テイワット産神様のファミリア   作:影元冬華

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ちょいと短め。若陀君出したいなぁと思いつつ、アイツデカすぎるやん…と困っている


6.岩神様の場合2

 モラクス・ファミリアが所有する土地の一つ、石材で円形に作られた広場のような場所がある。そこはファミリアの団員が戦闘訓練をするのに使用する場所であり、今現在そこで訓練が行われていた。

 訓練をしている団員は3人、そしてその相手をしているのは主神であるモラクス、つまりは鍾離自身であった。恩恵を受け、一般人よりもはるかに優れた身体能力を持つ冒険者3人を相手に、凡人の神が槍一本で余裕の表情をしている。モラクスの武神としての名は伊達ではなかった。

 

 

「香菱、振りが大きすぎて隙になっているぞ。それでは横から攻められて終わりだ。行秋、もう一歩前に出て切り込んで来い。浅すぎて致命傷に至らないぞ。重雲、剣を振る姿勢をもう少し低く。それでは剣に振り回されている」

「う、わぁっ!?」

「くぅ…!」

「ぐっ、う…!」

 

 

 3人の団員、香菱(しゃんりん)行秋(ゆくあき)重雲(ちょううん)は鍾離に同時に掛かったというのに、その動き全てを捌かれ、各々の武器が弾かれる。一般人ほどの力しかないはずの鍾離ではあるが、己の技量のみで3人を組み伏していた。

 スキルを行使せず、武器のみでの訓練とはいえ3人がかりでも余裕の表情を崩さない鍾離に、武神としての全力を出していた時はどれほど恐ろしかったのかと一瞬考える。しかしその考えは鍾離が槍を地面に叩く重い音で中断される。

 

 

「武器を持て。今の事を踏まえてもう一度来い」

『はい!』

 

 

 

▽▽▽

 

 モラクス・ファミリアの主神は武神として名を馳せた。その技量の高さゆえに、下界に降り神としての力を封じても尚、レベル3ぐらいまでの冒険者が相手であれば何とかなる。かつてオラリオを襲った厄災、暗黒期と呼ばれる時期においても自身を狙ってきた暗殺者や冒険者を一人で撃退した程度には強い。

 故にファミリアの新人たちはダンジョンに赴く前に主神との訓練を経てから行くこととなる。その為、モラクス・ファミリアは団員を失うことなく存在し続けている。

 

 

「ブエルに新人への講習を頼んでおいた。後日、日程が送られてくるはずだ。確認を頼む」

「分かりました。それと、ウェンティ様から「うちに来て欲しい」と伝言を頼まれています」

「飲兵衛から?珍しいな…分かった、時間ができ次第行くとしよう」

 

 

 新人の訓練を終え、凝光と本日の予定を確認する。珍しくバルバトスことウェンティから呼び出しがあるということに驚きながらも、今後の事について詰めていく。探索系ではなく商業系として動いているため、オラリオ各地での物流のやり取りの予定がぎっしりと詰まっているのだ。

 

 

「──今日はこんなところか。凝光、夜蘭から何か連絡はあったか?」

「…一つ。ダンジョンで闇派閥と思わしき冒険者が複数、ダンジョンのとある階層で突然姿を消したと。痕跡も途切れていたため追跡は諦めたものの、要警戒すべきと」

「…どこの階層だ?」

「22階層です」

「中層か…素材を取りに行く団員に不審な冒険者には注意するように告知を」

「了解しました」

 

 

 闇派閥に動きがある、それだけでも十分危険であると鍾離は判断した。かつて、暗黒期に闇派閥は次元の獣(獣域ウルフズ)を召喚したことがあった。その時は先代ブエル・ファミリアの主神であったマハールッカデヴァータが自身の強制送還と引き換えに封印したため、大事には至らなかった。しかし、そのような危険なことをした以上警戒すべきである。

 鍾離は外に出て、今後どうすべきかを考えながらバルバトス・ファミリアへと足を運んでいた。その時、建物の陰から出てきた人影に気が付かず、ぶつかってしまった。

 

 

「うわっ!」

「っと、すまない。考え事をしていて気が付かなかった。大丈夫か?」

「は、はい…」

 

 

 白い髪に赤い瞳、何処か兎を連想させる少年は人と違う雰囲気を醸し出す鍾離に驚いたのか、少し固まっていた。

 

 

「ん?俺が気になるのか?」

「えっと、もしかしてどこかのファミリアの神様、ですか?」

「あぁ。俺はモラクス、モラクス・ファミリアの主神だ。人前では鍾離と名乗っているから、そっちで呼んでくれるとありがたい」

「あ、あの!僕をファミリアに入れてくれませんか!」

「俺のファミリアに?…一応聞くが、俺のファミリアは商業系だ。ダンジョンに赴くことは少ないファミリアだが、大丈夫か?」

「商業系…」

「その様子だと、君の目的とは合わないようだな。すまない。だが…こうして出会ったのも何かの縁、君がどこかのファミリアに入ったときに訓練を付けることを約束しよう」

「ほ、本当ですか?」

「あぁ。『契約』を司る神として約束しよう。その時が来たら、俺の名前を出してファミリアに来るといい。名前を聞いてもいいだろうか?」

「ベル。ベル・クラネルです」

「そうか、ベル。君が望むファミリアに入れることを願う。ではな」

 

 

 ベルは律儀に礼をして去っていった。あの様子では恐らくオラリオに来てすぐと言ったところなのだろう。恐らく望んでいるのは探索系のファミリアであるため、商業系として登録しているモラクス・ファミリアでは合わない。それでも、何か「可能性」のようなものを感じ取った鍾離は、かの少年と再び会えるように約束を取り付けた。

 

 

「あぁ、そうか。何か似ていると思ったが『旅人』と気配が似ていたのだな」

 

 

 鍾離は一人、感じていたことを思い出して納得していたのであった。




幼馴染3人衆!重雲君を愛用してます


香菱
→レベル1 
 新人。幼馴染と一緒に入団した。調理班に連れていかれることもあれば、ダンジョン飯で革命が炸裂する。誰だコイツに魔物食わせたのは。

重雲
→レベル1
 新人その2。体質の関係でちょっと魔物を倒しているので他2人より若干経験値が入ってる。

行秋
→レベル1
 新人その3。まさかの初手スキル持ちで回復系なのでこの後ダンジョンに連れていかれる。
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