今までの大半が寝てるかプラモ作成で終わってるんですよね。
どうしたものか。
フィーネが来た後、弾と数馬にトーナメントペアの
申し込みが殺到した。
急遽実戦形式の2VS2形式に変更したからだ。
俺とフィーネが付き合ってるという話は
学園の全員が知っていることだからな。
女子の噂話伝達速度はノロウィルスや新型インフルエンザもかくや。
とは言っても数馬はLC社の人間になったラウラと組むことになったし、
弾は弾で組む相手が決まってる。
鈴と簪、シャルロットとセシリアも決まってるしな。
俺?勿論フィーネと組むさ。
「どうだ?」
現在は第二アリーナで訓練中。
フィーネにはラファールに乗ってもらうが。
「もの凄く動きづらい」
フィーネの動きに耐えられず、ラファールに異常が出始めてる。
これはかなり不味い状況だ。
機体を壊しました、なんて目も当てられない。
俺達の時もそうだったけどな。
自分達の異常さがありありと浮かぶ現状だ。
『織斑一夏君、フィーネリア・エガタニアさん
至急第三アリーナまでお越しください』
ん?なんだ?
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第三アリーナにイチカと来た私を、
山田先生と織斑先生が出迎えた。
相変わらず私を忌々しそうに睨む。
何?弟とられたのがそんなに悔しいわけ?
「何で呼んだんですか?」
「エガタニア、LC社からお前の専用機が届くことになった」
そういえば、兎ちゃんが用意した打鉄を動かしたら
派手に壊しちゃったのよね、機体が私に追いつけなくて。
壊さないようにはできたから、別に専用機は要らないけど。
丁度いいハンデだし。
でも、イチカの足を引っ張りたくないのよね。
すると空からコンテナが下りてくる。
そしてすぐそばに、クロちゃんがいるわね。
「誰だ?」
「初めまして、LC社社長秘書のクロエ・クロノクルと申します
本日は事前に連絡したとうり、フィーネリア様の専用機をお届けに参りました」
コンテナが開くと、藍色と朱色を主体とした機体があった。
私の神官服と同じ色合いなのね。
「フィーネリア様の専用機、[聖母]でございます
防御重視型で、分類上は夏風と同じ[異世界型]となっております」
「異世界型?」
「一夏様の夏風、弾様の金剛、数馬様の韋駄天は
従来機は勿論、予想される第四世代以降の
いずれにも当てはまらない、まるで異世界の産物の様な
コンセプトの元設計開発されています
故に社長自ら[異世界型]と命名されました」
実際私異世界出身だし、イチカ達も異世界で冒険者になったしね。
それに合わせてるのだから、異質になるのは当然。
そのことを気にしたりはしないけどね。
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[報告書・異世界型]
織斑一夏専用機[夏風]、及びそのデータを基に
設計開発された機体の分類。
従来機とも予想次世代型ともコンセプトが大きく異なるために
便宜上の分類名だったが、今後は正式な呼称とする。
特徴としてはシールドバリア・PICの使用法が
他と比べて異質だということがまず挙げられる。
シールドバリアを[足場]として蹴り、
その勢いをPICによって加速・減速させることにより、
常にイグニッションブーストで移動するような速度で
移動するにも関わらず、消費するエネルギーは少ない。
第二の特徴として、駆動系が異質である。
搭乗者たちは平然と使いこなしているが、
その強度と反応性は[異常]の一言しかなく、
常人は勿論、候補生やヴァルキリークラスの
人間でも捻挫・脱臼・骨折・内臓損傷・内出血を起こす可能性が
優に70%を超え、かのブリュンヒルデ織斑千冬でも
耐えられるかどうか怪しいほどである。
第三の特徴は形状。
特殊な駆動系と搭乗者の身体能力を生かすために
他の機体よりも一回りほど小さく、
[搭乗]よりも[着る]ないし[装着]という
表現が最も適切である。
しかしながら、耐久力は防御力重視型に匹敵し、
パワーも凄まじい物になっている。
こうしなければ、異世界型を必要とする
搭乗者の動きに機体が耐えられないゆえである。
以上の三点が、異世界型と従来・予想次世代型を
区別するための特徴である。
あまりに異質なため、量産は難しく
必要とする搭乗者も一握りしかいないが、
その戦闘力は群を抜いている。
以降は、これまでに開発した異世界型を記録する。
夏風
