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………アンタは〈
◇◆◇
XXXX年 X月X日 場所:Back room Level 10〈小麦畑〉
[レベル10内部コミュニティ〈モルトタウン〉在住 放浪者〈アルフレッド・バーナード氏〉の日記]
ーーーーーーーーー〈モルトタウン〉で、最近妙な噂を聞いた。
…なんでも、街ゆく人に手当たり次第に〈あるふぁおめが〉とか言う場所について知っているか……と聞いて回る放浪者が現れたらしい。
……長年この世界を彷徨っていたが、そんな場所は聞いたことも無い。……まぁ、自分の知らない場所など、この世界には幾万と有るが。
ーーーとにかく、その放浪者はその〈あるふぁおめが〉に行きたいらしく、行き先を知っている者がいないか、町中の人に聞いて回ったそうだ。ーーーーーー勿論、誰も知らなかったが。
……この広大なバックルームの中で、特定の何かを探すのは途方もない労力と時間…そして運が要るだろう。〈あるふぁおめが〉が何なのか知らんが、その放浪者が無事に、目的の場所にたどり着けた事を祈るのみだ。
◇◆◇
XXXX年 X月X日 場所:Back room Level 10〈小麦畑〉
[〈モルトタウン〉の少年 ユースタス・バーナードの記録]
ーーーーーーーーレベル10の、まだ青い小麦畑の中に身を潜める
…そろりそろりと、その2人の少年達は、息を潜めながら動いている。……彼等2人の目指す先には、大きな石造りの塔が建っていた。
ーーーーーーーーーまるで、大きな見張り台か何かの様に、その塔は小麦畑を見渡せる位置に作られている。
「…ねぇ、やっぱり止めようよ…。」
ーーーと、1人の少年が、前を行くもう1人の少年に囁いた。
「…何言ってんだよ?…折角此処まで来たんだ。あの塔の中にユースタスは入ってみたく無いのかい?」
…もう1人の少年が、そう囁き返した。
……最初に言葉を発した少年こと、ユースタス・バーナードは、彼等の行手に聳え立つ、石造りの塔を見上げる。
子供目線からは、その塔は天を貫かんばかりに高く聳え立っているように思えた。
「…そりゃ、気にはなるけど。……でも、お父さんはこの塔には近づいちゃダメだって……。」
…そんなユースタスの、弱気な発言を笑い飛ばすもう1人の少年。
「…ハッ!ーーー怖がりだなぁ?ユースタスは!
「……う、うん。でも、もしも…今ラッパが鳴り始めたらどうするのさ。……弓矢で殺されちゃうかもしれないんだよ?ビート君は怖くないの!?」
ユースタスの疑問に、もう1人の少年…改め、ビートが肩を竦めて言葉を返す。
「大丈夫さユースタス!俺もユースタスも、〈モルトタウン〉で一番足が速いんだぞ?ーーー逃げちまえば良いんだよ。…丁度、畑の小麦が俺達の姿を隠してくれるしね。矢なんか当たりゃしないよ!」
ビートは自分の逃げ足にかなりの自信があるようだった。
…一方でユースタスは、そんなに上手く行かないんじゃ…と、不安になって尻込みしていた。
ーーーーーーーーー今、この少年2人が何をしようとしているのか。…その答えは、2人の目の前に聳え立つ、石造りの巨塔にある。
ーーーーーーこの塔の名前は誰も知らない。…何のための塔なのかも、誰も知らない。……嘗て、最初の放浪者がこの〈レベル10〉の大地を踏んだ時から、この塔は既に建っていた。
…そして、如何やらこの塔には、所有者が居るらしい。
…その
〈The Archer〉は、ラッパの音と共に塔の中から現れ、広い小麦畑内をしばらくの間行軍し、やがてまた塔の中に帰って行く。
……この時、〈The Archer〉達に見つかってはいけない。ーーーーーーーーー見つかったが最後、
故に、〈レベル10〉に住む放浪者達は、この塔に近付こうともしないし、ましてや中に入るなんて以ての外だと思っている。……しかし、行くなと言われれば、行きたくなってしまうのが人の性。…そしてソコで、ちゃんと行きたい気持ちを抑えられるか否かが、子供と大人の差とも言えよう。
ーーーーーー塔を目指すユースタスとビートはまだ幼い。…彼等は、幼さ故の好奇心を抑える事が出来なかった様だ。
