ネタが無いので、打ち切っちゃおうと思ったが、いざ書き出すと何故か長くなる不思議。(*´ω`*)ネー
短編にジャンルを変えました。早めの完結目指します。
〈フロントルームは現実逃避でしか無い。本当に元の世界に帰りたいと思いますか?ーーーーーーバックルームには無限の力が眠っている。永遠の至福の時を約束しよう。ーーー貴方はこの世界の王になれる。さぁ、
◇◆◇
コツ…コツ…コツ…コツ…
……濡れたアスファルトの道の上を、誰かが歩いている。
ーーーーーー辺りは全くの闇。……目につく明かりといえば、時折道の端に現れる街灯が弱々しい光を放っているだけだ。
そして、道のあちこちに水溜りができていて、辺りを漂う湿り気を帯びた冷たい夜の冷気が、このレベルについ最近まで雨が降っていたのだろうと言う事を、訪れた者たちに感じさせる。
更に、道路の両脇には家(なんの変哲もない家だ。)が建ち並んでいて、あたかも夜の街の様に見える。……但し、普通の街とは違って、全ての家から生活の気配を感じないが。
ココはバックルーム レベル9〈暗闇の郊外〉…永遠の闇に閉ざされた危険なレベルである。
ーーーーーーーーーそんな郊外を彷徨う人が1人…。
「……はぁ、はぁ、はぁ………だ、誰もいないよな…?…だ、誰も…。」
ーーー闇の中に眠る根源的恐怖に怯えながら、その男は彷徨っていた。彼の名は『オズワルド・セントバーグ』…バックルームを彷徨う放浪者で有る。
…彼は元々、安全なレベル1で危険な旅などせずに、ぬくぬくと過ごしていたのだが、ある日突然レベル1を仲間と共に旅立って危険な旅ーーー自分が最も嫌うモノーーーを始めたのだ。
ーーーーーー何故、今まで危険など犯したくないと思っていた男が、こんな危険な旅を始めたのか。それはレベル1にある日やって来た放浪者の1人から、変な話を聞いたからだ。……そして何より、その
◇◆◇数ヶ月前◇◆◇
その放浪者はこんな事を最初に聞いて来た。
「なぁ…アンタは〈
…一体なんの話だと、オズワルドが首を振ると、ソイツは喋り出した。
「ーーーーーー終わりの始まりさ…。バックルームの中の忘れ去られた伝説のレベルだ。………そこにはこの世界を自在に操り、全てを統べることができる王冠が有るんだとよ……?ヒヒヒヒッ……この世界の全てだ!良いか?全てだぞ!?なんでも出来る様になる…元の世界で出来なかった事も…何もかも!ーーー素晴らしくないか?」
……コイツは狂ってると、オズワルドは思った。きっとこの世界に長く閉じ込められて、気が狂ったんだと。
実際〈
「…そんな美味い話あるわけないだろ。この世界を自在に統べる?…へっ!出来るわけ無い…。俺はこの下らない世界より、元の世界に戻りたいよ。………まぁ、俺みたいなチンチクリンじゃ、無理だろうけど。」
ソイツは嗤った。狂人の持つ、蔑んだ様な笑い声だった。
「ヒャヒャヒャ…!ーーーーーー元の世界なんざ戻って如何すんだよぉ??…戻ったところで何も出来やしない。……アンタは、またこの世界に訪れる前みたいに生きるのか?…毎日同じ様な飯食って、やりたくなくも無ければ、やりたい訳でも無い仕事を適当にして、一時の情熱に侵されたせいで一生を共にしなきゃいけなくなった女のキスを浴びて、明日に希望を抱く事も、絶望もしないまま、なあなあに生きるのかい?ーーーーーーダメじゃ無いか。…この世界に
オズワルドはカチンと来た。…彼は、自分が渇望する元の世界の何もかもを否定したのだ!!
