えっ源石?そんなものより車とガソリンだ!!   作:悪魔の(BR)Z

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主「気紛れに投稿したのになんかすごいことになっとるやんけ…コワ…」

まじでこんなでした。皆さんお気に入りと評価ありがとうございます。

あ、今回はタグにもあるように湾岸要素マシマシでお送りします。設定の甘さにはできれば目を瞑ってほしいなぁって…()
それではドゾー



part2

 

夜の首都高を走る旧車が1台、速度制限を無視したスピードで加速していた。

 

バァアアァァァアァァッ

 

高速道路の通る町に突如として鳴り響く爆音。その音量は世界が違えば『戦闘機が低空飛行してる』と感じさせるだろう。当然と言えば当然だ、なにしろそれは重さ約1トンもの重量を時速3()0()0()k()m()()()()()()()()()()

 

そしてそれを間近に感じているトランスポーターの1人──バイソンは、既に300km近い速度が出ているにも関わらず“怖くなかった”。

 

いや、正確に言えば怖いのだがその恐怖はすくなくとも操作を少しでもミスれば一瞬でオジャンになる世界で感じるものではないのだ。

 

例えるならジェットコースターだろう、あれは一部の例外を除き“確実に安全が保証されている”からこそそこまで恐怖は感じない。どちらかと言えばスリルを感じるマシンだ。

 

今のバイソンはまさしくそれだった。

 

凄まじく安定したドライビングテクニックが恐怖を殺し、むしろ逆に今の状況を楽しませる。

 

普通なら失神するほど恐怖を感じるだろうが──運転手(ドライバー)の技量はそれを忘れさせむしろこの状況を楽しませる余裕を持たせるほど高い。

 

バイソンは純粋に尊敬の念を抱いた。エクシアたちから「凄いよ」とは聞いていたが、まさかここまで凄まじいとは思いもよらなかった。

 

「凄い…これが、300kmの世界…!」

 

「あははは、最初はなるよね~」

 

「私は正直苦手だ。他人の車…というかコイツの運転が少し…いやだいぶ怖い。」

 

そんな世界で軽口を叩く彼らペンギン急便は今回の依頼主である“ロドス・アイランド製薬”、通称ロドスで雇われることが多々ある。依頼内容は主に武力介入であったり普通に配達だったりと多岐にわたるが、その過程で空を飛ぶ乗り物──輸送ヘリに乗ることはあった。

 

空を飛ぶ乗り物は基本的に速い。大概がそうしなければ墜落するか大金を使って飛ばす意味が無いからだ。

 

しかしそんな彼らでも地面を這うような低さで時速300㎞の世界を体験することは無い。

物凄いスピードで迫って来るコーナーの壁、まるで止まっているかのように見える他の車たち、僅かな地面の起伏から起こる体の芯にまで響くような振動。

その何れもが空を飛ぶだけでは味わえない、初めて味わう“スリル”だった。

 

──ふと、バイソンはそこで違和感に気付く。

『高速に入る直前までぐちぐちと文句を垂れていた運転手(ドライバー)がやけに静かだな』と。

 

チラ…と、バックミラーに写る運転席に座る彼…運転手(ドライバー)の表情を見るバイソン。

 

今度は先程とは逆に、戦慄の感情を抱いた。

 

(───嗤って、る?)

 

笑っていた。彼は口角を上げ、歯をむき出しにしてニタァと笑っていた。まるで「心底楽しくて仕方がない」と言わんばかりの、子供の笑顔のような…そんな無邪気さを感じる笑顔だった。

 

そこに感じるのは、狂喜だ。

 

狂いそうな程の、体を引き裂かんとするほどの歓喜の感情を彼は感じている。しかもまだ会って数分程度のバイソンですら彼が『まだだ、まだ物足りねェ』と強い欲求不満を抱えていることすら理解できてしまった。

 

そこまで考えた所でバイソンは認識を改めた。

 

(この人も大概イカれてるんだなぁ…)

 

そりゃこんなクレイジーな会社と良く一緒に働いてるんだからこの人だってどこかしら頭のネジ外れてるよなぁ、バイソンは急に熱が冷め始めた。

 

そう言えば先程、テキサスが「コイツの運転は怖い」と言っていた。コレが?と少し前までは思っていたがようやく理解した。

 

あ、これまだ本気じゃないな…と。

 

バイソンは急に憂鬱になってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(来たッ右カーブ……!!)

