ハリー・ポッターと面霊気の少女   作:あたし、綺麗?

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組み分け帽子と私の謎

汽車の減速が感じられなくなり、窓の外の景色が完全に停止する。

ガチャンと扉が開く音がしたあと、通路にいた生徒達が堰を切ったように出口へと進んでいく。

私とハーマイオニーはコンパートメントで少し待機し、濁流と見まごう程の人波が落ち着いてから汽車を降りた。

そこは、キングス・クロス駅と比べると、少し小さめなプラットフォームだった。

周囲はすっかり暗くなっており、空気は若干肌寒い。

夜なのも寒さの原因だろうが……恐らく、ホグワーツはキングス・クロス駅よりもずっと北側にあるのだろう。

 

駅に降り立った私達を迎えたのは、2m以上の身長をした大男だった。

大男の近くからハリーの声が聞こえ、彼のことをハグリッドと呼んでいるのが聞こえた。

ハグリッドの案内で湖の沿岸まできた私達は4人ずつに分かれてボートに乗り、遠く見える城へと水面を静かに進んでいく。

 

私はハーマイオニーとネビル、それとドラコと一緒のボートに乗り、途中、ドラコが私の付けているお面に興味を示してきた。

 

「こころ、君の付けているお面は一体……?」

 

「これか? 私にもよく分からなくてな……」

 

そう言っているこころのお面は、いつの間にか女性を模したものから、アメリカ国旗に似た模様の帽子を被っているお面に変わっていた。

 

「分かっているだけでも……こんな風に私の感情と連動して変わるのと、外そうとすると意識が飛ぶことくらいだな」

 

私が説明を終えると、ドラコは何か思い出したかのようにし、自身の考えを言う。

 

「……恐らく、何かの補助をしている魔道具なんだろう。父上の働いている魔法省に闇祓い(オーラー)だった者が魔法のかかった義眼を付けているという話を聞いた事がある。そのお面もそういうものなんじゃないかな?」

 

「ふむ、魔道具か……確かに、私は他の人と比べてかなり表情に乏しい。それを補助する為に誰かが付けてくれたのだろう」

 

ちょっとした疑問も晴れ、湖を渡り終わり、城に入って長い階段を登っていくと、ハグリッドが巨大なドアを三度、(本人の感覚としては)優しく叩く。

その瞬間巨大な扉が少し開き、中からエメラルド色のローブを着た魔女が出てきた。

非常に厳格そうで、唇を真一文字に結んでいる。

 

「マクゴナガル先生。イッチ年生をお連れしました」

 

「ご苦労様ハグリッド。ここからは私が預かりますので、貴方は先に向かっていてください」

 

厳格そうな魔女、マクゴナガル先生に引き継いだハグリッドは奥の扉に向かい出て行った。

それを見届けたマクゴナガル先生は私達の方に向き直り、全体を見渡した後静かに、それでいて全体に響くように話し出した。

 

「ホグワーツ入学おめでとう。これから新入生歓迎の宴が行われますが、その前に皆さんには、所属する寮を決めるための組分けを行っていただきます。組分けはとても神聖な儀式です。これから皆さんが七年間過ごす寮を決め、そこに所属する生徒は皆が家族のようなものです。教室でも寮生と共に勉強し、寝るのも寮、自由時間も寮の談話室で過ごすことになります。」

 

マクゴナガル先生は一息入れ、もう一度全体を見渡して再度話を始める。

 

「寮は四つあります。グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリンです。それぞれに輝かしい歴史があり、偉大な魔法使いや魔女が卒業していきました。ホグワーツにいる間、皆さんの行いが寮の点数になります。よい行いをすれば所属する寮の得点になり、反対に規則を破れば減点されます。学年末になれば、その年最も獲得点数の高い寮には、大変名誉ある寮杯が与えられます。なので、どの寮に入ることになっても、皆さん一人一人が寮にとって、またホグワーツにとって誇りとなるように望みます」

 

マクゴナガル先生は話し終えると、彼女は準備をしてくるので身なりを整えて待っていなさいと言い残し、奥の扉から出て行った。

少ししてハーマイオニーが何かを心配してるような状態で話しかけてきた。

 

「こころ、試験には何が出ると思う?やっぱり教科書に載ってあった呪文を羊皮紙に書いたりするのかしら?」

 

「……それは無いだろうな。それだと魔法族生まれの奴が有利すぎるし、色々買わせたけど試験はダメでした。はいさようなら……なんてしたら、魔法がどうこうの前に人として終わってる。まぁ、少なくともハーマイオニーが言うような試験は無いだろう」

 

