あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~   作:だいだろすちひろ

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前回のあらすじ


リーネちゃん、お母さんみたいな喋り方をする女の人からボコボコにされる。


竜殺しの英雄/もぐら叩き

 

 

 

 

 

 なんなんだ...一体...何が起こっているんだ?

 

 甲高くも恐ろしい風切り音が鳴り響く。

 

 俺が一体何をした...何でこんな事になっている?

 

 音は再度鳴り響く、命を刈り取るかの様な音だ。

 

 俺は...死ぬのか...いや、殺されるのか?

 

 目の前では木が、まるで小枝の様に振られている様が映し出されている。

 

 自らよりも小さな存在が、自らの命を刈り取る為に振るっている。

 

 そこに映る表情は無に近い、まるで当たり前の事を行うかの如く木が振るわれて行く。

 

 その表情には、命を奪う事の後ろめたさも、命を奪える事の愉悦も感じられない。

 

 それが非常に恐ろしい。

 

 木が振り上げられる、木が天を衝く。

 

 これから、自分が向かうであろう―――

 

―――天へと。

 

 そして、それは、無慈悲に―――

 

―――降り下ろされた。

 

「―――――――――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルフヘイムの大山脈、ドラゴンが蔓延る魔境、【大竜山脈】エリア。

 

 その山脈のふもとに、九人のプレイヤー達が談笑しながら歩を進めていた。

 

「しかし、本当に...それ程の人物を知らないなどあり得るのでしょうか?にわかには信じずらい。」

 

「俺も同じ意見ですよ、アンティリーネちゃんをボコボコにできるとか...プレイヤースキルの権化みたいな奴ですね。」

 

 辺りで軽い話が飛び交う中で、少し真剣身を感じさせる話題も紛れ込んでいる。

 

 会話をしているのは、たっち・みーとフラット・フットの二人だ、前者が、たっち・みー、後者がフラット・フットである。

 

 フラット・フット、赤い毛を生やした人狼であり、クランでの役割は【暗殺者(アサシン)】である、弐式と似たような黒装束を身に纏っており、隠密は弐式には劣る物の彼もまた、優秀な人物の一人である。

 

 彼らが話している内容は、数日前の盾の女の事である。クランの切り込み隊長を一方的に叩きのめした人物に驚愕している所だ。

 

「んで?やっとビルドの下地が固まったつう事か?ちんちくりん、やり返すつもりなんか?」

 

「そんな事はしませんよ。ていうか返り討ちにされますよ、今はまだ...。」

 

 ケケケ、今は...ねぇ。とぼそりと呟くのは、ツーヤだ。急にビルドの構成が固まったと集会が開かれた時は驚いた物だが、内容を聞いてもっと驚いた。

 

 そしてへこんでると思い、慰めてやろうかと思ったが、それどころか、やる気に満ち溢れているではないか。ツーヤは思う、盾の女に感謝だと、ちんちくりんは最近調子に乗っていた、その鼻っ柱をへし折り、一つ上のステージまで押し上げてくれたのだから、精神的な成長を促してくれた、それは自分達クランのメンツではできない事だったから。

 

「ビルドもそうですが...体系を見直すべきだと考えました。」

 

 そう言葉を吐くリーネの左手に、ツーヤとたっちが目を向ける、その左手首には、小さな小盾が装備されていた。

 

「それがそうなんか?久しぶりに見んなそれ。」

 

「初心に立ち返ると言う事か、強さへの探求は長く、そして険しい、それもまた、一つの答えなのだろうな。」

 

 小盾を用いた戦法、初めて、たっち達と出会った時から使用していた戦法だ、ここ最近はスキルや消費アイテムを用いてばかりだった。

 

 始まりの姿に戻り、使い慣れた戦法を、もう一つ上の次元に昇華するつもりなのだろう。

 

 どんな技術も、一日にしてならず、愚直な努力こそが強さへの近道だと思ったのだから。クラスや装備も確かに大切かもしれない、しかし、最後に物を言うのはやはり、プレイヤースキルだと気づかされた。

 

「しかし、ジークフリートねぇ、定番だな、まぁ、目が飛び出るくらいにはつえぇがよ。」

 

「強いというのも確かにあります、でも、私は【空気衝撃破壊(エアリアル・ブレイカー)】が欲しいので。」

 

「?はぁ?なんでまたそれ?意味不なんだが?」

 

 【空気衝撃破壊(エアリアル・ブレイカー)】大気を振動で破壊する事で空間に亀裂を生みだしていくスキルである。

 

 前方に発動させれば、蜘蛛の巣の様に空間に亀裂が入り、防御にも使用したりする事もできる。使用回数にも制限がなく、無限に使用する事が可能だ。

 

 一見壊れスキルの様にも思えるが、攻撃にしろ防御にしろ、それほど高い効果は望めない、浪漫スキルに近いスキルと言えるだろう。

 

「足場にします、破壊された空間を使用し、対空手段などとして使用したいんですよ。」

 

 破壊された空間を利用し、足場として移動しようと考えているのだ、剣士にとって対空手段が確保される事は大きなアドバンテージとなりうる、それを可能にできる技術があれば、全方位がリーネの領域となるだろう―――可能でであればだが。

 

「口で言うのは簡単だ、しかし、タイミングはシビアだぞ、使いこなせるか?」

 

 使いこなして見せますと、たっちに向かい言い放つ、それぐらいはこなして見せなければあの女に授業料を返せそうにもないからだ。

 

 三人がそう会話をしていると、前方のグループの足が止まった。その瞬間、一人の人物の姿が現れる。

 

「たらら~ん♪っとな、このまま進んでも大丈夫だ、皆、思ったよりはドラゴンの数が少ない、今日は当たりかもな。」

 

「いつもサンキュウな、ニシやん、数が少ないのはうれしい限りだ、大竜王戦前に無駄に削られたくないしな。」

 

 【大竜王】大竜山脈のエリアボスであり、クラス取得の為に討伐しなければならないボスである。

 

 大竜王を討伐した後に現れる剣を、山頂の頂に突き刺す事で、クラスがアンロックされる。

 

 そして、このボスは非常に強い。

 

「そろそろ、チーム編成を決めた方が良くないですか?とりあえず、俺はパスで。」

 

 そう言葉を発したのは、あまのまひとつだ。大竜王はボスであり、戦闘は六人パーティーで行わなければならない、つまりは三人はあぶれると言う事だ。

 

 あまのまの戦闘能力は低い以上、彼が抜けるのは当然だと思えた。

 

「そうですね、そうなれば、俺も不参加になりますね。」

 

「あぁ、俺も俺も、弐式さん居るし、俺いらないもんね。」

 

 そうエンシェント・ワンが言い、それに続いてフラット・フットが不参加を口にする。

 

 実の所、前衛は三人もいらないだろう。それよりは術士であるワンが居た方がバランスは良いように思える。

 

 しかし今日のイベントの主役はリーネである為に、あえてここは辞退していく。

 

 高火力の建御雷とタンク役のたっち・みーを外せない以上、この六人が最強の布陣だと思われた。

 