 

極限にまで研ぎ澄まされた集中の中、思考がエンジンのように高速で回転する。

 

視界に迫るは高速道路に作られた壁、曲がらなければ当然壁にぶち当たる。

そうなれば来るのは“死”だけだ。

 

“ガチャッ”

 

クラッチペダルを踏み込みアクセルペダルから足を浮かす。その際シフトレバーを早くそして精確に操作してギアを一段下に変更する。

 

キュルルルルルッ

 

するとエンジン内に燃料と酸素を供給していたキャブレターのスロットルが閉じ、ターボチャージャーが送っていた酸素が逆流する現象…バックタービンの音が発生した。限界寸前までカチ回していたためタービンも超高速で回転していたのだろう、ものすごい音だ。

 

踏み込み過ぎないよう慎重にブレーキを弱めに掛けつつスピードをタイヤが食い付くギリギリまで落としコーナーに入る準備をする。ステアリングを握る手が汗ばんだ気がした。

 

視界に迫るコーナーの壁、ステアリングを回し他の車両を避けつつ滑らかに曲がる。そして立ち上がりでエンジンの回転数を合わせるようにクラッチを繋げつつアクセルを踏み込む…が。

 

(──チッ、また失敗だ。)

 

イメージと体にズレが生じる。

そうなればあとは一瞬だ、絶好調だったエンジンの回転数が想定よりも低くなる。

 

しかしそこは馬力でカバーする。車重約1100kgの軽量ボディと()()()()()()()()500ps前後まで練り上げたエンジンパワーはコーナーの立ち上がりで一気に加速し直線に入れば直ぐに200kmオーバーに達する。

 

──が、加速はそこで打ち止め。楽しかった瞬間に別れを告げエンジンが壊れないようジワジワとした冷却も兼ねた巡航走行に切り替える。

 

「そろそろスピード落としても問題ねぇだろ、奴ら完全に俺たちを見失ってる。見付けられるとしたら道封鎖されてた時ぐらいじゃねーかナ。」

 

「あ、本当だ…」

 

当然だ、龍門の中小ギャング程度が乗るほぼノーマルで無改造の高級車風情がこういった首都高で“命を削ってでも速く走れ”という願いを込めて改造を施した俺のマシンに追い付ける訳がない。

 

下りの峠ならまだしもここでは技量なんざ関係無し、完全に車の性能が物を言う世界だ。自分の財力を見せ付けるためだったり組織の面子のために金を費やした車と性能のために金を費やした車とでは当然天と地程の差が生まれる。(まあ俺は金掛けてねーケド)

 

それにあっちはせいぜいが200馬力程度、こっちはリミッター解除にNOS噴射を重ねれば限界を越えて最大で約600馬力にまで引き上げられる車重約1トンのモンスターマシンだ。相手が悪すぎたな。

 

しかしこれで完璧という訳ではない。俺がまだまだ未熟者なだけで、実際の所エンジンの性能をまだ完全に生かしきれていない。もし俺が凄腕のチューナーで車の未来を考えないバカだったならコイツは1000馬力を越えるであろうほどのポテンシャルを秘めている。そんなエンジンに完璧な空力制御のエアロと駆動系を組み込めればもっといい仕上がりになるハズだ。

しかし俺はまだその領域に至っていない。

 

くぅっ俺もまだまだ未熟者、もっと良いチューナー目指して精進するしかねぇなぁ!なお見ての通りの未熟者なモンだから多少無茶しただけでエンジンに相当な負荷が掛かってます()

 

「はぁ……ロドスに付いたら工房借りれるかまた聞いてみようかねぇ……」

 

「へ?何か、あったんですか?」

 

お、ボソッと呟いた一言に新人君が反応した。

何々?もしかして車に興味が…と思ったが走ってる最中に止まって欲しくないだけか。マシントラブルは運び屋(トランスポーター)にとって最も避けたい事態だろうしな、立派に仕事人してるなぁ。

 

「別にまだ大丈夫さ。たださっきので相当無茶したからな、エンジンはOH(オーバーホール)確定だ。」

 

「おーばーほーる…って、OH!?エンジンを!?

で、できるんですか?」

 

「できるも何も俺がこのエンジンを作ったんだぞ?」

 

正確に言えば“この世界でこのエンジンを最初に作ったのは”、だけどね。他にも4AGとかRB26とか有名なのを形だけでも作ってみたが、どうも面d…難しくてな。結局比較的簡単で好きだった車に逃げちまったし。……帰ったらハチロクも再開しようかな!

