あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~   作:だいだろすちひろ

22 / 81
 前回のあらすじ

 ...ぷす...ぷす...。
 


オラサーダルク?オタサーとは違うんですか?

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 男は佇む。広い広い山頂で、自分と同じ有象無象と共に。

 

 男は見つめる。白い白い雪原で、有象無象と同じ様に、自らに出来る事は何もないと。

 

 白い吐息を吐き出しながら、ひたすらに見つめ続ける。

 

 雪原と言う名の真っ白なキャンパスに。

 

 鮮血と言う名の真っ赤な絵の具を。

 

 剣と言う筆に塗り、走らせながら。

 

 死と言う絵画を描き続ける光景を。

 

 描き続ける女を、只ひたすらに見つめていた。

 

 目をそらす事無く見つめ続けていた男が、ふとある事に気づいていく。

 

 絵画を執筆している女の纏う雰囲気が変わった。男はその意味を少し考え、すぐに答えに行きついていく。

 

 絵画の完成はもうすぐそこだと、女は最後の筆を走らせようとしているのだ。

 

 一挙一動を見逃すまいと、男が全神経を視覚に集中させていき―――女が消えた。

 

 それと同時に、女が使用していた絵具達もピタリと動きを止める。そしてすぐに真っ赤な絵の具が噴射され、赤が白を塗りつぶしていく。

 

 使用された絵の具達が大きな音を立てて倒れ込み絵画の一部になっていく。

 

 そして倒れた絵の具の後ろから、女が姿を表す。どうやら女は絵の具達の後ろに移動をしていた様だ。いつのまにそこまで移動したのかを男が考えていると、女が被っていた兜を脱ぎ去っていき、ゆっくりと空を見上げていった。

 

 素顔を晒した女が虚ろな目で空を見上げ続ける。

 

 その姿を、男は憐憫を含んだ目で見つめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

「うわあああーーー!」

 

 アゼルリシア山脈に小さな影が地面に向けて落ちて行っているのが見えてくる。

 

 その正体はリーネである。巨人の投石の衝撃によってバランスを崩したリーネが崖から足を踏み外し、只今絶賛墜落中の所である。

 

「うわあああーーー...うわあ~~~。」

 

 耳を塞ぎたくなる様な恐ろしい風切り音と共に墜落していたリーネの叫び声の質が少し変わっていく。なんというか、余裕が見える声に変わっていく。

 

「エ~ア~リ~ア~ルゥ~...。」

 

 そう余裕の声の正体はスキルによる足場の確保を思い付いていったからだ。

 

 リーネの身体能力を考えれば、この程度の高度はなんら問題にはならないのではあるが、それでも少しは痛いであろう。両足で着地したとしても恐らくは足がジ~ンと痺れてしまう位には痛いだろう。

 

 痛いのは嫌なので空気振動衝撃(エアリアル・ブレイカー)を用いて足場の確保と共に、威力を押し殺して着地しようと思い、スキルを発動させようとする。

 

 そして、ふと何やら妙な感覚が押し寄せてきた。

 

 キチンとした表現は表せないが、なんと言うか、力の強弱の様な物がリーネに伝わってくる。

 

 その妙な感覚に一瞬リーネが困惑していくが、考えても良く分からなかったので、取りあえず、思いっきり空気に手を叩きつけていった。

 

「アッ!ブレイカ~~~♪」

 

 その瞬間、アゼルリシア山脈に轟音が轟いていく。

 

 打ち付けられた手から空間に亀裂が生じ、その亀裂が瞬く間に周囲を侵食していっている。

 

 亀裂は常人には視認できない程の速度で広がっていく。しかもそれは一つではない。

 

 無数に点在していく亀裂が山脈の物質達を次々に砕いていく。

 

 雪を纏った木が、岩が、空間の亀裂に挟み込まれ、現実から遮断されたかの如く切られ、砕かれ、山脈に倒れ伏していく。

 

 それに比例するかのように、地面が揺れ動く―――山脈が揺れ動く。

 

「は?」

 

 目の前で起きている信じられない光景にリーネの目が釘付けになっていく。着地をしようと思いスキルを発動させていったのだが、最早そんな物は頭から吹き飛んでしまった。全てを薙倒していく亀裂を見つめながら、リーネが盛大に地面に衝突していく。

 

「いででで...ん?あああーーー!!」

 

 足の小指を盛大にぶつけた様な痛みを受け、涙目になりながら起き上がっていく。

 

 するとどうだろうか、先程とはまた少し違った音が耳に届いてくる。鈍く低い音と考えれば先程と同じように思えるが、少し違う点がある。こちらの音は持続的である、音は鳴りやまずにゴゴゴゴと聞こえ続け、そしてその音はどんどん大きくなってきていた。

 

 不思議に思い音の方角に目をやると、ゴゴゴゴとギャグの様な音を立てながら、白い壁が自分目掛けて押し寄せてくるのがリーネの目に見えてくる。

 

 そして気づく、それは壁ではなく、雪雪崩だと。

 

「うわあああーーー!ブレイカァァ!!あああああ!?」

 

 迫ってくる雪雪崩にテンパったリーネが前方に空気振動衝撃(エアリアル・ブレイカー)を発動させて雪雪崩を防いでいき―――押し返される形となった雪雪崩が逃げ場を求めて盛大に上空まで舞い上がっていく。

 

 自分が行動を起こせば起こす程に繰り広げられる衝撃の光景に、ムンクの叫びの様な顔とポーズでリーネが盛大に悲鳴を上げ続ける。

 

 その悲鳴はその光景が落ち着くまでずっと続いていった。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 雪雪崩も落ち着き、静寂が再度周囲に押し寄せてくる。

 

 辺りを見渡せば、バキバキにへし折れた木や砕かれた岩が雪に埋もれてちょこんと可愛く姿を覗かせている。

 

 その可愛らしい残害達を見つめながら、リーネがふふふと微笑を零す―――筈もなく、絶望に染まった表情をしながら呆然と立ち尽くしていた。流石にこの光景をみて笑っていられたら狂人であろう。

 

「なんで...?なんでこんな事になるの?いや、一旦落ち着くのよ私。確か、そう、素数を数えて落ち着くのよ私...素数ってなんだっけ?」

 

 一旦落ち着こうと、最近ハマってしまった漫画のキャラが言っていた言葉を呟き冷静になろうとするが、残念ながらお馬鹿なリーネに素数など分かる筈もなく、作戦は失敗に終わっていく。

 

 素数は良く分からなかったので、取りあえず深呼吸して気持ちを落ち着かせていると、少し落ち着いてきたのか、急にお腹がグゥグゥ鳴りだした。

 

 そこでふと思い出す。そうだ、確か自分はお腹が減ったから休憩中に何か食べようとしていた筈だと。こんな状況でも素直な自分の体に対して、若干苦笑いを浮かべながらも首掛けリュックを漁り出す。

 

(確か非常食が...あったあった...え?なにこれ?)

