アリアンロッド~ISを駆る冒険者~   作:アルシェス

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今回は一夏が専用機の依頼をするところです。


専用機依頼

翌日の放課後、俺はISの研究開発を行っている場所[倉持技研第二研究所]に来ていた。

用意される予定の専用機があまりにも合わないので、変えてもらう為に来た。

専用機なんだ、それぐらいの我儘は許されるだろう、アポ取ってるし。

 

「しかし、遠いなここ」

 

家から電車とバスで2時間半、場所は山奥だ。

 

「で、どうやって入るんだ?」

 

入り口らしき場所には取っ手もセンサーもない。

どうしたものかと悩んでいたその時、後ろに気配を感じた。

そのまま一秒と掛からずに魔導銃を取り出して構え、連射する。

条件反射なんだよなこれ、全部水面に撃ち込んだけど、どうだろうな。

 

「…いや~、ここまで危険人物だとは」

 

やれやれと笑いながら、クルクルの癖毛とフィーネクラスの巨乳の

女性が水面から和風ホラー映画の妖怪の様に現れた。

胸元に[かがりび]と書かれたスク水の様なISスーツ

(ISとのシンクロ率を上げて、反応を早めるための物)を纏い、

黒いグラサンタイプの水泳ゴーグルを填め、銛と淡水魚を手にした女性がいた。

三日月形に笑う口からは、エリンで何度も戦った妖魔の一種、

ヴァンパイアを連想させる長い犬歯が見え、警戒心を掻き立てる。

 

「しかしごついの持ってるねぇ~、どこで手に入れたの?」

「師匠からの餞別ですが」

 

俺の魔導銃はロアさんのマグナムオート形状の万能型と違い、

マグナムリボルバーと小太刀を足して割ったような形状を持つ近接重視型、

ごついのは当然と言えば当然だ、変える気はないが。

 

「所長!なにやってるんですか!?」

 

突然ドアが開き、三十代ぐらいの男性が出てくる、

おそらく此処の研究員だろう。

その人は俺を見ると「あっ!」と声を上げる。

 

「お、織斑君だね!?織斑一夏君!」

「そうです」

「そうかそうか!いや~すまないね、所長が出迎えるはずだったんだけど

この人は見ての通りの変態だから」

 

上司を変態呼ばわりしていいのかと思いつつ、同意する。

というか、この人所長だったのかよ。

技術者は頑固で偏屈、科学者は変人だとよく言われるが、

この人は後者のいい例ではないだろうか。

 

_____________________

 

その後びしょ濡れのまま所長が要らんセクハラをしようとして

それを部下に止められるというしょうもない事があり、

現在俺は待合室で準備ができるのを腕立て伏せ500回、

腹筋500回、スクワット500回の5セットをしながら待っている。

これはエリンで染み着いていた修正で、トレーニング兼暇つぶしに丁度いい。

 

「お待たせ!待った?」

 

丁度5セット目を終えたところに、所長がやってくる。

 

「特に」

 

俺の返事が気に入らなかったらしく、ふくれっ面になる。

やれやれ、何だか猫を相手にしている気分だ。

 

「君ねー、女性が待った?って訊いたら、今来たところ、だろう!」

「デートに来たわけでもないのに?」

「うわ、嫌な切り返し」

 

この手の人間は右から左に受け流すのが一番だ。

 

「まあいい、始めようかね!」

 

ISスーツの上に白衣を纏い、フッカフカの猫足スリッパを履いた

所長は、掛けっぱなしだったゴーグルをようやく外す。

猫科を思わせる大きな切れ目だった。

何だか[不思議の国のアリス]に出てくるチェシャ猫を連想する。

 

「初めまして、私は篝火ヒカルノ、倉持技研第二研究所所長で

君のお姉さんの同級生だよ」

「糞姉の、ね」

 

別に気にすることじゃないか。

 

「実の姉を糞呼ばわりって、まあいいか

最初に用意される予定だった機体が

嫌で変えて欲しいらしいけど、理由は?」

「それが糞姉の専用機と完全同一のコンセプトだったからです

俺は血縁者であっても本人じゃありません、同じことなど不可能です

剣を当の昔に捨てた俺じゃあ使いこなせませんよ」

 

ムサシか、その母親である明久さんの妻ナデシコさんならまだ何とかなるだろう。

二人ともサムライだからな、使う武器は結構違うのだが。

俺には使いこなせず酷い結果に終わるのが関の山だろう。

 

