ハリー・ポッターと面霊気の少女   作:あたし、綺麗?

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面霊気の目覚め

あらゆる人から忘れ去られている古ぼけた屋敷にて、1人の少女が横たわっていた。

 

夜目だと薄紫色がかって見えるピンク色のロングヘアに、同じ色の瞳と睫毛。

服装は青のチェック柄の上着に長いバルーンスカート。

上着には胸元に桃色のリボン、前面に赤の星、黄の丸、緑の三角、紫のバツと、全く異なる形と色のボタンが付いている。

中でもスカートが特徴的で、それを囲む顔のような模様は穴になっており、よく見ると少女らしさのある細い足が覗いている。

 

(……ここは?)

 

彼女はどうやら記憶喪失のようだ。

 

(えーっと、私の名前は(はたの) こころ。話せるのは英語と日本語……得意なのは……なんだろう、これ。……お面をつけて踊ること? これはよく分からないな……)

 

少なくとも自分の名前と2ヶ国語の言葉などの最低限必要と思われる知識はあるが、何故ここにいるのかや、詳しい事までは分からない。

 

「あー、あー……よし」

 

喉が少しガラガラしていたので声を出して調子を整え、辺りを見回しながら立ち上がる。

 

(ふむ……ボロいな)

 

ボロ屋敷の壁は打ち付けられた板でできており、所々隙間があった。

その隙間からかなり冷たい風が漏れているので、恐らく今は冬だろう。

 

(……化粧台か? どうやら鏡もあるみたいだし、自分がどんな顔か見ておくか)

 

元は屋敷だった為か、家具はそれなりに転がっていた。

尤も、傷だらけや埃まみれだったりして、ほとんどは使いものにはならなさそうであった。

少しひび割れている鏡のついた化粧台の前に立ち、自分の顔を覗いてみる。

 

「……いー」

 

鏡に写ったのは無表情な顔。

びっくりする程無表情であり、指を使い頬を釣り上げたり引っ張ったりして無理矢理笑顔を作ろうとするが、どうやら彼女の表情筋はとんでもなく頑固なようで、どれだけ上手く引っ張っても変顔にしかならない。

 

(……む? これは……)

 

少女はふと頭の側面にある、狐火のようなものを纏った、女性のお面に触れる。

 

「なるほど、よく分からないことが分かった」

 

彼女自身も何故お面をつけているのか分からないようだ。

ただ、外そうとすると意識が僅かに遠のく事から、このお面を絶対に外してはいけない事は何となく理解したようだ。

 


 

「……しかし、広いな」

 

部屋から出たこころは、大広間の真ん中でそう呟く。

何故かは分からないがこの屋敷、やたら広い。

横幅だけ見ても何十mかはあり、何個も小部屋に繋がっているドアがある。

階層に関しても、確認できただけでも3階まであるようだ。

余程の大家族か、複数の家族が住む集合住宅でもない限り、誰かが住んでいたというのは考えにくかった。

 

(というか、本当にここは屋敷なのか? )

 

大広間こそ屋敷らしい豪勢さが僅かに感じられたが、それ以外の小部屋は屋敷というより物置と表現するべき状態だった。

 


 

「ふぅ…これで最後か?」

 

様々な小部屋を巡って、こころはようやく最後と思わしき小部屋に辿り着いた。

ポツンと何か平べったいものが大仰に、そして大事そうに置いてある。

こころはそれを手に取り、平べったいものの正体を知る。

 

「お面……?」

 

それは、なんとも言えない表情をしているお面だった。

だが…………同時に凄まじいまでの希望を感じるお面でもあった。

さて、彼女にあるのはどちらだろうか……

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