あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~ 作:だいだろすちひろ
「ハァ・・・ハァ・・・間にあった・・・?
ふぅ~、前回のぉ~あらすじぃ~
プロレスラーの教示を~見せられた~
アンティリーネ~プロレスって凄いとぉ~
ちひろ 洗脳されつつありましたがぁ~
何とか自力でぇ洗脳を解いて~行きました~
しかしぃ~、気づけば自分はぁ~
何者かの~陰謀にぃ~
巻き込まれていたのでしたぁ~。 」
♦
カチャリと高い音が小さく響く、この広い空間に置いては、この程度の音量は別段気にもならないだろう。辺りを見渡せば、円形のテーブルが複数個置かれており、そのテーブルの周りには、その円に沿う様に椅子が置かれているのが見える。上を見上げて見れば大きなシャンデリアが中心に吊るされ、その周囲にも、似たように明かりが吊るされている。
誰が見ても豪華と言う様な風貌をしたこの空間―――部屋の中央のテーブルでは一人の女性が食事をしているのが見えてくる。そう、食事と言う言葉の通り、ここはヘルヘイムにあるレストラン”あいつぶっ殺し亭”である。
様々な種類の料理を提供するこのレストランは、派手な室内と、荒々しい名前のアンバランスさで非常に人気の高い場所でもある。そんな人気のレストランであるのだが、珍しい事に、現在の利用客は中央のテーブルで食事をしているこの女性一人である。
女性が食事を再開しだす、すると先程と同じように高い小さな音が鳴り響いてくる。ここにもし、ユグドラシルと言うゲームを始めてプレイする人物が居たとしたら、余りのクオリティに度肝を抜かれる事だろう。
女性が食器に盛られた料理をスプーンですくっていく際に奏でられる音が、すくわれた料理がその分減少していく光景が、まるでここが現実で、本当に食事を行っているかの様な錯覚を齎してくる。
たかが料理に凝りすぎだろと言いたくはなるだろうが、逆に料理だからこそ、制作陣も力を入れるのであろう。現実世界では、料理など高級品で一般市民には手の届かない物だ、だからこそゲーム内でくらい味わ得る様にしたい、例え雰囲気だけでもだ。
色々と罵声を飛ばされがちな、糞運営、糞制作だが、こういう地味な気配りが未だプレイヤーを虜にし続けている要因なのかもしれない。
カチャリと高い音が鳴り響く、女性に目を向ければ、食器の隣にスプーンが優しく置かれていた。どうやら食事が終わった様だ。
「...素晴らしいわね...貴女、シェフを呼んでくれないかしら。」
食事が終わり、女性が隣に立っている女性にそう言葉を吐いていく。勿論、ここはNPCのレストランである為にシェフなど、只厨房で突っ立っているだけであるし会話も出来はしない、今話掛けた人物もNPCのウエイトレスである、サキュバスのサキュちゃんだ。サキュバスの癖に妙に清楚な見た目をしていて、そのギャップから地味な人気を獲得しているこのレストランの看板娘、もとい看板NPCである。なので当然の如く言葉は返ってこない。
「...あぁ、なるほど、貴女がシェフなのね。素晴らしいわ、このジャンバラヤは。」
サキュちゃんに向け、そんなわけないだろと言いたくなる様な言葉を吐きながら、妙に気取った仕草をしている、派手な見た目をした女性がそこには居た。
赤い髪をポニーテールにしてその長さは腰の辺りまである。そしてその両の瞳は、髪の色と同じように真っ赤だ。顔はまだ若干幼さを残した感じがあり、少女と言えるかも知れない。そんな外見の少女であるが、その外見には一つ大きな特徴が見てとれる。それは非常に長い耳だ。酷く長く、尖った耳、エルフの耳だ。そんな派手な風貌をしたエルフの少女が、返事が返ってくる筈もないサキュちゃんに向けて、尚も言葉を発していく。