 

 リュックから取り出した非常食の包みを広げていき、リーネの目が点になる。

 

 そこにあったのは余り目にした事がない、クッキーの様なカチカチの固形物。

 

 保存期間も長く、その上軽く持ち運びに便利で、食べれば消化吸収がよく満腹感も大いに得られていく。そう、これこそが軍隊などで広く愛される究極の非常食―――乾パンである。

 

(これ食べ物なの?どう見ても美味しくなさそうだけど...いや、決めつけるのは良くないわね。頂きま~す...かた...まず...。)

 

 食べれば実は美味しいのでは?と思ったが普通に糞不味かった。

 

 バリバリと乾パンを貪りながら、先程の光景について考えを巡らせていく。

 

(やりすぎでしょあれ...まぁやったの私だけど。ていうか、何であんな大惨事になるのよ、たかが空気振動衝撃(エアリアル・ブレイカー)じゃない。ユグドラシルと現実では効果が違うの?フレーバーテキストにも大地を砕き、空をも割るとか書いてたし、まさか...。)

 

 フレーバーテキストの現実化。その恐ろしい考えにリーネは行きついていく。流石に完全に一緒とは言わないが、それでもスキルが現実になった事により、なんらかの影響をテキストから受けている事は十分に考えられる。そうでなくては先程の光景の説明がつきそうにもない。

 

(そう言えば、火球(ファイアー・ボール)の範囲もおかしかったよね。あれも現実になった結果なの?もし仮に超位魔法とか打ったらどうなっちゃうの?一発で法都が吹き飛ぶとかないよね...そんな事は...無いとは言い切れないかも。)

 

 リーネが身をぶるりと震わしていく。空気振動衝撃(エアリアル・ブレイカー)如きであの威力と範囲なのだ、最強の魔法である超位魔法であるならば都市一つ吹き飛ばせてもなんら不思議は無い様に思える。テキストにおいても、えげつない内容がびっしりと書き込まれている魔法だって沢山あるのだから。

 

 例え吹き飛ばなかったとしても、その魔法の余波で都市が機能不全に陥る事は間違いないだろう。魔法一発で自分の住む法都が壊滅してしまう光景をリーネは幻視してしまう。

 

(私以外にも世界を行き来している人は絶対にいる...でもプレイヤーも人間なんだし、そんな事はしないよね?うん、そんな事はしない!そんな酷い事が出来るなら、そいつはもう人間じゃないよ!)

 

 そんな事をすれば沢山の命も失われるだろう。人間であるプレイヤーがそんな酷い事をする筈がないとリーネは結論付け、その恐ろしい考えを頭を振りかき消していく。

 

 少し考えが脱線してしまった様だ、取りあえずは自分のスキルが現実に戻ってきた事により変貌を遂げてしまっていると言う事を頭に入れていき、続いてこの後の行動を考えて行く。

 

 乾パンをバリバリ食べながら、離れてしまった部隊とどう合流しようかと考えていると、急に体に異変が起きていく。

 

 しかしこれは悪い異変ではない。急に力が溢れてきたのだ。体の内から沸々と煮えたぎる様に大きな力が溢れてくる。

 

 全能感すら感じる程の力の本流をリーネが感じていく。

 

 一体何が起きたのかと考えて行き、真っ先に思い付いたのは今食べている乾パンであった。この食べ物は糞不味いとは思っていたが、これ程の効果―――バフを付与する食べ物であったのかと感動していく。

 

 勿論、これは只の乾パンだ。そんな効果が付与されている筈もなく、理由は別にある。

 

 とんでもないアイテムを見つけてしまったと、乾パンと睨めっこしているリーネの耳に少し遠くから音が届いてくる。そしてその音は時間が経つに連れて大きくなってきている。

 

 その音を聞いていったリーネが自分の考えが間違っていた事に気づき音の聞こえる方角を振り向いた。その音の発生源を見ながら―――羽音を立てている存在を見ながら、この状態の意味を完全に理解していく。

 

 この力の正体は乾パン等ではない。

 

 発動しているのだ―――竜殺しが。

 

 そして羽音は目の前で止まっていく。リーネを覆う様に大きな影が包み込み、その影を作っている存在がその大きな瞳でこちらを睨みつけてくる。

 

 そこに現れたのは巨大な白き竜であった。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

(ドラゴンだ。なんだ、竜殺しが発動してたのね。感動して損したなぁ。)

 

 自分の考えが間違いだったと気づき、盛大に落胆していく。とんでもない物を発見したと思ったが、なんの事は無い、やはりこれは只の糞不味いだけの食べ物だったらしい。

 

 この世界で最強の種族のドラゴンを目の前にしながらも、頭の中ではそんな下らない事ばかりが渦を巻いていく。普通の者ならこんな事は考えずに、泣きながら逃げていく所だろうが、残念ながらリーネは普通ではない。

 

 リーネにとってはドラゴンは怖い種族ではない、むしろ美味しい素材くらいの認識である。当然ながらそんな存在に怖がる筈もなく、狩った方が良いのか等と考えていると目の前のドラゴンから言葉が発せられていく。

 

「あん?人間かお前?ドワーフではないようだな。」

 

「わ、喋った。えぇっと、人間じゃないわよ。ハーフエルフ。」

 

「ハーフエルフ?エルフ...聞いた事くらいあるな。食った事は無いが。」

 

(わ、普通に食べるとか言ってる。エルフってご飯なんだ。)

 

「まぁいい、おいお前、さっきのあれは何だ?雪を舞い上げてただろ、魔法か?俺の縄張りの近くで騒音を立てたんだ、どうなるか分かってるんだろうな?」

 

「知らない。どうなるの?ていうかあんた誰よ、この山脈のボスなの?」

 

 偉そうな態度を取るドラゴンに対し、少しイラっときたのでチクリと言い返していく。矮小な存在からの思いがけない言葉にドラゴンが少し驚いた風な雰囲気を纏い、その後に豪快に笑いだした。

 

「ははは!面白い奴だなお前は、食い応えのありそうな餌は好きだぞ。俺が誰かだと、そうだな、冥土の土産に教えてやろう。」

 

「冥土の土産なんて言葉使ってる奴初めて見たわよ。あんた中々良いエンターテイナーになれそうね。」

 

「減らず口を、生きの良い餌だ。よく聞け、俺は”オラサーダルク・へイリリアル”いづれこの山脈を支配するオスだ。」

 

「オタサーダルク?」

 

「オラサーダルクだ!!食い殺すぞキサマァァァ!!」

 

(滅茶苦茶怒られた...まぁ、今のは私が悪いんだけど。)

 

「稀に見る豪胆な餌だから気分次第では見逃してやろうかと思ったが、舐められたとあっては話は別だ...食い殺す!」

 

 その言葉と共に、オラサーダルクの咢が迫ってき―――ピタリと動きを止める。いや、正確には動きを止められている。オラサーダルクの鼻先に、リーネの小さな手が添えられているからだ。

 

 オラサーダルクが驚愕に目を見開いていく。その後必死に押し返そうと力を入れているのだろうが、残念ながらリーネはびくともしない。

 

 一心不乱に力を入れ続けるオラサーダルクの鼻先に、もう片方の手をリーネが向けていき―――鈍い音と共にオラサーダルクの顔面が弾かれて行く。

 

「...必殺”デコピン改”。」

 

