アリアンロッド~ISを駆る冒険者~   作:アルシェス

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生徒会長はおもちゃです

「ねえ、一夏って本当に人間?弾と数馬の時も思ったけど」

「失礼な、生身で投薬も無いただの人間だ」

 

まあ、冒険者として長くやって来たから強いけど。

あの授業の後、俺達は揃ってアリーナに来ていた。

デュノアの実力を試すためだ。

 

まあ、結果は目に見えてたけどな。

俺達三人はC級アクションの様に飛んでくる銃弾やレーザーを弾けるし、

ISを生身で倒せるほどの技量を持っている。

専用機が俺達の動きについてこれないから枷が付いている状態だが。

具体的に言うと、生身時の50%ぐらい、弾達も同様ね。

デュノアの実力自体も結構上だと分かった、だからおかしい。

 

こいつはIS業界で世界第3位のシェアを誇るデュノア社社長の子供だ。

俺達と違って、ISに直に触れる機会は多数あったはず、

つまり、こいつが[世界初の男性IS操縦者]なのが普通だ。

例えそうでなくとも、俺が発見されてから世界各国で一斉検査が行われた。

復学手続き等で忙しかった弾達と違って、もっと早く発見されいるはず。

それなのに検査から2ヶ月以上も経ってからの編入、疑うなと言われる方が無理だ。

 

「ねえ、アレ見て」

「ウソ、ドイツの新型!?」

「まだトライアル中だって聞いたのに」

 

見ると、大型キャノンが特徴的な漆黒のISを纏うボーデヴィッヒがいた。

漆黒か……ロアさんを連想するから少々気に入らないな。

 

「おい」

「なんだ?」

「貴様も専用気持ちだな、なら私と戦え」

「理由が無いんだが?」

 

戻って来た後に訊いた話だが、誘拐犯連中は俺を監禁したはいいが、

直後に逃げられたせいで(あの本のおかげ)大慌て、

試合が終わった後も見つけられなかったそうだ(まあ当然だが)。

で、何故か情報を持っていたドイツ軍と糞姉によってお縄となったそうだ。

てかあの誘拐事件、絶対ドイツ軍か政府が仕組んだことだろ。

 

開催地はドイツだった、なら出場選手の身内が誘拐されたなんて

ホスト国としての信用問題になるから何かしろの対策しているのが普通だ。

おまけに監禁場所を見つけ出したのがあまりにも早すぎる。

それこそ[最初から知っていた]ぐらいに。

 

「貴様に無くとも、私にはある」

「ほう?」

「貴様は教官の[弱点]を作った、だからこそ排除しなければならない」

 

俺は思わず噴き出した、あまりにも馬鹿馬鹿しい理由だ。

そして、コツの考えもある程度読めた。

 

「何がおかしい!?」

「笑いもするさ、要するに[織斑千冬]という存在になりたいから

完璧であるはずのそれに欠点を作った俺を恨んでる、そうゆうことだろ

一桁年齢の餓鬼みたいな勘違いしやがって、完璧な存在なんざいるわけないだろ」

 

ロアさんは加虐心の塊みたいな人だし、明久さんは結構間抜けだったし、

どんなに優れていても欠点ってものは必ず存在する。

それはどの世界だろうと共通の真理だ。

 

「ガキの我儘に付き合いきれるか、失せやがれ」

 

俺は背を向ける。

 

「ッ!なら戦わざるを得ないようにしてやる!」

 

そう言ってボーデヴィッヒがキャノンを向けるが、発射の直前に突如爆発する。

 

「なに!?」

 

そしてボーデヴィッヒの視界に移るのは、

背を向けたままガンブレードを自分に向ける俺、しかも銃口から硝煙が出ている。

となれば、何が起きたかぐらいすぐに理解できるだろう。

 

「まさか………見ずに命中させたというのか!?」

「正解」

 

ロアさんみたいに1㎞先の相手にはできないが、この距離なら朝飯前だ。

その後は教員が出て来たので、ボーデヴィッヒは大人しく引き下がった。

 

________________

 

数日後、俺は久しぶりに上機嫌になった。

邪魔な重荷だった[雪片]をようやく取り外してもらえたからだ。

おかげで持てる武器が大幅に増えた。

まあ、種類は大して変わらないのだが。

ガンブレード、短剣型各種近接戦闘用ブレード、手榴弾各種、弾丸各種。

元々それが俺の戦闘スタイルだから、文句は言わないが。

それと3人で調べた結果、デュノアは間違いなく黒だ。

ハッキリ言って犯罪の方法も使って調べた結果、社長どころか

デュノア社の関係者及びその身辺に[シャルル・デュノア]は居ない。

写真も入手して調べたのだ、整形手術を受ける前とかのもな。

該当しそうなのは唯一人、社長と愛人の間に生まれたとされる、

[シャルロット・デュノア]だけだ、もうこれで確定だな。

 

「後は本人から……!」

 

気配を感じたので、俺はその方向にナイフを投げる。

エリン製の結構高価な物で、深々とコンクリートの壁に突き刺さった。

なお、高価なのは材質が希少だったり加工が難しかったりするからじゃない。

 

ボゴォォォォォォン!