「皆さん申し訳ありません、ここまで付き合って貰っているのに。」

 

「謝らないでいいですよ?モモンガさん、実は俺も一つ良いネタがあってですね、それが目的で来たみたいな所もあるので。」

 

 あまのまの言う目的と言う言葉に、メンバー全員が首を捻っていく。

 

 この反応を見るに、恐らくは誰もこの目的と言う物を聞いてはいなかったのだろう。ドッキリが成功した時の様な少しばかり悪い笑い声を上げながら、困惑しているメンバーにあまのまが例の目的の内容の説明を始めて行った。

 

 あまのまが言う目的とはこうだ、あまのまのリアルの友人が、ここアルフヘイムを拠点にしており、この大竜山脈付近に、それほど大きくはないが、隠し鉱山を見つけたのだと言う、そしていつもメンバーで掘り起こしていたのだが、本日急に皆用事でINできなくなり、掘り起こしに行けなくなったのだと言う。

 

 現在、金属の沸きも完璧に戻っており、放置するのも勿体ないので、情報を他に漏らさない事を条件に、本日好きなだけ掘っても良いとの事だ。

 

 そんな思っても見なかったビッグニュースにメンバー全員が色めき立っていく。

 

「えぇぇ!それ本当ですか!?あまのまさん!」

 

「隠し鉱山か、綺麗な状態の鉱山を好きなだけ掘れると言うのは、魅力的ですね!」

 

「プギャァーー!!もう、ちんちくりんの件どうでも良くないっすか!?今から鉱山行きましょ!」

 

「うえぇ~!!何言ってるんですか!?このアンデッドーー!!食らえーー!」

 

「ぎゃん!分かった分かった!悪かったから!頭噛むんじゃねぇ!」

 

 モモンガが、たっちが、ツーヤが、他のメンツが次々に賞賛の言葉を口にしていく、鉱山の独占など中々できる事ではないだろう。

 

 現状ではメンバーも、流通されている金属をユグドラシル金貨を用いて購入している状態だ。

 

 ナインズ・オウン・ゴールは、悪い意味で知名度の高いクランだ、異業種の縄張りであるヘルヘイムくらいでしか鉱山には行けないし、購入するのもヘルヘイムで行っている。他のワールドで行えば、門前払い所かPKされかねないだろう、恨みを持つものなど大勢いるのだから。

 

 故に今回の遠征もフルメンバーだ、PKされる事も視野に入れ、万全の状態を期して事に当たっている。ここは、アルフヘイムであり、最強の男、たっち・みーが更に強くなれるワールドであるが、油断は禁物だ。

 

「こうしちゃいられん!!さっさと要件をすまして金属堀に行かねば!!七色鉱が大量に手に入れば四式も夢じゃねぇぜ!!」

 

「まてまて、建やん、大量は無理だろ...七色鉱だぜ...まったく...何作ろうかな♪」

 

「おほん!えぇ、皆さん、浮かれるのは分かりますが、今日の一大イベントは、ジークフリートです、まずは用事に集中し、その後、皆で楽しく掘りましょう。」

 

 少し浮かれ気味になったメンバーを、リーダーのたっちが言葉で制していく、その後全員から了解の意が返ってくる。

 

 今回の相手は強敵だ、危険を冒してまでここまで出張ってきているのだから、失敗したら元も子も無いだろう、全員気を引き締め、山脈を登り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パンパカパ~ン♪それでは~今から皆で鉱山を堀ま~す。準備はよろしいか~?」

 

 大竜王との激戦を終えたメンバー達が、あまのまのに連れられて、例の隠し鉱山の元にまで集まっている。

 

 戦いは熾烈を極めたが、チームの連携によってなんとか討伐する事に成功した。

 

 その後のクラスの取得も思った以上にあっさりした物であったが、無事にリーネも目的を達成する事ができた。

 

 故にあまのまがボス戦前に言っていた、本日のもう一つの大イベントである金属鉱石掘りを行うべく全員がスタンバっている状態だ。

 

「準備はぁ~...よろしいかぁ~♪」

 

 その言葉を聞いたメンバー全員が元気な声であまのまに準備完了を伝えていく。

 

 そして開始の合図が出され、皆が一斉に金属堀を開始した。

 

「おぉ、凄いですね、たっちさん!ザクザク出てきますよ!」

 

「そうですね、モモンガさん、沸き終わったばかりの鉱山を掘るなど初めてです、これは胸躍りますね。」

 

「四式♪四式♪四式♪」

 

 掘れば掘る程に湧き出てくる金属を目の当たりにし全員から賞賛の声が上がっていく。

 

 流石に七色鉱などは大量には出てはこないが、出ないわけではない。その他の金属の純度も高く、想像以上に良い鉱山なようだ。

 

「うっひっひっひっひ♪おっ?おおおおぉぉぉ!!」

 

 一心不乱に掘り進めていたツーヤが、何かを発見したのか急に大声で叫び出した。

 

 まるで地面に顔でも埋めるのか?と言わんばかりに四つん這いになりツーヤが叫んでいく。

 

 何か特別なアイテムでも発掘したのであろうか?大声で喚き散らすツーヤを全員が不思議な表情で見つめていった。

 

「うおおぉぉーー!!えぇつちーーーーー!!」

 

 なんの事は無かった、只の下らないギャグであった。

 

 全員が無言で振り向き、掘っていた場所を再度掘り進めていく。貴重な時間を下らない事で無駄にしてしまったが為に、先程よりも一生懸命掘っているかの様に見えた。

 

「え、えぇ、あ、あれ?み、皆どったの?笑い堪えなくてもいいんだぜ?」

 

 渾身のギャグを華麗に無視されたツーヤが激しく動揺していく。これほどのギャグを見せられて笑わない筈がないのだ、きっと全員笑いを堪えるのに必死なのだと思いながら、感想を聞く為に話しかけていった。

 

「お、おい、ちんちくりん。堪えなくていいんだぜ?どうだったよ?最高だっただろ?」

 

 黙々と掘り進めていくリーネに対しツーヤが感想を聞いていく。

 

 仲の良い人物に真っ先に聞いていく辺り、だいぶ追い込まれていそうなものであるが、どうやらその選択は正解であったようだ。

 

 少しでも多くの金属を持って帰りたく、黙々と動かしていた手がピタリと止まっていく。

 

 ツーヤの選択は正解である。優しい優しいアンティリーネちゃんは、金属堀を中断し、きちんとした感想を言ってあげられる良い子なのだから。

 

 そして振り向き言葉を発していく。

 

「おもんないんじゃい、ボケ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあね、アンティリーネちゃん、あんまり遅くまでゲームしてちゃ駄目だからね。」

 

「うん、お疲れ様です、フラットさん。」

 

 そう言葉を言い残し、最後の一人、フラットがリアルに帰還していった、そしていつも通り、リーネ一人が取り残された―――だが。

 

「うん、今日はきちんと帰るわよ、フラットさん。」

 

 吐いた言葉の通り、今日は周期の終わり、現実に帰還できる日だ。久しぶりに大好きな母に合える、そう思うと胸が高鳴ってくるようだ。

 