 オラサーダルクが顔面に強烈なデコピンを食らい、地面に倒れこむ―――まではいかずに、歯を食いしばりながら耐えて行っている。しかしそれでもかなりのダメージを負ってしまった様だ、足がプルプル震えている。

 

「うん、少し”使い方”が分かったかも。でも難しいな、もっと弱くするつもりだったんだけど。」

 

 必殺、デコピン改―――これは只のデコピンではない。指を弾く際に空気振動衝撃(エアリアル・ブレイカー)を発動させていったのである。

 

 先程空気振動衝撃(エアリアル・ブレイカー)を使用した際、力の強弱―――つまりは出力調整の様な感覚に見舞われた。その感覚に戸惑いながら全力で放っていった結果があの有様である。なので今回は出力を調整し、最小出力で放ったつもりであったが、まだ少し、強かった様だ。

 

 それと同時にこのデコピンはテキストがどこまで反映されているかの実験も兼ねられている。ユグドラシルでは一定のモーションからしか発動させる事は出来なかったが、テキスト通りならばどの部位からでも発動させる事が可能な筈なのだ。

 

 そして実験の結果、問題なく指先からもスキルの発動を確認できた。その実験の結果に満足していくと共に、現実世界でのスキルの効果の幅の広さに驚愕していく。

 

「何なんだお前は...お前まさか”汚物”か...?」

 

「汚物!?」

 

 その言葉を聞いた瞬間からリーネの怒りメーターがギャンギャン上がっていく。実験に付き合ってくれたのだからこのまま返してやろうかと思っていたのだが、汚物とまで言われてしまえば流石に腹が立つ。

 

 やっぱり殺して素材でも剝ぎ取ろうかとリーネが考えていると、ぶるぶるとオラサーダルクが震えているのが目に入ってきた。

 

(なんでコイツこんなに震えてるんだろ?私何もしてないのに...もしかして殺気?)

 

 頭の中に数日前に母から受けた殺気が思い出される。ドラゴンの感覚は鋭敏だと聞く。自分の怒りを察知した事で震えているのではないかと思い、心を落ち着かせ、感情の高ぶりを静めていく。

 

 その結果、しばらくしてオラサーダルクの震えは治まっていった。

 

「~~~――この感覚...お前やっぱり汚物なんだな!」

 

「ねぇ、その汚物ってなによ、凄く嫌だから言うのやめてくれない。」

 

「そ、それは俺も知らん。俺も知り合いのドラゴンに聞いただけだからな...そのドラゴンも知り合いの”竜王”から聞いたと言っていたが...汚物はこの世界の敵で、最強の存在、古の竜王達ですら殺しまくった化け物だとな。絶対に手を出すなと言われたが、お前がそうなんだろう!」

 

「全然違うよ。私”こっち”でドラゴン殺した事ないし、だからその呼び方やめてよ。」

 

(それもしかしてユグドラシルプレイヤーの事かな?竜王ってお母さんが怖がってる様な奴らよね?そんな奴ら殺せるのってプレイヤーくらいしかいなさそう。じゃあ私も汚物じゃないの!?いや、落ち着くのよ私、多分それはプレイヤーを指す言葉じゃ無くて、個人を指す言葉なのよ!うん絶対そうだわ!)

 

 汚物ではないと言う言葉を聞いたオラサーダルクが、少し安心した様な雰囲気を纏ったが、すぐに再度警戒態勢を取っていく。じわじわ後ろに下がっているかの様にも見えるその姿を見つめながらリーネは思考していく。

 

 これはある意味チャンスかもしれない。今までここまで話の中にプレイヤーの影が見えた事は無い、そのオラサーダルクの知り合いのドラゴンに話を聞けばもっと多くの情報が得られるかもしれないとリーネは思っていく。

 

 しかしこの行為は非常に危険であるかもしれない。そのドラゴンが竜王と面識がある以上は、自分と言う存在の正体がバレない様に細心の注意を要するだろう。

 

 それでも聞きに行く価値は有ると思えた。自分以外にも、世界を行き来している存在は絶対にいる。

 

 自分はユグドラシルの嫌われ者だ。現実世界である以上は、異業種姫だからと言っても簡単に戦闘行為を取っては来ないとは思うが絶対とは限らないだろう。せめてプレイヤーがどの辺りで出現したのか位は知っておけば自分も注意しやすくなるだろう。

 

「ねぇ、私その知り合いのドラゴンに汚物の話を聞きたいの、会わせてくれないかな?」

 

「...それは無理だな...そいつはもう死んじまったからな。」

 

「え?そ、そうなんだ。」

 

 覚悟を決めて会いに行こうとしたが、どうやら既にそのドラゴンはこの世にいないらしい。落胆がリーネを包み込む中、オラサーダルクの雰囲気が少し変わったのをリーネは感じ取る。その雰囲気はなんというか、少し悲しげな雰囲気だった。

 

「あぁ、滅茶苦茶に強いメスだった...いつか俺がブチ殺す筈だったんだが、あの馬鹿が、ジャイアントなぞに殺されやがって...”卵”なんぞ守らずとっとと逃げりゃ良かったのによ」

 

「ジャイアント...もしかして今回の騒ぎもそれが原因なの?ていうか、卵を守ったって?」

 

「言葉の通りだ、そのドラゴンはこの山脈じゃ霧の竜の女王(クイーン)って呼ばれてる最強のメスだ。ドラゴンもジャイアントも誰もあいつには敵わない、普通ならな。だから狙われたのさ、産卵の瞬間をな...産卵で疲弊しきった所を狙われた、それでもあいつなら逃げる位はできた筈だ、けど逃げなかった、産んだばかりの卵を守って、あいつは死んだ...馬鹿が。」

 

「...どこが馬鹿なの?母親が子供を守ったんでしょ?命がけで!普通の事じゃない、何が馬鹿なのよ!」

 

「普通?どこが普通なんだ?お前の言ってる事が俺にはさっぱり分からん。俺達ドラゴンにとって、親も子供もない。メスも産む位はしてやるが守ったりはしないだろう。あいつが異常なだけなんだよ、エルフの価値観とドラゴンの価値観は違うのさ。お前の普通は俺達の普通じゃない。」

 

 その言葉にリーネは押し黙って行く。

 

 言い返したいが言い返す言葉が見つからないからだ。オラサーダルクは至極真っ当な事を言っている。理屈でこの言葉に反論する事は自分には出来そうもない。

 

 この世界には多種多様な生物が生息している。沢山の種族がいて、沢山の価値観がそこにはある。ドラゴンと言う視点で見てしまえばオラサーダルクの言う言葉の方が正解なのだろう。でもそれでも、その言葉を認めたくなかった、子供を守って死んだ母親が馬鹿だと言う言葉を。

 

 自分も守ってもらった、母から命がけで―――いや、いまでも守ってもらっているだろう、だからこそ、その言葉は認めたくなかった。

 

「...その卵はどうなったの?」

 

「卵か?卵はあの馬鹿の亡骸と一緒にある筈だが...なんでそんな事を聞く?」

 

「そのままだとどうなるの?」

 

