更にパソコンの調子が悪くて書き上げた下書きが消失。
おかげでモチベーションが下がってしまいました。
試合の翌日、先生方はまだいないので
俺はISと語学の勉強をしていた。
ISはもうすぐ終わる、語学はどうするかね。
日本語、訛りを含めた英語、フランス語、中国語、韓国語、
イタリア語、ドイツ語、ロシア語、オーストリア語、トルコ語
タイ語、ミャンマー語、スワヒリ語、ヒンドゥー語ete。
アジア・北米・欧州・中東の言語はコンプリートしたからな。
次は南米かアフリカ、アイスランドとかもいいかもしれないな。
エリンの言語は地方・種族・古代語、全て習得したからな。
そうやって教科書と睨めっこしていると、山田先生と
糞姉が教室に入ってくる。
「皆さん、一組のクラス代表はオルコットさんに決まりました」
周りが驚きざわめく。
まあ、あの試合結果を見たら普通はそう思うだろうな。
「あ、あの……なぜ私が代表なのでしょうか?」
「決まってるだろう、俺が辞退したからだ」
「何故です!?」
オルコットが立ち上がり、食って掛かる勢いで怒鳴る。
おいおい、せっかくの綺麗な顔が台無しだぜ。
まあ、原因俺だけどな、反省はしない。
「この学年で、俺に勝てそうなやつ居るか?」
途端に皆揃って押し黙る。
クラス代表戦は同じ学年のクラス間で戦う以上、
もっと強い面子は期待できないだろう。
「どっちが勝つかわかりきった試合、誰が見たがる?
それが一つ目の理由だ、二つ目は……付き合いきれないからだ」
___________________
私はその言葉の意味を理解できませんでした。
いえ、このクラスに居る誰もが、その意味を理解できないのでしょう。
現に、回答を求めるように織斑さんを見ています。
「付き合いきれない、とは?」
「あの試合後の態度だ、何一つ反応しない
お前らが見たかったのは俺が無様に負ける姿
あるいはボロボロになりながらも一矢報いる姿
要するに男は女より下の存在だと証明してほしかったんだろ?」
図星だったのでしょう、クラスメイト全員が顔をそらします。
私も[男など女に劣る存在だと証明してやる]という
意気込みで試合に臨んだ以上、人のことは言えませんね。
「確かにISは最強の兵器だ、それは事実だから認める
否定するだけの理由も意味もないからな
だがそれは女=偉い強いなんて方程式にはならない
ISが女にしか反応しないのはただの偶然だ
拾った装飾品を身に着けて偉ぶってるに過ぎない
オリンピックで自国の代表選手が金メダル取ったからって
自分も偉い強いって威張るのと同じだ
それは褒められた行為か?違うだろう」
あくまで事実、故にその言葉は鋭い刃となり、
私達に深く突き刺さります。
「現に俺という[男性操縦者]が登場した途端にこれだ
要するにお前らは時代の尻馬に乗って調子に乗っていた雌豚だ
そんな連中に付き合いきれるか」
立ち上がり、私を指さします。
「お前が男を見下す理由は知らないし、知りたくもない
だがなセシリア・オルコット、貴族という
人の上に立つ者なら相手を上辺だけで判断してると、
あっさり蹴落とされるぞ」
歪みも曇りも無い、眩しいほどまっすぐな姿。
何故かはわかりませんが、私にはその姿が輝いて見えました。
いえ私だけではありません、一部を除いた皆が見惚れています。
「貴方は……一体?」
織斑さんは何かを取り出します。
それは灰色で、襟と袖口が青く、
背中に[
「旅を初めて時は流れ、いつの間にか故郷は遥か」
ゆっくりと詩を紡ぐその姿は、
どこか浮世絵離れしていて、誰一人止める人は居ませんでした。
「帰り道はとうになく、家族の温もりも過去に消えた
故に振り返ることなどない、ただ前へ前へと歩を進めん」
どこか悲しげで、しかし決意に満ちた。
何故か、私にはそう思えました。
「我が墓石に名は要らぬ、我が墓前には名は要らぬ
我が歩いた道全て、続く者への
そして、織斑さんはクスリと笑って見せます。
「唯の……冒険者さ」
「冒険者……」
そう呟いたのは自分か、他の誰かかはわかりませんでした。
しかし、一つだけわかったことがあります。
この人が輝いて見えるのは、何時何処であろうと信念……いえ、[生き様]を
貫き、真っ直ぐに歩き続けているから。