 

魔力を込めて衝撃を与えると爆発する加工がされているからだ。

 

「ちょちょっと!いきなり何を!?」

 

物陰から一人の女子生徒が出て来た。

少し癖がある青髪と赤目、抜群のプロポーションを誇る

どことなく簪に似ている上級生だった。

 

「ストーキングする方が悪い」

 

もう一本ナイフを構える。

死にはしないが、1時間は動けなくなる神経毒付き。

エリンの毒は機械相手でも幽霊相手でも通用するほど万能なのだ。

 

「予備知識に違わず危険人物ね、織斑一夏君」

「で、誰だよアンタ」

「私は更識盾無、現生徒会長でこの学園最強よ」

「ほう、教師も含めて強いと」

「え?」

「学園最強だろ?なら教師も含めるぞ」

「えっと……その……」

 

しどろもどろになる生徒会長、それを見て俺は確信した。

 

「ああ、自称最強(笑)か」

「ちょっと!バカにしてるでしょう!?」

「何か間違ってます?」

「………生徒最強です」

 

意外とバカみたいだが、油断できない。

コイツからは裏社会に身を置く人間の臭いがプンプンする。

 

「で、その生徒会長様が何の要件?」

「政府から貴方達の護衛を任されたの、まだ接触する予定はなかったけど」

「そこまでされるほど弱い覚えはないけどねぇ」

「あら、十分弱いと思うけど?」

 

ああ、挑発して自分の流れに巻き込む気だな。

だが……俺には通用しないぜセニョリータ。

 

「これ見てもかい?」

 

俺が左手で布製品を掲げる。

すると会長は慌てて自分の上半身をまさぐる。

 

「え?……え?え?」

「返しますよ、ホイ」

 

布製品、剥ぎ取った会長のブラジャーを投げ渡す。

 

「エッチ!スケベ!変態!」

「何が悪い、このクソビッチ」

「ううー、なんでかんちゃんはこんな奴に」

 

ああ、こいつ簪の姉か。

聞いたとおりにシスコンだ。

 

「じゃ、俺は用事があるので」

 

_______________________

 

 

部屋に戻った後、俺は魔導銃の分解整備を始めた。

いざという時使えるようにしておかないと、命取りになる。

それに尊敬する人から貰った大事な物だ、錆びさせたくはない。

 

「ただい……うわぁ!」

 

お、デュノアが帰って来たか。

 

「どうしたのこれ!?」

「師匠からの餞別だ、冒険者始めた頃から愛用してる」

 

よし、汚れが取れた。

汚れたままだと暴発する原因になるから。

 

「そういえば、一夏達は冒険者って名乗ってるけど

その冒険者って、具体的にどんな職業なの?」

「職業じゃない、支配せず支配もされず

自分の思うがままに生きてる奴の総称だ」

 

砥石を取り出して刃部分を砥ぐ。

少しの刃こぼれも切れ味を鈍くさせる原因だからな。

まあ、魔導銃の材質は欠けも凹みもしない謎の金属だが。

 

「自由に生きる人ってこと?」

「そう、今は知識経験が必要だからIS学園(ここ)にいるけど

卒業後まで係わる義理も義務も理由も無い、即オサラバするさ」

 

うん、ピッカピカになったな。

 

「でも希少な男性操縦者で、織斑先生の弟でしょ

周りが許してくれないよ」

「たかが国相手位でやめるなら最初から冒険者にはならないさ

いままで散々組織だ国家だに逆らってきたしな、怖いとは思わん

それに俺がこのままISに係り続けたところで、得をするのは

ごくごく一握りの連中だけだ、糞豚を肥やす趣味は俺には無い」

 

おお、何時にも無く綺麗になったな。

 

「そうそう、聞きたいことがあるんだが」

「何?」

Qui sont vous, madomoiselle?(お前は誰だ、お嬢さん?)

 

 




最後の一夏のセリフはフランス語です。
このために書店で辞書と睨めっこしてました
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