「...孵化は多分するだろうが...その前に多分、他の生き物に叩き割られるだろうな、ドラゴンの卵なんぞ他の生き物にとっては百害あって一利無しだろうからな。自分達を食い殺す生き物が生まれてくるんだ、みすみす放っては置かんだろう。」

 

 間違いなくそうなる。そう思わせるだけの説得力がその言葉にはあった。そしてその言葉を聞いた後に、リーネが瞳を閉じ、思案を始める。

 

 しばらく思案した後、ゆっくりと瞳を開け、オラサーダルクに向かい言葉を発しだす。

 

「その卵、私が育てるわ。その場所に連れて行って。」

 

「馬鹿かお前は。」

 

「馬鹿じゃない。」

 

「いいや、馬鹿だ。エルフがドラゴンを育てる?正気か?」

 

 無茶な事を言っているのは自分でも分かっている。目先の事に囚われている事も。色々な事が脳裏を過っていくがリーネは退くつもりは無い。あきれ果てるオラサーダルクが頷くまでジッと睨み続けた。

 

 しばらくして観念したのか、オラサーダルクが大きなため息をつきながら言葉を発しだす。

 

「はぁ、エルフとはここまで愚かな生き物だったのか...もう良い、連れて行ってやるから背に乗れ。」

 

「...ありがと、迷惑かけるわね。」

 

「ふん、拒否し続けて殺されては堪ったもんじゃないからな。」

 

「そんな事しないよ?」

 

 どうだかなと言うオラサーダルクの背にのそのそとリーネがよじ登っていく。そして背に搭乗したのを確認したオラサーダルクがその背に生えている大きな翼を広げ空中に飛び上がる。肌を指す様な冷風に晒されながらリーネがオラサーダルクと共に例の卵の場所まで飛んでいく。

 

「うぅぅ~寒い~。でもなんか楽しいわね。私こっちで空飛んだの初めてよ!我儘聞いてくれてありがとうね!”アラサーオタク”!」

 

「キサマァァァーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 アゼルリシア山脈の寒空をしばらく飛行し続けたリーネとオラサーダルクが目的の場所まで到着していき、地面に着陸していく。

 

 そしてその着陸した場所には地獄が広がっていた。

 

 辺り一面に転がる、死体、死体、死体。引きちぎられ、嚙み殺され、叩き潰されたジャイアントの死体が辺り一面に散乱している。

 

 戦闘から日にちが経っている為か血の跡は見えないが、それでも苛烈な戦いの痕跡がそこにはあった。飛び散っている内蔵、雪に埋もれながらも漂ってくる血の匂い。ゲームとは違う生々しい現実に、リーネは吐き気を催したがグッと堪えていく。

 

 嘔吐しそうになりながらもリーネが少しづつ歩を進めていく。その向かう先には卵を守る様にして蹲る大きなドラゴンの死体が見える。

 

 そして歩が止まる。ドラゴンの死体の前まで辿り着いたからだ。リーネが目を顰めながら死体を凝視していく。そのドラゴンの体には沢山の傷跡が見える。

 

(守りながら戦ったんだ、必死に...こんなに傷だらけになりながら。)

 

 悲痛な面持ちで死体を凝視し続けるリーネがドラゴンの腹部辺りに目をやると、白い大きな卵が目についた。その卵を気づ付けない様に慎重にリーネは抱きかかえ、腹部付近から持ち出していく。

 

(傷一つ付いてない...凄いな、母親って...自分はボロボロなのに。)

 

 そう心の中で思いながら、卵を人撫でしていく。

 

 そうしていると、立ち尽くしているリーネの耳に小さな声が近くから聞こえてき、その方向に振り向いていく。そこには悲しげな雰囲気を纏いながら独り言を呟き続けるオラサーダルクの姿があった。

 

「情けない姿だな、エルミレ...馬鹿が、下らん死に方しやがって...俺はお前の様にはならん、俺はこの山脈の王になる。ジャイアントも他の種族も俺に膝まづかせて、俺が山脈を支配する。その姿を、地獄でいつもみたいにのんべんだらりして見てろ、この大馬鹿が。」

 

 独り言を呟き続けるオラサーダルクが視線を感じたのか、こちらを振り向いてくる。それと同時にふっと先程の雰囲気は掻き消え、いつもの偉そうな雰囲気に戻っていく。

 

「それで、どうするんだその卵。本当に育てるつもりなのか?」

 

「当たり前でしょ、その為に来たんだし、持って帰って育てるわよ。」

 

 その言葉を聞いたオラサーダルクが、はぁっと大きな溜息をついていく。そしてリーネを諭す様に言葉を投げ掛けてきた。

 

「持って帰る?一つ聞くが、お前はこの山脈に住んでいるのか?俺達フロスト・ドラゴンの卵は寒い場所でなくては孵化しない。持って帰ると言うがお前の住処は卵に適した温度なのか?」

 

「え...それは、その。」

 

「餌はどうするんだ?俺達が何を食うか知っているのか?幼竜は食う物も変わってくるぞ。」

 

「えっと、えっと...。」

 

「話にならんな、お前は簡単にドラゴンを育てると言ったが、お前は何も知らないではないか。もう一度言うぞ、馬鹿が。」

 

「...はい...ごめんなさい。」

 

 オラサーダルクの言葉に何一つ堪えられずにリーネがシュンと萎れていく。相手が言う様に、自分はドラゴンについて何も知らない。ここに向かう前愚かだと言われた意味がやっと今理解できた。只感情に任せて育てるなどと言う無責任な事を言っていった自分に嫌気が刺していき、項垂れていく。

 

「...あの頂が見えるか。あそこは俺の縄張りだ、ジャイアントも他のドラゴンも易々とは近づいてこん。卵を孵化させるには丁度いいかも知れんな。」

 

「え?それって、手伝ってくれるって事?」

 

「手伝う?まぁそう言う事になるのか?しかし勘違いするなよ、その卵から孵化するのはエルミレのガキだ。間違いなく強くなるだろう、これから先俺の野望の為に働かせるのであれば俺の縄張りを使わせてやってもいいぞ。」

 

「やったぁぁぁ!これで問題解決ね!何よぉ、アンタ良い所あるわね!このぉ、うりうり。」

 

「...お前俺の言葉の意味理解できてるか?」

 

 オラサーダルクのお陰で色々な問題が一気に解決していく。偉そうにしてるだけでコイツは実は良いドラゴンだったんだとリーネが思っていき喜びだし、それを見てオラサーダルクが今日何度吐いたかも分からない溜息をついていった。

 

「よし!私はトカゲは嫌いだけどアンタは見所ありそうね!軍団に入れてあげるわ、喜びなさい!」

 

「はぁ?嫌に決まってるだろ、お前の下につくなど御免だ。お前みたいな馬鹿の下に付いたら間違いなく身を亡ぼす。」

 

「うえぇ、断られた!良いじゃないの、私の軍団まだ一人しかいないのよ!」

 

「猶更嫌だな、と言うか、それは軍団じゃないぞ。」

 

 自分の勧誘を即決で断っていった相手に対して、どうにか軍団入りさせようと色々な言葉でリーネが捲し立てていく。その言葉の全てを突っぱねていたオラサーダルクが何やら不思議そうに言葉を投げ掛けてくる。