元は倉持研究所が織斑一夏専用機として開発した機体。
イタリアのテンペストを元にした第三世代型だったが、
その異質さ故に異世界型第一号となった。
二丁の銃剣型遠近両用武装[昇竜]を基本兵装に、
猛スピードとトリッキーな動きを主体にした
変幻自在な暗殺者の如き戦い方を得意とする。
当初は搭乗者である織斑一夏の動きに耐えられず
使用の度にオーバーホールを繰り返していたが
第二次形態移行により[夏風・絆]に変化した結果、
織斑一夏の動きに問題無く追従することが出来るようになった。
異世界型に使用する駆動系は、本機のデータを流用している。
金剛
五反田弾専用機の異世界型第二号。
打鉄をベースに開発され、スピード・機動性面では
夏風に劣るが、パワー・装甲といった近接面においては上回っている。
搭乗者が徒手空拳格闘術の使い手なので、
それに合わせて四肢が大型化され、格闘用スパイクが追加されている。
素手で機関銃の弾丸をすべて掴み取るほどの五反田弾に機体が
耐えられずに夏風同様オーバーホールを繰り返していたが、
駆動系の変更によって解消された。
韋駄天
御手洗数馬専用機の異世界型第三号。
ラファールをベースにし、先の二機と比べると
長所短所を消した形になる。
しかし異世界型であるため、常人には動かせない代物になっている。
またナノマシンによって周囲の水素を操作し、
水を操ることが出来る。
その姿はさながら魔法使いを連想させる。
聖母
フィーネリア・エガタニアの専用機として開発した第四号。
初めて最初から異世界型として設計された機体。
防御を重視した機体であり、ドレスのような形状の
本機は屈指レベルの防御力を持っている。
また、防御用ビットと補助エネルギーパックにより
自身や僚機を援護することを重視している。
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私は報告書を見て押し黙った。
一夏達が使うISが異質なのは知っていた。
しかし、別分類されるほどだとは。
「なら………何故雪片を使わない?」
一夏の実力なら、雪片を使えば
容易く国家代表にまで行けるだろうに。
にもかかわらず一夏は銃にこだわり続ける。
それだけで一夏が遠くなったように感じた。
私のことなど眼中に無い、そう言わんばかりに。
いずれまた居なくなってしまうのではないかと思えてくる。
おまけにあのフィーネリアとかいう女。
いきなり出てきて一夏の恋人だと?。
ふざけるな!認めるものか!
一夏を連れて行かせはしないぞ!。
「代表候補生試験、受けさせなくては」
一夏の実力なら問題無くなれる。
それだけでなく直ぐに国家代表……いや
ブリュンヒルデも夢ではないだろう。
嘗て私が立った表彰台に一夏が立つ。
さぞや誇らしい光景だろうな。
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「一夏さん?それは塩ですよ?」
「いいんだよこれで」
煎れたコーヒーに塩を小さじ四杯。
それをイチカが渡してくれる。
「ちょっと……それ嫌がらせじゃ」
リンが何か言うけど、私は構わずコーヒーを飲む。
「うん、相変わらずいい塩加減」
「「「「はぁ!?」」」」
コーヒーは砂糖やミルクを入れるのが普通らしいけど、
私はこっちの飲み方が一番好きなのよね。
イチカも私の好みを把握してくれてるし。
「俺はこっちだけどな」
「一夏……その赤いの何?」
「血に決まってるだろ、鳩のだけどな」
イチカはイチカでスプーン一杯の血を
コーヒーに入れて飲むのが好き、この部分は
お師匠様譲りなのよね。
「そ、そういえば一夏」
「?」
「卒業したら、どうするの?」
シャルロットが聞く。
好きな男の将来予定は知りたいわよね。
「うちの会社が宇宙開発計画やってるからな
そっちで
それか火星都市とかの建設作業だな
弾も数馬もそっち志望だろうし」
「宇宙都市?モンドグロッソとかじゃなくて?」
「大会優勝とか、
それよりは都市開発みたいに、後に続く人たちのためになるようなこと
要するに未来を作ることの方が俺らには大事だからな
先に行った人たちの願を受け取り、続く人たちのために
道を作る、それが冒険者の[誇り]なんだよ」
そう、それが冒険者って生き方。
誰が何と言おうと捨てられない誇り。
でも、文句を言う人は多いでしょうね、
どうしたものかしら?。
塩コーヒーは、まあ知ってる人いると思います。
ぶっちゃけ名前ネタです。