……ボケっとしてたら5日ぐらい空いちまったゼヨ。
サブタイの書き方すら忘れちまったゼヨ。
……YU RU SI TE (パーティーパロット風)
……その男に出会ったのは、もう随分と前の事だった。
…どのレベルで出会ったかは、憶えていない。
ただその男は、ある日突然現れた。…そして、自分の運命を変えたのだ。
◇◆◇
「ーーーーーーーーー良いな。…お主。」
全てを失い、ただ目につくエンティティを殺し尽くすだけの殺戮者と成り果てた自分の前に、その男は突然現れた。
漆黒の髪に、闇の中で光り輝くオレンジの瞳。
…人に見えるが、人のモノとは思えない気配を漂わせていた。ーーーーーーあたかも、このバックルーム全てを何処か俯瞰して見ているかの様な、超越的な佇まいだったのだ。
誰だと誰何する事なく、
俺は無意識のうちに彼の前に跪いていた。彼の声が頭の上から聞こえる。
「………利口な男だ。益々気に入った。………顔を上げろ。」
俺は顔を上げた。オレンジの瞳が私を見下ろす。その目から感情は一切感じなかったが、俺はむしろそれが普通なのだと感じた。
「……お主に話がある。他の誰でも無い、お主にな。気になるか?」
俺は頷いた。彼は話し始める。…あたかも、全てを見通しているが如き、自信に溢れた
「ーーーーーーお主はこのバックルームに永く閉じ込められている。出口を求めても見つからず、親しい仲間達も失い、死にたいと思っても死ぬ勇気が無く、戦いに明け暮れ、ただ虚無を抱えて歩き続ける者と化している。」
全て、自分の事を言っているのだと、俺は思った。…彼は自分の辿って来た道のり全てを知っているかの様だった。
「……だが、よく考えて見たまえ。そこまでして元の世界に帰ってお主は何が出来る?ーーーーーーーーー何者でも無い日々に戻るのか?…バックルームには、お主を誰でも無い、唯一無二の存在に出来る力が眠っている。月並みなセリフだが、敢えて言おう……
…その男の言わんとする事は、その時は余り理解できなかった。しかしその話を聞いた時、長い間バックルームを彷徨い、意味の無い戦いに明け暮れた挙句、
「…お主は強い。ーーーーーーーーーここまで生き延びて来た。この死屍累々も、お主が一人で為した事だ。お主には資格がある。…挑戦する資格がな。」
「挑戦……?」
…俺の声は掠れていた。この男は間違いなくこれから先の自分の人生を変えると、私はその時悟った。
「ーーーーーーーーー
「……ア、ALPHAOMEGA……?」
俺は小さく呟いた。なんと言おうか…その名前は、決して言葉に出してはならぬ様な、禁忌的な響きをしていた。
男は頷いた。
「……そうだ。其処では、全てを統べる力を得る事が出来る。辿り着きさえすれば。…どうだ?試してみるか?ん?」
俺は震えていた。…返答次第では、これから先の自分の運命は大きく変わることになるだろう。
心の中の何処か奥深く…まだ人としての意思が残っている部分が、警鐘を鳴らし続けていた。
(頷くな!頷くんじゃない!!その道は破滅だぞ!!!)
ーーーーーーーーーと。
しかし、俺は…頷いた。
「ーーーーーーーーーああ…試してみよう。……たとえ、昏き闇への道だとしても。」
男は静かに嗤った。
「…殊勝な事だ。……頑張りたまえよ…放浪者よ。ーーーーーーーーー忘れるな…放浪者達は皆、この世界に選ばれた者だと言う事を。……間もなくすれば、皆気づく。そしてお前と同じ様に〈ALPHAOMEGA〉を目指すだろう。……最初に王冠を手にする者に、なって見せるが良い。」
…その言葉が、今に至るまで自分を駆り立てている。
行け、ALPHAOMEGAへ…。
ーーー行け!!ALPHAOMEGAへ!!!