「………何が言いたいんだよ?… …〈
ーーーーーーそう言って、オズワルドはその放浪者を置いて立ち去っていった。
「…ヒヒヒヒ…!すぐに分かる。俺たちは皆んな…みーーんな、選ばれた者だと言うことを………。」
………放浪者のその呟きは、オズワルドには聞こえていなかった。
◇◆◇数日後◇◆◇
あれから数日後、オズワルドは自分が住み着いている前哨基地の外れに、物資集めに仲間と一緒に来ていた。
……前哨基地の近くなら、もしもの時も助けがすぐ呼べるし、物資を基地に運び込めば感謝もされる。オズワルドは感謝されるのが好きだった。この世界で自分は無意味な存在では無いのだと……そう思っていられるからだ。
「ーーーーーー…でよ。ソイツがあんまりにも変なこと言うからさ、俺怒って帰っちまったんだよ。」
「…ほーん。んな事があったのか。」
オズワルドは物資を探して歩きながら、仲間たちに数日前のあの出来事を話していた。
話を聞いた仲間たちの反応は様々であった。
「…ソイツが狂ってる、って事には同意するが、元の世界があんまし面白くは無いって意見も、わかる気もするがなぁ。」
仲間の一人がそう言う。
「……実際よ、元の世界からしてみれば、俺たちは何年も行方不明だった訳だろ?…もし運良く帰れても、また1から何もかも始めなきゃ行けなくなる訳だ。……大変だろな。」
…何人かの仲間たちが、それに賛同する様に頷いた。
「……ま、帰れる訳が無いけどな。もし本当に〈
「はは…それこそ、夢物語だろ。〈
ーーーーーーそんな物があったら、どれだけ良いだろうか?…オズワルドは、ぼんやりとそう思った。あの酔狂な話を信じた訳では無いが、もし〈
その時、彼らは知る由もなかった。この話が、自分達の運命を変えてしまうのだと云う事を。
◇◆◇
…
レベル1の壁には、時折謎の落書きや、不明瞭な絵が現れたり消えたりする時がある。…原因は不明だ。レベル1に暮らす放浪者達はもうすっかり慣れてしまっているが、初めてレベル1に来た放浪者は驚いて恐怖を感じる事だろう。
オズワルドも、最初は不気味に感じたモノだ。…今は、もう慣れてしまったが。
……しかし、今回見た
「………!!!!何だこりゃ!?……壁に…文字が!!」
オズワルドと仲間達が見たモノ……それはレベル1の灰色の壁に大きく書かれた文章だった。……まるで詩の様な文面で、壁一面に書き込まれている。
ーーーそれは、こんな文章だった。
『〈
「……ア、〈
誰しもが、その文章に釘付けになった。……今自分達が丁度〈
「……おいおいおい…!幻覚じゃ無いよな?……誰かの悪戯とかでもなくて?」
…そう仲間の一人が呟いた。…確かに、誰かの悪戯の線もあるかも知れない…。オズワルドは、何日か前の放浪者を思い出した。もしかして〈
彼らの目の前で、その文章は跡形も無く消え失せたのだ。
「ーーーーーー!!消えたぞ!?綺麗さっぱり!!」
驚くオズワルド達。……レベル1の落書きは時折、消える事もある。それ自体は別に珍しいモノでも無い…が、今目の前で起きた現象は、コレが人による悪戯などでは無いという事を、オズワルド達にしっかりと示したのだ。
「……マジかよ。」
「何だったんだ今のメッセージ…。〈
オズワルドは、奇妙な放浪者の言葉を思い出していた。
…王冠…バックルームを自在に操る力…アンタも選ばれた………。
急速に彼の中で、〈
「……有る、のか?俺たちは…見つけられるのか?…だとしたらーーーーーー」
ーーーーーーーーーこの世界を統べて、元の世界に帰る為の出口を作れる??