 

…?後ろに乗る新人君が妙に大人しい。もうちょっとリアクションしてくれてもいいのよ?

と思いバックミラー越しにチラリと見てみると…なんか新人君が『マジかよ』って顔してる。

なんか失礼な奴だなコイツ。真面目不遇枠かなって思ってたけど立派にペンギン急便やってんなお前もな?

 

「ロドスもそうだけど、なんでこの世界に居る科学者とか研究者ってのはこうもアグレッシブなんだ……って言うか今さらですけどこのレベルのエンジンを組めるのに国に公表しないんですか?普通に偉業レベルじゃないですか。」

 

「なーんか本人が公表する気ないからねぇ。私それ前に言ったんだけど『コイツは特殊すぎて俺にしか使えねーヨ』とか言ってたよ?」

 

「それにこのエンジン、他の源石(オリジニウム)エンジンと音が違いすぎる。やっぱり別物なんじゃないのか?」

 

「ハハハッオウキノセイダゼソリャ。」

 

「そうか…」

 

どうにもこの世界に存在するエンジンは車用のものでは300馬力がやっとらしい。ヘリコプターレベルに大型化すれば余裕で大馬力になるようだがそうすると今度は貴重な燃料──源石(オリジニウム)がすぐにスッカラカンになるようだ。この世界で源石をたらふく蓄えられる所なんて限られてるし他にも用途がある分すさまじく値段が張るしで燃費が悪化する大型エンジンはそこまで研究されてないようだ。

 

ま、火薬にも燃料にも何にでもなる万能さを持つ鉱石なモンだからそりゃ貴重にもなるか。

 

俺は使わねーけどネ。(笑)

 

というか当たり前だけど源石なんか給油しちゃったらエンジンが壊れちまうよ。何しろ燃料への点火方式からしてまったく異なる性質だからな、シリンダーに入ったらその時点でオシャカだ。

 

そう言えば一時期この世界の乗り物が気になって調べたことがあったな。結構似通ってる部分が多くてビックリした記憶がある。

 

まず燃料をエンジンのシリンダー内で燃焼させるサイクルはガソリンと変わらない。違いがあるとすれば点火プラグが電気系ではなく“アーツ発生装置”によって点火してる点だ。やはりこれは源石がアーツでしか燃焼しないからなんだろう、アーツを使わなければ源石は爆発もしなければ燃えることすらない。

で、エンジン始動と同時にアーツ発生装置が源石を爆発させることでシリンダー内でピストンを回転させる。その際発生した力を駆動系に伝えることでタイヤを回しこの世界の乗り物は動いてる、という訳だ。

ここまでなら本当に遜色ないように聞こえるだろうが実はこのエンジンには少しだけ欠点がある。

 

それはアーツにより点火した源石はよく燃えるがその燃焼には限界がある、という点だ。

先程言った通りこの世界のエンジンは車用のものでは300馬力が限界だ。それは何故か?簡単だ、ターボやスーパーチャージャーではエンジンの性能を上げられないから。

ターボもスーパーチャージャーもどちらも酸素を多く供給するパーツだが、源石の燃焼はアーツによるもので酸素を多く入れただけでは燃焼は強くならない。だからこそ源石の爆発をアーツで強化するしか馬力を上げる方法が無い。で、当然限界が来てそれが“300馬力”という壁に繋がる訳だ。

 

これがこの世界の車だ。だからこそこのサイズでも頑張れば1000馬力をも越えられるポテンシャルを持つこの車にあの程度の連中が追い付ける訳が無いのだ。俺に追い付きたけりゃ悪魔のZかブラックバードでも連れてくるんだな!!

 

──おっと、少しの間情報を整理していたらどうやら終点が見えてきたようだ。

 

視界に映るのは移動都市“龍門”の東区画に停車したこれまたすんげぇデカイ、それこそ移動都市に匹敵しうる大きさの建造物が見えてきた。

アレが今回ペンギン急便に依頼をした連中の居る移動都市並みにデカイ施設だ。

 

中に居るのはそんな建造物にも負けず劣らない大きな志を持った組織──通称、「ロドス・アイランド製薬」があそこに存在している。

 

……良く考えなくてもただの製薬会社がこんなモン所持してるっておかしくね?と思ったがファンタジーな世界だし考えないようにしよ。調べたら消されそうだし…

 

「お前ら、もうすぐ着くぞ~。あと毎度毎度言っとくが帰りは乗せてやんねーからな。」

 

