うp主はお酒知識0だった為、このお話を書くにあたりお酒を勉強しました……が、所詮付け焼き刃です。
詳しい方は広い心で受け入れて下さるか活動報告でアドバイスを頂けるとこれ幸いでございます。
アドバイスを頂いた場合ちゃんと修正を致します。
ーー大和です。
「もう少し手首をくるっと回す感じで……」
「こうですか?」
「そうそう、いい感じいい感じ……筋がいいなぁ」
しゃかしゃか
妖精さんや鳳翔さんの仕込みの音に氷の擦れる涼し気な音が混ざります。
「そろそろいいかな」
隣の補佐さんの手が止まるのを確認して、私もシェイカーを振る手を止めました。
ーー私は今、補佐さんからカクテルの作り方を教えて頂いています。
「じゃあ上の蓋を開けて注いじゃって」
「はい!」
小気味良い音を響かせトップを外し、シェイカーを傾けます。
すると仕切に氷の当たる感触の後、オフホワイトの液体が逆三角形のグラスを満たしました。
「なんですてあはおしえてないです?」
「あ〜……アレねぇ、私も教えられるレベルじゃないのよ。それに専用のスプーン買った方が圧倒的にラクで美味しいからねぇ……本気でバーテンダーになりたい訳じゃないからいいかなって」
隣では補佐さんも、よそ見をしているのに寸分の狂いなく注いでいます。
「ん〜……どうしようかね……どうせなら飲み比べをしてみようか。ジンライム……モドキだけど、すぐ作っちゃおう」
「さんせーです」
「やまとさんのためにほそくすると、ざいりょうはだいたいおんなじです。しぇいくするのがぎむれっと、すぷーんでまぜるのがじんらいむですよ……おあっ」
成程……なんでそれを妖精さんが知っているのでしょうか?あと、私でも違いがわかるでしょうか?
解説をしながら勝手に飲もうとして、グラスごとコケそうになった妖精さんを支えてあげます。
「そっちの方がシェイクの特徴がわかりやすいでしょ……正直、これの為にギムレットを選んだまであるからね」
余ったグラスにジンとライムジュースが注がれ、そのままくるくると混ぜられていきます。
どちらから頂いてみましょうか。
そんな少しの思案は、ギムレットの入ったグラスがシャッフルされた事で頭からとんでしまいました。
「え、ええ!?」
「どっちがどっちの作ったギムレットか当ててみない?……あ、提案してから気がついたけどこれ、逆を答えられたら実質的に私は初心者に負けたことになっちゃう……?」
「おもしろくなってきました」
「これがぬきうちかくづけちぇっくですか」
か、格付けチェック……
思わぬプレッシャーに喉を鳴らしてしまう私。
やめとけば良かったかなというような表情の補佐さんと、それを眺めてキャッキャと盛り上がる妖精さん達。
目の前のグラスは2つとも同じ様子で机上に佇んでいます。
意味が無いとわかっていても、それをむむっと見つめずにはいられません。
答えがわかっていても違いがわかるか不安だったのに、混ぜてしまったら……いえ、弱気になってはいけませんね。居住性の自信はありますから!
大和、推して参ります!
「で、では……!」
酔うわけにはいきませんから、それぞれ少しづつ頂きます。
「……ええっと……補佐さんのが右ですかね?」
あくまで私の印象なのですが……右の方が飲みやすかった気がします。
「私も飲んでみるか……お〜!美味しい……こっちは……うん、こっちも美味しい」
「かんそうがおいしいしかないあたりちがいがわかっていないのでは?」
「これはさいのうなしですね」
「こら、そんな事言っちゃいけません。失礼でしょう?」
野次を飛ばす妖精さんを窘めます。
自然すぎて気が付かないかもしれませんが、ここまで妖精さんが自由気ままに発言するのは珍しい事です。どうしたらここまで妖精さんと親密になれるのでしょうか?