「う~ん、もう少し時間あるよね?次の準備でもしといたほうがいいわね。」

 

 リーネの言う次の準備とは、次にユグドラシルに来た時の事だ。七日という周期で訪れる為に、次やって来た時に忘れている事が多くある、次にユグドラシルにやって来た時にスムーズに事が運べるように、覚えている内にできる事はやっておいた方が良いだろう。

 

「ヒッヒイッロ♪ヒッヒイッロ♪」

 

 歌を歌いながら、今日掘った金属の整理をリーネが行っていく。

 

 今回の鉱山での金属はいつもの山分けではなく、各人が掘った分は各人の物と言う好条件の元行われた。

 

 今まで見た事も無い程の大量の金属達、そしてその中に少し紛れる希少金属やその他の金属を、LVや種類に分けて収納していっている。

 

(うんしょ、うんしょ、これはここで~、もうめんどくさいから、アダマンタイトとかは適当に一つに詰め込んでいいよね。)

 

 低LV金属まで仕分けするのは流石に面倒だと思い、一つの袋に纏めようと仕分けを進めていく―――が、ふと手が止まった。

 

「...そういえば、私の世界ってアダマンタイトが一番固い金属なんだよね?」

 

 リーネの世界に置いてアダマンタイトは超希少金属なのだと言う、そして、驚く事にミスリルすら高額で取引されているともナズルから聞いた。

 

 傍らに目を向ければ、ゴロゴロ転がるアダマンタイトが目に入ってくる。

 

 そしてこう思う、これが超希少金属?ゴミじゃん?っと価値観が余りにも違いすぎるのだ。

 

 右手に目を向ければ、収納しようとしていた、50LV金属の鉱石が目に入ってくる、これは、今日掘った物ではない、掘った金属は既に綺麗に収納済みである。

 

 これは別の袋に適当に放り込んでいた物を、今から整頓する為に取り出した物―――以前購入していた金属だ。

 

 この金属ですら、アダマンタイトよりも遥かに硬いだろう。しかしこれすらも、リーネにとっては大した金属ではないのだ。

 

 露店で流通している物を、人にもよるが、多少のユグドラシル金貨で購入できてしまう程度の物。

 

「なんていうか、ユグドラシルの凄さを改めて実感できるわね、私別にいらないし、アダマンタイトを法都の道端にこっそりばらまいてみようかなぁ?道いっぱいにアダマンタイト敷き詰めたら皆ビックリするかな?」

 

 そんな事をすれば大騒ぎになるのは間違いないだろう。

 

 お馬鹿な脳が、もはやいたずらの範疇では済まないであろういたずらを計画していく―――が。

 

(まっ、無理だけどね、持って帰れないし...ん?)

 

 そう、これはユグドラシルのアイテム―――データだ。現実世界に持って帰れる筈もない。

 

 筈もないのだが、リーネの頭に少し引っかかる物があった。

 

(あれ?金貨は持ってこれたよね?あれ?じゃあ、こっちから持っていく事もできるんじゃないのかな?)

 

 お馬鹿な脳に珍しく閃きが起きる。

 

 向こうからは持ってこれたのだ、こっちから持って帰れてもなんら不思議は無いように思えた。

 

 荒唐無稽かもしれない、しかし、現時点で自分が世界を行き来している事が既に荒唐無稽な事なのだ、やってみる価値はあるように思えた。

 

「えっ?マジで?いけるの?」

 

 右手に握られる金属を見つめながら、深い思考の海に沈んで行く。

 

 あの時はどうやっただろうか?確か持っていきたいと思ったのではなかったか?記憶を辿りながら目まぐるしく思考を回転させていると―――

 

(あっ、やばい!時間きちゃった。)

 

―――移動が始まる。

 

 そして、その移動の最中に強く願う、これを持っていきたいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アゼルリシア山脈付近の法国軍の拠点。その天幕の一つの中で空間が歪み、それと同時に人影が姿を表した。

 

「ふぅ、ただいま。あれ?今日は何をするんだっけ?一週間経つと忘れちゃうな。」

 

 これが、先程の忘れている事、つまりは世界移動の弊害だ。両世界では時間が殆ど経っていない以上、帰ってきてすぐはまず何がしたかったか、何をするのかを思い出す事から始まる。

 

(何だったかな?今日は非番?だったか―――んが!?)

 

 ズキンと頭に一瞬頭痛が走る、頭を使い過ぎたのだろう、普段あまり使わない空っぽの頭を。痛いな~と思い右手で頭を擦ろうとし―――何やら右手に重量感が感じられた。

 

「...は?はうわ!?」

 

 右手には大きめの金属鉱石が鈍い輝きを照らしながら存在を主張してきている。

 

 それを見た瞬間に、握っている手が震えだす。持って帰れたのだ、実験は成功した。

 

「あわわわ、も、持って帰ってこれた...しゅ、しゅごい。」

 

 驚きの後には歓喜が押し寄せてくる、現実世界では手に入る事がないアイテムをこちらに持って帰れる事に。

 

(うわぁ~、うわぁ~、凄い、えっ?これもしかして、白虎さんもこっちに連れてこれるのかな?)

 

 自分の自慢のペットである四聖獣の白虎。

 

 11万の課金の果てに手に入れた騎乗魔獣。それをこの世界に連れてこれたらどれだけ素晴らしいだろうか。

 

 リーネが目を閉じていく、この山脈を、白く雄々しい虎に乗って駆け巡る様を想像していっているのだろう。

 

(いけぇ~、白虎さん♪隕石落下(メテオ・フォールン)よぉ~☆)

 

 想像は尚も膨らんでいく、白虎の持つ少ない魔法の中で、最も派手な魔法を放ちながらその周囲を悠然と駆け巡る白き虎とその虎に跨る可愛い自分を。

 

そして続いて浮かんできたのは、その可愛い自分の姿を見つめる、大勢の法国軍人の―――怯えた顔であった。

 

(ん?)

 

 想像されるのは恐怖に遠吠える法国軍人達の姿である。

 

(あれぇ~?あっ、お母さんが出てきた...あれれ?顔が青いぞ?なんか叫んでる?アンティリーネーって叫んでるぞ?)

 

 白虎のLVは腐っても100、カンストプレイヤーからすればそれほどは強く無いかも知れない、しかし、ここはユグドラシルではないのだ。

 

 英雄と呼ばれる、一騎当千の猛者達の難度は、大体90~100辺り、LVにして30程度である。

 

 母の難度が恐らく200ちょいくらいだろうか?この辺に生息しているフロスト・ドラゴンの難度も確か平均100あるなしくらいだった気がする。

 

(ん~?じゃ白虎さんは~?)

 

―――【難度300】―――

 

 そう、ここはユグドラシルではない、彼女にとっての当たり前は、この世界では当たり前ではないのである。それ所か、大した物ではない物ですら、この世界では超級の代物なのである。

 

 じわりと額から汗が滲み出そうになるのをリーネが感じていき、恐る恐るある場所に目を向けていく。

 

(は、はあああ...はうあぁーー!!)