「そう、素晴らしいわ...そう、素晴らしいのよ...えっとぉ...なんか、こう、そうね...パラパラ!そう、パラパラよ!パラすばよ!すばパラよ!ニンニクもぉ~、なんかぎゅっとしてて、ニンニクなのよ、素晴らしいわ!サキュちゃんシェフ!文句なしの星沢山よ―――あら?どなたかいらっしゃったみたいね。」
エルフの少女が評論家気取りでサキュちゃんに喋り掛けている中、入り口の扉が開き、室内に二人の異業種が入ってきた。
邪悪な見た目をした骸骨の魔法詠唱者風な人物と、赤い瞳をした吸血鬼の神官戦士風の男が、少女を見るや、ゆっくりと歩き近づいてくる。そして少女の前でピタリと歩を止めていく。
「悪いな、リーネ。少し遅れてしまった、主にツーヤさんの所為だが。」
「ウッス、俺の所為っス!すんませんッス、ちんちくりんさん♪」
「...あら?リーネとは誰の事かしら?人違いではなくて?」
「はいはい、分かった分かった、いいから行くぞ。」
「何よぉ!その言い方!ちょっと雑過ぎない!?」
目の前に現れた二人組、モモンガとツーヤから喋り掛けられたエルフの少女、リーネこと、アンティリーネが自分に対して雑な対応をしてきたモモンガに罵声を飛ばしていく。
「...ふぅ、何を言っているのかしら?骸骨さん?私はリーネではないわよ。」
「あっそ、”今日”は誰なんだ?」
「私?私の名前は”アサギリ”!ジャンバラヤをこよなく愛する女よ!」
「ふぅん、今日はアサギリなん?ちんちくりん?てかサキュちゃんの店にジャンバラヤとかあったっけか?」
「ふふん、そう!私はアサギリ―――は?」
自らをアサギリと名乗るリーネに対して至極面倒そうな雰囲気をモモンガが纏う。続いてツーヤが喋り掛けるが、その内容にリーネが驚愕していく。
「なん...だと...ジャンバラヤが無いですって。」
「それチャーハンじゃないのか?まぁ俺も良く分からんが。」
「えぇ?チャーハンとジャンバラヤは違うの!?」
衝撃の事実がリーネを襲っていく、見た目が似ていた為、呼び方が違うだけで料理自体は一緒だと思っていたからだ。我に返ったリーネがギュルンとサキュちゃんに振り向き睨みつけていく。
「サキュちゃん、いつから私に、これがジャンバラヤだと錯覚させていたの?恐ろしい子ね...でも、可愛いから許すわ!」
「自分が悪いんじゃないか、もういいから行こう、ここにずっといても一緒だろ?バフ掛けはもう終わったんだし、適当にモンスター狩りでもしようじゃないか。」
「うっさいわねぇ、分かってても言わないのが優しさでしょ?そんなんだからモモンガさん彼女いないのよ!」
「おまえぇぇぇ!それ言ったら戦争だろうが!てかお前が優しさとか言うな!」
やいのやいのと、いつもの親子喧嘩が開始されて行く。しばらく言い合いは続いていったが、二人共気が済んだのかピタリと言葉は止み、この後の予定の組み込みを行っていく。今日は恐らくこの三人での行動になっていくだろう、余り大きな事は出来そうにもないので、近場でモンスターでも狩ってぶらりと探索でもしようと言う事になっていった。
「そんじゃ、それで行きますかね、ちんちくりん居るしドラゴン狩りでも良いけど、まぁたまには行き当たりばったりも悪くはないわな。」
「行こ~行こ~♪それじゃねサキュちゃん美味しかったわ。」
三人がレストランから帰っていく、それを見送るかの様に、サキュちゃんがジッと三人の後ろ姿を見つめていた。
♦
行き当たりばったりのぶらり旅が開始され、三人が談笑しながらフィールドを進んでいる。途中に少しの戦闘はあった物の、特に欲しいアイテムもドロップせず、美味しい敵を見つける為に三人は散策を続けている。
「しかし、ちんちくりん、マジで今日は派手だな。この間の真っ黒なショートのが似合ってたぜ?」
「そうですか?この間のは”即バレ”したんで、今日は逆に凄く派手にして見たんだけど。」