 

「本当にお前は訳の分からん奴だ、ドラゴンを育てると言ったり、俺を仲間にすると言ったり、お前の方が強いのだ、力づくで俺を従えればよかろう?」

 

「そんな事しないよ?それは私の思い描くクランじゃないもの。」

 

「くらん?よく分からんな。なら俺を仲間にしてどうする?お前のその軍団の目的はなんだ?」

 

「目的?う~ん...目的?」

 

 その問いに頭を捻っていく。ぶっちゃけた話特に目的などはない。何かしら目的を持った方が良いのかと考えていると―――目の前でオラサーダルクがくつくつと笑いだす。

 

「なるほどなるほど、良く分かった。この俺を片手で捻れるような奴が何を考えているのかと思ったが、なるほど、何も考えていないという事か。馬鹿が。」

 

 そう言いながら、再度くつくつと笑いだす。そしてにやりと笑う。

 

「興味が沸いたぞ。俺の名はオラサーダルク・へイリリアル、一度言ったな。お前の名前は何だ?」

 

「あぁ、言ってなかったわね。アンティリーネ・ヘラン・フーシェよ。」

 

「アンティリーネか。アンティリーネ、お前のその馬鹿がどう進んでいくのか俺は興味が沸いたぞ。軍団に入ってやる気はないが、お前がどう生きて、どう進んでいくのか、そしてどうなっていくか。その結果どう死んでいき、その時どんな顔をしているのか、見届けてやるよ。」

 

「ふふん、多分私笑ってるわよ!」

 

「はん、そうだと良いな。」

 

 嫌みったらしく死に様を見届けてやると言い、にやりと笑うオラサーダルクにリーネが負けじとにやりと笑っていく。

 

 そして連絡手段を確保する為に無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァサック)から通信アイテムを取り出しオラサーダルクに渡していく―――渡していくが。

 

「おい!なんだその宝は!よこせ!すぐよこせ―――ヒャヒャヒャ、もう返せと言われても返さんからな!」

 

 アイテムを見せた瞬間に急にオラサーダルクが変貌していき、リーネの手からアイテムをぶんどっていく。そしてぶんどったアイテムを大事そうに持ち、ヒャヒャヒャと笑いだす。そこには先程までの貫禄は微塵もない。そこにいたのは只の守銭奴だ。

 

 最強の種族ドラゴン―――強靭な肉体に強大なブレスまでも吐き出していくその存在は正にこの世界で最強の存在であろう。

 

 そして、ドラゴンは光物などに代表されるお宝が大好きである。なので例に漏れず、オラサーダルクもお宝が大好きだ。高価なアイテムを見てしまえば、危険意識すら軽く吹き飛んでしまう位には好きだ。

 

 ドラゴンは、強大で、強欲で―――そして。

 

「おい!他にもあるだろ!よこせぇ!全部よこせぇ!ヒャヒャヒャー!」

 

「アンタ強欲過ぎでしょ!」

 

「これから”長い付き合いになる”んだ!友好の証だよ!よこせぇ!」

 

 そう、長い付き合いになるだろう。 

 

 ドラゴンは、強大で、強欲で、そして―――長寿だ。

 

 そして、アンティリーネもまた―――長寿である。

 

 ハーフエルフであるアンティリーネはこれから先長い時を生きていくだろう。そしてそのアンティリーネの時間には他の生物たちはついては来れない。

 

 大好きな母も、ナズルも、ヨンサマも、アンティリーネの歩んでいく時の流れについていく事は出来ない。誰もついていく事が出来ない時の中をアンティリーネは一人で歩き続けるしかないのだ。

 

 それでも、ドラゴンなら―――オラサーダルクなら、誰もついていく事が出来ない時の流れの中で、隣に立ち、一緒に歩み続ける事が出来るかも知れない。

 

 喚き散らすオラサーダルクに軽く引きながら、部屋の飾り用の大きなクリスタルをリーネが取り出し渡していく。それを見たオラサーダルクが更に半狂乱になり喚き散らしていく。

 

 その訳の分からない光景は―――この悪友との関係は、これから先、数十年、数百年と続いていくのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 リーネとオラサーダルクが、二人で漫才を繰り広げている頃、別の山脈山頂部では、ファーイン率いるジャイアント掃討部隊が、目標であるジャイアントの集団に接触する事に成功していた。

 

(思ったより少ないわね...ジャイアントもだけれど傘下の亜人達も少なく感じるわ。)

 

 そう考えて行くファーインの前方にはジャイアントの軍勢とその傘下の亜人達の集団が目に映る。本国の情報ではかなりの数が予想されていたが、想像よりも遥かに少ない。その光景を見ながら既に何かとやり合った後なのではないかとファーインがにらんでいく。

 

「ファーイン様、及ばずながら、我々も―――」

 

 そう言葉を掛けていく陽光聖典隊員をファーインが手で制していく。そして振り向き、言葉を投げ掛けていく。

 

「ここから先は私一人で結構です。あなた達はもし私が打ち漏らした場合の対処をお願いします。くれぐれも()()()()()()()様にお願いしますね。」

 

「は?それはどういう―――ファーイン様!?」

 

 疑問を口にしていく隊員を無視しながらゆっくりと歩きだす。その足が向かう先は決まっている、前方のジャイアント達の元である。

 

 歩を進めていくファーインが、右手に持つ水神の剣を強く握り締めながら、祈りの言葉を呟きだす。

 

「守の神、輝煌天使ねこにゃん、系譜の神、ルビアス、主の神、スルシャーナ...此度この身は神の力を振るう...私の大嫌いな、神の血の力をな!」

 

 その言葉を吐いた瞬間、ファーインが地を蹴り上げ敵陣まで突き進んでいく。

 

 異常な速度で。

 

 そして一瞬で一体のジャイアントの間合いまで侵入して行く。そこまでの使用時間は一秒弱と言った所だ。急に自らの間合いまで侵入してきた相手にジャイアントが急遽攻撃を開始しようとするが―――攻撃は開始される事はなく、そのまま仰向けに倒れ込み動かなくなっていく。

 

 その倒れ込んだジャイアントの周囲にファーインの姿はもうない。既に別のジャイアントの間合いに入り込み―――またもやジャイアントが倒れ込んでいく。

 

 その理解不能な現象に、敵であるジャイアントだけでなく、味方の法国軍すらも慌てふためきだす。理解が追いつかないからだ、ファーインの速度は異常だ、陽光聖典隊員ですら視認できない速度で戦場を駆け巡っている。それは分かる、神人なのだ、常軌を逸した身体能力を持っている事などここにいる誰もが知っている。

 

 理解できないのはそこではない、ファーインが視認できない速度で動き、攻撃をしているのは間違いないだろう。しかし、ならばなぜ血しぶき一つ上がらない。なぜジャイアントは倒れていく。

 

「いや...血は出ている...あそこは。」

 

 そう言葉を吐いたのはウズルスだ。その視線の先には仰向けに倒れているジャイアントの姿が見える。そしてじわじわと溢れ出していく赤い血が見えてきた。ジャイアントの胸の辺りからゆっくりと血が溢れ出していく。

 