 

 その瞬間、ほんわかほんわかしていた脳内のお花畑が一瞬にして枯れ果てた。

 

 衝撃に我に返ったリーネの顔が瞬時に青ざめていき、大きな口を開けてパクパクしている。目は若干白目になりそうな程見開かれ、そしてその大きく見開かれた目で、手に持つ金属を睨みつけた―――

 

―――アダマンタイトよりも遥かに硬い50LV金属を。

 

(どどどどどどど!どうしよ!これ、見つかったら大変な事になるんじゃないの!?なんで!?なんでこれを持ってきたの!?私の馬鹿!せめてアダマンタイトでしょー!!)

 

 実際の所、アダマンタイトですら一兵士見習いが持っている事すらおかしいのであるが、彼女の頭の中には最早そんな事は欠片もない、あるのはこの金属をどう隠すか、どう処分するかだけだ。

 

 もし母にでも見つかれば大目玉だ、他の兵士達に見つかるのはもっとまずい、報告でもされたら一大事だろう。母に強く言われている様に上層部に辺に睨まれるのはまずいのだ。

 

 お馬鹿な行動を取った足りない脳に、縋るようにして答えを問いかける、どうすんのこれ?どうする?そして思考の果てに、ピンっと閃きが舞い降りた。

 

(分かったわ!!埋めればいいのよ!!)

 

 お馬鹿な行動を取った足りない脳の答えなど、所詮その程度の物だ。

 

 縋る相手を間違えたと思わないでもないが、単純だが存外悪い手でもない様に思える、問題はどこに埋めるかだ、見つからない様に。

 

(今日は非番だったはず!休みって事よね!?山脈付近に埋めちゃえ!)

 

 山脈付近は危険地帯である、山脈にはドラゴンすら生息している以上人間などが軽々と踏み込める領域ではない、陽光聖典ですら作戦を立案し、緊急時位にしか近づかない程だ。

 

 そこであるならば誰にも見つからずに隠せそうだとリーネは思う。

 

 そう思い立ってからは行動は早かった、背負い袋に金属を収納し、軽々と背に背負う。そして辺りを警戒しながら、ゆっくりと天幕の外に出ていった。

 

 リーネが周囲をキョロキョロと見渡す、すると兵士達が談笑しているのが目についた。

 

 こちらに気づいている風ではない事に安寧し、それと同時に、警戒しろよな、と言う気持ちも沸いてきた。

 

 しかし実際は警戒されていたら見つかってしまう可能性があるので、今回は見逃してあげるわ、と謎の上から目線で許してあげる。

 

 自分が一番奇行に走っているのであるが。

 

(よし!今ならいけるわね!ゆっくりよ、ゆっくり行かなきゃ。)

 

 兵士達に見つかる事も無く、森林帯まで足を踏み入れる、この世界での自分のフィジカルは計り知れない物が在る、しかもだ、先程のユグドラシルでの一週間でLVは十以上、上昇している、現在81だ、しかもジークフリートまで獲得し、ステータスは比ではなくなっている。

 

 ゆっくり行かなくては、ゆっくりと、そう心に強く刻み込み、リーネが軽い足取りで走り出した。

 

 軽~く、ゆっくりと、突風を吹かしながら、軽~く、ゆっくりと、逸脱者が全力で走っても追いつけない速度で、森林地帯を駆け巡る。

 

「おい?今なんか変な音聞こえなかったか?」

 

「ん?そうか?何も聞こえなかったが...ドラゴンでも暴れてんのかな?嫌だね、こっちくんなよ?」

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 アゼルリシア山脈付近の森林帯と、山脈を分けるかの様な切り開かれた大地に、一人の小さな存在がゆっくりと歩いていた。

 

 よくよく目を凝らして見てみれば、その存在はそれほどは小さくはない、人間の大人よりは少し小さいか?といった所だ。

 

 そしてその存在は、良く見れば人間ですらなかった。体は体毛で覆われ、手には大きな爪が見てとれる、体はずんぐりしており、口からは牙がちょこんと可愛らしく覗かせている。

 

「くそ、プの氏族め、俺が見つけた金属を横取りしやがって、危険を冒してまで、こんな所まで来たってのに。」

 

 プの氏族と聞きなれない言葉を放つこの存在は、見ての通り人間などではない、亜人種の土堀獣人(クアゴア)とよばれる種族だ。

 

 罵声を飛ばしながら歩く足取りは重い、見れば右手付近から出血している、何者かと争い、この様子だと敗北したのであろう。

 

「ちくしょう、早くしないと、俺ももう、大人になっちまうそれまでに、希少な金属を食わないと...強くなれねぇ...、糞!俺達は下等じゃねぇ!俺が強くなって、氏族を守ってやるんだ!」

 

 金属を食べる、この言葉が意味する所は、クアゴアの特性にある。

 

 クアゴア達は金属を食す、そして幼少期にどれだけ希少な金属を食べたかで、将来強い種に派生できるかが決まるのだ。

 

 このクアゴアは金属を求め掘り起こしに来たのだろう、しかし、この辺りに金属などある筈もない、この辺りは平面であるからだ。

 

 ならばなぜこのクアゴアはここをうろついているのか、それには訳がある、先程の横取りされたという言葉通り、このクアゴアは地中で金属を採掘していたのだ、そしてその果てに、希少金属であるオリハルコンを見つけた。

 

 しかし、それは食す事は叶わず、隠れていた他のクアゴアの氏族、プの氏族に奪われてしまった。

 

 先程も言ったが、クアゴアは希少な金属を食す程に強くなる、その為に日々奪い合いは行われており、このクアゴアは奪われたと同時に袋叩きにあい、これ最悪と言った風に地表まで逃げ出てきた所だ。

 

 足取りは更に重くなる、負傷は軽いが、もう一度襲われれば次は逃げ切れるかは分からないだろう。

 

 成果の無いまま引き返さなければならない事に、憂鬱に歩を進めていた、その時。

 

「あっ?な、なんだ?」

 

 少し遠くの森林内から空中に何かが飛び上がったのが見えた、空を見上げるが良くは見えない、これは目が悪いと言うのもあるが、常に地中で生活している弊害で日光が苦手と言うのが挙げられる。

 

 一体何が?そう思い森林内に歩を進めようとするが、歩を止め立ち止まっていく。

 

 なぜ立ち止まったのか?それは危険だからだろう、存在が不確かな物に近づくのは余りにも危険だ。

 

 しかしそれでも、強烈に湧き上がってくる好奇心に抗えそうにもない。

 

「やばそうならすぐに逃げればいいだろう。どう見てもドラゴンなんかじゃなかったしな。」

 

 そう一人ごち、森林内に歩を進めていく、ゆっくりと、好奇心に支配されながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キキ―!ドーリフトォー!!」

 

 ゆっくりと森林内を走っていたリーネが角度をつけ、ブレーキを掛けていく、これはよくツーヤが行っている事で、真似してみただけだ、ドリフトというのは良くは分からないがなんとなく楽しそうだったからだ。

 