「有名人は大変だな、派手に暴れまわるからそうなるんだ。」
談笑の中に不意に紛れ込んできたこの話題、リーネの容姿について二人が喋り掛けていく。ここ最近、リーネは頻繁に見た目を変えている、髪型や髪色、瞳の色からその耳に至るまで様々である。これは気分を変えたい時などに使用する、キャラメイクアイテムで一時的に見た目を変えているに過ぎない。
そしてなぜこの様に見た目を変えているのかと言うと、最近の彼女の知名度の為だ。自分の知らない所で何やら悪評が膨れ上がり、気づけば有名人になってしまっていた。
しかも悪評な為に知らない奴から急に喧嘩を吹っ掛けられたりする。異業種姫を倒したとあらばその人物の名も上がるだろう。なので最近は、出歩く時は変装して気づかれにくくしているのだ。
「うぅ、何も言えない...喧嘩を売られる位なら良いんだけど...異業種の人達が姫~、姫~って持て囃してくるのが...なんかちょっとこう、うへぇ~ってなるのよね。」
「ちんちくりんも遂にオタサーの姫になっちまったか。いや、イギョサーの姫か?貢物まで貰ってんだろ?」
「はぁ?お前それは初耳だぞ?それはいくら何でも。」
「貰って無い、貰って無い!ちゃんと返してるわよ!だってさぁ。色々なプレイヤーが居ますが、自分の最押しは姫ですぞ、これをお受け取り下さい!とか言われてもねぇ...ゾワゾワってなるわよ。」
「最早アイドルだな...まぁ、敵だらけになるよりはマシだと思うしかないな。」
「ですね、モモンガさん。まぁしかし、運営としては嬉しいでしょうね、ちんちくりんのお陰で、今ユグドラシルは凄く賑わってる。ネットのゲーム特集でも取り上げられた程ですよ?異業種のお姫様爆誕って、お陰でご新規さんも結構増えてるらしい。皆真新しい物が好きだよな。」
ツーヤの言う通り、今ユグドラシルは非常に賑わいを見せている。自由度の高いゲームであるからこそ、プレイヤーの持つ影響力は絶大だ。自分の神業の様なプレイヤースキルやダンジョンRTAなどをネットで披露する者や、アイドル路線で歌を披露したりする者など様々である。結局の所、人間達が集まって出来ている空間である為、盛り上げるも盛下げるもプレイヤー達次第なのだろう。運営はその様な場を提供する事ぐらいしか出来はしないのだから。
そう考えると、リーネの属性はてんこ盛りだ。派手な見た目と整った顔に加え、高いプレイヤースキルを持っている。しかも人間種なのに気持ちの悪い異業種達としかつるまず、極めつけは少女と言うロリっ子属性まで備えている。そんな完全無欠の存在がPKしまくりの極悪行動ばかり取っていれば有名にならない訳はないだろう。
(しかし、急すぎるな...誰かがトリガーを引いたとしか思えないな、悪評ばかりではなく、いい具合にアイドル路線にも持って行っている、潰しに来たと言う線は薄いだろうが、用心しといた方がいいか?考え過ぎなら良いんだが。)
(ちんちくりんと言う最高の素材をここまで引き立てられる...絶妙だな、出来そうな奴は限られてくるぞ...ま、証拠も掴めそうにはないけどな。)
「?二人共どうしたの?急に黙っちゃって。」
先程まで楽しく喋っていた二人が急に黙ってしまった事に対して、リーネは不思議に思い二人に問いかける。二人共その言葉を聞き我に返ったのか、何でもないとだけ言い、また談笑にふけっていく。考えすぎるのも良くはないだろう、無駄に本人に心配させる必要もない訳であるし、ここは話題を変え、最近友達になったと言う人物の事を聞いて見る事にした。
「そう言えば、最近俺達以外に友達が出来たらしいな、クラン以外にも知り合いを作るのは良い事だ。まっ、俺はいないけどな!」
「モモンガさん...悲しくなるッスよ、それ。」
