えっ源石?そんなものより車とガソリンだ!!   作:悪魔の(BR)Z

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part1

拝啓、お父様お母様。

今もお元気にお過ごしでしょうか?

私はどうやら死んだ直後に神様転生とやらに巻き込まれたようで異世界に転生しました。

 

幸いその異世界は我々の世界のゲームが元となっているようで成人するまでは然程苦労しませんでした。今世の親の協力がなければここまで順調にはいかなかったでしょう。彼らには感謝しかありません。

 

今は亡き今世の両親の力により、この世紀末すぎる世界でも毎度の如く波乱万丈な毎日を強制されてはいますが今もなんとか元気に活動中です。

 

え、今何をしているのか…ですか?

 

 

 

 

 

 

──盛大に死にかけてます☆

 

「うぉぉおおぉぉぉ!!頼むこの地獄を走り抜けてくれ俺のマイカーちゃんんんん!!」

 

グアッとアクセルを踏み込めばマフラーから“バァァアアァァァァッ”とド派手なエキゾースト音が発生し、さらに小規模だがアフターファイアの炎と爆音が発せられる。さすがは古の名車だ、俺の手で魔改造しただけあってその性能はそこいらの市販車に比べてあらゆる面で優れてる。

 

がしかし入り組んだ道路ではその馬力を十分に発揮する事ができず追っ手を引き離す事が出来ていない。追っ手が放つクロスボウの矢が無数に飛んできて俺の愛車ちゃんのリアバンパーに傷を…ってうわぁぁぁぁぁぁあぁあああ!

 

俺の愛車がッ!!

 

「ねぇねぇ追っ手来てるよ!?」

 

「エクシアテメェ早く迎撃しろ!てかしてくださいお願いしますアップルパイ奢るからぁぁぁぁ!!」

 

「あっはは~残念だけど私今弾切れなんだよねぇ~…」

 

「ふざけんな元はと言えばお前らがアイツらを引き連れて来たんだぞしっかり処理してくれ頼むからぁ!ぎゃああああまた矢が刺さった俺のマイカーァァァァァァ!!!」

 

ちくしょう逃げてるコイツらなんか拾うんじゃなかった!コイツらと絡むとロクな事にならないのになんで関わっちゃうかなぁもう!!

 

「おい、追っ手が増えたぞ。」

「しかもえらい団体さんがな。」

 

「チキショォォォォォ!!!こうなりゃ自棄(ヤケ)だ切り札ポチッとなァ!!」

 

本来灰皿が搭載されている部分に増設したミニスイッチをオンに入れボタンを保護するカバーを外し力一杯押し込んだ。

 

瞬間マイカーのバックドアが変形し、中からナニカが飛び出しルーフに固定される。

 

それは本来この世界に存在してはいけないモノ、そして俺が造り出し俺だけが運用しているこの化け物溢れる世界でも切り札足り得る“武器”。

 

銃身を切り詰めショートバレルに、機構を弄ってセミオート式に改造した12.7mmNATO弾を採用したこれまた古の名銃──ブローニングM2重機関銃だ。

 

「エクシア任せた!!」

「うひょぉぉぉぉぉ!!ガッテン承知!」

 

エクシアがルーフの窓を開け飛び出す。あんにゃろうすーぐトリガーハッピーになるからセミオート化してもすぐに弾切れ起こしやがる。頼むから慎重かつ大胆に使ってくれ(矛盾)

 

「テキサスは周囲を見張っててくれ!」

「了解。」

 

テキサスは目が良く鼻も効く、敵を見付ける事に関しては今最も頼れるだろう。それにエクシアのストッパーとして機能する…ハズ。

 

「…ん?ウチは?」

お前(クロワッサン)は何もしなくて良いゾ。」

「仲間外れ!?」

 

しょうがないじゃん遠距離こなせるならまだしもお前ゴリゴリの前衛じゃん。それに今活用できるような能力も持ってないし。

だからそんな寂しそうな目で見るな。

 

とにかく準備は整った!