オズワルド達は、色めきたった。……自分達は、もしかしてバックルームで一番出口に近づいた存在なのではないか……と、彼らはその時思ったのだ。
………そして彼等は旅立った。全てを信じた訳じゃ無い……しかし、初めてこの世界から脱出出来るかも知れない……という希望が目の前に現れたのだ。
希望が見えたのなら、ソレに縋ってみたかった。こうして、オズワルド達は〈
◇◆◇
…しかし、世の中そう上手くは行かなかった。
バックルームの脅威の前に、オズワルド達の小さな希望など、簡単に打ち砕かれてしまったのだ。
そもそも、オズワルド達は探索のエキスパートじゃない。M.E.Gから他のレベルの情報を仕入れても、それを上手く活かせるかは当人の実力しだい。
そして、オズワルド達は残念ながら、放浪者としてバックルームを渡り歩くのには、少し実力不足だった様だ。
……彼等は、レベル8に辿り着いた時、強力なエンティティ達の襲撃を受けて、オズワルドともう1人の仲間を除いて、皆んな死んでしまった。ーーーーーーーーーそして、オズワルドは洞窟で意図せずにノークリップしてしまい、最後の1人とも離れ離れになってしまったのだ。
…そして、辿り着いたのがこのレベル9だった。
このレベルに関しての情報は、オズワルドは持っていなかった。…ただ、1人になった恐怖に怯え、闇の中を彷徨うしか彼に出来ることは無かった。
「……… 〈
彼は暗闇の中で自問する。出口に近づいたかも知れないと言う希望を抱いて進み始めたが、早速このザマだ。
……自分が〈
……やっぱり、自分は選ばれたとか、そんなもんじゃないのだろう。自惚にも程がある。
…でも、彼はもう引き返せなかった…物理的にも、精神的にも。
(ここで辞めたら、みんなの犠牲は何だったんだ?… 〈
彼はそんな事を考えていた。………共に出口を目指した仲間の意志を、無駄にはしたくない。ーーーそう彼は思っていたのだ。
……だか、闇の中から彼の旅路を終わらせようとするモノが、現れた。
ソレは闇に溶け込み、不気味な笑みを絶やさぬ怪物……〈スマイラー〉だった。
ヤツは闇そのもの。人の目には知覚できぬ体を持ち、闇の中より出て、放浪者を大きな歯の並ぶ口で喰らう。
「…!!ス、スマイラー!?」
ーーーーーーーーーオズワルドは、近づくスマイラーに気がついて、思わず後ずさった。…スマイラーは有名なエンティティだ。レベル1でも、暗闇の中なら、見つける事が出来る。…見つけたくは無いが。
オズワルドは踵を返して逃げようとしたが、振り向いた後にも、
「…2体いるのかよ!?………くそッ!!」
オズワルドは悪態をついた。2匹のスマイラーはじわじわと距離を詰めてくる。オズワルドは道の端に追い詰められた。
(……死んだな…俺。ーーー〈
…後悔しても、もう遅い。スマイラーが彼を食い殺そうと、大きな口を開けたーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーが、その口が閉じる事は無かった。
「……………え?」
オズワルドの目の前で、スマイラーの開かれた口が、二つに裂けた。
…ドサリ、と真っ二つになったスマイラーが濡れた道路に倒れ伏す。オズワルドには、何が起きたのか分からない。…しかし、もう1匹のスマイラーは何かに勘づいたのか、その場から素早く離れた。
…ガシャリ。
…少し離れた闇の中から、誰かがやって来る。
人影が、街灯の灯りの下までやって来た時、オズワルドはその姿をはっきりと見る事ができた。
…ソレは、騎士だった。
街灯の灯りに銀の鎧が照らされて、くっきりと浮かび上がっている。…近代的な街灯に照らされた中世的な騎士という組み合わせは、オズワルドに不思議な感覚を抱かせた。
「だ、誰だ?」
…オズワルドには騎士が味方なのか、敵なのか分からない。一方で騎士は何も言わず、ただスマイラーを見つめている。
「……………あ。」
オズワルドは、スマイラーを見た時、驚いて思わず声を立てた。
あの、常に不気味な笑みを浮かべるスマイラーが、明らかに恐怖を顔に浮かべ、騎士を凝視していたからだ。
(スマイラーが…恐れている!?何なんだあの騎士は!?)
驚き、そして疑問に思うオズワルドの前で、騎士は一歩足を踏み出した……街灯の光に照らされた場所から、闇の中へ。
…闇はスマイラーの領域だ。
…しかし、スマイラーは動かない。まるで騎士そのものが光であるかの様に、騎士を忌避している様だった。
…実際、騎士の鎧の隙間から、赤い光が微かに漏れている様な気がした。…気のせいかも知れないが。
…ガシャリ。
…騎士がスマイラーに近づく。追い詰められたスマイラーは、逃げる事を諦めた様だ。騎士に向かって、さっきまでの怯えようが嘘だったみたいに突っ込んで行く。
……一瞬で騎士に肉薄し、口を開きーーーーーーーーー
「……闇は光で消えるものだ。……去るが良い。」
……………一瞬で切り伏せられた。
「…うおお…!」
オズワルドは思わず声を漏らした。騎士の剣さばきは、彼の目には一切捉える事が出来ず、スマイラーが騎士に飛びかかったと思った瞬間には、全てが終わっていた。
ーーーーーーーーー次元が違った。
…これだけの力がもし自分に有れば、もっとマシな運命を辿る事が出来たのだろうか?