一体全体、大人達が口を酸っぱくして『行くな行くな』と言う塔の中には、何が有るのだろうか…ーーーそんな事を考えた2人は、勝手に〈モルトタウン〉を抜け出して、この塔までやって来たのである。
……やがて2人は塔の直ぐ真下まで辿り着いた。…見上げると、高い塔がまるで自分達にのしかかって来るかの如き、威圧感を感じる。ユースタスは塔を見上げながら、横のビートに囁いた。
「ビート君…コレどうやって中に入るつもりなの?」
…彼は黙って近くにある扉を指差した。……裏口のような、地味な木のドアだ。
「…そこから、こっそり入る。アソコなら見張りとかも居ないでしょ。」
……ユースタスはいざ入ると言う時になってまた、不安になって来たが、此処まで来てしまったからには、引き返そうと言うわけにも行かなくなった。
ーーーーーー彼はビクビクしながら、ビートに続いてその小さな木のドアを開けると、塔の中に入って行ったーーーーーーーーー…。
◇◆◇
……期待した割には、塔の中に特別な物などは何も無かった。
石造りの床と、同じく石造りの壁。…内側が炭か何かで黒く塗られた屋根と、壁にかけられた松明。
そして、幾つかの部屋に内部は分けられていて、古い家具ーーーーーー例えば、椅子や簡易的な寝床、大きなテーブルに暖かな暖炉など……約16世紀頃のアンティーク物が並べられていた。
コレらの家具はどれも、今の時代においては中々に価値のある物なのだが、子供にそんな価値が分かる訳もない。
ユースタスとビートは部屋を見渡しながら、ちょっとガッカリしていた。
「…ちぇ!俺ん家の中と、そっくりじゃないか?…もっとなんか…お宝とか、そーいうの有るかなって思ってたのに…これじゃ、普通の部屋と変わらないなぁ。」
そうビートが呟く。
「…そうだね…。ねぇ、ビート君…もう帰らない?中も見れたんだし…さ。」
隣でユースタスはそうビートに話しかけた。ゆらゆらと壁で揺らめく松明の明かりが、彼の不安を煽っていたのだ。しかし、ビートはここで引き下がるつもりは無いようだ。
「ーーーもうちょっと、他の部屋も見てみようぜ?…もしかしたら、其処に何か良いもん有るかも知れないし!」
…そう言って、歩き始めるビート。(これじゃ、まるで泥棒みたいじゃん…)と思いながら、ユースタスは彼の後について行く。
ーーーーーーこうして2人は幾つかの部屋を探して見たが、何か目新しい物は見つける事ができなかった。…精々、沢山の弓矢が見つかったぐらいだ。
「……うーん。結構普通だったな。…それに誰も居ないし、ワクワクして損しちゃったかも。」
ビートが腕を組んで、そう言う。ユースタスはこれ幸いと、彼に帰る事を提案した。……不気味だったのだ。人の気配がしないのに、ついさっきまで誰か居たような雰囲気を漂わせる塔の中が…。
「……じゃ、帰るかぁ。ーーーま、良いや。中が分かっただけでもね。」
…そうビートが呟いた時だった。
……2人の耳に、高々と鳴り響くラッパの音が聞こえて来た。
「「ーーーーーーーーーーーー!!!!」」
驚き、固まる2人。そして塔の中に突然人の気配が溢れたかと思うと、2人の直ぐ後ろで誰かの声がした。
「おっと……コレはいけないなぁ。」
次の瞬間、2人の腕が強く掴まれたーーーーーーーーーーーー。
◇◆◇
同時刻 Back room Level 10〈小麦畑〉
場所:〈モルトタウン〉
[アルフレッド・バーナード視点]
……ユースタスが帰って来ない。
アルフレッドは、顔を曇らせたまま〈モルトタウン〉の中を歩いていた。
最初は、いつも通りただ外で遊んでいるだけだと思っていた。…しかし、帰ってくるような時間になっても、ユースタスは帰って来なかった。……彼は一体どこに行ってしまったのか。聞いたところだと、友達のビートも一緒に居なくなってしまったらしい。
「…いや、まさか町の外に子供達だけで行ったのか?……そんなはずは、無い……とも言い切れないか。」
果たして子供だけで外に出れるのだろうか?この町は 〈B.N.T.G. 〉*1によって守られている。こっそり抜け出すなどと言う事が果たして出来るのだろうか?