反撃開始じゃおどりゃぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──この世界に転生して早二十数年。

 

俺も若干どころか大分世紀末な世界観と生活にようやく慣れ、趣味に走れる程度には余裕が出来てきたと思う。

 

………いや訂正するわバリバリ余裕無いわ精神的に疲労しすぎてそろそろ鬱になりそうです誰かタスケテクレメンス。ボスケテ!

 

いやね?転生者らしく特典があったからそれのおかげでそこまで苦労するような事無かったよ?でも逆に考えるとこれがあるとむしろ苦労するって事に気がついたんですよ。

 

“多少不鮮明でも強くイメージすれば様々な物質を無から生み出せる”、それが今世の俺に与えられた転生特典という奴だった。人前ではかなり劣化させて「アーツです」と言ってゴリ押ししている。

 

チートだけあって非常に便利なもので、例え不鮮明なイメージでも強く考え「欲しい」と考えれば思い描いたソレを産み出せる汎用性の高いチート(ズル)だ。精密機械だと鮮明じゃなきゃ多少加工が必要になるが7~90年代の車ぐらいなら多少余裕を持って作れる程度には補正が優秀でもある。

 

そう、比較的構造が単純な銃器やその弾丸であれば俺の集中力が続く限り無限にポンポン産み出せる!高性能爆弾なんかもお手の物、なんなら機能するか怪しいが核爆弾だって作れるぞ!当然ガソリン燃料もいろんな種類を作ることが出来るので乗り物の燃料切れの心配は無い、まさしく万能の能力と言えるだろう!

 

そしてこれがお偉いさんにバレたら俺は十中八九確実に間違いなく本気(マジ)に狙われる!(迫真)

 

核爆弾とか何に使うんだよ爆撃機に取り付けて爆撃するつもりか?こんなエサを国々に与えたらただでさえヤバいのに間違いなくもっとヤバい事になるじゃん!

 

それに俺は現代医療に必要な機器と薬品をも産み出す事が出来てしまう…もうこんなの厄ネタの塊と言っているようなものじゃないですかヤダー!

 

 

 

なので武力方面は護身用に携えるだけで基本封印し今は趣味の乗り物製作に絞っている。あとは適当に活動地点である龍門全域で運び屋(トランスポーター)の真似事もしている程度で俺自体は何も悪いことはしていない。強いていうなら活動資金用に保存食を格安でスラムの奴らに売り付けているぐらいだ。

 

…のに、なんでかハチャメチャなアイツらと絡む事がなにかと多く何故か敵側から勝手にアイツらの仲間認定受けて“仲間の仇だ”と攻撃されたり…俺が一体何をしたってんだい!?

 

「ふぅ…あーあ、ボディにボコボコ穴あけてくれちゃってぇ。死んでなきゃ多額の慰謝料要求してる所だぜ。」

 

俺の愛車──スカイライン2000GT-R、通称ハコスカは俺の手によって大幅に魔改造されている。

例えばシャシーは柔軟かつ頑丈な合金で構成することで重量はそのままに強度アップ、ホイールはチタン合金製のR34純正ホイールでサスや駆動系もエンジンの出力に合わせた物に変更したためパワーを最大限に活かせる。エンジンも稚拙ながらに俺が調整したS20型直列6気筒ターボ付きエンジンを使用、最大で300psは出る。外装は防弾カーボンで出来ているので頑丈かつ強靭、当然防弾ガラスなので簡単には貫通しない。その他にもいろんな部分に手を出しており最早原型を止めていない。

 

特典がなければここまでは弄れなかっただろう。

俺の持てる技術の粋を満遍なく使ったこの世界で1台だけ、俺のためだけのマイカーだ。前世では出来ないことを今世ではこうしてやれている、コレだけはこの世界に来て良かったと思えている。

 

修理が完了した愛車の車体を撫でながらニヤニヤと気持ち悪く笑う。男はいつだって自分のマイカーを見るときは気持ち悪く笑うもんさ(偏見)

 