 凄まじい音を立て地面が抉れていく、それと同時に辺り一面に大量の土埃が舞い散っていった。

 

「うぎゃぁーー、目がぁーー!目がぁーー!!」

 

 舞い散った土埃が目の中に入ってしまい、苦悶の表情を浮かべながらリーネが悶えている。

 

 自業自得とは正にこの事であろう、しばらく目を擦り、ようやく良くなってきたのだろう、周りをキョロキョロしだした。

 

「うぅ、もうしない、この辺でいいかな?誰も居ないよね?って!うわ!靴が!」

 

 目に飛び込んできたのは無残に敗れた自分の靴、普通に考えれば分かりそうなものではあるが、まだまだユグドラシル気分が抜けきってはいないのだろう。

 

「なんなのよ~、もう!ツーヤさんに文句言って上げるんだから!」

 

 ツーヤに対し理不尽な怒りを向ける事を心に決め、再度周囲を見渡した。

 

 それなりに拠点からは離れているだろう、この辺でいいかと埋める準備を始める。

 

 そしてある事に気づく、掘る道具を持って来てはいないのだ、抜けの多い事だと自虐し、またもやピンと閃きが舞い降りてきた。

 

「手で掘ろう。」

 

 その閃きとはフィジカルの暴力である。

 

 リーネにとって地面を掘るなど朝飯まえだ、豆腐の様にサクサク掘っていけるだろう。実行に移そうと手を形作り―――またもや頭の中に抜けが浮かんできた。

 

(あっ、帰り道分かんない、適当に来ちゃったから、どっちの方角だろ?)

 

 行き当たりばったりとは良く行ったものだ、持つ力に頼りすぎて行動が雑になってきている事に少し苦笑いしてしまう。

 

 少し反省しなければならないと思い、帰り道の方角をどうするか考えていく、力技では駄目だ、それでは自分は成長しない。

 

 自分は盾の女との戦いを経て精神的に一歩進んだ筈だ、最適解を見つけるのだ、何かないかと考える。

 

 長い思案の果てにリーネが出した答えは。

 

(...考えるのメンドクサ、ジャンプして拠点見つけよ。)

 

 頭が痛くなり、リーネは考えるのをやめた、結局はごり押しである、これではいつもと一緒だ、何も変わらない。

 

しかし、人はすぐには変われはしないだろう。むしろ今までは考える事すら余りしなかった子が、頑張って考えていた事を褒めてやらなければならないのかも知れない。

 

 清々しい表情を浮かべ、リーネは天を仰ぐ、よ~し、明日から頑張るぞ、そう心に決め、背伸びをしながら深呼吸し―――

 

「ほっ。」

 

―――少し強めに飛び上がる。

 

 リーネが凄まじい勢いで空中に進んでいく、十m、二十mと舞い上がり、周囲を散策していく。

 

 すると、少し遠くに野営地らしき物が発見できた。

 

 そこでは人が歩いているのが目に入ってくる、常人なら間違いなく人間までは見えないが、リーネはこの世界では規格外、アサシンなどのクラスは得てはいないが、持っている身体的ポテンシャルだけで難なく視界に収め―――

 

―――拠点に居る、一人の人間が、こちらを見つめているのが目に入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだ日が刺して間もない早朝に、拠点の大天幕では会議が開かれていた、参加しているのは、今回の部隊の三人の部隊長と陽光聖典の数人の隊員、そして今回の作戦の切り札、ファーインだ。

 

「以上が、報告になります。何かご意見などはございますでしょうか。」

 

 会議の進行を務めているのは部隊長の一人、ウズルス部隊長だ。

 

 最新の情報を報告し、共有し合っている、ウズルスの言葉を受け、会議の参加者が一様に首を横に振る。

 

「ありません、ウズルス部隊長、会議進行役、お疲れ様でした。」

 

 ファーインがウズルスに労いの言葉を掛け、掛けられたウズルスが深々と頭を下げている。

 

 会議は終了したようだ、各々が天幕から外に出て行っている。それに続きファーインも天幕から出ようとする。

 

 するが。

 

(...!?何?今の音は?)

 

 ファーインの神人としての鋭敏な感覚が、発せられたわずかな音を聞き逃さなかった。

  

 普段なら聞き逃していたかも知れない音だが、ここは敵本陣の前だ、状況にすぐに対処出きる様に集中力は切らしていない。

 

 少し速足で天幕外に出て、近くの兵士達に話しかけていった。

 

「おはようございます。警戒ご苦労様です。」

 

「!?これは、ファーイン様、労いの言葉感謝いたします。」

 

「いえいえ、一つお聞きしたいのですが、何か変わった事はありませんか?何か音が聞こえた様ですが。」

 

 その問いかけに対し、兵士達が首を横に振る、気のせいか?と考えるが、安易に答えを出していい筈もない、ここはアゼルリシア山脈付近、一つのミスが取り返しのつかない事態を招くだろう。

 

 兵士達に別れを告げ、ファーインが周囲の探索に向かう、音は少し遠くから聞こえてきた、そう、少し遠くからだ、つまりは拠点内か拠点周辺くらいだろう。

 

 故にドラゴンなどの大型生物とは考えにくい、もしそうなら、既に拠点は大パニックだ。

 

 もしかしたら、亜人の斥候の可能性もあるが、陽光聖典の優秀さを考えればその線も薄いと思えた、打ち漏らしたとの報告も入っていない。

 

 しばらく周囲を、感覚を研ぎ澄ませ散策したが、これと言った脅威は見当たらなかった、その事に少し安心し、天幕付近までファーインが戻ってきた。

 

 そして、そこには朝日を眺めながら紅茶を飲むウズルスが目に入ってくる。

 

「朝日が絵になりますね、ウズルス部隊長。」

 

「!?これは、ファーインさ―――」

 

 頭を下げようとしたウズルスを手で制す、折角リラックスしているのだ、自分の所為で台無しにはしたくはない。

 

「―――感謝致します、ファーイン様。」

 

「あら?感謝など不要ですよ?リラックスするのは大事な事です、状況が始まれば嫌でも神経を尖らせないといけませんから。」

 

「...そうですね、このまま何事もなく収まればいいのですが、間違いなくそれは無いでしょう、ファーイン様もご一緒にどうです?紅茶もカップもまだあります。」

 

「まぁ、よろしいのですか?それでは、お言葉に甘えて。」

 

 ファーインから了解を得て、ウズルスが嬉しそうに椅子に置いてあったカップに紅茶を注いでいく。

 

 いつもとは違う少年の様な雰囲気に、悪気はないが少しクスッと笑ってしまった。未だウズルスが茶葉の事を嬉しそうに話している、聞こえなかった事に少し安心し、手渡された紅茶をウズルスと一緒に、朝日を見ながら飲んでいく。

 

「ふふ、非常に美味しいです、紅茶を入れるのがお上手なんですね。」

 

「喜んで頂き幸いです。」

 

 戦場とは思えない日常に少しだけ心が安らぐ、綺麗な朝日を眺めながら、再度紅茶を飲もうと、カップに口を付ける。

 

 そして、その最中に少し遠くの森林内から何かが飛び上がったのが目に入ってきた。

 

(?何かしら?人...そんな訳ないわね?もしかしてバードマン!?こんな所に生息していると言う情報は無かったわ!)