…そう彼は考えていたが、子供というものは意外な所に抜け道を見つけるものだ。アルフレッドは頭の片隅に、外に行ってしまった可能性を置いておいたまま、ユースタスを探して歩き続ける。
やがて、前からビートの母親が走って来ることにアルフレッドは気付いた。
…全力疾走して来たのか、息が上がっている。
「アルフレッドさん!アルフレッドさん!私、あの子達が言った場所分かったかもしれません!」
「!?ーーーーーー本当ですか?2人は一体どこへ?」
ビートの母親は、町の外を指差した。
「外に出たんですよ!ーーーーーーあのイースターの奥さんが塔のある方向に向かってくビートを見たんですって!!」
……〈モルトタウン〉は小さい町だ。…町の中の事件は些細な事でも、忽ち町中に広がる。人々の噂好きには辟易する面もあったが、今回はそれに助けられた様だ。
「そうなんですか…いや、見てたんならなんで止めなかったんだイースターの奥さんは…。ま、良い。ーーーーーーそれにしても、塔の方か…。」
アルフレッドは、顔を顰めた。正直、困惑している……何度も行くなと言っている塔に行くだなんて!
「私、既に〈B.N.T.G. 〉の皆さんに捜索を依頼して来ましたわ。……ああ、もうビートったらなんで塔なんか行っちゃうのよ!」
ビートの母親も、憤慨していた。しかし、今の自分達に出来ることはない。〈B.N.T.G. 〉が子供達を見つけてくれる事を願うのみだ。
ーーーーーービートの母親に別れを告げ、アルフレッドは帰路につく。取り敢えず、同じ様に町を探し回っている妻にこの事を説明して、あとは神に子供達の無事を頼むしかない………と思っていた時、彼は向かい側から、誰かが歩いて来ることに気付いた。
「……なんだアレ。…騎士?」
………それは騎士だった。
ボロボロの赤いマントを羽織り、銀色の鎧を身に纏って居て、背中には大きなクレイモアを背負っている。
……一体何者なんだ…と、彼が呆気に取られていると、騎士がこちらを見た気がした。
「………!」
兜のバイザーの奥の闇からコチラに向けられた視線の強さに、思わず足を止めるアルフレッド。すると、目の前の騎士が彼に話しかけて来た。
「……ああ、丁度良かった。一つ尋ねたい事が有るんだが…良いか?」
「へ…?あ、いや…大丈夫ですが。」
突然話しかけられて、目を瞬かせるアルフレッド。騎士は頷いて、口を開いた。
「ーーーなら聞くが、最近ここに〈
…心当たりは有った。まだ最近の話だからだ。
「…ああ、はい。そんな人が居たと言う事を噂で聞きましたが…。」
「ふむ。ーーーそうか。」
それを聞いた騎士は、何やら考え込んでいる様だった。ちょっと気にはなるが、今は正直この騎士の話に付き合っている場合では無い。…幸いにも、話はそれで終わった様なので、アルフレッドは一言断ってから、その場を去る事にした。
「あの、少し急いでるのでコレで失礼します。」
そう言って、騎士の横を通り抜けようとした時、騎士がまた話しかけて来た。
「…顔色が優れない様だが……何か困り事でも有るのか?もし有るなら聞くぞ?…こう見えて、人助けは得意なんだ。」
「……!!」
通り過ぎかけていた足を止めるアルフレッド。そして騎士の顔を振り返って見るーーーーーー兜のバイザーの奥から視線を感じる。その視線は柔らかく、彼は思わずユースタスの事を話し始めていた……。
ーーーーーー話の間、騎士は何も言わずただ黙って聞いて居たが、話が終わると徐ろに口を開いた。
「…なるほどな。ーーーーーー子供は好奇心に優れているモノだ。……ただ、このバックルームでは大体の好奇心は身を滅ぼすが……ね。」
「…わ、私達は只々心配で。塔の〈The Archer〉達に見つかったらどうなるか……!」
…そう嘆くアルフレッドを安心させる様に騎士が口を開いた。
「ーーー塔の管理人達はああ見えて話の分かる方だ。……私に任せてくれないか?必ず貴方の子供と、もう1人の子供を連れ帰ってこよう。」
…それは願ってもないことだった。この騎士の素性は知らないが、アルフレッドは彼になら任せられるかも知れないと、その時思ったのだ。
「お、お願い出来ますか?……あの子達を無事連れ帰ってくれると…いま出会ったばかりの…貴方を信じても良いんですか?」
ーーーーーー騎士は強く頷いた。
「ーーーーーーーーーーーー放浪者は助け合いだ。…任せてくれ。」
