すらっぎーあにみずむ!!!~動物が人になる現代世界で動物嫌いがヌルヌル生活~   作:囚人番号虚数番

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漁村

 

今日も晴れの日。くも一つない空だから体が乾いて嫌になっちゃう。だから日傘を差してぬるぬるをいつもより多めに出しておく。日傘も忘れずに。今日みたいな日はすぐに熱くなっちゃうからね。

 

「カツユ、折角だから新しいサンダルを履いてみない?」

 

「うん」

 

今日は草加もいっしょだよ。この前は一人で出ていって怒られちゃったから二人で村を見て歩きたいって。暑いのはいやだけど、草加と一緒ならどこでもついてくから。

 

「ねー、今日はどこいくの?」

 

「この村を適当に歩くよ。街と違ってここには危ない物も不審者も少ないから一人で出歩いてもいいかなって」

 

「一人で歩いていいの?」

 

「何もないここでの遊びといえばインターネットか友達とアウトドア位だから」

 

この村には何もないらしい。草加はここに来る前からいつもそう言ってた。今までは町ってところにいたから大きな店がいっぱいあった。でもこの村には向こうとはまるっきり違って小さな家が多いみたい。ちっちゃい建物はかわいいし、誰かがいる空気を感じる。

 

「あとは……ここにはアニマが多いから同族同士で友達をつくれるでしょ?」

 

「草加もお友達いるしね。私もがんばる」

 

 

 

ー--

 

現在位置 偉守学校

 

潮風の当たる古い木製の校舎。かつての過疎地の丘に残る寂れた学び舎は現在はアニマとその家族の子供の学校となっている。体年齢と知識が比例しないアニマの為に年齢の区分は希薄であり、小中学校をこの校舎1つで終える。

 

現在は7月の終わりごろ、この学校は夏休みに入っている。校庭は解放され、常に数人の子供が訪れている。とはいえ、今はただの待ち合わせ場所に過ぎない。スマホと携帯ゲーム機を片手にここに集まり、近年のIT化に伴い設置されたフリーWi-Fiとコンセントを借りて遊ぶ者が大半である。

 

 

 

ここは小学校ってところ。私くらいの人間とアニマが勉強するところ、草加がたまに連れて行ってくれた大学の仲間でいちばんかんたんな場所らしい。私もいつかここに通うのかな。草加は庭を眺めてちょっと寂しそうな顔だ。

 

「子供の頃は夏休みでもサッカーとかで遊んでたのに時代はゲームだよね。遊ぶゲーム機も僕の頃はもっと古かった」

 

ふーん、人間って元は子供だったんだ。それで玄関の前の日陰で遊んでる子の持ってるゲーム、草加が家から持って来てたのと同じだ。あ、男の子が勝って叫んだ。しかもどこかで聞いた単語があるかも!

 

「! あの子も同じの持ってる!」

 

「よかったね。友達、きっとできるよ」

 

草加も気がついてくれたからうなずいた。絵の好きな友達も見つかるといいな。

 

ーーー

 

次に学校から道なりに下り駅の前、駅って色んなものがあるってネットだとあったのにここには何もない。けれどここを曲がると小さな漁港があるらしい。ぎょこうってなに?お魚の匂いがするからいっぱいお魚がいるところかも。船って乗り物が沢山あるらしく、それは海辺に遠くに止まってたあれらしい。

 

今までで一番潮の匂いが濃い道は草加は苦手って言ってたけれど海が見たくて近くを歩いてる。それと草加は私に泳がないでって言われた。

 

「泳がないよ。水着着てないから」

 

「この辺の子は昔からTシャツ一枚とかでも平気で泳いでるけど僕も分かる。昨日の海辺以外では泳いじゃだめだからね」

 

「はーい」

 

でもちょっと残念かも。だって海だよ?きっと広いし深いから潜ったら魚もいっぱいいるはずなのに。あ、でもお魚ならここで買えるかな。漢字はまだ難しいけどこの近くのお店にはみんな「魚」って書いてあるのがあったから。

 

「草加、ここって魚のお店でしょ?」

 

「そうだよ。漢字、覚えられたんだ。」

 

「ゲームの漁村?ってところでいっぱい読んだからね」

 

私が胸を張ると草加はため息をついた。そして何か言いたげな顔をするけれど、結局何も言わなかった。ま、いいか。

 

ここにはお店が並んでる。小さなスーパーとかがあってこっちのほうが便利そう。

それで道を歩いてると。私が気になるのはその中でも小さな店。色んな子達が集まって何かしてるらしいけれど。店の雰囲気も違うし。

 

「草加、あそこは?」

 

「あそこは駄菓子屋だよ。お菓子とか玩具が売ってる」

 

お菓子……!すぐにお店に駆け寄って遠目に中を見ると小さなお菓子がいっぱい並んでて初めてだけど何だか見ててたのしい。しかも見たことないのもある!草加、買って!