 

 ファーインが全神経を目に集中しその姿を見据える、この世界に置いて規格外の神人の視覚が、空中の存在の姿を捉え、鮮明に映し出していき、その存在の姿を明確にとらえていく、そう―――

 

―――馬鹿娘の姿を。

 

「ぶふっ!!」

 

「ファ!?ファーイン様!?どうなされましたか!?」

 

 ゴホゴホと器官に詰まった紅茶をせき込み吐き出していく、何をやっているのだ!?あの馬鹿娘は!?先程までの優雅な気分が台無しだ、沸々と怒りが沸き上がってくる。

 

「い...いえ...なんでもありませんわ、おほほほ。」

 

「はっ?はぁ...。」

 

 何でもない事はないだろとウズルスは思うが言葉には出さない、正確には出せないのだ、口がひくひく動いているしデコには少し青筋が立っている様に見えた、というか口調から違う、おほほほなど初めて聞いた。

 

 ファーインがゆっくりと深呼吸をし、残った紅茶を豪快に飲み干していく、固まるウズルスを他所に、美味しかったですわ、おほほほと貴族令嬢崩れの様な言葉を吐きだしながらファーインが天幕まで戻っていった。

 

「...何か、怒らせるような事をしただろうか?」

 

 その後ろ姿を見つめながら、ウズルスがそう呟いた。

 

(ふふふ、帰ってきたら―――お仕置きね♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森林の上空からリーネが地面に向かい落ちてくる、そしてそのまま軽い音を立て地面に着地した。しかし着地体勢から動かない、しばらく固まった後に、ゆっくりと立ち上がっていく―――青ざめた顔で。

 

(オワッタ...滅茶苦茶してるの、お母さんに見られた。)

 

 リーネが再度天を仰ぐ。

 

 朝日が綺麗だ、心が洗われる様だと考えながら、晴れ晴れとした空をずっと眺めている。

 

 しかし、その顔には精気は無い。

 

 しばらく放心していると、後ろからひたひたと足音が聞こえてくる、気になり振り向くと、そこには体毛に覆われた大きな爪を生やす亜人の姿が目に入ってきた。

 

 そして、その亜人と目が合う。

 

 亜人がじっとこちらを見てきている、人間が珍しいのであろうか?

 

 一体何者なのか、どんな存在なのかと吟味している様にも感じられる、しばらく硬直していたリーネだが、ふと我に返る、もしや、この生き物は。

 

(もぐらだ...この世界にも居たんだ、もぐら。)

 

 間違いないとリーネが思う、以前見た映像とは違うが、特徴が似ているからだ。

 

 ずんぐりむっくりした体に、土を掘り起こす為の爪、体毛は無かった気はするが、恐らく、もぐらの亜種だろう。

 

 これはもしや、とんでもない大発見なのでは?と思っていると。

 

「おい、お前一体何者だ?空を飛べるのか?」

 

 なんともぐらが喋り掛けてきた、もぐらとは会話ができる生き物だったのかとリーネが感動していると、尚も、もぐらは喋り掛けてくる。

 

「ドワーフ...じゃねぇみたいだな、ん?その長い耳...多分耳だろう、聞いた事がある、お前、エルフか?」

 

「えっ?う~ん、まぁそんな所かな。」

 

 ほぉ、と少し感心したような、興味を持ったような仕草をもぐらがしている、もぐらは土の中に住んでいるとツーヤから聞いた、確かにそれならばエルフは非常に珍しいであろう。

 

「もぐらさんは何でこんな所にいるの?土の中に居るんじゃないの?」

 

「はっ?もぐら?何言ってんだ?エルフの...多分メス。」

 

(多分!?) 

 

 非常に聞き捨てならない言葉が聞こえたが、恐らくもぐらにこちらの性別は見分けが付きにくいのだろうと言う事で納得していく。

 

 実際の所は自分も、目の前のもぐらの性別が分からないのだから、口調的には恐らく男だとは思うが。

 

「それにだ!俺はそのもぐら?なんて種族じゃねぇ!クアゴアだ!」

 

「くあごあ?どう見てももぐらじゃない。」

 

 もぐらじゃないのか?と少し考えるが、恐らくこのもぐらは亜種だ、クアゴアもぐらと言うのであろう。

 

 リーネが一人納得していると、クアゴアもぐらが尚も喋り掛けてくる。

 

「だから違うって言ってんだろ!俺は誇り高きクアゴアのぺの氏族!ペ・ヨンサマだ!」

 

「ペ?」

 

「あぁ!そうだ!ペ・ヨンサマだ!」

 

 クアゴアもぐらにはキチンとした名前がある事に少し驚く、それと同時に変な名前だなと思うが口には出さない。

 

 このクアゴアもぐらは自分の名前に誇りを持っている事が感じられる、リーネだって大好きなお母さんが付けてくれたこの名前を馬鹿にされたら流石に嫌だ、だからこそ、口には出さない。

 

「それと、何だったか、土の中だったか?別に俺達は地中にいるが別に土の中に居る訳じゃないぞ、穴掘って暮らしてんだ。」

 

「はぇ~凄い、確かに穴掘るの得意って聞いたよ。」

 

 その言葉を聞き、クアゴアもぐらが得意げに胸を張っている。

 

 やはりどんな生き物も得意な事を褒められるのはうれしい様だ、そしてふと思い出す、得意な事?確かもぐらは穴を掘るより得意な事があった筈だ。

 

 なんだったか?建やんも言ってた事があった筈だ、確かもぐらの存在意義とまで言われる事が、その為に存在していると。

 

 リーネが腕を組み考え出す、今日一番頭を使っている様な気さえする、その様子をクアゴアもぐらが不思議そうに見つめていると。

 

「あぁ!思い出した!もぐら叩きだ!」

 

「は?なんだ?それ?」

 

 思い出し頭がスッキリしていくと共に、少しづつ罪悪感が押し寄せてくる。

 

 自分はこのクアゴアもぐらに対し非常に失礼な事をしていた様だ。存在意義とまで言われる事を忘れ悠長にお喋りしていたのだから。

 

 よくよく考えて見れば、向こうから声を掛けてきて、そしてずっと喋り続けている、つまりは早く叩いて欲しかったのだろう。

 

 失礼な事をしたお詫びにしっかり頭を叩いてやろうとリーネは心に決めた。

 

「ごめんなさい、クアゴアもぐらさん、私今気づいたの。」

 

「は?だから...もぐ...らじゃ...。」

 

 クアゴアもぐらがそう言い終わる前にリーネが歩を進める。向かう先には森林の木が見える。

 

 ちゃんとハンマーで叩いて挙げたい所であるが、今は手持ちにない、これで我慢してもらう他ないだろうと思い、ちょうど良さげな木を手で掴む。

 

「んん~?これでいいかなぁ~?ふん!」

 