「ふふん♪凄いでしょ!私のコミュ力舐めないでよね!二人と違うんだから!」
「おぉん?俺だって友達くらいいるぞ?”山羊頭のデーモン”がな。今度会わせてやるよ。」
「へぇ~、ふぅん、いるんだ。あっそ。」
「モモンガさん!?拗ねないで下さいよ!」
リーネがツーヤとクラン外の友達について話していると、友達のいないモモンガが少し不貞腐れだしたので、慌ててリーネがモモンガに喋り掛けていく。
「いやぁ~でも、モモンガさんあれよ、いたらいたで結構大変な事もあるからそんなに気にしなくてもいいんじゃないかな?この間なんか急にメッセージ飛んできて無理やり呼び出されたんだから。」
「へぇ~、良かったな、楽しそうで。」
逆効果であった、そこは友達の話題を変えた方が良かったように思えたが、拗ねるモモンガに尚もリーネは友達の話をしていく。
「ふぅん、内容を聞いてもそう思えるかな?」
「ん?どういう事だ?」
「えっとねぇ、急に呼び出されたかと思ったら...ゲッゲッゲッ~♪相棒~、今日は楽しい楽しい、デスマッチだぁ~、いくぜぇ~、蛍光灯2000本デスマッチ~♪とか言って辺り一面に蛍光灯?とかいうガラス敷き詰めて取っ組み合いさせられたんだから。」
「おい!?大丈夫なのかそいつ!?変な事されてないだろうな!?」
「そいつやべぇな!?俺よりやべぇぞ!そいつ!?」
余りの内容に二人が度肝を抜かれ、続いて心配になってくる。友達が出来るのは良い事だがもう少しまともな奴はいなかったのだろうか。慌てふためく二人にリーネが友達付き合いの大変さをくどくど語っていく。
「まぁ、そういう事よ、モモンガさん。意外と大変なのよ?だから拗ねないで。」
「いや、もう拗ねるとか吹き飛んだぞ!変な事されたら言うんだぞ!俺がビシッと言ってやるからな!」
「既にそこそこの事やられてますけどね。まぁ、ちんちくりんがそれでいいんならいいんじゃないですか?」
「でもですねぇ、ツーヤさん―――」
言い合いをする二人を見ながら、リーネがほほ笑む。今日は特に何もしてはいない、三人でぶらぶらして、他愛無い会話をしているだけだ。それでも、自分はこんなに楽しい、ゲンガーも確かに友達で、掛け替えのない物なのかも知れない。それでも目の前で言い合っている二人も同じように大切で、掛け替えのない物だと思えたからだ。
言い合いはまだ終わりそうもない、ふと視界の端に見えた岩に座りながら、二人の言い合いが終わるのを、ほほ笑みながら少女は見つめ続けた。
♦
『この地を荒らす者よ、これ以上の暴挙は我が許さん、塵と消えるが良い。』
「おいぃぃーーー!城主さんじゃぁあないかよぉーーー!ここまで出張してんですかぁ?お疲れ様っスーーー!プギャーーー♪」
「城主さんお疲れ様ね♪この声の人いっぱい仕事あるから大変よねぇ。」
「二人共、そういうツッコミはやめてあげなさい。城主さんだってねぇ、大変なんだぞ?ヘルヘイムを守る為に必死なんだから。」
軽い言葉を交わしながら、三人がチームで戦闘を行っている。三人の会話に出てくる城主と言うのは、ヘルヘイム城の主の事である。ユグドラシルの運営も、製作費を削りたいのか何なのかは分からないが、一人の声優を複数の場面で使用してくる事が多い。特にこの城主の声優さんは、他の声優さんよりも高い頻度で使用されている。色々な場面でこの声は聞ける為、その度にこの様に、出張と言われてしまう。
少し可哀そうではあるが、ある意味プレイヤーからは愛されている声優さんである。そんな、出張している城主さんと戦闘を繰り広げているこの場所は、ヘルヘイムの薄暗い森林地帯で在り、霧の立ち込める不気味な場所だ。”霧の魔女”の落とすレアドロップでも狙ってみるかと三人で話し合い、ここまでやって来たのであるが、なぜか急に出現してきた、悪の魔法使い風な城主さんとエンカウントしてしまい、戦闘を行っている所である。
