あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~ 作:だいだろすちひろ
ナズル「我はふくよかな竜王ナズル!」
リーネ「オムレツうめー。」
♦
―――「流水加速!!」
その掛け声と共に周囲の風景がまるで”ヌルリ”とゆう効果音が聞こえてきそうな光景に変貌を遂げる。その様はまるで”時間”が操作されたかの様に錯覚させる。いや、実際に時間が鈍くなっているのであろう。使用した人物の動きが明らかに速くなっている。
「はぁ、はぁ。で、できた!」
掛け声を放っていたのは”アンティリーネ”ことリーネであり”元の世界”に”滞在”している間に”この世界”でしかできない【武技】の練習の真っ最中であった。
ここはいつもの裏山、リーネの秘密基地だ。何やらここ最近”この山”に”モンスター”が出没したらしく”地面”が抉れており、”大木”が”真っ二つ”になっていたらしく”一週間”ほど”立ち入り禁止”にされていた。結局はモンスターの姿は発見されず立ち入り禁止規制も解除されたのだが。
「やっと成功したよ、武技って難しいな、なんでお母さんこんなのポンポン出せるの?凄すぎ。」
母との和解―――完全な和解とは至ってないが関係性は見違えるほど解消された。今では普通に会話もするし、食事も共にする。和解できていないのはリーネの進んでいく人生についてだ。
「お母さんがもっときちんと教えてくれれば違うのかな~。ケチよね。」
母は娘を戦いの場に出すのを拒んでいる、娘には普通の幸せを掴んで欲しいのだ、自らが掴めなかった”普通”を。
なので武技一つとっても容易には教えてくれない。この武技ですら見本を見せて貰っただけである。本当は見せたくも無かったようだが、リーネが屋敷の庭で地面に寝ころび両手足をジタバタさせてねだりまくったからどうにか見せて貰えたに過ぎない。
(ふふん、あれぞ、モモンガさん直伝、買って、買って、よ!今回は見せて、見せてだったけど。)
甘えるのも上手くなった物だとリーネは思う。実際は、その結果、衝撃で屋敷が揺れ出して、顔を真っ青にした母が慌てて見せてくれたのだが。
「この世界もコンソールでピッピッてできないかな?なら簡単なのに。」
余りにもあんまりな事を呟く少女の姿がそこにはあった。ユグドラシルを行き来しているせいで感覚がおかしくなっているのであろう。”努力”を忘れかけている。
「駄目駄目!頑張るのよ、私!”今日”逃したら”しばらく”武技の訓練できないんだから。」
母との壮絶な言い合いから今日で一週間だ、いつも道理なら今日の夜にはユグドラシルに飛ばされるであろう、そしてリーネは腕を組み考える。なぜ”七日間”なのだろう?っと
(なんなんだろ?なにか理由があるのかな?いつもやけに眠いけどそれかな?疲れたら飛んでいくとか?)
所詮は子供の考えでありまともな答えは出ない。考えても無駄だな、とリーネは思い訓練を再開しようと思う。元々、他世界に行き来できている事すら荒唐無稽な事なのだ。その事象の答えすら出ていないのだから”周期”の事など分かるはずもない。
「よーし!もう一回!武技 流水加速!」
その掛け声と共に武技の訓練は再開される。そこには健気に武技の訓練をする”神人級”の少女の姿が眩しく映っていた。
♦
法都シクルサンテクス―――その都市の中道をトボトボとリーネは歩く辺りも少し暗くなってきている、”一日”が”終わり”を迎えつつあるのだ。
「疲れた...なんでこんなに疲れるの?ってぐらい疲れた。ユグドラシルではスタミナゲージ減るだけだから戻ってきたら訳わかんなくなっちゃう。」
ユグドラシルはゲームだ、疲れる事はない、しかしリーネは人間種である為に、一応スタミナの概念は存在している。それがゲージであり、少なくなれば動きに”バッドステータス”が掛かる。しかし向こうでは、飲食睡眠不要の指輪を常時装備している。”課金”できないので”一つ”しか付けれないが、現状では一番必要な物であろう。
(飲食睡眠無効は必須よね、でも、もっと色々な指輪を装備したいな、スタミナ減少無しとか、基礎ステータス向上系とか。)
そして飲食―――人間種なのでリーネは食事をする事が可能である、つまりは食事による”バフ効果”も得る事ができるという事だ。これは”メリット”でもあり”デメリット”でもある。食事をとらないとバッドステータスが掛かり最悪死んでしまう。
「ユグドラシルのご飯”美味しい”のよね。最初は味が”しなかった”のに急に味が付くんだもん。ビックリし過ぎて”頭痛く”なっちゃったよ。」
急に美味しいと言いだしたリーネを見て、モモンガ達が大笑いしたのは恥ずかしい思い出だ。リーネの”ロールプレイ”は凄いなっと。