 そして全員の理解がやっと追いついてきた、その血が溢れ出している部位は、心臓だ。ファーインは生物の弱点である心臓を的確に狙い、一突きにして行っている。

 

 戦場に置いて最も大事な事は何であろうか。それは敵を殺す事―――ではなく、敵を戦闘不能にする事である。なぜそれが殺す事より大事なのか、それは足手まといが出来るからだ。足を落とされ、目を潰された兵士を助ける為には倍の人数では効かないであろう。その救助に掛ける人員が戦場では致命的なハンデに成り得る上に、苦しむ兵士をみる事で他の兵士の士気も下がっていくだろう。逆に殺してしまえばそれまでだ、だからこそ、殺さない事が正解と言えるだろう。

 

 ならばファーインのやっている事は不正解なのか。それは違うだろう、その理論が適用されるのは人間の戦場だけだろう。亜人達は仲間が負傷しようがお構いなしに突っ込んでくる。ならばどうするか、正解は殺す事だ。しかしその正解は百点の正解ではない。

 

 ファーインが異常な速度で戦場を駆け巡りながら、ジャイアントの心臓を付き、一撃で葬り去っていく。剣を振りかざす必要もないからだ、生物―――それも人型の生物であるならば心臓を付けば死ぬ。剣を振るような無駄な動作は必要ない。そんな無駄な動きを、無駄な時間を掛ける必要は無い―――掛けてはいけないのだ。

 

 亜人達との戦いに置いて最も重要な事は、効率よく殺す事。無駄な時間を掛けずに素早く殺す事だ。

 

 人間は弱い、一般的な亜人達の身体能力ですら、人間を遥かに凌駕している。そんな亜人達と戦争をした場合、重要なのは強い者がどれだけ多くの亜人達を殺していけるかだろう。一握りの強者がどれだけ効率よく亜人を殺し、次の亜人を殺しに行けるのかが求められていく。無駄な時間を掛ける訳にはいかないのだ。

 

 魔法詠唱者ならば話は別だろうが、戦争を終結させられる程の魔法詠唱者を揃えるのは不可能に近いうえに、魔力が限られている魔法詠唱者は持続性が無いと言う点で見ていくと、やはり継戦能力が重要となる戦場では不利に思える。

 

 そうなると必然的に戦士が―――この場合は英雄級の戦士が亜人達を殺していく事になっていくだろう。

 

 ファーインが行っているのは、ファーインと言う最強の存在が最高率で敵を殺すと言う戦法である―――あるのだが、ファーインが行っているのは、更にその先だ。

 

 ジャイアントの間合いにファーインが入り込む。そこにはジャイアントの取り巻きである亜人達もいる。その亜人達を無視し、ジャイアントの心臓に刃が突き立てられると同時に、亜人の一体から血しぶきが待っていく。

 

 そして突き立てた剣を抜くと同時に隣に立っている亜人の首がはねられていく。剣を突き刺し引き抜くと言う動作の内に三体の敵が地に伏していった。

 

 そしてまた別の敵の元まで掛けていく―――最短で。

 

 そしてまたジャイアントが心臓を突かれると同時に亜人から血しぶきが舞っていく。その血しぶきが舞う場所は決まって一緒である。

 

 首筋からだ。

 

 血しぶきが舞う瞬間にファーインの左手が一瞬動き、首筋から血しぶきが舞っていく。ファーインがやっている事は至ってシンプルな事だ。

 

 掻いているのだ、敵の首筋を。左手の人差し指で―――亜人の頸動脈を。

 

 左手を遊ばせるなど勿体ない。亜人達との戦いに置いては使える物は全て使っていく。右手で攻撃していく際に左手の範囲に敵がいるのであるならば、左手を使って殺していくだけだ。人型の生物である以上は心臓と一緒で頸動脈も立派な弱点だ。ならばそこを狙う、軽く一指し指で掻いてやれば動脈は引きちぎれるのだから。実に合理的だ。ファーインは合理的な事が大好きな女だ。合理的になれないのは娘の事だけである。

 

 しかしこの戦法は指のスナップが重要になってくる。故に手甲は邪魔なのだ。だから装備せずに外している。ファーインが次々に亜人の動脈を指で引きちぎり絶命させていく。その際、亜人の中には鎧を身に纏っている者もいたが、それはファーインには余り関係の無い事だ。

 

 人差し指が亜人の目に突き刺さっていく。これは目つぶしの為ではない。突き刺された人差し指が亜人の眼球を押しつぶし、脳部まで到達していく。脳を一突きにされた亜人が力なくその場に倒れ込む。殲滅を終えたファーインが別の敵の元まで猛スピードで駆けていく。

 

 止まらない、ファーインは止まらない。

 

 亜人との戦いに置いて、強き者が効率よく亜人を殺す。これが正解である。そして、ファーインが行っているのは更にその先―――効率よく殺し続ける。

 

 効率よく殺し続ける、最短で、最速で―――その先を見据えて。

 

(頃合いね。)

 

 見つめる視線の先には、ジャイアントと亜人の集団が見える。

 

 密集している敵の集団が見える。

 

 最短で、最速で、最高率で殺し続けたその先には、散開していた敵が一か所に纏まり、密集している光景が目に入ってくる。

 

 ファーインは只殺し続けていたのではない。散っている敵にプレッシャーを与え続け、誘導していた。大勢の敵を一網打尽にする為に。最高率で殺す為に。

 

 目の前の敵を片っ端から殺していくなどこの女がする筈もない。そんな無駄な事をこの女がする筈もない。なぜならこの女は―――ファーインは合理的な女だからだ。

 

 そして。

 

(頃合いね、切り札を切る。)

 

 そして、合理からの―――非合理。

 

 ここで切り札を切るのは合理的ではない、非合理だ。目の前には敵が密集している、確かに切り札を切れば、一瞬で敵を殲滅できるだろう。そしてそれは確実である。しかし、目の前の敵が全てとは限らない、伏兵がいないとも限らないのだ。先を見据えるべきファーインが、ここで目先の利益の為にここで切り札を切るのは得策ではないだろう。

 

 ファーインの切り札は長時間使用出来る物ではない、そして使用した後は次回の使用までに時間を要する代物だ。

 

 そして最も恐ろしいのは、ファーインの真の切り札は、一歩間違えば、自分が破滅するだけでなく、自軍すら壊滅させる恐れがある。

 

 そんな代物を、この有利な状況下で、追い込まれていない状況下で使用するのは得策ではないだろう。合理的なファーインらしくない考えだ。

 

(これ以上は待てない。ここで終わりにする、ここで終わりにして、私は...娘を探しに行く!)