「しっかし、見た事ない敵だな~、よっと、”清浄投擲槍”ィ~。」
「私も見た事ないですねぇ~、もしかして隠し要素~、よっと、”レイザーエッジ”。」
「俺も知らないな?隠し要素と言う可能性は高いかもな~、それにしても、余り強くないな、まぁガチ勢二人いるから仕方ないよなぁ。あっ、
「グオォォォーーー!」
「はい、ありがとう。あっ、死んだ。まぁいいや、
『馬鹿なぁぁぁーーー!この我がぁぁぁーーー!ぐぎゃぁぁーーー!!』
「おぉ、凄いッスねぇ~、モモンガさん、断末魔までありますよ。強さ的にもボスクラスではないし、そんな奴にしっかり台詞入ってるって事は、マジで何かの隠し要素か?レアアイテムドロップするかな?」
軽い言葉を交わしながら戦闘を続けていた三人であったが、いつの間にか城主さんは虫の息であったらしい。モモンガの魔法がトドメとなり、出張中の城主さんは断末魔をあげながら消滅していっている。そんな城主さんに三人は手を振りながら、サヨナラと別れを告げていった。
消滅した城主さんから、キラキラとユグドラシル金貨が舞い散り、その中にレア度の高いアイテム特有の光を放つアイテムが三つ紛れ込んでいるのが見えた。
「おぉ?これは何だ?」
「わわわ、レアドロ!?何々!?」
「まてまて、ちんちくりん。モモンガさん、鑑定してもらっていいッスか?」
ツーヤの言葉を聞いたモモンガがそのアイテム達を手に取り、鑑定をしていく。
【魔力系魔法強化の腕輪(左)】魔力系魔法の威力を上昇します。
【魔力量増加の腕輪(右)】最大MPを微増させます。
【位階上昇化強化の首飾り】位階上昇化時の威力を上昇します。
「ふぅむ、馬鹿げて良くはないなぁ、後は上昇量だが、腕輪はいらないな。もっと優秀なのがあるし、でもこの首飾りは良いな。位階上昇化は結構使うし、これなら、マジック・アローとか発動させる時役に立ちそうだ。」
「ちぇ~、魔法詠唱者用の装備じゃない。いらな。」
「同じくだなぁ~、魔力系っしょ?それ。」
「そうですねぇ、ん?まだ何か書いてあるなぁ?何々?」
モモンガが残りの項目を読み上げていく。そこに書かれていた内容は”この装備は単体では使用できません、三つで一つです”と言う内容であった。その言葉を聞き三人は。
「「「いらな!!」」」
盛大に言葉を被せ合った。いくら何でも装備枠を三つ潰すのはあんまりだろと言う気持ちが三人の中で沸いてきたからだ。単品ならどうにか使っても良いかなと思えそうであるが、三つとなれば話は別である。耐性付与の装備を付けた方がマシだと思えた。
言葉を盛大に被せ合った三人が黙り込み、しばらく見つめ合う、そしてその後、三人で一斉に笑い始めた。
「プギャーーー!何だよ何だよ!期待させやがってよぉ~、誰だよ、隠し要素なんて言ったのはよぉ!」
「ははは、ツーヤさん、それは俺達三人ですね!いや、一本取られましたね。まぁ、隠し要素ではあったのでしょうけど、ルーキー用だった見たいですね。通りで、城主が弱い訳だ。」
「ぷぷぷ、まぁ確かに、ご新規さんには立派なアイテムよねぇ。城主さんも確かに、ご新規さんにはきつそうだったし。」
期待が大きかった半面、三人共間抜けな自分達が可笑しくて堪らないのだろう。これぞ行き当たりばったり、これぞぶらり旅である。
リーネは笑う、可笑しくて堪らないからだ。そしてその大きな笑い声に比例していくかの様に、この時間が―――仲間達との時間が愛おしいと思えてくる。
これからも、ずっと一緒に、この様な他愛無い関係が続けば良いと思った。
「しかし、どうするかなぁ、これ。別にいらないが、一応レアドロだしなぁ。コレクションにでもしようか―――あぁ!こらリーネ!」
「ヘッヘッーン♪いらないなら私貰っちゃうもんね~♪」