…そう言うと、騎士は町の外へと歩いて行ったーーーーーーーーーーーー
◇◆◇
[
…パッパパーーーーーーー。
ーーーーーーーーーーーー遠くからラッパの音が聞こえて来た。……彼等が目覚めの時を迎えたのだ。
町の外れにあると言う塔を目指して居た騎士は、聞こえて来たラッパの音に、顔を上げた。……そして、彼の卓越した気配を読み取る力が、遠くの方で何やら騒ぎが起きている気配を感じ取った。
「……む?ーーーーーーコレは、急いだ方が良いかもな?」
…彼はそう呟くと、足を早めた。
やがて、騎士の行手に大きな塔が見えてきた。…その麓で何やら慌ただしく動いている人影達も。
…如何やら、塔の連中と揉めているらしい。ーーーー空を矢が飛び交う光景を騎士は目にした。
「……アレは… B.N.T.Gか。不用意に近付いてはいけないと知っている筈だが…子供の捜索を頼まれたのだな。」
…そして、ラッパが鳴ったのにも関わらず塔に近付いてしまったと言う訳だ。ーーーーーー騎士は一瞬で状況を理解すると、B.N.T.Gを助けるべく彼等のもとへ駆けつける。
「ーーーーーーーーーーーーほっ!」
そして、B.N.T.Gに向けて飛来する矢を剣で叩き落とし、矢を射掛けるArcher達と、B.N.T.Gの間に割って入った。
「ーーーーーーーーー!?」
「げぇーっ!?紅蓮の騎士ぃぃ!!??」
「マジか!?ーーーーーーえ、本物!?」
B.N.T.Gのメンバーが驚く声が背後から聞こえる。Archer達も同様に、狼狽えた様に構えていた弓を下ろした。
…さっきまで、ちょっとした戦場の様になっていた小麦畑に静寂が戻る。
一瞬にして、今この場を支配しているのは騎士となった。彼はArcher達に向かって口を開く。
「ーーー話があって来た。子供が2人…そっちの塔に入り込んだ様だな?……思う所はあるだろうが、解放してもらいたい。」
Archer達が騒めく。そしてその中の1人が、騎士に話しかけた。
「…子供が貴方を呼んだのか?」
「いや、私は誰に呼ばれわけでもない。囚われた子供の父親から話を聞いただけだ。とは言え、私の事は知っているだろう?…こんな時、私が如何するかも。」
…暫くの静寂。
やがて、Archer達の中から少しガタイの良いArcherが1人、進み出て来た。
ーーーーーー彼が口を開く。
「ーーー分かった。…貴方と戦うつもりは無い。この地において、最も意味の無い行為だからな。あの小さな放浪者2人は解放しよう。」
それを聞いて、安堵した様に息を吐く騎士。
「但しだ。……彼等は勝手に私達の領域に入った。何かケジメを付けてもらわねば。ーーー我々の面子の為にも…な。」
騎士は首を傾げる。
「…少年達はまだ幼い。…ケジメを付けるとしても、彼等に出来る事は無いだろう。」
Archerは首を振った。
「付けてもらわねばならぬ。ここは本来立ち入ってはならぬ場所だ。…勝手に忍び込む事は許せん。彼等に払える代償が無いのなら、代わりに腕の一本二本置いて行って貰わねば。」
それを聞いたB.N.T.G達がどよめき出した。
「こ、子供にそんな…!」
「…そんな事させられる訳ないだろ!?」
騎士は手を上げてB.N.T.G達を制する。
「子供にその様な代償を背負わせる訳にはいかない。」
…しかしArcherは譲らない。
「…罪に対して罰は必要なのだ。貴方ならわかる筈。」
ーーーーーーそれを聞いた騎士はヘルメ越しにアゴを軽くさすって、何やら考えていた。…後ろで、B.N.T.G達が固唾を飲んで見守る。
「……良し。ならばこうしよう。」
徐ろにそう呟いた騎士は、背中から剣を引き抜く。そしてそれを構えた。
まさか戦うつもりじゃ…と、誰もが考えた時だった。
「ーーーーーーーーーーふっ!!」
なんと、
『ーーーーーーはぁぁぁッ!!??』
驚くB.N.T.G達。Archer達もまた、騎士のいきなりの奇行に驚いた様だ。
「な…何を…!」
騎士が地に落ちた片腕を、傷口から流れる血を気にする事なく拾い上げる。そして、呆然とするArcher達に近づいて行った。
「ーーーーーーーーーコレで良いか?少年の腕の代わりだ。…もう一本欲しいなら、悪いが切り落とすのを手伝ってくれ。片腕じゃ、剣が振れなくてね。…コレで彼等が受けるはずの罰の代わりとしてもらいたい。」
……片腕を切り落としたと言うのに、痛々しさを感じる事のない落ち着いた声だった。
(…いや、最早コレは狂ってるだろッッ!?)