 

期待の視線を向けながら振り返って草加に願いを訴える。草加はポッケのお財布があるのを確かめてから「いいよ、一つだけね」って。いいのね!私は傘を閉じて店の中に入る。

 

中には子供のアニマが2人と人が一人、私より大きな子だった。そして私が入ると同時におしゃべりしながら入れ違いで出て行った。だから今は店には店員のおばあちゃんと私、それと草加だけ。

 

「お、おお。いっぱいだ、それにおてごろ」

 

売ってるお菓子はなんか古臭い包装の物ばかり。でもどれもおいしそう。でも、どれが一番おいしいのかわからない。草加はどうなのかなって思ったら、私の隣で一緒にお菓子を眺めていた。

 

「カツユは何が欲しいの?」

 

「えっと、これ」

 

手にとって見せたのは小さな袋に入ったチョコバーみたいなやつ。でも中身はよくわかんなくて、でもなんだかいい香りがしそうだからこれが一番好きかも。

 

「じゃあそれでいいんだね、僕が払うよ。僕も買っていい?」

 

「いいよ、ありがと」

 

草加はお金を払ってくれた。これで私の分と草加の分の二つ。レジのおばあちゃんに渡すと、おばあさんはニコニコ笑って「はいよ」と言って受け取ってくれる。

 

「おんや、草加のあんちゃんか。久しぶりだねぇ。大学に出てって以来かい?」

 

「お久しぶりです」

 

「草加はおばちゃんと知り合いなの?」

 

「うん、昔は良く来てくれてたんだよ。でも最近はめっきり見なくなってねえ。今日は娘さんも一緒かね」

 

「は、初めまして……」

 

急に話しかけられてびっくりしたけど挨拶できた。

 

「おやまぁ、礼儀正しい娘さんだね。ほれ、おまけしとくよ」

 

そう言って渡してくれたのはさっきのチョコレートの別の味。

 

「いいの!」

 

「カツユ……ありがとうございます」

 

「別に気を使わんても、こんくらいの子は孫みたいなもんだしねぇ。それに草加さんちのお孫さんもすっかり動物の子とまた仲良くなって……」

 

「そうなの草加?」

 

そうして草加に目を向けると……

 

「……」

 

……何あれ、見たことない暗い顔。おばあちゃんは気がついてなさそうだけど私にはバレバレだよ。草加は私達みたいなアニマと話すときたまにあんな顔になる。今日は特に酷い顔、目線もぶれぶれだ。

 

ま、私は気にしてないけどね。

 

「狭い店に長くいるのは迷惑だ。帰ろう」

 

草加は私の手を強引に引いて店から出る。狭いって言ってもここには私達以外は誰もいないのに居心地が悪そうだった。私はあそこの雰囲気、好きだったんだけどね。だから私は軽い気持ちで聞いてみた。

 

「草加、アニマ嫌いだったの?」

 

「そんなことはないよ。古渡とか海音先輩もアニマだけどいい友人だよ」

 

「だよねー」

 

だって草加はいつも優しいもんね。私はともかく、アニマが嫌いだとは思えないよ。手を握って歩いても何も言わないで握り返してくれるんだから。帰り道、少しだけ潮の匂いが強くなった。

 

「このまま帰るの?」

 

「スーパーで買い物する。母さんから頼まれた。何か欲しい物ある?」

 

「お魚が食べたい気分」

 

スーパーの中に入ると、そこは外とは違って賑やかだった。色んな野菜があって、果物もあって、お肉もお魚のコーナーもある。ここのお魚はこの港で取れたお魚もいるらしい。氷の上に並べられたお魚をじっと見つめる。

 

「鮮魚は母さんと相談だね。夕飯で食べるならならまた後で来よう」

 

その後ろから草加に呼ばれた。違うの、食べたい気持ちはあるけれど今はそうじゃない。

 

「お魚、美味しそうだよね」

 

「だね。あ、ちょっといいカニカマ売ってる」

 

「買うー!」

 

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