 

 そう、合理を追及し続けた女は―――血濡れの修羅は死んだ。

 

 ここにいるのは血濡れの修羅ではなく、合理を投げ捨て、蹴飛ばした、娘を心配する只の―――母親(非合理)だ。

 

 ファーインの纏う雰囲気が一変する、そして、切り札が切られて行く。

 

 この世界には、生まれ持った異能(タレント)という物が存在する。ユグドラシルと密接な関係を持ち、類似したこの世界ではあるが、この世界独自の力―――能力も少なからず存在している。

 

 生まれ持った異能(タレント)、武技、始原の魔法(ワイルド・マジック)。これらの能力はユグドラシルの理から外れ、ユグドラシルではあり得ない、成しえる事が出来ない事象を―――効果を発揮していく。

 

 真なる竜王すらも殺しうる可能性を秘めた最強の存在―――ユグドラシルプレイヤー。

 

 そのユグドラシルプレイヤーですら対処する事が出来ない力が、ユグドラシルの理を軽々と蹴り飛ばし、踏みにじる力が―――生まれ持った異能(タレント)が発動していく。

 

       ―――時間遅延―――

        ―――発動―――

 

 その瞬間、ファーインの周囲の時間が緩やかな物になっていく。雲の動きが、風が触れる感覚が、響く音さえもが全て緩やかに、遅くなっていく。

 

 そして当然、敵の動きも、遅く、スローモーションになっていく。

 

 その遅くなった時の中で、ファーインだけが通常と同じ速度で動くことができる。同じ速度で動き、そしてファーインはその時の中で、相手に()()()()()()出来る。

 

 これが生まれ持った異能(タレント)。ユグドラシルではあり得ない効果を引き起こし、その効果はユグドラシルの理では打破する事は出来ない。時間対策の魔法も、アイテムも、この生まれ持った異能(タレント)の前では無意味だ。

 

 そして幾何もせぬ内に、もう一つの切り札をファーインが切る。この生まれ持った異能(タレント)は発動時間が極めて短い、即座に次を切らなければ効果が切れてしまう。

 

 そしてもう一つの切り札が切られて行く。その切り札は、武技でも魔法でもない。只々純粋な、技術。

 

 常人では不可能な集中力で、ファーインが自らの脳に干渉していく―――ある現象を発動させる為に。

 

 人は自らの身が危険に晒された時に、辺りの風景がまるで時が遅れているかの様にスローモーションに見える時があると言う。恐怖のシグナルが、神経を通じて脳に伝わり、ある現象を引き起こす。

 

 その現象の名を―――タキサイキア現象と言う。

 

      ―――タキサイキア―――

        ―――発動―――

 

 タキサイキア現象の発動によって、遅れている時の流れが更に遅く感じられていく。周囲の風景の動きが、敵の動きが更に遅くなり、止まっていく―――疑似的に時が止まる。

 

(速度向上...速度超向上...精密性向上...精密性超向上。)

 

 畳みかけるかのように武技を発動させていく。疑似的に止めた時の中で更に速く動けるように、その時の中で寸分の狂いもなく敵の急所を射抜く為に。

 

 そして止められた時の中で敵を見据えていく。ファーインには見える、今まで幾度も自分が通り、積み上げ、踏みしだいてきた足跡が、血塗られた足跡が。

 

 進むべき道が、最短で、最速で、最高率で殺す事が出来る道が―――命を奪う為の軌跡が。

 

 そして足を踏み込み―――辺りには綺麗な血の雨が降り注ぎ、銀色の大地に、美しい血の花が咲き誇った。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 戦いはそこで終幕を迎えた。全てを殺し尽くしたファーインが、ゆっくりと風神の兜を脱ぎ、天を仰いでいく。

 

 この戦いの開幕から終幕に至るまでの時間は本当に僅かな物だった。時間にして数分と言った所か。そして、それは当たり前だと思えた。

 

 今ここに立っている女は、法国最強の女―――いや、法国の歴史上最強の神人、ファーイン・ヘラン・フーシェその人だからだ。

 

 法国の長い歴史を紐解けば、ファーインよりも強い覚醒を果たした者は存在している、しかし、最強はファーインである。

 

 血反吐を吐くかの様な鍛錬、それに比例するかのような殺意と鍛錬に裏打ちされた技術。そして、積み上げてきた屍の山と同じだけの経験と実力。

 

 この女こそ、法国五百年の集大成。

 

 人類史上最強の―――最凶の殺戮兵器。

 

 漆黒聖典元第一席次”死屍累々”ファーイン・ヘラン・フーシェ。

 

 辺りが静寂に包まれて行く。そのあっけない幕切れに。続いてぽつりと小さな声が聞こえてくる、味方の部隊から―――恐怖に支配された声音が。

 

「...ば、化け物...あ、あんなの...人間じゃない。」

 

「―――!?誰だ!今の言葉は誰が言った!訂正しろ!!」

 

 恐怖に支配された言葉が宙を舞った。それはどこから聞こえて来ただろう。方向からすると陽光聖典の隊員の方向だが。そして、その言葉を聞いた人物が烈火の如く怒りだす。その人物はウズルスだ。

 

「人間じゃないだと!誰が言った!誰のおかげでこの戦争は終結した!答えてみろ!」

 

 ウズルスの怒号が周囲に響き渡る。普段大人しい人物がここまでの声を出せるのかと思う程だ。そして、その声は当然ファーインにまで届いていく―――だが。

 

(...なに?なにかがきこえる...てきのこえ...?)

 

 幽鬼の様にファーインが声の方角まで振り向いていき、その声の発生源を見つめていく。その眼は虚ろだ、焦点が定まってはいない。

 

(あぁ...まだいたんだ...はやくころさなきゃ...あんてぃりーねがまってる...さむくてないてるかも...。)

 

 虚ろな目に薄暗い光が灯っていく。殺意が瞳を覆っていく。敵を殲滅しようと剣を握り直し―――強烈な頭痛が襲ってくる。

 

(―――痛ぅぅぅー!...危なかった...意識が混濁してたわね。まさか、たったあれだけで...。)

 

 意識の混濁。緊急時にしか外れない枷を無理やり外していったのだ、脳にかかる負担は計り知れないだろう。最早敵か味方かの区別もつかなくなっていたが、なんとか戻ってくる事が出来た様だ。そして、たったあれだけと言う様に、あの一瞬だけであれ程深く堕ちた事は無い。

 

(ブランクを舐めてたわね。まさかここまでとは、フィジカルは戻った、現役時代と変わらない、殺傷技術は...現役の半分くらいかしら。でも脳の方は深刻ね、あのままだと脳が焼き切れる所だったわ。)

 

 数十年のブランクによって脳はかなり弱まっている様である。実際は弱まると言うよりも、上手くコントロール出来ていないと言う事なのであるが。

 

 もしあのまま継続してタキサイキアを発動させていたら、脳が死に、良くて廃人、悪くて死亡であろう。タイミングに救われた。

 

 目の前では未だウズルスが喚き散らしている。思考が混濁していたので最初の方の内容は分からないが、なんとなく検討は付く。どうせいつも言われている事だろうから。

 

「―――お前達はそれでも法国軍人かぁぁ!」

 

「ウズルス部隊長、余り怒ると皺が増えますよ。いつもみたいににこやかではなくては。」

 

「ファーイン様...しかし...。」

 

 本当に優しい男だ、この男は。そんな事では戦場で足元を掬われてしまうと思いながら、ゆっくりと手で制していく。

 

 そして、にこやかに、優しい笑顔でウズルスを諭していく。

 

「いいんですよ、皆さんの言う通り、私は化け物です。人間じゃありませんから、だって、私は―――」

 

      ―――神人ですもの―――

 

