ハリー・ポッターと面霊気の少女 作:あたし、綺麗?
私の後の組み分けは順調に進み、ネビルとロン、ハリーがグリフィンドール(ハリーがグリフィンドールに組み分けされた瞬間、スリザリン以外の寮から爆発音と思う程の歓声が響いた)、ドラコが私と同じスリザリンだった(ドラコに関しては、なんと頭に帽子が触れた瞬間にスリザリンと叫んだ)。
数名が組み分けに時間をかけたものの、無事全員がどこかしらの寮に組み分けられた。
最後の1年生が組み分けられた寮のテーブルにつくと、教師陣の中央に座っていた白髪の老人が立ち上がる。
それを見て、教師生徒問わず皆がその老人に注目した。
私はその老人の事をほんの少しだけ知っている。
このホグワーツの校長を務めている、アルバス・ダンブルドアだ。
「おめでとう新入生諸君! おめでとう! 歓迎会を始める前に、二言、三言言っておかねばの。では、いきますぞ! そーれ、わっしょい! こらしょい! どっこらしょい! ……以上!」
ダンブルドアの珍妙すぎる挨拶に殆どの1年生は少し困惑するが、上級生はコレを経験しているのだろう。
彼らが大きな歓声と共に拍手した。
……尤も、スリザリンの生徒にはだいぶウケが悪い様だが。
ダンブルドアが座った瞬間、目の前の机に料理が出現する(冗談でもなんでもなくアレが二言、三言だったようだ)。
どうやら、ダンブルドアの言っていた歓迎会が始まったようだ。
ほぼ飾りと化していた金色の皿に様々な料理が現れ、それを認識したクラッブとゴイルが、口へ流し込むように盛られた料理を食べ始める。
「まったく……少しは品よく食べられないのか?」
隣のドラコも2人に呆れつつ、行儀よくローストビーフを食べ始め、私は頭の中で食べる量を決めていく。
踊りというものは見た目以上に体力を消費するし、自身の容姿だって踊る為の道具のひとつだ。
徹底的とまでは言わないが、そこの2人のような暴飲暴食は論外だ。
それと、作法などは不思議と覚えていた……が、日本の作法だった為、セブルスによって、イギリスのものへ矯正された。
「……む?」
「? どうした、こころ」
「……いや、なんでもない。私の気の所為だろう」
私が偏らないように満遍なく料理盛り付けていくと、ふと違和感に気がつく。
ドラコをはじめとした周囲は気がついていないようだが……この学校、つくづく奇妙だ。
先程まで肉とポテトの行列だった所に、ポツリとサラダがいつの間にか置いてあった。
先程までそれらしい器も無かったのに、何故器ごとサラダが出ているのかと思ったが、単に自分が見落としていただけだろうとすぐに考えを改めた。
黙って盛り付けた料理を口に運び、八割程食べ終えると、テーブルからぬぅっと半透明な人間が出てくる。
銀色の血塗れでげっそりと痩せ細っており、眼は虚ろだ。
いかにも亡霊……そういった外見をしているその男は私達新入生へと、少々偉そうな(許されているという事は、ホグワーツでもそれなりに偉い立場なのだろう)口調で話しかける。
「聞くがいい、スリザリン新入生共。我らスリザリンは今年までに6年間、連続で寮対抗優勝カップを獲得している……これもひとえに貴様等の先輩達が尽力してきたからだ。7年目の栄光を掴み取るか、それともこの年で呆気なく途切れるか……全ては貴様等新入生の出来次第だ。……個人的には当然だが、7年目の寮杯獲得を目指してほしいがね……む?」
「? ……私の顔に何か付いているか?」
男が個人的な願望を零した直後、私の方を向いてフワフワと浮きながら近寄って、そのまま隣の椅子に座ってきた(その隣にいたドラコはたまらず1席ずらしていた)。
少々寒気がしなくもないが、別に異常をきたす程では無い。
彼は私の顔をじっくり見た後、クスリと笑った。
「くくく……いやなに、少々懐かしさを感じたものでな。…あぁ、すまない。名乗るのが遅れたな。私は血みどろ男爵。寮にはそれぞれ一体のゴーストが憑いている。私はスリザリンの寮憑きゴーストだ。さて……学ぶものをば選ぼうぞ、真の才覚ある魔族を選ぼうぞ、祖先が純血ならば更に良し。昔からあるスリザリンの教育方針だ……とはいえ今の時代、純血だけを選ぶというにも限度がある。そもそも、そこの2人のように純血が必ずしもその叡智に結びつくかというと甚だ疑しいしな。貴様がこの寮のことをどれだけ知っていて、どう思っているかは知らないが、半純血やマグル生まれの子息達がその秘めている資質を帽子に見抜かれて他の寮に入る中、今スリザリンはその本質が剥き出しになっている状態だ……つまり、異端の子よ、貴様がスリザリンのこの先を分けるかもしれん」
異端の子…血みどろ男爵は私の事をそう呼んだ。
まぁ、確かに私は色々と異端の子だ。
……だが、私が思っているもの以外にも意味が込められている気がする。
皆それぞれが腹を満たし、食後のデザートも食べ終えた時だった。
「エヘン。全員よく食べ、よく飲んだことじゃろう。それでは皆の腹も膨れたところで、二言、三言」
そう告げてダンブルドアが立ち上がる。
これで歓迎会がお開きになるのだろう。
男爵によると、ここからは校長が規則への注意と一年間を通しての大まかなスケジュールを発表する流れとなるそうだ。
