暗い、暗い水底に沈んでいるような気分だった。
『僕も来たで──こっち側』
『おかしいやろが。なんで───』
自身の呪力から生まれた呪霊が
「ざけんなや。ドブカスが」
真希との決闘に、心底納得はいかないが敗れた後。真希は何を思ったかトドメを刺さなかった。結果、呪力を持たない真希の母親にトドメを刺された俺は自身の呪力に呑まれ、俺のガワを利用した
呪霊の俺が消滅すると同時に、その核となっていた自分の存在も急速に薄れていく。
「今度こそ、あの世行きか」
ああ、そうだ。
「偽モンとはいえ、甚爾くんの真似事するんやったら、情けない負け方したら末代まで呪ったる。…ああ、そのグズグズの顔やったら、どっちにしろ末代やったね」
こうして禪院直哉の27年の人生は幕を閉じた。
◆◆◆
「……あ?」
なんだ、これは。
自分は確かに死んだハズだ。呪術師としても、呪霊としても。だが、周囲を取り巻く光が、音が、匂いが。存在する全てが自分が生きていることを証明していた。
幻術の類かとも考えたが、このレベルの術を使えるのならとっくの昔に特級だろう。そんなものは聞いたことがない。
「どこやねん、ここ」
周囲を見渡す。あるのは見慣れた古風な畳や障子ではなく、現代的…むしろ未来に片足を突っ込んでいるようなデザインの家具。服装も生前着ていた書生服ではなくなっていた。
ふと鏡に映った自分の姿を見て、直哉は更なる困惑に包まれる。
「…ほんま、訳わからん」
鏡に映る自分は間違いなく禪院直哉だが、金色に染めた髪は真っ黒になっているし、大量に開けたピアスも全て無くなっている。おまけに歳も10歳近く若返っているように見えた。
「情報集めようにもな…なんもあらへん」
その時、ポケットに僅かな振動を感じた。取り出してみると、それはどうやら携帯らしい。着信を示す画面には[親父]と表示されている。
「…もしもし」
◆◆◆
あれから数日、この世界についていくつか分かったことがある。
ここは日本で、この世界でも自分は禪院直哉であるらしく、年齢は15歳、中学三年生らしいこと。呪術師、呪霊といったものは存在していないこと。禪院家も一般家庭らしい。ここまではまだ良い。ここからが問題なのだ。
まず、現在なんと2094年。とんでもない未来に来てしまった。次に、この世界に来てからやたらと見聞きするようになった魔法という言葉。2018年にも存在こそしていたが、あくまであれはフィクションで、日常的に用いられる言葉では無かったと記憶している。どうやらこの世界には魔法が存在していて、それを使う者を魔法師と呼ぶらしい。
最後に、これが一番重要な事だが、この世界でも術式は問題なく発動した。通常の魔法を発動するには何やら機械が必要で、直哉の術式のように本人以外に使用できないものをBS魔法と呼ぶようだ。
ここまでの情報から、直哉は一つの結論を導き出した。ここは異世界、パラレルワールドというやつで、自分は俗にいう転生をしたのだと。術式の関係でそれなりにアニメを見ていればそのような作品もいくつかはある。信じがたい事ではあるが、そうとしか考えられない。
「転生だの異世界だの…ほんまに、おとぎ話みたいやな」
これまでの情報を整理していると、ある一つの疑問が湧き上がった。
「ああ、そういや」
術式が使えるということは呪力が存在している訳で。それなら何故呪霊が発生しないのだろうか。
「…まあ、どうでもええか」
呪霊が発生しない理由を考えたとて何かが変わるわけでもない。発生させたものを払えば多少の稼ぎにはなるだろうが、金に困ってもいないのだ。仮に発生したとしても、大半の呪霊は自分にとって脅威にもならない雑魚ばかりだし、都度祓えばいい。
先日の今世の父親との会話を思い出す。それによれば、自分は魔法科高校なるものを受験することになっているらしい。
「ま、なんとかなるやろ」
頭の出来にはそれなりに自信があるし、半年もあればどうにでもなるだろう。
「この世界に本物はおらん」
無限を操る最強も、天に
禪院直哉、呪術で一番好きなキャラ
ヒロインいる!?
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いるよなぁ!?
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いらねえよなぁ!?