だからこそ、この人は眩しいほど輝きに満ちている。
名家に婿養子として入り、お母様の顔色を窺っているように見えたお父様、
でも本当はこの人の様に何かを貫いていたのかもしれません。
だから、お母様はお父様を選んだ。
私は両親が列車事故で死んだ時に何故一緒に居たのか、ようやく分かった気がしました。
そして思いました、見てみたいと。
この人の行き着く先に、何があるのか。
____________________
あの後、オルコットも代表を辞退し、
誰がやるか揉めているうちに何故か俺に決まった。
多分糞姉の仕業だな。
「
思わず古ノックス語で呟いてしまった。
簡単に乗せられるあたり、俺もまだまだ未熟なのだろう。
早めに
そう思いながら寮に戻ると、何故か食堂に呼ばれる。
すると……
「「「織斑君! クラス代表就任おめでとう!!」」」
一組面々が俺のクラス長就任を祝うパーティーを開いていた。
「おいおい、俺のこと怖がってただろうが」
「それはそうだけど~」
「あんなカッコいい姿見せられたらね」
「何時のことだそれ?」
掌返しもここまで来ると清々しく思える。
やはり付き合いきれないと、俺は隅に移動して壁にもたれ掛り、
エリンでいつも愛用していた嗜好品ハッカパイプを吸い始めた。
これは煙草ではなくハッカの甘い香りを楽しむ物だ。
煙草は臭いし持久力も下がる。
健康第一体が基本の冒険者としてはお断りだからな。
しかし、こうしてみると俺も違う世界の住人だと自覚する。
現代日本で生きる以上、俺はどう考えても異質だからな。
まあ、それを後悔することなどないし、今更戻る気も無いしな。
俺は死ぬか、歩けなくなるまで冒険者を辞めないだろう。
「少し…いい?」
1組面子しか寄って来なかったが、
初めて他クラスの奴が近づいてきた。
肩辺りで揃えた空色の髪を機械的な髪留めで飾り、
縁の薄い眼鏡から紅い目が儚げな輝きを放つ。
暗い印象があるが、大層な上玉だった。
ふむ、中々好みだな。
「君は?」
「更識簪、一年四組」
見た感じ敵意は無い。
これは……焦りか、いや、それだけじゃない。
「要件は?」
「貴方の強さの秘訣が知りたい」
強さの秘訣ねぇ。
そんなもの人それぞれだ。
強くなるには何かしろの原動力が必要だが、
俺が見て来た人達の動力源は皆違っていた。
ロアさんは外への[憧れ]、明久さんは[自由]への渇望、
俺は[恋愛感情]と己の[証明]だったからな。
だが、一つだけ共通点があったな。
「教えるのは構わないが、少なくとも
今の君じゃ無理だぞ」
「何故?」
お、ちょっとムッとしたな。
結構可愛い。
「だってさ、君諦めてるだろ?」
「え?」
まあ、それはかつての俺もそうだったんだがな。
「目は口程に物を言うって、よく言うだろ
実際目はその人の心を映し出す鏡なわけ
君の目には早く強くなりたいって焦ってるけど、
それ以上に深い諦めがある
俺達の強さの秘訣は[諦めない]ことだから
今の君じゃ無理だってこと」
________________
図星だった。
私の姉は暗部を司る実家の当主に若くして就任し、
実力でロシアの代表になり、一人だけで専用ISを完成させた。
それに比べ、私はどれだけ努力しても姉に劣る。
挙句に姉から「無能でいなさい」などといわれる始末。
だからいつの間にか、全力を出しても無駄たと思った。
何か一つでも姉に勝ちたいと思いながら、無駄になることが怖くて
全力を出すことを拒否していた。
やるまえから[諦めていた]。
「俺が冒険者としてまだひよっこだった時の話だ」
織斑君が、どこか遠くを見ながら呟く。
「俺の師匠は凄い人でな、今でこそ手を伸ばせば
届くところまで来ることができたが、
当時は夕日で伸びた影も踏めないぐらいに差があって
自分のやってることは単に夜空の星に手を伸ばすのと同じじゃないか
そう思えてな、半分諦めてたんだ」
「え?」
意外だった、そんな姿が想像できないほど
この人は強いのに、そんなことがあったなんて。
「まあ、師匠は人生経験豊富だからすぐ見抜かれてな
こんな話をしてくれた」
織斑君が持っていたパイプ状の物を吸い始める。