「新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、校内にある禁じられた森に入ってはいかんぞ? これは上級生にも、何人かの生徒たちに特に注意しておく」
ダンブルドアはそのキラキラしたブルーの目を、先ほどハリーの組み分けの際に席から立って小躍りしていた赤毛の双子らしき二人組に向けている。
「二つ目に、管理人のフィルチさんから授業の合間に廊下で呪文を使わんでほしいという忠告があった。気を付けるように。また、今学期は2週目にクィディッチの予選があるからの。寮のチームに参加したい人はマダム・フーチに連絡を忘れぬように。ただし、特別な許可がない限り1年生は対象外じゃ」
猫を肩に乗せた、少々頭の寂しい男が赤毛の双子を目の敵にして睨んでいた。
彼がここの管理人であるフィルチなのだろう。
クィディッチは……よく分からない。
「また、とても痛い死に方をしたくない者は今年いっぱいは四階右側の廊下には入らんように。それでも入った者は……少なくとも、冗談では済まされないじゃろう」
最後に、ダンブルドアが意味深な忠告を告げると、その言葉に何人かが笑い声を上げたが、その数は驚くほど少なかった。
上級生をはじめとした殆どの人が顰め面をしている。
少々興味があったが、それを見た男爵も首を横に振って忠告をしてきた。
「ダンブルドアがあのような言い方をした時は本気だ。入らない方が賢明だ」
そして当のダンブルドアといえば、周囲が件の廊下についてあれこれと考察している中、杖を巧みに使ってリボンを宙に浮かし、歌詞らしきものを描き出していた。
「では、寝る前に校歌を歌う……前に、3人のレディを紹介せねばの。入って良いぞ、プリズムリバーの御三方!」
ダンブルドアのその言葉と共に、天井から自分達と同じくらいの身長の、3人の少女が出てきた。
色や装飾に細かい差異こそあれど、3人は似たような服装だ。
だが何よりも目を引くのは、3人とも楽器を触れずに演奏している事だった。
明るさが滲み出ている少女は、ウェーブのかかった明るい水色のセミロングをたなびかせて、たれ目気味の青い瞳をウィンクさせる。
「メルラン・プリズムリバーでーす!! 管楽器担当で、トランペットが得意よ〜!」
彼女のトランペットの演奏を聞いていると、どうにも興奮を抑えられなくなる。
少し暗い雰囲気を纏う少女は、髪はほぼストレートの金髪のショートボブヘアに、少し真ん中分け気味の前髪に金色のややつり目な瞳。
「……ルナサ・プリズムリバーよ。弦楽器担当で、このプリズムリバー楽団のリーダーでもあるわ」
ルナサがヴァイオリンの美しい音色を奏でると、まだ興奮のあった周囲が落ち着きを取り戻す。
2人の間をとった位の雰囲気を出している、2人よりも一回り小さな少女は、髪先に向かって強い内巻きになっているふわっとした薄い茶色の癖毛に、髪よりは薄めの茶色の瞳。
「リリカ・プリズムリバーよ! 得意楽器は……全部!」
他の2人に比べてあまり目立たないのにも関わらず、ダイナミックな動きをしながら演奏して、自身の存在を目立たせていた。
最後に彼女が演奏を始めると、今まで混沌としていた音楽が調律され、幻想的な曲へ変貌した。
彼女のうち1人でも欠ければこの曲は瞬く間に崩れ去り、つまらない雑音へと成り果ててしまうだろう。
「ほっほっほっ……やはり音楽はどんな魔法にも勝るものじゃな! それでは、今度こそ校歌を歌おうぞ!」
学校中が大声でうなる。
教師陣の何人かは、顔を強ばらせてさえいた。
プリズムリバーの3人をはじめとした何名かは楽しみにしていたようだが。
ホグワーツ♪ ホグワーツ♪
ホグホグ♪ ワツワツ ♪ ホグワーツ♪
教えて♪ どうぞ♪ 僕たちに♪
老いても♪ ハゲても♪ 青二才でも♪
頭にゃ何とか詰め込める♪
おもしろいものを詰め込める♪
今はからっぽ♪ 空気詰め♪
死んだハエやら ♪ がらくた詰め♪
教えて♪ 価値のあるものを♪
教えて♪ 忘れてしまったものを♪
ベストをつくせば♪ あとはお任せ♪
学べよ脳みそ♪ 腐るまで♪
「やはり音楽は素晴らしい魔法じゃ! ……それでは諸君、よい夢を」
ダンブルドアはそう言い残すと、大きくあくびをして大広間を出ていく。
なんとも酷い歌詞である。
だがもっと酷いのはリズムが決まっておらず、てんでバラバラだという事だ。
せっかくのプリズムリバーによる調律も虚しく、隣のテーブルにいる赤毛の双子に至っては葬送行進曲のリズムで歌っていた。
これだけは言いたい。
せめてしっかりと曲として完成させてから校歌にしてくれ。
もし伏線や構想している設定が出せなかったら、完結後に書く予定のRTA版で補足も兼ねようかなーと思ったりする今日この頃。
あのホグワーツに騒霊が1人なわけ無いでしょう。
と、言うわけでプリズムリバー姉妹が登場。
メルランの髪型は表現が私にはあまりにも難しいので、二次創作にて見かけるウェーブのかかったセミロングに変更。
まだ出番の方はあんまり考えれていませんが、彼女達は意外なヤツと繋がりが……?