◇◆◇
〈 バックルーム レベル11 〉
〜
ALPHAOMEGAを探す放浪者を探して、騎士はレベル11を訪れていた。
…その放浪者は、人々にALPHAOMEGAについて話を広めているらしい。…実際、少し前にその放浪者からALPHAOMEGAについて聞き、自分達も目指しだしたーーーと言う放浪者に会ったばかりだ。
…これ以上、あのレベルの話を広められる訳には行かない。
……その放浪者を見つけ、ALPHAOMEGAを目指す事をやめさせねば。騎士はそう考えていた。
(あのレベルに、救いなど無い。…確かに力はあるかも知れないが、それだけだ。ーーーーーーーーー元の世界を捨てる理由にはならない。)
騎士はそう思いながら、レベル11の街を歩く。
途中、ALPHAOMEGAの事について尋ねて回っている放浪者が居ないか、それと無く道ゆく〈フェイスリング〉に尋ねてみたが、彼等からは何の情報も得られなかった。
(まだこのレベルに来ていないのか……。いや、このレベルは広い…小さなコミニュティ内ならともかく、こんな大都会では、噂は広まり難いか。)
ーーーとは言え、放浪者に聞いて回るわけにもいかない。…前に〈レベル10〉の〈モルトタウン〉で、ALPHAOMEGAに一瞬でも興味を持った人間が居たように、自分が尋ねる事でもまた、この噂を広めてしまう事になりかねない。
騎士には、ALPHAOMEGAを探す放浪者は人の多いレベルを選んで動いている様に思えた。
…その方が、ALPHAOMEGAの情報を仕入れる事が出来る確率が上がるだろうし……それに、噂も広まる。寧ろ、そっちの方が本命なのではないだろうか?
(ただ無作為に尋ね回っているんじゃない……おそらく、噂を広めようとしているのだろう。だから沢山の人が聞いている場所で、尋ね回っている…。)
まったく、恐ろしい事をするものだ。ーーー人は絶望している時、たとえ微かなモノでも希望を見つけたら、縋りたくなってしまう。…それは悪い事じゃないし、当たり前のことだ。
ーーーーーーーーー誰もが一縷の望みを賭けるに足るモノを求めている。そんな時に、ある種の希望の形ともいえる〈ALPHAOMEGA〉の事を聞いたら、どうなるか…想像に難くない。
(必ず、かの放浪者を見つけ、〈ALPHAOMEGA〉を探すのを辞めさせなければならない。)
騎士はそう思っていた。
…そして、おそらく裏で糸を引いているであろう
(…放浪者がただ彷徨うだけで、この世界の根幹たるALPHAOMEGAについて知る事はない筈。必ず最初に放浪者に〈ALPHAOMEGA〉について啓示をもたらした者がいる筈だ。……心当たりならあるしな。)
…ただ、心当たりがあっても今の騎士には出来る事がなかった。
…探すしかない。この広いバックルームで、特定の何かを探すのは途方もない時間がかかるだろう。…しかし、彼に時間なら幾らでもあった。
(……見つけ出して…その放浪者の返答次第では、私の手で葬らねば。)
…そう騎士が心に誓った時だった。
「ーーーーーーーーーむ!?」
ーーーーーーーーー騎士は
…脈打つ鼓動を…。街の雑踏に紛れて、何か普通の放浪者とは異なるモノが、歩みを進めている。それは、騎士の警戒心を最大まで引き上げさせた。
(この鼓動は……〈クリムゾンハート〉!?まさか、
騎士は突き動かされる様に、自分にしか感じぬ鼓動に向かって、歩みを進めた。
◇◆◇
〈???視点〉
…最初にレベル11に辿り着いた時、感じたのは自分と同じ鼓動だった。
「ーーーーーーーーーあ?なにかが脈打ってるぞ?………俺と同じモノが居るのか?」
俺は、顔を上げた。その鼓動の気配は自分に真っ直ぐに近づいてくる。…こうなりゃ、ALPHAOMEGAの事なんか今はどうでもいい。
「…誰だ?俺と同じ奴は。」
ーーーーーーーーーそう、俺が呟いた時目の前にその鼓動の主が姿を現した。
ソレは、騎士だった。
…街に吹く風を受けて翻る赤いマント。細かな傷の入った燻んだ銀の鎧と、背に背負った身の丈ほどもあるクレイモア。…ソレは、近代的な大都市の景色にはとても不釣り合いな姿だった。
そんな騎士はこちらに近づいてくる。俺もまた、騎士に近づいた。…自分にしか感じない鼓動が、騎士から響いてくる。ーーー俺達は、互いに目と鼻の先まで近付いて向き合った。
「ーーーーーーーーー貴方は…。…いや、貴方も…?」
騎士が俺の心臓を指差した。
俺は頷いた。
「…ああ。アンタもなんだな。〈クリムゾンハート〉の持ち主は。」
騎士は頭を抱えた。…そして、小さく呟く。
「…なんたる事だ。こんな呪われた祝福に身を落とした者が2人も居るとは…。」
……そんな騎士を見ているうちに、俺の中に大昔に聞いた記憶が浮かび上がって来た。
