運転免許を取るために教習所に通って、時間が取れなかったんです。
おまけに後半は難産でしたし。
硬い物が砕ける音が聞こえる。
弾が砲台が乗った陸亀を素手のパンチで砕き飛ばした。
小気味良い音が響いた。
数馬が拳法を使う木の人形を切刻んだ。
鈍い音が響いた。
フィーネが丸いロボットを金棒で叩き潰した。
乾いた音が何度も響いた。
一夏が水晶のロボットを銃剣で破壊した。
「……強すぎるわよ」
ISでも苦戦しそうな相手を、一夏達は生身で叩き潰して行く。
完全にアタシ達は蚊帳の外だ。
付いて行くと決めたはずなのに、覚悟が揺らぎそうになる。
結局アタシ達はISと言う名の鎧に守られていただけのようだ。
「何しょげてるのよ、揃いも揃って」
今は昼食時なので、一夏の料理を皆で口にしている。
あの調理器具セットはどこから出したのだか。
「当然でしょ、完全に蚊帳の外扱いなんだから」
「……まあ、気持ちはわかるわ」
え?今なんて
「私もね、いざ戦いになったら……イチカに守られてばっかりだから」
「え?あんなに強いのに!?」
シャルロットが声を上げる。
あの棍棒を使った戦い方なら、国家代表だって容易く行けるだろうに。
「弱いわよ、イチカ達は本気なんて出してないし
それに、私の実力じゃあ影さえ踏めないからね
しょっちゅう思い知らされるわよ、自分がお荷物だってことがね」
それは、アタシ達と同じ感情だった。
「でもね、私はイチカが好きで、冒険が好きだから
ハッタリ同然でも意地張って歩くのよ
それが私の道だから」
『うんうん、かっこいいね~』
なんだか兎みたいなメカがフヨフヨ浮いていた。
てかこの声、篠ノ之博士じゃない。
『これが束さん作新型偵察メカ!ムーンラビットなのだ!』
「潰しますよ」
『やめてーー!』
冒険者組って、篠ノ之博士が嫌いなのかしら?。
きっとそうなのだろう、理由は分からないけど。
「で、何の用ですか?」
『いや言いにくいんだけどね~』
「三つ数える間に言え、ほれ1」
同時に一夏が銃を撃つ。
『2と3は!?』
「めんどくさい」
酷い物言いだと思う。
『実はね~、箒ちゃんがそっちに乗り込んじゃったみたいなんだ
しかも打鉄勝手に持ち出して』
この危険領域を!?
大問題じゃない。
「知るか、どこでどう死のうが知ったことじゃない」
『そんなこと言わずに止めて、報酬上乗せするから』
「……見かけたらな」
姉妹揃って嫌われてるわね。
「姉に輪をかけて糞尼だな
自分のやってることを一切わかっていない」
忌々し気に、一夏が言う。
「ここは見てわかるように危険領域だ
それをろくな経験も無いド素人が来るなんて自殺と変わらない
何をどう考えたらこうなるのか、理解できないね」
一夏が立ち上がり、食器等を片付ける。
「そろそろ行こう」
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正直な話、モップにはとっくに愛想が尽きている。
だから目の前で死にそうになっていたとしても見捨てる。
助ける必要も価値も無いからな。
しかし、この遺跡はかなり広い。
探索を終えるには数日掛かるかもしれない。
構造上は結構単純、一本道と幾つかの行き止まりの部屋があるだけだ。
しかし現在5階層ぐらいに来ているが終わりが見えない。
「どれくらい続いてるの?」
「おおよそ半分ってところかな」
俺達の目の前には巨大な扉がある。
形状からして、最深部にある奴だが、
ここは真ん中だぞ、何故こんなものが?
