後日、いよいよ弾達の転入初日だ。
家族は糞兎特製のガードロボに守られているので心配無いらしい。
だいぶん人と係るようになったな、引きこもりだけど。
「変わらない物などない……か」
糞兎もだいぶん変ったんだ、糞姉とモップも変わらないかね。
おっと、山田先生が来たな。
「皆さん、このクラスに転入生が来ます、それも四人も!」
む?弾達の他にも居るのか。
その四人が入ってくるので、俺は耳栓をする。
同じ物を二人にも事前に渡してあるから安心かな?
で、二人と……何?
「五反田弾です、趣味は筋トレで特技は家庭料理です」
「御手洗数馬です、趣味は読書と遺跡巡り、特技はダーツです」
「シャルル・デュノアです、フランスから来ました
この国では不慣れなことも多いと思いますが、皆さんよろしくお願いします」
もう一人男がいた。
長い金髪を後ろで束ねた、小柄で中世的な顔立ち。
如何にも女受けがよさそうな奴だ。
(なんか違和感が)
しかし考えてる暇はないので、俺は耳栓を付ける。
弾と数馬も同時にだ、パスもつけてるな。
「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」
うぉぉぉ!耳が痛い~~!!
この耳栓かなり効果の高い奴だぞ、それで頭痛がするほどの大声とは。
まじで一種の公害じゃねぇか、弾達も耳を押えて蹲ってるし。
「男子!またしても男子!」
「しかもまたうちのクラス!」
「地球に生まれてよかった~~!‼」
収まったようなので、耳栓を外す。
クラスメイト達を甘く見ていたようだ。
「あの~、その子は?」
一人がパスに気づいたな、年齢八歳だから、違和感あるのは当然だな。
「俺の娘だ」
弾が平然と答える、まあ隠す必要ないしな。
「「「「ウソダドンドコドーン‼︎」」」」
オルンドゥ語!?
「あー騒ぐな、静かにしろ」
心底鬱陶しそうに糞姉が言う。
実際に鬱陶しいのだろう、俺には関係ないけど。
「み、皆さんお静かに、まだ自己紹介は終わっていませんから~!」
山田先生が促し、ようやく皆の意識が残った一人の方を向く。
輝くような白に近い銀髪を腰の辺りまで伸ばしっぱなしにし、
左目には軍用の眼帯、第一印象は間違いなく[軍人]だな。
「挨拶をしろラウラ」
「はい教官」
「ここではそう呼ぶな、もう私は教官ではないし
ここではお前も一般生徒だ、私のことは織斑先生と呼べ」
「了解しました」
ああ、糞姉の教官時代の教え子ね。
俺がいない間にドイツ軍で教官やってたらしいし。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「………」
え?終わり?
「あ、あの、以上……ですか?」
「以上だ」
山田先生、ご苦労様です。
「!貴様が!」
急に平手打ちをしようとしたので、俺はボーデヴィッヒを腕を掴み、軽く捻る。
腕を振るった勢いと体重を利用し、ボーデヴィッヒは床にあおむけで倒れる。
「初対面に叩かれるいわれはないぞ」
「く!認めない!貴様があの人の弟などと!」
ああ、糞姉の盲信者か、下らない。
「結構結構、必要ないしな」
「なんだと!?」
直後、チャイムが鳴る。
「あー……ゴホンゴホン!ではHRを終える
各自着替えて第二グラウンドに集合、今日は二組と合同で模擬戦闘訓練を行う
ISスーツが無い者は指定水着か下着で来い、以上解散!」
おい糞姉、問題発言だろそれ。
「とりあえず案内するから……ヤバ」
「すっげー嫌な予感が」
「俺もだ」
俺達冒険者組は危機を感じ取る。
「君が織斑君だね、これから「口より足を動かせ」え?」
俺がデュノアの首根っこを掴んで担ぐと同時に、三人揃って走り出す。
案の定、見物人が押しかけていた。
「転校生達発見!」
「しかも織斑君と一緒!」
インフェルノアントや、ワスプの群れの様に生徒たちが押し寄せてくる。
うげぇ、これだけでホラー物の宣伝映像みたいだ。
「いたっ!こっちよ!」
「者共!であえであえ!」
「え?!ここ武家屋敷?!」
「予想以上に凄まじいぜ!」
埒が明かないと、俺達はアイコンタクトを取り、
窓から飛び出し、壁を走って減速、そして着地する。
そのまま一気に更衣室まで直行する。
「これなら遅刻しないで済みそうだな」
「な、何でみんなこんなに騒いでたの?」
「簡単なことだ」
「男が俺達だけだからだ」
「……?」
意味が分からないらしく、デュノアは疑問の表情を浮かべる。
