大きく動いて沈黙、完全停止した様だ。

 

 うっすら見える地面の周りには雑草が茂っている。この世界の植物は精彩に溢れ何もない地面も明後日になると緑一色だ。

 なので帰る時には周りの植物を刈り取って帰るのがマナーだと門番に教えてもらった。

 

 帰り道、特に何事もなく門の前に着いた。

 冒険者になってから一ヶ月経ったが少し前は道が分からなくて迷子になったりモンスターを狩ってる時に魔法で不意打ちされて頭が吹き飛ばされたりした。

 道はだいたい覚えたし襲撃も最近は起きてない、平穏に冒険者を出来ている。

 

 仲良しになった門番さんに義務的に光る葉っぱ、冒険者章を見せて町に入る。汚さにも慣れたが見ていて楽しい物でもない、ギルドを目指して早歩きで進んだ。

 

 ギルドに到着して列に並ぶ。自分の番がやって来たので受付へ大きく膨らんだ袋を渡して数分後、銀銅鉄貨を数枚貰って離れようとした時だった。

 

「レントさん、FランクからEランクの冒険者になれますがいかがしますか」

 

 相変わらずの無表情で大根役者の様な棒読み、一ヶ月前の殺し合いですら表情を1ミリも変えなかった伝説のギルド職員スイミーさんが突然そう言った。

 

 答えはもちろんYESだ。

 Eランクへの昇格には試験などはない。冒険者を続けて辞めなかったり依頼を失敗し続けたりしなければ自然になれるがやはりランクアップは嬉しい、社会的地位が上がったのだ。

 これまでは信頼も信用も出来ない雑草の様に生え続けるFランクの新人冒険者から少しは根性がある信頼も信用も出来ないEランクの新人冒険者になれたのだ。

 これで次はDランク……素行や実力が悪い信頼出来ない落ちこぼれ冒険者の道が見えて来た。

 

「なります!」

 

 短く威勢よく答えた。この人に世間話や冗談を話しても何にもならない、一昔前の出来が悪いAIと話している様で質問に対する返事や冒険者ギルドに関わる話にしか反応しない、私生活が気になるが気になるだけ、調べる気力は起こらないし話が早いことは悪いことでは無い。さっさとランクアップしよう。

 

 返事をした瞬間目の前にナイフと銀皿を出された。ナイフを手に取り手のひらをざっくりと切り付ける。嫌な痛みに少し耐え皿の中に血を流し込んだ。血の入った皿とナイフを返却して待つこと少し、深緑の葉っぱを貰い説明を受けた。

 

「宝樹には貴方の情報が登録されていますのでたとえ冒険者証を無くしてしまっても手数料を払い申請すれば他のギルドでも再発行できます」

 

 それだけ言うとスイミーさんは黙ってしまった。

 受付から離れ手に取った冒険者証をじっくりと眺める。一ヶ月前に貰ったFランクと見比べると成長した感がある。

 大きさや重さ、手触りは変わらないが黒い輝きの緑はどっしりとした重みと安定感を印象付ける、それを手にした俺にも貫禄というやつが付いてきたんじゃないか?

 

 木製の椅子に座りにやにやしてると空いている椅子に冒険者の先輩、バアスさんが座った。

 

「Eランクになったか、おめでとう。何か頼むか?奢るぞ」

 

 バアスさんはこの前登録金を借してくれた優しい先輩冒険者だ、借りを返そうとモンスター退治して金を稼いでいた時に再開して冒険者のマナーや知恵を教えてくれた、以来交流を続けている。借りは大きくなる一方だ。

 

「お腹空いてないんで大丈夫です。結構金貯まって来たんで俺が払いますよ、いろいろお世話になってるんで」

 

 不死身になってから肉体的欲急が薄くなって来た。食べようが食べないがどっちでもいい感じだ、それに借りは早く返したい。先輩が死んだら返せる物も返せないからな。これからの人生でそれに一生悩むのも馬鹿馬鹿しい。

 