「……怪我は無いか?」
オズワルドが呆然としていると、騎士が話しかけて来た。頷くオズワルド。
「は、はい。ありがとうございます……貴方は……その…。」
「ーーーーーー私は騎士だ。…話は何処か適当な家の中でしよう。家の中ならエンティティ達に認知される事はないからな。」
ーーーーーーーこうして、オズワルドは騎士によって救われた。…少なくとも、今は。
◇◆◇
適当な一軒家の中で、オズワルドと騎士は向かい合っていた。
「……ところで、貴方は誰なのですか?」
騎士から貰ったアーモンドウォーターを飲みながら、オズワルドは向かいに座り込む騎士に話しかけた。
「ーーーさっきも言った通り、私は騎士だ。…そう呼んでもらって構わない。……貴方の体力が回復したら、貴方を安全なレベルに送ろう。」
…そう言った騎士は、白いハンカチを何処からとも無く取り出すと、それで剣の手入れを始めた。
…金属が磨かれる音が静かな部屋に響く。
「……安全なレベル…ですか?」
「…そうだ。…何か望みがあるのか?……上手くいくかは分からんが、行きたいレベルがあるのなら、連れて行ってやる事も出来なくは無いが。」
…『行きたいレベルがあるのなら』…そんな騎士の何気ない一言に、オズワルドは思わずこう答えていた。
「…〈
…騎士の剣を磨く手が止まる。
そして、オズワルドの顔を凝視した。
オズワルドの顔を見た騎士の表情は窺い知れないが、彼から凄まじい圧を感じて、オズワルドは思わず身じろぎした。
「〈
〈
…彼の声には、明らかな威圧感があった。返答次第では、もしかしたら自分は殺されるのでは無いかと思うぐらいに……。
「わ、私は人から聞いたんです。… 〈
騎士の視線がオズワルドに刺さる。……目の前に白刃を突きつけられている様な気がした。
「……あるなら、私はこの世界の出口を求めようとしたんです。ーーーーーーーーーそれで仲間達と一緒に……。」
…そこまで言ったところで、騎士の視線が少し和らいだ。騎士が幾らか柔らかくなった口調で口を開く。
「……なるほど、希望を求めに行ったのか。」
「ハイ……結果はこのザマですが…。」
騎士は剣を鞘にしまい込むと、彼の両肩を両手で包み込む様に掴んだ。…そして、彼の目を見て話し始める。
「良いか。一つ大事な事を言っておく。ーーーーーーお前の全てが懸かっている事だ。よく聞いて覚えておけ。」
騎士の手は重く、やけに真剣な口調にオズワルドは気圧された様に頷いた。
「は、はい。」
「〈
…彼の意味する事は余り分からなかった。〈
「〈
オズワルドは頷いた。ただ、心の中にまだ〈
ーーーーーー騎士は彼の肩から手を退ける。
そして、彼の為に
◇◆◇
オズワルドは、騎士の手によってレベル11へと送られた。
……レベル11は、バックルームの中でも最も安全なレベルだ。彼はここでなら、レベル1より豊かに生きる事が出来るだろう。
…しかし、彼は心の中でいつも〈
…仲間達は、自分と共に〈
…これで良いのだろうか?…彼はいつもそう思っていた。
確かに騎士は言った。… 〈
オズワルドは、自分がこの世界で無意味な存在になりたく無かった。何者かになりたかった。……只の自惚だとしても自分は、バックルームに救いをもたらすのだ…と言う使命を帯びているのだと言う意識があった。
…………そうだ…俺は何者かになりたい。〈
「……そうだ、行けば良いんだ。…… 〈
その思いは止められなかった。…勿論、躊躇いもあった。それでもオズワルドは望んだ。……彼は何かに成れるのならもう、何でもよかった。
…彼は、歩き出した。
破滅に向かって。
◇◆◇
発作的に描き始めた話は、ネタ切れが早いので謎のレベル〈
やる気がまだギリあるうちに、とりあえず10話以内の完結を目指しましょっかねぇ〜