気が付けば、俺は元の世界、
自分が住んでいた家の近所に突っ立て居た。
着物持ち物はエリンに居た時のまま、慌てて魔導銃を隠す。
人目につかない場所でよかった。
そうじゃなかったら、今頃俺は連行されていただろう。
「………戻ってきたんだな」
だが、俺の心は晴れなかった。
正直な話、俺は帰還を望んでいなかった。
ISのおかげで知らぬ者はいないほどの有名人になった姉、
その弟である限り、俺は俺個人として見られることはない。
ISがこの世界の頂点である限り、俺は姉の付属品でしかない。
だからこそ、あの世界での時間は、俺にとって本当に輝かしく映った。
フィーネは手腕も人望もあるため指導者には問題ない上に、
仲間達が護衛についている分、危険もない。
それでも帰りたい、家ではなく、あの世界に。
「……家に行こう」
とりあえず実家に向かおう。
それからどうするか考えよう。
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「これは酷い」
庭は草が生え放題、窓からはごみ袋の山が見える。
姉は家事全般が壊滅的にできなかったが、悪化している気がする。
俺は首を振って片づけをすることにした。
まずは草むしりだ、冒険者として鍛えた能力により、物の数分で終わる。
次はごみ出しだが、今俺は鍵が無い。
「しかたないか」
正直やりたくはなかったんだが、俺はある物を取り出す。
これは魔法の力で、大抵の鍵を解錠できるマジックアイテムだ。
正直言って泥棒の道具だが、本来の鍵が無い以上仕方がない。
鍵を開け、山積みになったごみ袋を片付ける。
今日がごみの日で本当に助かった。
その後、掃除機と雑巾を取り出して溜まった埃を取り除き
溜まっていた洗濯物も片付ける。
幾らなんでもひどすぎるだろう、何故ここまで放置していたのか。
そして約三時間後、俺は片づけを終えた。
そして冷蔵庫を除いたが、見事に空……ではなく酒しかなかった。
「………」
何か言う気もなくした俺は手持ちの中から売れそうな物を
幾つか選び、それを金に換えることにした。
そして結構な金額を得ることが出来たので、そのままスーパーで買い物をする。
ついでに売った物は持ってても邪魔になる代物だけである。
「……寝るか」
材料をしまい終えた俺は、そっと横になった。
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弟の一夏が居なくなってどれだけの時間がったのだろう?
誘拐されて行方不明、行方は未だにわからない。
現在は教師をしているが、一夏が居なくなった寂しさからくる
八つ当たりで軍隊の様に厳しくしてしまう。
そして毎日コンビニで酒と飯を買う日が続いている。
「何をやっているんだろうな」
今まで弟に依存していたつけだろう。
私は家事能力という物が皆無だった。
おかげで家はゴミ屋敷同前……なんだ?
草が生え放題だった庭は綺麗に整理されており、
家の中はゴミが片付けられて掃除も行き届いている。
一体誰が?
「さて、そろそろ晩飯を……」
「一夏?」
居間から出てきたのは、行方不明になった弟だった。
「ああ、おかえ」
「一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
思わず抱き着いて押し倒す。
この温もり、夢ではない……帰ってきてくれた。
私はそれが何よりうれしかった。
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「美味いな、前よりも腕が上がっている」
「どうも」
改めて見ると、一夏は随分変わっていた。
背はかなり伸び、私とそう変わらないくらいだ(私は男性と比べても高いほうに入る)。
ただ縦に伸びただけでなく、服の上からもわかるほど鍛えられている。
恐らく腹筋は綺麗に割れており、力瘤もかなり大きいのだろう。
もしかしたら大胸筋も動かせるのかもしれない。
後傷の跡もかなり多い、服の下から時折見え隠れするのがある上に、
顔の中央部分に横薙ぎの刃物傷らしき跡が走っていた。
いったい居なくなっていた間になにがあったのだろうか。
それに、歩いている時に足音が一切しない。
普通はしない歩き方だ、どこで覚えたのだろうか?。
「こっちだと高校生ぐらいか……どっかいい場所無いかね」
これはもっともだろう。
今の一夏は学校に通っていたかどうかも怪しい。
そこは私なりに手助けをするべきだろう。
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「おかしい」
あの後、俺はこっちでの勉強を死ぬほどやった。
中学で止まっていた分、凄まじく大変だったが、
[必要なことは直ぐ覚える]冒険者必須能力のおかげでなんとかなった。
それで実家に近く学費が安い藍越学園を受験するために、
受験場所の市民ホール(前回カンニングがあったのでその対策らしいが)に来たのだが、
何故か道に迷ってしまった。
このホール、迷路のような構造になっている上に、案内板が置いていない。
おまけにさっきから誘導されてるような予感がする。
仕方がないので、そのまま受験場所を探すと、一台の機械が置いてある場所についた。
それはIS、元々は宇宙進出のために作られ、右往左往してこの世界最強の兵器になった、
[女にしか使えない]パワードスーツだ。
その為に女=偉いという女尊男碑社会になってしまった。
いい迷惑だ、それが俺がこの世界に戻りたくなかった理由の一つでもある。
「は、何がしたいんだが」
仮に俺の予感が当たっていたとして、何の意味がある?