「そんなの気にしなくていいけどなぁ……まあまた今度頼むよ。これから仕事あるからな」

 

 先輩はCランクの冒険者だ。それなりの才能に殺し合いへの忌憚が無ければ10年くらい真面目にやっていればCランクになれる。言うのは簡単だがどんな事も長くしっかりやり続けるのは難しい。実力があればずっと早くなれるがかなりの才能がいる。つまり先輩は若くしてCランクになったこの町の期待のホープだ。油断せずに仕事もこなすのだろう。

 

「ああそうだ、レント、お前確かランクを上げてから旅するんだったよな?一応Dランクだったら信用もあるし、国に入るのにも簡単になるぞ」

 

 当初はスローライフを目指す予定だったがこの町にももう飽きた、なので異世界特有の想像を絶する景色や生き物、文化を見て回りたいと予定を変更したのだった。

 

「スイミーさんは自分から言わないけど、実はDランクは実力あったら結構簡単になれるぞ、知ってたか?」

 

 知らなかった。何か裏技でもあるのだろうか?聞いてみよう。

 

「初めて知りましたよ、テストとかあるんですか?それともお金払ったり?」

「違えよっまあテストは近いな、トレントっつー木の魔物を仕留めるくらいの実力があるって分かればすぐに上げてくれるぞ」

 

 マジかよ、そんな簡単に?ポイント貯めてコツコツやるしかないって思ってたんだけど急に上がって来たな。やっぱ異世界は力こそがパワーなのか。

 

「死体を持ってくればいいんだよ、3体ぐらいのトレントの頭だけで結構稼げるぞ」

「へー、家でも建てるんですか?それだったら全身があった方がいいと思うんですけど」

 

 そういえばゴブリンも耳とか鼻とかじゃなくて頭全部で換算だったな。何か理由があるんだろうか。

 

「魔石にするんだよ、宝樹の近くに頭を埋めると宝樹の枝に魔石が生えてな。ゴブリンの魔石だったら粉にして畑に撒くと作物がよく育つしトレントは紙になるんだよ」

 

 そうだったのか、だから頭が必要なのか。というか頭を使って魔石を産んでんの?一気にグロくなったなぁ。

 というかすごいなギルド。魔石を独占してんのか、そりゃ強えわ。

 宝樹は大昔のギルドマスター、一番偉い人が使っていた神器でギルドが国と対等にいられる理由がその宝樹だと先輩が言った。

 魔石は魔物の種類ごとに効果があり生活に無くては欠かせない存在になっている。そしてギルドにはAランクの戦力が多数存在しておりギルドの力は一国を凌駕する。だからギルドは国に縛られず自由気ままに組織を運営できると先輩は語った。

 

「まあつまりトレントは役に立つから積極的に狩ってほしいって事ですね」

「うん、Eランクの差は激しいからな。使えるやつとそうじゃないやつを分けたいんだろ。お前は強いからな、首を切られても死なない再生スキル持ちは全員Aランククラスの奴らだけらしい。お前も将来のAランク候補だな」

 

 俺は神様からチートを貰ったタイプだからAランクになれるかは怪しいが、長く生きればいつかはAランクになれるだろう。よし、とりあえず今はDランクを目指そう。

 

 トレントはゴブリンがいた森の奥に生息しており姿は虫の様な手足を持った蔓の集合体で、木に擬態して不意打ちをしてくるという。

 俺なら不意打ちされても少し驚くだけだから相性は良いだろう。好戦的で獲物を見つけたら必ず攻撃するが身体能力はDランクの魔物の中でも低い方だ。それでもFランク……人間の子供とどっこいどっこいの魔物なら一撃で殺すことができる、例えばゴブリンとか。

 

 俺が昔出会ったゴブリンは筋肉の集合体でさっき殺したゴブリンたちとは比べ物にならない強さを持っていたがあれは何ゴブリンなのだろうか?