その場に居た誰もが騎士に心の中で突っ込んだ。腕を差し出されたArcherも、反応に困ってしまっている。
「……何というか…流石だな。腕一本ぐらい如何という事はない…という事か。……コレも〈虚空の秘宝〉…クリムゾンハートが成せる技か。」
騎士はちょっと驚いた様に肩を上げた。
「なんだ。…そんな事知ってるのか。思ったより博識ではないか。」
Archerが苦笑した。
「只の噂だ。だが、如何やら真実の様だな。…ああ、安心して欲しい。我々は〈
…そう言って、Archerは彼の腕を受け取った。そして口を開く。
「…さて、ここまでされては、此方もそれ相応の態度を示さねばなるまい。……子供はこの腕に免じて手を触れずに解放しよう。」
騎士はヘルメの下で微笑んだ。
「ああ、助かる。因みにその腕には少しサービスしてある。……精々無駄にしない事だな。」
Archerは彼の片腕を見た。…微かに赤い光が宿る腕を…。
「………ルーンの力か。……わかった。極力無駄にはしないでおこう。」
ーーーーーーーーーそして、彼等の前で塔の扉は開かれ、囚われていたユースタスとビートは解放された……勿論、無傷で。
◇◆◇
「ーーーーーーーーー本当にッ!!ありがとうございましたッ!!」
〈モルトタウン〉で、ユースタスを抱き締めたまま、彼の父親であるアルフレッドが騎士に頭を下げる。
ユースタスも彼に向かって頭を下げた。
「…気にするな。無事なら何よりだ。」
そう答える騎士。しかし、アルフレッドは尚も頭を下げ続ける。
「とは言われましても!見ず知らずのこの子の為に貴方は、ご自分の片腕をッ!!……何と言えばよろしいか!!」
騎士は無くなった片腕を見て、なんて事はない様に肩を竦めた。
「ああ。…腕なら心配いらない。…どうせ、また生えてくる。治す目処も立っているしな。」
「……へ?…あ、はぁ…?」
…と言われても、アルフレッド的には反応に困る所である。
「…とにかく、コレでこの件は落着だ。ーーーーーー私は行く。…追いかけねばならん放浪者が居るのでな。」
ーーーそれは多分、〈
「あの!ーーーーーー〈
………騎士は暫く何も言わなかったが、唐突に彼に質問して来た。
「ーーーーーーーーーーーー元の世界に帰りたいか?」
アルフレッドは目を瞬かせる。…もう随分と諦め掛けては居るが、戻りたいか否かと聞かれれば、それはーーーーーー
「ーーーーーーーー勿論です。……それが出来るのなら。」
騎士は満足した様に頷いた。
「………それで良い。元の世界に戻りたいという願いを捨てていないのなら、〈
それで話は終わりだった。騎士は彼等に背を向けると、彼と町の人々が見守る中、立ち去って行った………。
◇◆◇
「…さて。」
〈モルトタウン〉の外れで、騎士は空を見上げて呟く。周りには小麦畑が広がるのみで、彼の呟きを聞くものは誰も居ない。
「……ここには居なかった訳だが、果たしてどこに行ったのか…。」
ーーーーーーそう言いながら空を見上げる騎士の表情は険しかった。
「…どんな理由があれ、〈
…その言葉の意味を知る者は、数少ない。
◇◆◇
うーーーん…いざ書き出してみて思ったが…なんか思ってたのと違うなぁ…。
もしかしたら、短編にジャンルを変えて早々に切り上げるかもネ。
…許して、ユルシテ…。