「いや、妖精さん。私の言い分を聞いてくれ。大和さんが初心者なのに上手いから仕方ないんだ」
「ならしかたないですね」
「さすがやまとほてるさんです」
ホテルじゃありません!
「じゃあ、おまけでこれも」
「ありがとうございます」
差し出されたジンライムも飲んでみます。
……あ、これも美味しいですね。でも私は、どちらかというとギムレットが好きかな?
「じゃあ、結果発表!右が私、左が大和さんって感じだね。正解!正直な事言うと、お家でこのクオリティが出てきたら私はビビり散らかすよ……。ほんとに大和さん初心者?想像の倍以上上手かったんだけど」
「いえそんな!補佐さんの教え方がお上手だったからです」
補佐さんの説明がわかりやすいからこそ私もちゃんと作れたんです。そんなにご謙遜なされないでもいいと思うのですが。
……でも、褒めてもらえるのはやっぱり嬉しいですね。
「違い、わかったでしょ?」
「はい、シェイクされていた方がやわらかかったです」
「そうそう。つまるところ、こうやってシャカシャカする事で空気を混ぜて、アルコールのトゲを和らげて飲みやすくしてる訳だね。薄めず温めず飲みやすくするのが一流……まあ私は三流程度なわけだけど」
「なるほど……」
「つまり、やまとさんとほささんでろくりゅうになるわけですね」
「ほしむっつです」
やっぱり補佐さんの説明はわかりやすいです。
あと妖精さん、足したせいで下がっちゃってますし、ミシュランでも星は3つまでです!
喋っている子とは別の妖精さんからメモを受け取り、お気に入りの赤色のペンで、少し大きめの字で書き留めます。もちろん説明の方をですよ?
「とりあえず、今日教えられるのはここまでかな。その道具一式は大和さんにあげちゃうから、暇な時にでも作ってみたらいいよ。連絡してくれたら色々教えるしね」
「そんな!こんないい物を大和が頂くなんて!」
バーテンダーの道具一式なんて、とても高いに決まっています。それに水での練習の時、振りやすいでしょ?と言っていたのを私はしっかり聞いていました。
机の上で銀や透明に輝く道具達は、補佐さんがこだわって選んだものだということは大和でもわかります。
「まあまあ、お手伝いしてくれるんでしょ?それと、練習してまた振舞ってよ。それがお代って事でここは1つ」
「でも……」
「もらえるときにもらっておいたほうがおとくですよ」
「ぱわーあっぷはできるときにしておかないとこうかいしますよ」
妖精さんまで……
あと、そのパワーアップってホテルとしてのパワーアップですよね?もう一度言っておきますが、大和はホテルじゃありません!
「……はぁ〜……何度も言うけど、無理に付き合わなくていいからね?」
「大丈夫です。新しい事を学ぶのは楽しいですし、お役に立てるのは嬉しいですから」
時間を確認した補佐さんが、両手を机について視線を床に落とし、いかにも気が重いという様子で訊ねてきます。
補佐さんは心配性ですね。私だって嫌だったらお手伝いの提案なんてしませんし、こうやって2人で練習なんてする訳ないじゃないですか。
そんな気持ちが伝わったのでしょうか?
顔をあげた補佐さんは、覚悟が決まった人の顔をしていました。
あれ?これってただお酒を振る舞うだけでしたよね?大規模作戦の前とかじゃありませんよね?
そんな私を置いてけぼりにしたまま、補佐さんは扉の方を見て目を細めました。
「……よしっ、来いっ!」
「かんぜんにてんしょんがけっせんまえです」
「たぶんこきょうにまもるべきひとがいるんですよ」
ですから、これは艦隊決戦前ではありませんからね!?普通の飲み会前ですからね!?
前回の幕間よりは上手く書けた気がします。
お酒の勉強が思った以上に大変なので続くかは未定です。
ああ、あと、評価者があと一人でバーに色が着くところまで来れました。どきどきです。ここまで見てくださっている皆様に感謝。