完全に自分を男と認識していない。
(怪しいな)
(ああ、後で調べておくか)
(じゃあ何を調べるかあもある程度分けておこうぜ)
急いで着替え始める。
「わ!?」
「どうした?」
「な、何でもないよ」
滅茶苦茶怪しいぞ、おい。
ついでに俺達冒険者組は鍛えられているので、かなり筋肉がごつい。
数馬もかなり鍛えられてるな、魔法使いだけど。
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「今回から実習を始める、まずは戦闘を実演してもらおう、凰、オルコット」
「「はい!」」
「専用機持ちならすぐに始められるだろう、前に出ろ」
「面倒いなー、なんで私が…」
「ハァ、こんなの見世物みたいで気が進みませんわ…」
「お前ら少しはやる気を出せ、 あいつに良いところを見せるチャンスだぞ」
「しょうがないですわね、ここは専用機持ちがちゃんとした見本を見せるべきでしょう!」
「実力を見せれるいい機会ね!」
着替えてグラウンドに来ると、さっそく糞姉が
セシリアと鈴に何か吹き込んでいた。
おいおい、大方俺関係なんだろうけど、ちょろいぞ。
「それでお相手は?鈴さんでも一切構いませんわ」
「慌てるな馬鹿ども、対戦相手は」
不意に空からキュイーンと落ちる音が聞こえる。
「わああああああ!どいてくださ〜い!!」
ラファールを纏った山田先生が現在墜落中。
って!落下地点俺じゃねぇか!!
急いで夏風を展開、お姫様抱っこの要領で受け止める。
夏風がスピードとパワーを高いレベルで両立しているので助かった。
「あ、ありがとうございます」
「言いたくないんですけど……」
「はい?」
「あなた本当にIS学園の教師なんですか?」
「……言わないでください」
IS学園の教師は、性格面は抜きにして実力者が選ばれる。
モンドグロッソ元優勝者である糞姉がいい例だな。
だからこそ、山田先生もその例に漏れないはずななんだが、
編入試験での模擬戦闘で俺が圧勝出来たり、今の墜落と言い、
正直本当に実力者なのかどうか疑わしいぞ。
っと、なんか睨まれてるし、いい加減下すか。
俺にとっては恋愛対象になるわけじゃないし。
「山田先生は元代表候補で実力は折り紙付きだ、さて、準備をしろ小娘ども」
「え?まさか一人ですか?」
「安心しろ、今のお前達ならすぐ負ける」
それが気に障ったらしく、二人ともムッとする。
まあ、あの二人にだって現役候補生としてのプライドがあるからな。
そのまま三人とも飛び上がり、戦闘が開始された。
だが、先読みで攻撃を見切り、
武器を的確に使い分けて攻撃する山田先生に対し、
二人は完全に「私が私が!」状態、連携など欠片もない。
そして、デュノアが山田先生が使用中のIS[ラファール・リバイブ]の
解説を終えるころには、二人揃ってグレネードを喰らい、墜落した。
「アンタ!何面白いように射線読まれてるのよ!」
「鈴さんこそ!無駄に衝撃砲を撃ちすぎです!」
「それ以前だろ、お前ら連携って物を知らないのか?」
「「………」」
黙るなよおい。
「これで教員の実力がわかっただろう、以後敬意を持って接する様に
ついでだ、五反田、御手洗、お前達も山田先生と戦え」
次は二人か、おそらくデータ取が目的だろう。
「いくぞ[韋駄天]」
「出番だぜ[金剛]」
弾の[金剛]も数馬の[韋駄天]も俺の[夏風]のデータをベースにしている。
そのため従来機より小型で、[装着]というより[着ている]イメージだ。
デザインもかなり似ているしな。
[金剛]は弾に合わせた近接戦闘タイプ、なので四肢が若干大型で、
格闘用のスパイクが装着されている。
[韋駄天]はリアスカートにシースがあり、ナイフが収まっている。
おまけに各所にスラスターが装着された高速戦闘タイプだ。
どちらも二人の能力に合わせている、本人たちは不満らしいが。
「では、始め!」
同時に、弾が俺と同じ移動方で前進する。
それに合わせて、山田先生がアサルトライフルを発射、
しかし弾は両腕の連続パンチで弾丸を全て弾く。
そこに、数馬が投擲用ナイフを投げて銃口を詰まらせ、破壊する。
そして[韋駄天]の掌から水の弾丸が発射される。
なんでもナノマシンによって空気中の水分を集めたら物らしい。
それで隙が出来たと同時に、弾がキックを繰り出す。
先ほどの英中コンビと違って連携が取れているな。
結果、二人の勝利で終わった。
詳しいデータはまた後で載せます。