テイワット産神様のファミリア   作:影元冬華

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 この作品は最近ランキングに乗ってる「草の神の目を持った薬屋」のお話を読んで触発されたので書きました。


1.風神様の場合

 オラリオに存在する数多のファミリアの中。ロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリヤほどではないものの有名どころとして知れ渡っているファミリアがある。そのファミリアは一言でいえば「自由」を一番とし、次に上がるのは「酒」であろう。探索系ファミリアでありながら酒の販売にも手を掛ける生産系も兼ねるファミリア。

 

 その主神の名は「バルバトス」、風と自由を司る神である。

 

 

▽▽▽

 

「ウェンティ!また出荷前の蒲公英(ダンデライオン)酒を一本捕ったな!!」

「主神なんだからさー!一本くらい見逃してよねー!」

「それで今月何本目の酒瓶だ!これ以上はワイナリー担当として見逃せないぞ!」

 

 

 バルバトス・ファミリアのホームにて、朝から鬼ごっこをしているのは主神であるバルバトスもといウェンティと酒造関連を一任されている団長のディルックである。目覚まし代わりの逃走劇にファミリアの面々は「またか」といつも通りに動き出す。

 酒造をメインに動く団員とダンジョンへの探索に勤しむ団員に分かれ、ダンジョン攻略班は人がいない早朝のうちにホームを出ていく。人数はそこまで多くはないものの、やることは多いために朝から忙しなく動き回る。

 

 

「みぎゃー!」

「ようやく捕まえたぞ、この飲兵衛詩人が…!さあ出せ、盗んだ蒲公英酒はどこだ!」

「うぅう…ディルックが僕をいじめるぅ…」

「はっはっは、朝から元気だな。旦那もそこらへんにしておいたらどうだ?」

「いいや、これ以上できた酒を持っていかれると収益に関わってくる。そろそろ痛い目を見ないと反省しない主神だからな」

「ガーイーアー!笑ってないで助けてー!」

 

 

 首根っこを掴まれたウェンティはじたばたと暴れて、遠くから見物しているガイアに助けを求める。しかしガイアはそれを見るだけで笑っていた。

 その後ろから今日の探索班隊長であるジンが武装してやってきた。団長であるディルックに出発の旨を伝えに来たのだが、相変わらず酒を盗んでしょっ引かれてる主神を見てため息をついていた。

 

 

「ディルック先輩、本日の探索に出てきます。それと…ウェンティはまた蒲公英酒を持って行ったのですか」

「あぁ。多少なら目を瞑ったが、流石に収益に関わる本数になったからな。僕が管理してるワインを持って行かないだけまだいいが、これ以上持っていくなら縛りあげようかと考えてる」

「うぇえ!?そこは禁酒令とかじゃないの普通!」

「それで大人しくなる主神ならどれだけよかったことか…!」

 

 

 恨み節を語るディルックに普段からの苦労を知る二人は同情の表情を向ける。団長であるディルックが苦労しているというのだけは嫌でも知っていた。

 

 

「ジンは気を付けて行ってくる事、最近入った新人の初アタックだからな。ガイアは今日の出荷分の荷馬車の護衛を頼む。人手が足りないならエウルアを連れて行くといい」

「はい、気を付けて行ってきます」

「了解だ」

「ウェンティはこれから縛り上げるから覚悟することだ」

「ディルックーーーー!!!!!」

 

 

 首根っこを掴まれた格好から米俵抱きに体勢を変えられ、ロクに抵抗もできず肩に背負われたウェンティはポコポコとディルックの背中を叩いて抗議する。しかし恩恵を受けレベル6のディルックからすれば子供に叩かれているも同義であり、なんともなかった。

 今日も今日とて自由奔放な主神を見て、騒がしい一日が始まったなと思う二人であった。

 

 

 

▽▽▽

 

 バルバトス・ファミリアのお酒は一風変わったものが多い。他では聞かない材料を使ったお酒に、造り方も違う。それでいて風味豊かで飲んだ後は風が通ったかのようにさわやかであると話題であり、冒険者の他に一般の人々、果ては神々からも人気であった。

 その中の一つ、蒲公英酒は売り上げの半数を占めており、出来のいい蒲公英酒は一瓶二万ヴァリスもする高級品となっている。無論、安価な蒲公英酒もあるため一般人も手を出しやすいのも人気の理由である。その他に、アカツキワイナリーと呼ばれるバルバトス・ファミリアの専用ワイナリーで作られたワインも味わい深く、神々の宴で出されることもあるなど、かなり品質も味も良いワインも作られている。

 

 それらの酒を造ることを一任されているバルバトス・ファミリアの団長、ディルック・ラグウィントは現在主神を縛り上げていた。

 

 縄抜け出来ぬように親切丁寧に縛り、しかし痛くなりすぎないように気を使いつつはたから見ても無残な姿に主神を縛り上げていく。最早手慣れているのか、その手付きに迷いはなく綺麗に縛り上げていく様はそれが仕事ですと言っても遜色ないほどにレベルが高い。ある意味無駄に洗練された無駄のない無駄な技術である。

 

 

「ぐえぁー!」

「フンッ…!これで、暫くはっ、大人しくっ、してろっ!」

 

 

 最後に縄を引き、フィニッシュとなる。綺麗に縛られたウェンティは抵抗のての字もできないほどに縛られ、ディルックは一仕事を終えて満足げにしている。

 途中からディルックを呼びに来たレザーが見事な縄縛りを見て目を輝かせていたが、ディルックとしては覚えなくてもいいと言いたい所である。

 

 

「団長、師匠(リサ)が呼んでた。樽、届いたって」

「そうか、分かった。今確認に行く…あぁ、そうだ。この飲兵衛をクレーの所に連れて行ってくれないか?」

「ん、分かった」

「ちょっ、ディルック!?ごめん、ごめんってば!!そんなに怒らないでぇ!」

「いくら『自由』を司るとはいえ、少々やりすぎだ。僕の我慢も限界でね」

「レザー!助けてぇ!」

「うっ…団長、怒ってる。団長、強い。俺、逆らえない」

「僕主神なのになぁ…」

 

 

 遠い目をして諦めるウェンティを俵抱きにしてクレーの元へと主神を運ぶレザーを見届け、ディルックはようやく一息つける状況になった。

 いつもより少しばかり騒がしい始まりとなったが、おおよそこれがバルバトス・ファミリアの一日の始まりなのであった。




ウェンティはロキと酒飲んで騒いでそう


ディルック
→レベル6 団長
 縄縛りが説妙にうまい。ウェンティのせい

ジン
→レベル5 副団長

ガイア
→レベル5 騎兵団隊長(護衛関連)

リサ
→レベル4 会計事務関連が多い

レザー 
→レベル3 物理メイン、スキルで電気使って感電させる系アタッカー

ウェンティ
→主神。本名バルバトス。テイワット産なので酒飲むし詩は歌うけど今は凡人
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