俺は男だ、当然ISなんざ使えない。
それに姉貴目当ての行動だとしても、意味がなさすぎる。
周りに気配は一切感じない……とりあえずさっさと受験場所に……
その時、俺は気が抜けていたのかもしれない。
何故か転びそうになり、鎮座していたISに手をついた…すると。
「貴方そこで何を……嘘!男がISを起動させてる!?」
何故か俺は、[女にしか使えないもの]を[男]なのに起動させた。
アリアンロッドよ、意地が悪すぎませんか?
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あの後、俺はよくわからない場所に引っ張り出され、あれこれ尋問を受けた。
しかし、俺には起動できた理由など一切心当たりがないのだ、知らぬ存ぜぬで通した。
後どこぞの研究者が「実験させてくれ」などとぬかしたので、問答無用でボコボコにした。
で、どこで話し合いが決まったのかは知らないが、俺はISについて学ぶ
IS学園に強制入学させられ、俺の身柄をどこの所属にするかは保留になった。
クソ迷惑だ、人のことを全く考えていない俗物どものせいで滅茶苦茶。
なんでこうなったのかね。
その後、編入試験という名の実力試し(ド素人になに求めてるんだか)が行われたんだが、
凄まじくあっけない結果に終わってしまった。
緊張のせいらしく、テンパって真っ直ぐ突っ込んできたので、
カウンターの回し蹴りをぶち当て、アサルトライフルをセミオート射撃で連発、
連続ヘッドショットを一切失敗せずに成し遂げた。
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(キツイ……鬱陶しい)
さて、入学初日なんだが……予想以上にキツイ!
席が最前列のど真ん中、さらにIS学園はその性質上女子高、
つまり、[唯一の男子]である俺に向かって視線が集中砲火されている。
視線に物理的な力があれば、俺は間違いなく俺はハチの巣になっている。
視線の種類は興味が大部分だ、突然現れた同じ立場の異性への純粋な興味か。
次に多いのは好意、俺は結構イケメンらしいからアイドルみたいな扱いだろうか?。
最期は敵意、男のくせに生意気なんて思ってる女尊男碑主義者だろう。
ほざけ、お前らみたいな雌豚なんぞが見下すんじゃねぇ。
「皆さん、このクラスの副担任になる山田麻耶です、よろしくお願いします」
副担任だという女性は……何ともやりずらい手合いだった。
小柄でショートカットに厚縁の大きな眼鏡、
頼りなさそうな雰囲気と態度と相まって、なんだか同級生以下の女の子が
無理やり背伸びして大人ぶってるように見える。
しかし、女性の象徴がこれでもかと言わんばかりに存在を主張しているので、
健全な男子としてついついそっちに目がいきそうになる。
そういえば、フィーネ着痩せしてたけど同じくらいあったな。
現在は自己紹介なんだが、俺へのアピールらしいものはすべて無視した。
この状況じゃ付き合いきれない。
「次、織斑君お願いします」
俺の番か。
前に立って全員を見据える。
「織斑一夏です、趣味は射撃、特技は家事全般(後ピッキングと爆薬作成)
何故か男なのにISを動かせましたが、変な期待されても困るので
そこのところよろしくお願いします」
し~んとした空気だ、何か間違えたかな?
「き」
あ、やな予感、俺は慌てて耳を塞いだ。
「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!」」」
うぎゃぁぁぁ!耳が。
「優しそうだけどワイルドそう!」
「グイグイ引っ張てくれそう!」
戦術兵器か?このクラスは。
「何の騒ぎだ?」
そう言って入って来たのは、スーツを着た姉貴だった。
まさか教師だったとはね、でも軍隊式訓練しかやって無さそうだ。
すると何故か出席簿が振り落されるので、片手で止める。
「失礼なこと考えたな」
「何のことでしょう」
さっさと席に戻る。
その後、担任の姉貴が暴君みたいなことを言ったのだが、
熱狂はさらにヒートアップしていった。
さて、同じように一部原作キャラをエリンに放り込んでおくか、
それともこのままにしておくか