 いつかリベンジしたいがどこに生息しているのかさえ分からない。まあ生きてたらまた会えるだろう。

 

 先輩と別れギルドの販売所に向かう。冒険者は普通道に迷わない様にコンパスの神器に魔力を預け、迷わない様にしている。このコンパスは近くの宝樹に針を向け、宿らせる魔力も極少量と優れ物だが、俺は魔力とやらを持っていないのだ。

 

 なので古い型の魔石を使うタイプのコンパスを買いにきた。魔石を消費してしまうので金はかかるしかさばるしで人気はないが魔力の総量が少なく、節約したい人が稀に買うらしい。結構高いがあまり金を使わないのでちゃんと買えた。それから拳ぐらいの大きさの緑に鈍く光るゴブリンの魔石も5つ買いポケットにしまいコンパスを首に下げた。

 

 門を出て森に向かって歩いていく。血に濡れてもいい汚れた袋の代わりに今日はリュックを背負って来た。木の魔物だから汚れないと思って持って来たがそれは思い込みかもしれない、今更になって不安になって来たがトレントは高く売れるらしいから大丈夫だろう。

 

 どんどん森を進む。邪魔な枝やモンスターを切りながらコンパスを見る、針は斜め下を指していた。埃を被ってポツンと置かれていたから心配だったがちゃんと動いている様だった。よし走ろう、虫を踏んだり引っ掛かって転んだりするかもしれないが走りたい気分だった。

 

 Dランクになったらカライカルの王都に行こう、あそこには冒険者ギルドの本部があると聞いた。ここの株分けされた宝樹の大元は一体どれくらいの大きさだろうか、魔法を使える魔道具も見てみたい。魔力を使わなくても魔法の様な効果を発揮できるが代償も多いと聞いた。だが俺なら使いこなせるだろう。

 

 そんな事を考えながら走っていると目の前の枝にぶつかった。首が折れるも即座に再生、振り回して来た蟻の様な脚を切断して目の前の怪物を見る。

 木の体の周りを蔓が覆い、根っこの代わりに黒い虫脚が8本蜘蛛のように生え、それより2回り大きい枝代わりの腕を威嚇するように振り回している。

 

 頭は……小さい!これならたくさんリュックに入りそうだ。3つの穴から様々な色の光が怪しく輝いているが、切断するとすぐに光は消え残った体も叩き割ると動きを止めた。

 

 今の騒ぎで集まって来たゴブリンが擬態していたトレントに殴り殺された、ほかのゴブリンたちが蜘蛛の子を散らす様にバラバラになって逃げるも囲んできたトレントたちに皆殺しにされる。

 そんなゴブリンの仇を討つかの様に俺が擬態を解いたトレント達を全滅させたのだった。

 

「ギリギリ入ったな、ミシミシ言ってるけど落ちない……か?前に抱えて持って帰れば行ける……行けるな!」

 

 よし帰ろう、ここは虫も多いしゴブリンの臓物が散らばって汚いしそれに群がる虫がやってきてもっと多くなるしで最悪だ。

 コンパスの針に従い帰ろうとした時だった、一ヶ月前の焼き直しの如く俺の首が弾んでいき剣を後ろに投げつける。心臓に刺さった剣ごとリュックを外し当たったかどうか探す、外れたみたいだが姿は見えた。

 

 鎧を纏うウォリオが両手に剣を持ちこちらに向かって歩いてくる。全く懲りてない様だった。

 

「頭と心臓を貫いたんだけどねぇ……。なんで死んでないの?昔のAランクも首と心臓を失ったら死んだっていうん話なんだけど」

 

 ラッキーだ、自分から出てくるとは。これで心置きなく王都に行ける。

 まあ放っといても良かったんだけど、どうやって剣で攻撃して来たか気になるし冥土の土産に教えてもらおう。いや逆か?というかリュックが傷ついたんだが、中のトレントの一匹は売り物にならないだろう。

 こいつ……毎回毎回邪魔しやがって、こいつの首じゃ代わりにはならないがないよりマシだ。砕いて虫の餌にしてやる。

 

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