 そして掴んだ指が鈍い音と共に木にめり込んでいき―――

 

「ん~!よっと抜けたぁ!」

 

―――その言葉と共にメリメリと木が大地から引き抜かれて行った。

 

 そして、ごめんねこれしかないの、と言いながら木を横撫でに一振りする。

 

「ほっ♪」

 

 突風―――いや、激風が吹きすさぶ、クアゴアもぐらがその風に煽られ地面に尻餅を着いていった。

 

 振られた木には、先程まで付いていた葉が全て振り落とされ、木そのままの姿になっていた。

 

 リーネが練習の様に木を上段から降り下ろす、木ではありえないような甲高い風切り音が周囲に響いた。

 

 もう一度振り下ろす、またもや風切り音がなり響く。

 

 一しきり練習が終わった後に前方にいるクアゴアもぐらを見つめる。

 

 するとどうだろうか、体がフルフル震えているではないか。

 

 間違いなくこれは、今から叩いて貰える事に歓喜しているからだ。

 

 良かった、喜んでくれている。そう思いながら再度、待たしてしまった事へのお詫びも兼ねてしっかり叩こうと心に決めた。

 

 そして、木を振り上げ―――頭に向け振り下ろした。

 

「ままま、待って、待ってくれぇ!!」

 

 ピタリと木がクアゴアもぐらの目の前で止まる。

 

 一体どうしたのだろうか?とリーネは思い、優しく問いかけた。

 

「ん?どうしたの?もぐらさん?やっぱり木は嫌だった?」

 

「い、嫌?そ、そうじゃなくて、死、死んでしまう!」

 

「んん?もぐらは死なないよ?」

 

「死ぬわ!!」

 

 クアゴアもぐらの悲痛な叫びを聞きリーネが混乱していく。

 

 クアゴアもぐらはなんだか必死な感じがする、もしかするとツーヤに騙されたのかと思う。

 

 ツーヤなら自分を騙していても何も不思議はない、あの男は何時も嘘をつき自分をからかっているからだ。しかし、それでも一つ納得できない事があった。

 

 それは建御雷も、もぐらは死なないと言っていたからだ。あの人が嘘をつくとはどうしても思えない。

 

 あの人はあんな見た目だが非常に誠実な人だ、筋を通す人とも言える。そんな人物が言っていたのだ、もぐらは死なないと。

 

 亜種だから駄目なのか?と思うが、もぐらはもぐらでしょ?とも思い、考えても答えは出なさそうだったので本人に直接聞いてみる事にした。

 

「叩かれるの好きなんじゃないの?」

 

「んな訳あるか!間違いなく死ぬわ!」

 

 あれぇ~?本人に聞いて見た所、叩かれるのは好きじゃないみたいだ。

 

 さらに頭が混乱してくる、やはり騙されたのか?しかし建御雷がと様々な言葉が頭で渦を巻く。

 

 もはや考えるのも面倒になってきたので、軽く叩いてみようかな?と少し思ったが、また一つ大事な事をリーネは思い出す。

 

 それは、もぐらは叩き過ぎると壊れるのだ。

 

 ふと想像してしまった、このクアゴアもぐらが壊れる様を。それなりに会話もし、自分的には仲良くなれたと思っている。

 

 それが急に壊れ―――発狂してしまう様を。

 

 悲しい気持ちが押し寄せてくる、ジワリと目じりに涙が出そうになるがぐっと堪えた、そして決心する、叩くのはヤメだと、このクアゴアもぐらは叩かれるのを好まないもぐらなのだ。

 

「ごめんなさいもぐらさん私が―――」

 

「俺はまだ死ねない!俺は希少な金属を食って強くなるんだ!氏族を守るんだ!」

 

「―――待ちが...えっ?金属を...食べる?」

 

 とんでもない事をクアゴアもぐらが口走る。最早もぐら叩きの事など吹き飛んでいった。そんな事を吹き飛ばすくらい強烈な言葉が聞こえたからだ。

 

「えぇぇぇ!?もぐらさん、金属食べれるの!?」

 

「は?あ、あぁ、俺達クアゴアは金属を食べ強くなるからな。」

 

(勝った!!)

 

 リーネが勝利の雄たけびを心の中で上げていく。これで証拠隠滅が図れる、完全犯罪の完了だ。

 

 リーネが両手を合わせて天を仰ぐ、この出会いを齎してくれた神様に、リーネの大好きな神様に、神祖カインアベルに。

 

 え?六大神様?それとこれとは別でしょ?

 

「ふぅ...もぐらさん、良いぶつがあるのよ...食べてみない?」

 

「ぶ、ぶつ?はっ?お前は一体さっきからずっと何をい...って...。」

 

 ごそごそと背負い袋から例のぶつが取り出されていく。そしてその金属をみたクアゴアもぐらが目を見開いた。

 

「なっ、なんだこの金属は...見た事ない...触って見てもいいか?」

 

 どうぞと言いながら、リーネが金属を手渡す、非常に演技染みた仕草だ、嬉しすぎて変なテンションになっているのだろう。

 

 その奇行すら意に介さずにクアゴアもぐらがじろじろと金属を見つめている。

 

「これは、これがもしや!アダマンタイトなのか!?」

 

「ふふ、違うよ、もぐらさん、そんな柔らかい金属と一緒にしないで。」

 

 その言葉を聞き、クアゴアもぐらが信じられないと言う風にこちらを見つめる、嘘は言ってはいないが、信じられないのも無理はないだろう。

 

 その姿を見ながら、とりあえず食べていいよ、と食を促していった。

 

「い、いただこう、その前に、エルフのメスよ、名を聞かせて貰えないか?」

 

「アンティリーネ、アンティリーネ・ヘラン・フーシェよ。」

 

 長いな、と少し困惑気味の相手に向かい、リーネでいいよと愛称を呼ぶように提案する。

 

「分かった、リーネ、この恩は忘れん。それではいただこう。」

 

 意を決した様に、金属をバリバリと貪っていく、歯折れないのかな?などと下らない事をリーネが考えていると―――ピタリとクアゴアもぐらの動きが止まった。

 

 その事を不思議に思い、リーネが覗き込んだ―――その瞬間。

 

「ゥンまああ~い!!」

 

「ひゃあ!」

 

 急に叫び出したクアゴアもぐらに面を食らい、叫び声を上げる。

 

 目の前では未だに、ゥンまああ~い、ゥンまああ~い、と涙を流しながら貪る姿が目に入ってくる。

 

 それとは対照的に、リーネの顔色は青い、控えめに言ってドン引きしているのだろう。

 

 クアゴアもぐらのその姿を呆然と見ながら、リーネはしばらく立ち尽くしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまんな、美味すぎて取り乱してしまった。お前には感謝してもしきれないな。」

 

「まぁ、なんていうか、それはこっちの台詞でもあるのよね。」

 

 希少金属を貰った事に感謝されるが、リーネとしては証拠隠滅の手伝いをして貰った様な物だ、むしろこっちが礼を言いたいくらいである。

 

「こっちの台詞?相変わらずお前は良く分からん奴だな。」

 