「なるほど、しっかり自分の考えを持ってるんだね

じゃ、私が君の注文に応えてあげよう、どんな機体がお望み?」

「とりあえず、これを再現してください、数は二丁で」

 

俺はテーブルに魔導銃を載せる。

 

「見れば見るほどごついね……ぬご!?」

 

持ち上げようとして、思わず倒れこむ篝火。

 

「ねえ、これ何キロぐらいあるの?」

「約7キロですね」

 

ロアさんのマグナムオート型が5キロ、

ノーラのロングバレルオート形状の射程距離重視型が4キロぐらいだったな。

俺のは近距離を重視し、大きさも一般的な物より大きい分重い。

 

「こんなのを片手で振り回してる上に、平然と撃てるって……化け物?」

「俺達の業界じゃそう珍しくはないが」

 

むしろ、これぐらいの代物を扱えないのなら駆け出しさえも名乗れない。

ガンスリンガーが冒険者人口の占める割合が少ないのはそれが理由だろう。

俺も最初は撃つのも振るうのも少々だが苦労したからな。

まあ、魔導銃は古代文明の遺物だからすぐ使えるものも、

修理すれば使えるのも少ないのが拍車を掛けてるのかもしれないが。

 

「リボルバータイプでもいいの?」

「使い慣れてますから、それと機体コンセプトは

スピードと三次元機動力を重視した高軌道型で、それ以外は二の次で構いません」

「うわ、随分ピーキーだね、まあお姉さんに比べればマシだけどね」

 

興味深げに頷き、篝火はニヤリと笑う。

 

「じゃあ、少しテストしてみようか」

 

______________________

 

俺は研究所内のアリーナに案内された。

試作機とかのデータを取るための場所だろうな。

そこで俺はフランス製第二世代量産型IS[ラファールリヴァイブ]を纏い、

両手にアサルトライフルを一丁ずつ持っていた。

現在、通常は自動で動くPICを手動(マニュアル)に切り替えている。

初心者には無謀な真似だが、しっかり考えを持ってやっていることだ。

 

『準備はいいかい?』

 

篝火が通信機越しに訊いてくる。

 

「問題ありません」

 

俺は何時もの構えを取る。

 

『それじゃ、始め!』

 

合図と共に、俺の周囲にホログラムの的が出現する。

同時に、回転しながら両のライフルを連射、

一発たりとも外れることなく的のど真ん中に命中する。

的どころか、このアリーナの広さは四方も上下も1kに満たない。

俺にとっては百発百中が当然の距離だ。

次に前方の今位置より離れた場所に的が出現したので、俺はその場を[蹴った]。

これが俺の予想を元に組み立てた独自の移動方だ。

経験が浅い俺がISでの飛行技術をオルコット戦までに極められるとは思っていなかった。

なので、俺は教科書と睨めっこをしながら、勝てる方法を

組み立てる必要があり、一つの予想を立てた。

慣性を制御するPIC、物理的な攻撃も防げるシールドバリア、

この二つを[足場]として利用することができるかもしれない。

その予想は見事に的中した。

シールドバリアを脚の裏側に展開させて、それを[足場]として蹴る。

それで生じた慣性をPICを利用することによって増幅・縮小・方向転換

させることによって、縦横無尽に空中を移動することが出来る。

これはエリンで俺が習得した、地面を強く蹴って一定の距離を

瞬時に移動することが出来る[瞬動]を応用したものだ。

ついでにこの技術、前衛を務めるものならば必須技能だ。

勢いそのままに的を一つ蹴り、そのまま残りを撃ち抜いていく。

 

「絶好調」

 

_________________

 

「いや~、凄まじいの一言だね

アンロックユニットを一切使わない高速移動に、100%の命中率

達人級の体術とナイフ捌き、これなら直ぐに代表候補生になれるよ」

「興味ないですけどね」

 

計150の的をすべて破壊するのに約20秒、まだまだ未熟だ。

ロアさんと明久さんが同じ条件でやったら10秒と掛からないだろう。

 

「聞いた試合には間に合わせるからさ、楽しみにしていて」

 

 




一夏の魔導銃の形状は、[FF8]でスコールが使っていたガンブレードです。
カラーリングは黒に変更されていますが
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