「あんなに笑わなくてもいいじゃん。会ったばかりだから何も言わなかったけど、今ならモモンガさんの頭に噛みついてやるんだから。」
続いてロールじゃないし~とも。向こうで既に十四日過ごしている。それなりに言葉の意味を理解してきている。ロールだけではなく”ビルド”や”クラス”などもだ。
「今は確か65だったかな?でもなんかこの構成嫌だな、振り直したい、でもデスペナ怖いよ。本当に大丈夫なの?私だけ生き返らないとかないよね?」
当然の疑問だろう、リーネは元々、あの世界の住人ではない、安易には死にたくはないであろう、生き返れると言われても、躊躇してしまうのは当然だ。しかし今のビルド構成に不満が有るのもまた事実、ままならぬ物である。
リーネは、たっちの指導の下、日々ビルド構成に励んでいる、バランスの良い構成をしている自覚はあるが、それが最適とは限らない、クラスの種類が無数に存在する以上組み合わせもまた無数に存在している。特にリーネは人間種だ、優秀な―――異業種では獲得できないようなクラスも獲得できてしまう以上、悩むのは当然だと言える。
「【ジークフリート】とか欲しいかも。いや絶対取る!簡単らしいし。」
【ジークフリート】は人間種のみ獲得できるクラスであり、ワールドクラスを除けば、前衛クラスでは最も優秀なのではないかと思わせる程の上位クラスだ。元々は神話に登場する戦士の名前で”竜殺しの英雄”とも言われている。その異名の通り、竜―――ドラゴンに対する特攻も持っており、ドラゴン狩りでは必ず一人は欲しいクラスだ。ステータス上昇値も異業種に引けを取らない位の上昇をみせる事からも、優秀さが見てとれる。
(ふふふ、見てなさいよ。トカゲさん!ジークリーネがぶっ飛ばしてやるんだから!)
世界の調停者達に向かって、ぶっ飛ばすと意気込む少女がそこにはいた。”真なる竜王”と言われる化け物達の強さを知らず、生死を賭けた戦いすらした事のない者の戯言が脳裏を駆け巡った。
リーネの頭の中は、既にユグドラシルで一杯だ、徐々に家に向かう足取りが早まっていく。
やりたい事が沢山ある、行きたい場所が沢山ある。
受けたいクエストが沢山ある、欲しいアイテムが沢山ある、そして―――
―――報告したい事も、沢山ある。
そして足が止まる―――目の前には家が見えていた。
♦
「お休み。お母さん。」
気づけば辺りは暗くなっていた。一日が終わり、長い夜がやってくる、そして、リーネにとっては、それは楽しい一週間の始まりでもある。
「えぇ、お休みなさい。今日はやけに素直に寝るわね?どういう風の吹き回し?」
「えへへ、ちょっと疲れたから。」
母が少し嫌そうな顔を―――雰囲気を漂わせる。訓練がばれているのであろう。
「お母さんの気持ちは変わらないからね。それじゃ、また明日ね。」
扉の閉まる音が聞こえてくる、母が部屋から退出したようだ。”また明日”その言葉が胸に染み渡る。
(夢みたいだな...お母さんと仲直りできるなんて。)
ついこの前までは想像もしていなかった光景、あの世界に行けたから、成しえる事が出来た光景、あの人に会ったから、会えたから―――
―――実現できた光景。
少女は眠りに付く―――楽しい時間を夢見て
少女は思い出す―――出会えた時を
あの日出会えたから―――物語が始まった
あの日出会えたから―――自分は勇気を持てた
あの日出会えたから―――自分は強くなれた
あの日出会えたから―――母と仲直りできた
―――カチリ―――
移動が始まる―――冒険が始まる
―――そうだ、これは自分の
―――アンティリーネの
―――大冒険なんだ
―――少女は行き来する何度でも―――
―――他世界を行き来する―――
―――Fin―――
アンティリーネの勇気がユグドラシルを救うと信じて...
ご愛読、ありがとうございました。ちひろ先生の次回作にご期待下さい。
って皆さん思ってたでしょ?申し訳ありません、まだ終わらないのです、これがな。
それでは、【次章予告】行って見ましょう!
リーネ「(´・ω・`)うずうず」
ちひろ「モモンガさん、お願いします。」
リーネ「Σ('◉⌓◉’)!?」
――― 【BGM HOLLOW HUNGER】―――
モモンガ「汚い罠により地面に伏したモモンガ
赤い瞳と銀の髪の男の隣には狂える
笑顔を作りし少女が狂気の笑い声を
上げる、ネフィリムの侍が絶望の顔
を作り、ハーフゴーレムの忍者が逃
げまどう、そして死の支配者が立ち
上り、雄たけびを上げた。
次回 オーバーリーネ ”第2章”
【九人の自殺点】
俺は、ナインズ・オウン・ゴールの
”モモンガ”、敗北はありえない。」
リーネ「(・x・)タイトル違くない?」