「ふふ、アナタはもう私の共犯者なのよ、完全犯罪のね。」

 

 くつくつと演技染みた笑いを繰り返すリーネをクアゴアもぐらがジッと見つめる。

 

 エルフとは変な生き物だな、と言っているが本人には余り聞こえてはいないみたいだ。

 

「はは、一々分からん奴だ、それじゃあな、リーネ。」

 

「待ちなさい、クアゴアもぐらさん...いえ、...えぇっと、ヨンサマ!」

 

「ん?なんだ?」

 

「私と、と、とも...うぅん!リーネ軍団に入れてあげるから入りなさい!」

 

 放たれる衝撃の言葉。

 

 それを聞き、ヨンサマが何か納得したような顔をする、【軍団】、薄々気づいてはいたが、やはりコイツはエルフの氏族の王なのだろうと、少なくとも、それに連なる物だろう。コイツはメスだが、エルフは関係ないのかも知れない。

 

「軍団、そいつは凄いな、どれだけの軍勢を従えてるんだ?」

 

「え?えぇっと...私だけよ!」

 

「は?」

 

 それは軍団と呼べるのか?ヨンサマは自分で頭は良くないと自覚しているが、それくらいは分かる、いくらなんでも一人はないだろう。

 

「今から!今から大きくなるの!一番手よ!凄いのよ!だから...そうね、私が困った時に助けて欲しいのよ!」

 

 リーネが困った時に助けて欲しいと言われ困惑する。

 

 この化け物が困る様な事態に自分が行った所でどうにかなるのか?という思いがあるからだ。

 

 実際は、リーネが困る=金属を消し去りたい時、であるのだが。

 

 というか普通に、友達になろうと言えば良いのだが。今まで友達などこの世界に居なかったし、作る機会も無かった。

 

 恥ずかしくて面と向かって言えないのだろう。

 

 ヨンサマが考える素振りを見せる。軍団に入り困った時にコイツの力を借りれるのなら、是非もないと思えた。

 

「リーネが困る様な時に、俺が行った所でどうにかなるとは思えないが...いいぜ、その軍団ってやつに入っても。」

 

「やった!決まりね!ふふん今日からとも...クランの...じゃなかった、軍団の一員よ!あっ、そう言えばヨンサマ以外のもぐらさんは頭叩かれるの好きなの?あれだったら叩きに行ってあげるよ!」

 

 今まで軽く笑いながら喋り合っていたヨンサマの表情が瞬時に変わっていく。

 

「クアゴアは頭を叩かれるのは好きじゃない、いいな、分かったな。...絶対に俺達の住処に来るなよ!絶対だからな!いいな!」

 

 強く、きっぱりと言い切る、そしてこうも思う、コイツの力は極力借りんと、コイツを氏族の皆に会わせないと。

 

 そうしないとコイツにクアゴアが殲滅される恐れがある気がしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森林内に突風が吹き荒れる、突風は森林内の木々を、まるで縫うかのように進んでいく。

 

 目にも止まらぬ速度で。

 

(~♪流石私ね♪証拠隠滅完了♪)

 

 突風の正体であるリーネが口笛を吹きながら、上機嫌に帰宅している、万事丸く収まった、自分の才能が恐ろしいと。

 

(でも、な~んか忘れてる気がする、何だっけ?)

 

 記憶の片隅に、何か一つ引っかかりがあるが、何かは思い出せない、非常に大事な事だったように思える。

 

 走りながら考えていく、しかし、引っかかりが取れる前に、先に拠点まで付いてしまった、辺りを見渡せば、談笑していた兵士達が、未だくっちゃべっている。

 

 だから、仕事しろよな、と思いながら、こっそり天幕内まで入っていく。

 

 その際も、引っかかりが気になる、何だったかなと思いながら、天幕内を見渡すと。

 

 そこには、笑顔を浮かべるファーインが寝具に座っていた、お帰りなさい、と優しく言葉を掛けて来てくれて―――

 

―――頭の中の引っかかりが取れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クアゴア―――土堀獣人と呼ばれる亜人の種族であり、アゼルリシア山脈地帯に生息している。

 

 幾多の氏族からなり、幼少期に希少な金属を食べる事で強くなると言う特異な体質を持った亜人である。

 

 そしてその氏族全てを纏め上げ、氏族王とまで言われるクアゴアの大英雄がいた、その名はペ・リユロ。

 

 幾多の改革を行い、歴史上類を見ない程の功績を残した、正に王の中の王であり、そして、その力に置いても、歴史上二番目に強いと言われている。

 

 そう、二番目である。

 

 王の中の王と呼ばれる、ペ・リユロですら届かぬ高みに座した、クアゴアの歴史上、最強の猛者がいた。

 

 その名は―――ペ・ヨンサマ―――

 

 ペ・リユロが受け継ぐ、系譜にして、ペの氏族の大英雄である。

 

 100年前に唐突に表れたその存在は、その強大な力と不思議な武術を持って、あらゆる外敵から氏族を守ったとされている。

 

 そしてまた、伝承ではこう言い伝えられている。

 

 ペの大英雄の影には、彼を支え、力を与えた、”白と黒”を纏う、一人の女神と悪魔がいたと。

 

 女神は慈悲深く、クアゴアを愛し、また、クアゴアに”力”を与えにやってくる。

 

 悪魔は無慈悲で、クアゴアを憎悪し、クアゴアの”命”を奪いにやってくる。

 

 大人も、子供も、氏族長も、そして、クアゴアの大英雄、ペ・リユロですら、敬い、畏怖する伝説―――伝承。

 

 皆が一様に敬服する、力を与えたまえと、生ある事を許して欲しいと。

 

 そして、言葉を綴り出す、皆が一様に歌いだす。

 

 伝説を―――伝承の歌を。

 

 慈悲に溢れた―――無慈悲な歌を。

 

 やってくる、やってくる、”白の女神”がやってくる。

 

 やってくる、やってくる、”力を与えに”やってくる。

 

 やってくる、やってくる、”黒の悪魔”がやってくる。

 

 やってくる、やってくる、”命を奪いに”やってくる。

 

   

   ―――頭蓋を砕きにやってくる―――

 

 

 

 

 

 




リーネ「ねぇ、ねぇ、ちひろさん、私伝説になったよ?これで完全にタイトル回収だね♪これでいつでもこのSS終われるね♪」

ちひろ「お前はそれでいいのか?」


・ばっさり切られた大竜王さん

大竜王「おい!ふざけんなよ!きちんと書いてたじゃねぇか!激戦だっただろう!」

ちひろ「いやね、読み返してておもったんだ...この話いらないよねって。」

大竜王「理不尽過ぎだろお前!」


・リーネ軍団

 ボス・リーネ

 役職不明・ヨンサマ


どうも、明けましておめでとうございます。ちひろです。

0時に投稿しようと思ったのですが間に合いませんでした...
今年の目標はこのSSを終わらせる事です。

今回も長いお話でしたがここまで読んでくれてありがとうございます。
そしてお疲れ様でした。

それでは皆様良いお正月を!シュバ!
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