「おぉ~、ちんちくりん、モモンガさんから盗むたぁやるなぁ♪流石極悪非道♪異業種達のお姫様~、ヘルヘイムの殺戮姫、絶死絶め―――んぎゃぁ!噛むな噛むな!」
「このアンデットーーー♪」
これからも、この仲間達と―――このクランと一緒に過ごせれば良いと思った。
「ははは、それはお前にやるから、俺は噛むなよぉ~、ははは。」
「モモンガさぁ~ん、酷いってぇ~、あぁ、もう何だよ。肩によじ登ってくんなって。」
「ぷぷぷ、搭乗完了♪いけぇ~、ツーヤ号♪時間はまだあるのよぉ、今度はこの森林を抜けた先~、死の山脈よぉ♪」
これからも、皆一緒に―――いつまでも皆でいれると。
「あぁん?しゃぁねぇなぁ~♪振り落とされんなよ~☆」
いつまでもみんなで―――そう思った。
「ははは、レッツゴ~♪モモンガさぁ~ん、ぶらり旅はまだ終わらないわよぉ!」
「ははは、全く、お前と居ると飽きないな。」
「ゴ~ゴ~♪ははは、ツーヤさん、はや~い♪」
「もっと飛ばすぜぇ~い☆」
(ははは、皆大好きだよ、モモンガさんも、ツーヤさんも、皆―――大好き。)
いつまでもみんなでいられると。
そう―――思っていた。
♦
酷く寒い風が吹きすさぶ、日の光が沈んだその場所では、少しの松明の明かりだけが周囲を照らしている。そんな視界の悪い中であるにも関わらず、多くの人間達が慌ただしく動き回っていた。
そんな中、一つの天幕―――それも一際大きな天幕の中では、外で蠢いている人間達とは正反対に、静かな会話が繰り広げられていた。
「最悪ですね、一体急に何が起きたと言うのでしょうか...これまでを遥かに超える量の亜人やモンスター達が逃げまどっています。ファーイン様、これ以上は...。」
「...
「ファーイン様...どちらにしろ、状況は一刻を争います。ご決断を。」
「そうですね...。」
大天幕の中では、今回の軍の指揮官クラスの者達が一様に会し、深刻な会議を続けている。
ウズルスの言葉を聞き、ファーインが深刻な面持ちで目を閉じる。そして、しばらく思案した後に目を開け、言葉を天幕内の全員に向け言い放っていく。
「神官長達に報告を、指示が出次第”作戦を決行”します。」
リーネ「えぇ~、ちひろさん。二章もこれで終わったわけですが。今の心境などは?」
ちひろ「あぁ~、うん、そうですねぇ~。やはり今回はこれからの下地といいますかぁ、色々とやらなければならない事が多かったのでぇ、大変でしたが、どうにかやり切りました。えぇ、非常に満足しております。えぇ。」
リーネ「なぁるほどぉ~、それと一つ気になる点があるのですが?」
ちひろ「はい?何でしょうか?」
リーネ「モモンガさんは、一話から頻繁に出ていたのですが、デス・ナイトさんは今回初めて出演しましたよねぇ?中々オバロSSでこのような展開は見ないのですがぁ、何か理由でも?」
ちひろ「すぅ~、あぁ、そうですねぇ~、やはりデス・ナイトさんはオバロの花ですのでぇ~、ここぞと言う時まで出し惜しみしておりました。はい。」
リーネ「あぁ~、成程ですねぇ~、で?実際の所は?」
ちひろ「存在を忘れていました。」
どうもちひろです 次章予告スタート!
リーネ「おぉーし、いくわ―――ぎゃん☆」
ヨンサマ「よっしゃ!行くぜ!」
リーネ「( ゚д゚)!!?」
―――BGM・轟〇DREAM―――
ヨンサマ「吹きすさぶ寒波の中で、人類存続
の為の戦いが始まっていく!
辺りを覆う白雪が、怒号を上げて
天に舞いあがるぅ!!
それを見て、悲しき宿命を背負う
血濡れの修羅は何を思ったのか?
次回 押す! アンティリーネ!
第 2.5 章
【アゼルリシア山脈攻防戦】
アンティリーネの歴史にぃ!!
また1ページ! 」
リーネ「よぉ~し、もぐら叩き頑張るぞぉ(・x・)」ブンブン
※ 次回はスルシャーナが消滅するお話です。
2.5章はその後です。