(ああ…そう言えば、聞いた事がある……
ーーーーーーーーー放浪者に救いの手を差し伸べる存在。…救いを求めていた頃の自分の前には、終ぞ現れる事はなかったが……
「…なぁ、アンタ
騎士は頷いた。
「ああ、そうだ。……キミはどうやってその心臓を手に入れた?」
俺は首を振った。………手に入れた経緯を、話したくは無かった。ソレは辛く、苦しい記憶だったから…………
「……そうか。話したくないのなら、それで良い。確かに人に語れる様なモノでは無いしな。」
騎士がなにを思ったのかは知らないが、彼はそれ以上〈クリムゾンハート〉について聞いてくる事は無かった。
ーーーなら、それはそれだ。俺は騎士に向かって話しかける。…彼に尋ねたい事があったのだ。
ーーーーーーーーー
…コイツなら、自分が求めて止まない〈ALPHAOMEGA〉への道を知っているかも知れない…。
知らないなら、それはそれで構わない……また、歩き続けるだけだから。
「ーーーーーーーーーなぁ、〈ALPHAOMEGA〉って知ってるか?」
「ーーーーーーーーー!!!」
…俺がそう言った瞬間、騎士の体が強張った。……そして、長い沈黙が俺たちの間を漂う。
「…まさか、キミが…!?」
騎士の声は掠れていた。バイザーの奥の闇から、強い視線が注がれる。
「何の事だよ?ーーーもしかして、ALPHAOMEGAの事何か知ってるのか?」
そう言った時、目の前で騎士がいきなり俺の肩を掴んできた。
「ーーーーーーーーー!?」
訳がわからず騎士の顔を見ると、騎士は強い口調で諭す様に俺に思いもしない事を語りかけて来た。
「ーーーーーーーーーキミだったのか…ALPHAOMEGAを目指す放浪者は!ーーーーーーーーーいきなりだが、聞いてほしい。… ALPHAOMEGAを目指すのは辞めるんだ。…キミの為になる事など、あの地には何一つとして無いぞ!!」
「ーーーーーーーーーは?」
…それは唐突なモノだった。俺の頭の中にあらゆる考えが浮かんでは消えていく。
(この発言…知ってるのか?ーーーいや、なら何故辞めさせようとする?ーーー救いの地を知っているのに?ーーーコイツは目指していないのか?)
俺は騎士の手を肩から振り払った。
「ーーーーーーーーーいきなりなんだよ?…… ALPHAOMEGAを目指す事の何が行けないんだ?……元の世界に戻ったって俺はもう何も成せない。………俺は絶望の淵に居たんだ。…今もまだ続いているがね。でも、もう良いんだ… ALPHAOMEGAに行けば全てを手に入れられる!ーーーーーー絶望する必要なんてなくなるんだ!」
それを聞いた騎士は、呆然と首を振って呟いた。
「……ソレは救いにはならない。……元の世界に戻る事を諦める事は、バックルームに屈する事を意味する。放浪者にとっての救いは、現実への帰還以外に無いのだ。ーーーーーーーだから、〈ALPHAOMEGA〉の事など忘れるんだ……ソレがキミの為にもなる。」
俺は顔を顰めた。
「ーーーーーーーーー断る。……全てを手に入れるんだ、俺は!!……ソレが俺にとっての救いだ!!アンタは俺の辿って来た道のりなんざ知らないだろう??ーーーーーーーーー邪魔するなら……ッ!!」
俺の叫びを聞いて、周りにいる人達が『なんだなんだ』と騒めき出した。一方の騎士は小さくため息を吐いて、剣の柄を握りしめた。
「ーーーーーーーーーキミは限りなき力を望む者か。…そして、ソレが救いだと思っている。ーーーーーーーーーキミは騙されているぞ……この話をキミにした者がいる筈だ。ーーーそうだろう?」
俺の頭の中に、かつて、自分に救いを示してくれた男のオレンジ色の瞳が過ぎった。………あの男が嘘を?ーーーーーーいや、そんな訳がない。あの男は真実を言っている…ソレは間違いない。
「そんな訳ないだろう!?…
俺もまた、腰にぶら下げた剣の柄を握る。
辺りに漂う一触即発の空気の中で、騎士は呟いた。
「ーーーーーーーーーキミも私も、同じ呪われた祝福たる〈クリムゾンハート〉の持ち主……出来れば殺し合いなどしたく無かったが、致し方無しか。ーーーーーーーーーならば最早これまで…だな。」
そして、騎士は身の丈ほども有るクレイモアを引き抜いた。戦いが始まるのだという空気を感じて、辺りの野次馬達が蜘蛛の子を散らす様に逃げ出して行く。
ーーーーーーーーーそして、2人はレベル11の中心で激突した。
ッスー……小説書くのってこんなに難しかったんだ…
ちょっと1分ぐらいの思いつきだけで発作的に話を始めるのはダメっすね。ハイ
反省してます。
…ま、失踪しようと思ったらいつでも逝けるんですけど、私の心の中のエレンが「お前が始めた物語だろ」って囁いて来てるんで、しっかり責任とって完結させます。
次々回ぐらいを最終話とする予定ッス。