「分かってるってばぁ。そんなに信用ない?」

 

「お前らのドコを信用しろってんだヨ。俺は今朝のこと忘れてねーからな。」

 

「ああもう悪かったってぇ…このとーり!」

 

「すまなかった。」

 

「いや、本当にお二人がすみません…」

 

「まあ新人君に免じて許してやる。」

 

「ちょっと~?なぁ~んかバイソンにだけやけに優しくな~い?」

 

「ハハハッオウキノセイダゼソリャ。」

 

そんな風に談笑しながら龍門の検問を抜け移動都市の外に出る俺たち。遠くから見ると近いように見えるけど実はロドスの停泊地点ってわりと遠いのよね、車使わないと面倒な距離って感じ?

 

んで、ロドスの駐車場に繋がる道路を通ってあとは窓口の方までコイツらが行けば俺の仕事は終わ──

 

「──げぇっ…!?」

 

口からなんか変な声が出る。でも今はそれを気にしてる場合じゃねぇ!!なぁ~んか入り口にやけに見覚えのある最も会いたくねえ奴の顔が見えるんですけどォ~!?

 

あっしまったビックリして急ブレーキ掛けちゃったからその音に気付いてこっち見てる!!イヤァーッ!!なんかこっちに向かってめっちゃ走って来てるぅー!!!

 

「ちょっ、どうしたんですか?」

 

「い、いや、なんでもない…ごめんやっぱなんでもなくねぇわちょっと席変わって!」

 

「へ?え!?ちょっ運転は!?」

 

「知るかっテキサスにでもやらせとけ!!」

 

こんな所に居られるかっ俺は隠れるぞ!!

 

しかしその行動は時既に遅くバンッと窓になにかが張り付いてきた!チラッとそこを見れば爛々と輝く紅い瞳ッッそして見覚えのある黒髪の女の顔が──!!

 

居たァー!!今日こそは私の工房に来てもら

 

「あぁらよっと」

 

「ちょ!?ちょーいちょいちょいまち?まだ私たち会話すらしてないしっておいちょっと待ってってせめてこっち見なさいよ無言で発進するなッちょちょちょおいこら待てっ待ちなさァーいっ!!

 

ぺっ雑魚が…俺と張り合いたいなら1000馬力のモンスターマシンを持ってくるんだな…!!

 

「…あの、今のってクロージャさんでは?」

 

「知らん。」

 

「……何かあったんですか?」

 

「無い。」

 

「………仲、良いんですね。」

 

「はぁー?????俺とアイツのどことナニが良いってェー??全然俺アイツ嫌いだしアイツも俺の体目当ての変態マッドサイエンティストで仲が良いんじゃなくて俺のナニ目当ての変態に俺が追いかけ回されてるってだけのふざけた───」

 

「ああはい分かりましたもういいです…」

 

「何なんです、あれ?」

「さぁ?…まっなんかあったんでしょ。ナニ目的なのかは別として。」

「まて、ナニってなんだ?どういうことなんだ?」

「「知らなくて良いと思うよ。(いますよ。)」」

「??????」

 

フン、まあアイツは厄介だからな、ここいらで距離を離してさささっと帰らねぇと後々面倒なことに──

 

ん?何だ?何かが近付いてくる!?

 

「私がなんの対策もしていないとでも思ったのかこのヴァカめェ──!!」

 

ゲゲェーッ!?

コイツッッッバイクで追いかけて来やがった!?

 

こうなりゃ必殺技を使うしかねぇ!!

 

誰か助けてェーッ!!変態です!それも極めて特殊な変態に追いかけられてます!!誰か助けてェー!!

 

「誰が変態だァ!!」

 

うるせぇ薄着着痩せデカ乳女!!そのドスケベな格好で変態じゃないは無理だろ!!!(そうでもない定期)

 

 

 

 

ロドスの外周を回りながら追いかけっこを続けること十数分、騒ぎを聞きつけたアーミヤCEOとケルシーにクロージャの奴は連行されていった。

がしかし何故か俺までもケルシーに連行され長々とした説教を聞かされた件。

 

なんで?????

 




蛇足
いやぁ仕事しながら毎日投稿とかしてる人ってもう化け物か何かなんじゃないですかねぇ…あとインスピレーションが働いても仕事中だからすぐに思考が切り替わってすぐに忘れる奴多いんですけど、皆さんどうやって記憶してるんです?
コツとかあったら教えてほすぃ…
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