ハッカ特有の甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
「昔の冒険者達は、手荷物一つで未開の場所へ向かっていったんだ
ハッキリ言って無謀だ、生きて帰れる保証なんざどこにもない
実際、大半がそのまま帰ってこなかった」
それは当然のこと、なのに何故その人達は向かっていったのだろう・
「だがな、誰一人として諦めようとしなかった
何度死にかけたとしても、誰一人として立ち止まらなかった
不思議に思ったやつが聞いた、なぜそこまでするのかと
そしたら聞かれた冒険者はこう答えた、その先に何があるのか知りたいからだと」
「その先?」
「絶景とか、見たことない国とか、色々あるな
そしたらそいつはこう聞いた、その先に何もなかったらどうするんだ?って
そしたらその冒険者はこう返した」
一度言葉を区切り、織斑君は再び口を開いた。
「そうだな…わたしは[結果]だけを求めてはいない
[結果]だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ
近道した時大事な事を見逃がすかもしれない、やる気も次第に失せていく
大切なのは[その先に行こうとする意志]だと思っている
行こうとする意志さえあれば、たとえ今回は何もなかったとしても、
いつかは新しい物を見つけられるだろう?
向かっているわけだからな……違うかい?」
私は目を見開いた。
[姉に勝つ]という結果だけを求めた。
だからこそ、敵わないと諦めてしまったのではないだろうか?
「結局その冒険者は志半ばで倒れたよ
だがその[意志]は後に続く者達に受け継がれ、
俺達が前に進む原動力となった
上ばっか見てても前には進めない
前を行くことに焦り、目標の遠さに心が挫ければそれで終わり
けれど後ろを振り返って遅れた奴を見下してると、目標にたどり着けない
大事なのは前に進むこと、ほんの一歩、周りがどんなに早く歩こうが
構わずに自分の一歩を確実に踏み出していけば、いつか目標に辿り着ける
自分が駄目でも、いつか誰かが果たしてくれると信じて一歩ずつ、
決して歩みを止めない、まずはそれだな」
私は言葉が出なかった。
彼の姿が、憧れる正義のヒーローと被って見えた。
いや、彼は確かこう名乗っていたはずだ。
「それが……冒険者の生き方?」
「というより、諦めない為のコツだな
諦めない限り、運命は変えられる
それが冒険者っていう生き物だ」
何て激しい人生なのだろう。
報われる保障すらないにも拘らず、ひたすら前に向かって進む生き様。
これが………冒険者?
「……嫌になった事は無いの? 諦めたくなった事は?」
意地の悪い質問だと思う、でも聞きたかった。
しかし織斑君は即答した。
「あるさ」
「え!?」
思わず驚きの声が出た。
「俺達は聖人君子じゃない、人間だ
嫌になって投げ出したくなったことぐらいいくらでもあるさ
だがそのたびに思い出すんだ、師匠に言われた言葉を」
[大切なのは前に向かう意志]
それを胸に前に進むのだという。
そこに横たわる苦難の海に、一筋の光る道を見出す為に。
「私に、できるかな……」
「同じ人間なんだからできるさ、諦めない限りな」
インタビューしようとしていた新聞部の人も固まる中、
私はほんの少しだけ微笑みを浮かべた。
「ありがとう」
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(何故だ、何故だ一夏!?)
私は怒りで煮えくり返っていた。
何故幼馴染の私に冷たくして、見ず知らずに奴に優しくする。
その優しさは私に向けられるべきものだろうが!
まてよ、一夏は何と言っていた?
『俺の師匠は凄い人でな』
師匠だと、私の父……ではないだろうな。
(その師匠がお前を変えたのか!?)
待っていろ一夏。
私がその師匠を倒してお前を元に戻して見せる!
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「?なんだ今の幼稚な殺気は?」
ロアの弟子、あるいは影響を受けたキャラの特徴は
[皮ジャケット][キック]の二つです。
一夏の皮ジャケットは別の機会に書きます。
ついでに古ノックス語はグロンギ語を当てはめただけです。