……おれはコイツでドライブしたいだけなのになんでアイツらはメチャクチャやるんだろう。

関わらないようにしても気が付いたらアイツらの仕事に深く関わってるしもういっそのことあそこに就職しようかな…いや止めとこただでさえ高確率で壊されてるのにもっとひどい事になる。

 

「ヨシッ!そうと決まればアイツらの事は忘れて今週ぐらいはまったりドライブするか!」

 

思い立ったが吉日!さっそく作業着を脱ぎ捨てシャワーを浴び(余談だが部屋も俺が弄ったので風呂にも入れるし食事も現代日本らしいものが食べられる)私服にジャケットを着込む。

 

ウキウキしながら家のドアに鍵を掛け車庫に入り中に納めたハコスカに乗り込む。薄暗い車庫の中に入れた愛車から見える景色は最高だぜ。

 

上機嫌のままポケットから鍵を取り出し差し込みさぁエンジンを掛ける──その時だ。

 

ズガァァァンッと破壊される車庫。

 

「は?」

 

「っててて…ごっめーん!いきなりで悪いんだけどちょっとタクシー頼めない?」

「出来れば安全運転で頼む。」

 

はぁ?

 

「えっちょっドライバーに当てがあるってこれじゃただの強盗じゃないですか!?」

 

爆破された車庫に飛び込んできた上に勝手に俺のマイカーに荷物らしきブツごと乗ってくるエクシアとテキサス。何か言いながら後部座席に乗ってくるのは新入りか、見覚えのない顔だ。

 

(──ああ、結局龍門に居る限り俺はコイツらから逃げられないのね。)

 

「……く、クククク…ハハハッ…アーハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!」

 

「…あ、あれ?おーい?」

「…。」

「あ、あの…これ怒ってるんじゃ…」

 

ステアリングを握る。

前回の反省を活かし、今回車体強度が大幅に強く固くしなやかになっている。おかげで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

エンジンを点火するとド派手なエンジン音がボンネットの中から発せられた。フットペダルを軽く踏むと元気そうなエンジン音が発せられる。うんうん、今日も今日とて絶好調のようでなによりだ。

 

俺は絶不調だがな。

 

ペダルを踏み込む。それだけでエンジンは一瞬でレッドゾーンまで吹き上がりマフラーからは炎が発せられる。銃声の如き爆音に思わず無断侵入してきた武装集団も次々に耳を塞ぎ外へ出ようとする。

 

逃がさねぇ……皆殺しだ!!!!

 

「あー…こりゃマズッたかも。」

「…。」(無言で十字を切る)

 

「ちょっと!?これ大丈夫なんです──ぅぉっ」

 

自分でも惚れ惚れするような完璧なロケットスタートをして──俺は目の前の邪魔な集団を勢い良く轢いた。

 

血潮がフロントガラスに飛び散るが知ったことではないと言わんばかりに車を加速させる。

 

アクセルをベタ踏みしつつサイドブレーキを使いながら滑らかにドリフトしてUターン、クロスボウを放ってくる生き残りをまた轢き殺しそのまま現場から離れる。あーあまたチェンにどやされる。

 

「で、行き先は?」

 

「…えっと、龍門東側に停泊しているロドスにお届けものを…ですね?」

 

「次からはアポ取れ、今回は特別に何時もの額でいいが次からは五倍は取るからな。」

 

「アッハイ」

「ちょっとエク姉!全然大丈夫じゃないじゃないですか!?」

「いや、何時もの事だし平気かなぁって…」

「いや駄目でしょ常識的に考えて!?」

 

「…食うか?」

 

「いやいい、今食ったらストレスで吐きそう。」

 

「そうか…」

 

つーか行き先ロドスかよ、前に綺麗だけどおっかなそうなセンセの前で治療した時以来何かと目を付けられてるんだよなあ。まあただのドライバーってことで誤魔化してるケド。

 

……俺、ただの車好きなんだけどなぁ。




・蛇足
主人公はミリタリー知識も豊富でやり方次第では相当ヤバい暗殺者になれた。けどそんな事より車だったので多分一生そうはならない。
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