その後もハーマイオニーがああでもないこうでもないと組み分けの方法を考察していたが、マクゴナガル先生が戻ってきても、組み分け方法は分からずじまいであった。

 

先生の案内で奥の扉を抜けると、そこはかなりの大きさをした大広間だった。

四つの巨大な長テーブルが並び、一番奥の壇上には同じく長テーブルが横に一つ置かれている。

四つのテーブルには多くの生徒が座り、壇上のテーブルには義足をつけた人から小人のように小さな人、更には如何にも魔法使いらしそうな長く髭を生やした人までいた。

セブルスもそこにいる為、恐らく教師陣だろう。

 

私達は大広間の真ん中を通り、壇上前へと進んでいく。

上を見上げると、本来なら天井があるそこには、満天の星空に無数の蝋燭が浮かんだまま静止していた。

 

マクゴナガル先生が立ち止まった。

そこは、教員達が座る席と生徒達が座る席の間にポッカリと開いた空間だった。

 

「これより組分けの儀式を始めます」

 

そう言って、彼女は小さな椅子と古ぼけた帽子を運んで来た。

まるで、その帽子こそが主人公で、私は脇役ですと言うかのように彼女は脇へ身を引いた。

そして、1年生達が首をかしげる中、唐突に帽子が動き出した。

切れ込みが入っているのかと思われた部分がまるで口のようにパカパカ開き、帽子は歌を歌い始めた。

 

 

わたしは綺麗じゃないけれど

人は見かけによらぬもの

わたしを凌ぐ、かしこい帽子

あるならわたしは身を引こう

山高帽は真っ黒だ

シルクハットはするりと高い

わたしはホグワーツの組み分け帽子

わたしは彼らの上を征く

きみの頭に隠れたものを

組み分け帽子はお見通し

被ればきみに教えよう

きみが征くべき寮の名を

グリフィンドールに征くならば、そこは勇気ある者が住う寮

勇猛果敢な騎士道で、他とは違うグリフィンドール

ハッフルパフに征くならば、きみは正しく忠実で、忍耐強く真実で、苦労を苦労と思わない

古き賢きレイブンクロー

君に意欲があるならば、機智と学びの友人をここで必ず得るだろう

スリザリンではもしかして、きみは真の友を得る

どんな手段を使っても、目的を遂げる狡猾さ

被ってごらんよ、恐れずに!

興奮せずに、お任せを!

きみをわたしの手に委ね! おっと、わたしに手はないね!

だって、わたしは考える帽子!

 

歌の内容を纏めれば、それぞれの寮の特色を現したものだった。

グリフィンドールは、勇気と騎士道精神を持った者が集まる寮。

レイブンクローは、知識を追求する者が集まる寮。

ハッフルパフは、忍耐強く誠実な者が集まる寮。

スリザリンは、目的の為なら手段を選ばない者が集まる寮。

 

セブルスはどこの寮だろうかと思いつつ、私は帽子に視線を向ける。

そして、組分けはこの帽子を使って行うらしい。

マクゴナガル先生が新入生のリストを持ち、帽子を持ち上げ、アルファベット順に名前を呼び始めた。

呼ばれた生徒が椅子に腰掛けて帽子を被ると四つの寮の内のどれかに割り振られていく。

 

組分けは順調に進んでいき、ハーマイオニーの時に少し時間がかかったものの、遂に私の番になった。

 

「ココロ、ハタノ!」

 

足長椅子に座り、帽子を被せられる。

すると、頭の中へ直接低い声が聞こえてきた。

組み分け帽子の声だろう。

 

(ふむ……む? 驚いた…! まさか君のような者をホグワーツに迎えるとはな……)

 

「……どういうことだ?」

 

帽子の意味深な言葉に私は疑問符を浮かべるが、帽子はすぐにはぐらかしてきた。

 

(あぁすまない、私の独り言だから気にするな。……さて、組み分けをしなければ。成程成程……君はスリザリンとグリフィンドールの素質がある様だな。だがどちらかと言えばグリフィンドール寄り……君だけを見れば)

 

「お前の言い方からして、私の素質で決めるのではないのか? そこで他人が出たら組み分けの意味が…」

 

私の疑問に怪しげな笑いをした帽子は、僅かに間を空けて高らかにこう叫んだ。

 

(自分自身の事は、自分自身だからこそ分からないのだよ……だから君が入るべき所は……!)

 

「スリザリンッ!!!」




おまけ
『勘違いするスネイプ』

「こころ……随分と変なファミリーネームだな」

「? 私の名字は秦だが……」

「……お前は東洋出身なのか?」

「知らん」
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