こういったものは一番奥にあるはずなんだが。
「開けるぜ」
「ああ」
扉を開けると同時に、俺と弾が中に飛び込む。
やたらと広くて殺風景な部屋だ。
壁と天井は淡い光を放つ明鉱石で出来てるおかげで灯はいらない。
そして、俺達が入ってきたのとは反対側に、同じような扉がある。
そして、反対側の扉が開き……
「ムサシ!?」
「イチカ!?」
白身がかかったボサボサの茶髪、目つきの鋭い女っぽい顔立ち、
頭から突き出た狼の耳、朱色の武者鎧と2m近い斬馬刀。
相棒としてともに旅をした明久さんの息子、サムライのムサシがいた。
「久しぶりじゃないか」
「元気そうでござるな」
尻尾をぶんぶん振るムサシと、俺は手を取り合う。
「久しぶり」
「イナホも元気そうだな」
クールビューティーと言う表現がピッタリな顔立ちだが、
それとミスマッチな燃えるような赤毛をした少女。
ムサシの恋人のイナホも一緒だ。
「はっは!ひさしぶりじゃねぇか」
「っご!」
下半身は犬の首から下、いかにも荒くれ者と言った風貌の
アルクが俺の首に手を回す。
勢いでかなり痛い。
「で、なんで此処に?
俺達は俺が元居た世界にあった遺跡を調査してたんだが」
「こちらも同様だ」
全員が軽く自己紹介をした後、お互いの情報を出し合った。
どうやら、この遺跡は地球とエリンを繋いでいるらしい。
しかし、鈴達は引いてるな……まあヒューリンしかいない世界だし、
異種族は取っ付き難いのかもしれない。
『いや~まさか異世界とはね』
「文句あるか?」
『ないよ~、興味あるし』
「よし死ね」
『なんで!?』
もはや定番になったやり取りだ、楽しくてたまらない。
その時、突然部屋が大きく揺れた。
「地震!?」
「いや違う!」
エリンで幾度となく体験した揺れだ、間違うはずがない。
そう、この部屋の主が現れたのだ。
「皆、お出ましだぜ」
おそらく、ダイヤモンドゴーレムの亜種だろう、全身がダイヤモンドで出来ている。
姿は人型ではなく、九股に分かれた頭を持つ蛇、
そう……伝説の怪物ヒュドラを模していた。
さしずめ[ダイヤモンドヒュドラ]といったところか。
「それじゃ「一夏ぁーー!」うわ……」
何でこんなタイミングでモップが来るんだよ。
嫌がらせか?嫌がらせなのか?。
「何奴だ?」
「ただの迷惑物だ」
ここでこのモップの相手をしないといけないとか、
恨みますよアリアンロッド様。
「貴様に構ってる暇なんぞないわ、とっとと消えろ」
「そうはいかん!私の方がそこの有象無象より役に立つと証明せねばならん!」
フィーネ達を有象無象呼ばわりだと!?
腹が立ってきた。
「じゃああの蛇を倒しな、そしたらとやかく言わない」
「いいだろう!」
は、そのまま死にやがれ。
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某はムサシ、冒険者の端くれでござる。
新発見だという遺跡を仲間たちと調査していたら嘗ての相棒、
ガンスリンガーのイチカと再会したでござるよ。
しかしその喜びもつかの間、何やら遺跡の主が現れて、
「うぉぉぉぉ!!」
いきなりやって来た女子が奇妙な鎧を纏って相対しておる。
しかし、某にはわかるのだ……あの女子に主を倒せる力など無いことを。
やっていることが我武者羅に突っ込んで刀を振り下ろしておるだけだ。
あれでは金剛石で出来た体を持つ主に傷を付けることすらできぬ。
実際、攻撃は全て弾かれておるしのう。
「アルク、鞭を貸して」
「ほいよ、鎖鞭の方がいいだろう?」
フィーネは長棍使いではあるが、アルクから
鞭の心得も学んでおったな。
「そろそろだな」
「どうした?」
「いくらISとは言え、所詮はこの世界の常識の範疇で作られた代物だ
風の時代の技術で作られたゴーレム、それも上位をこんな狭い場所
で相手にしたら持ち味を生かせなくて圧倒的に不利だ」
ほう、あれがイチカが言っていたアイエスなる物か。
「持って三分ぐらいかな」
「否、一分と持つまい」
結局、鎧が使い物にならなくなり、
女子はフィーネが鞭を使って回収した。
「では……参ろうか」
某が斬馬刀を構える。
「久しぶりだな、お前と並ぶのは」
イチカも魔導銃を構える。
「へへ、燃えてきたぜ!」
アルクも両手の鞭をしならせる。
「ふ……ゆくぞ!」
我ら三人、向かう所に敵無しである!