 その笑顔は綺麗で、どこか寂し気な表情にも見える。騒がしかった周囲から声が聞こえなくなっていく。皆が一様に黙り込み、辺りは再度静寂に包まれ―――静寂の中、小さな足音が聞こえてくる。シャリシャリと雪を踏みしだく足音が。

 

 その音に気付いたファーインが音の方向に振り向いていく。そしてその音の発生源を確認した後に駆け出していく。風神の兜も、水神の剣も放り投げ、歩いてくる人物に向けて駆け出していく。

 

 そしてその人物を―――アンティリーネを強く抱きしめた。

 

「あ...おかあ...ファーインさ―――。」

 

「無事で良かった...本当に...。」

 

「アンティリーネ!無事だったのか!」

 

「あ、部隊長...あ~、なんか草がいっぱいあって...ぼふってなって...なんか助かりました。はは、はは。」

 

 苦しい言い訳を続けていく娘を、いつまでも、いつまでも抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 己の縄張りに戻り、オラサ―ダルクは体を丸め、地面に寝転んでいく。今日は非常に疲れてしまった様だ。大した時間は共にしてはいないが、自らの竜生の中でも取り分け濃い時間だった様に思える。猪突猛進の馬鹿垂れと関わっていくにはそれなりの労力が必要な様だ。

 

(あそこまで乗せてやったんだ、無事に帰れただろう。しかし、人間がジャイアントを殺せるとは...いや、あの馬鹿の親だ。あの馬鹿よりも強いのだろう。丁度いい、これから忙しくなるだろうからな。ジャイアントに気を配らなくて良くなったのはありがたい事だ。)

 

 くつくつとオラサーダルクがほくそ笑んでいく。あの辺一帯はジャイアントの縄張りの中でも大きな割合を占めている。あそこを陥落させてくれたのであれば、しばらくはジャイアントも大きく動く事は出来ない。受けた被害を回復させる為に力を蓄える必要があるからだ。

 

 フロスト・ドラゴンが―――オラサーダルクがジャイアントを一掃し、山脈を手中に収めるには絶好の機会だろう―――だが。

 

(この山脈の秩序である霧の竜の女王(クイーン)は死んだ。一つの時代が終り新しい時代がやってくるだろう...新たなる竜王の名を冠する為に、今まで陰に隠れていた猛者共が動き出す。)

 

 霧の竜の女王(クイーン)の時代は終わりを迎えた、次は新たなる竜王がこの山脈の歴史を作っていくだろう。今この時より、この山脈はドラゴン達により戦乱の世を迎えていくだろう。

 

(ふん...次の竜王は俺だ...誰にも渡さん。)

 

 そう誓いながら、瞳を閉じ、眠りに落ちていく。その懐に卵を大事そうに抱えながら。  

 

 そして夢を見ていく、昔の夢を―――遠い思い出を。

 

『坊や、どうしたの?酷い怪我だね?痛そう~、私痛いの嫌いだな~。』

 

『殺すぞ、誰だキサマは...。』

 

『ん?私?私はエルミレ、なんか周りからは霧の竜の女王(クイーン)て呼ばれてるよ。』

 

(あぁ、これは夢か...夢なんぞ久しぶりだな。これは初めて会った時か。)

 

『ねぇ、オラサ―ダルク。暇なら私と面白い事しよう。私の大好きな事だよ。』

 

『あ?何をするつもりなんだ?』

 

『それはね、ボーっとするんだよ。私はボーっとするの大好きなんだ。ここでこうやって...空を眺めて...ボーっと。』

 

(ふん、間抜け面だな...確かこの時は二日間動かなかったな。二日後会いに行った時は流石にたまげたぞ。)

  

『ねぇ、オラサ―ダルク...約束して、竜帝の汚物には絶対に手を出さないって。』

 

『あぁ?竜帝?そんな奴がいるのか?しかし汚物...どんな奴なんだ?』

 

『え?それは知らないよ。私も知り合いの竜王から聞いただけだし。』

 

『それじゃ気を付けようがないだろう、馬鹿が。というか、お前竜王に知り合いがいたのか。』

 

(あぁ、そうだ、確かこの時だったな。そうだ、竜帝だったか...ふん、たいそうな名前だな。)

 

『ねぇ、オラサ―ダルク。私ね、家族を持つのが夢なの。子供と一緒にね、山脈でボーっと過ごすのが夢なの。』

 

『かぞく?なんだそれは?お前の馬鹿には付いていけんな。親が子といる事になんの意味がある?太らせて食うのか?』

 

『そんな訳ないでしょ、いつものお返し、馬鹿が。意味なんてないよ、いたいからいるんだよ。それに家族がいれば、一人じゃ無理な事も、協力して乗り越えられるんだよ?オラサ―ダルクはこの山脈を支配したいんでしょ?なら家族み~んなで頑張れば、その夢叶うかもよ?だって一人じゃないから。そしてその時の喜びも家族分増えるんだから!』

 

(ふん...かぞく...か。)

 

 沢山の思い出が夢の中に現れ、消えていく。

 

 そして夢は唐突に終わりを迎えていく。深い眠りに落ちていく。

 

(ふん...あばよ...エルミレ―――)

 

      ―――楽しかったぞ―――

 

 

 

 

 

 

 





ヤングダルク「太らせて食うのか?」

デブゴン「ひぇ...。」



 どうもちひろです。

 このSSをここまで読んでくれている方達なら既にお気づきかと思いますが、このSSはお友達大作戦的な所があります。
 原作の絶死さんは本当に可哀そうな人だったとちひろは思います。
 結末もですが、歩んできた道もです。
 なのでちひろは二次創作でくらい助けてあげたいと思い色々と考えました。
 お母さんと和解させたのもその為です。
 原作でも、帰ったら何か遺品を探してみよう的な事も言ってましたし、何かしら母に対しては思う所もあったのではと思いました。
 かなり強引ですがこのSSでは和解が成立しました。まぁ、強引な事が出来るのが二次創作なので良しとしましょう。
 そして友達です。
 原作でも、気に入った奴は何人かいたと言ってました。過去形なんですね、つまりはもういないのでしょう。
 どんなに強くても、どんなに偉くなっても、一人はやっぱり寂しいと思います。
 隊長も、漆黒聖典の皆も、多分絶死さんは好きなのでしょう、それでも絶死さんの寿命に人間である彼らは付いていけません。皆絶死さんを置いて死んでしまうでしょう。
 色々な人と出会って、色々な人と別れ、死を見届けなくてはなりません。それが長寿の代償と言えばそれまでですが、それでもいつまでも一緒に居てあげられる様な友達がいても良いじゃないとちひろは思います。
 色々な物が変わっていく中で、変わらない物が身近にあると言うのは凄く安心できる事だと思います。
 だからこそのお友達大作戦!絶死救済!絶死救済!です!
 そこでまず抜擢されたのがドラゴン。
 オラサーダルクさん事ヤングダルクさんです。
 頼むよヤングさん。



 ・ファーインママ
 
 ファーインさんが戦闘をしたSSってあるのだろうか?
 あったとしても少なそう。
 なので何かインパクトを残したいなと思い色々考えた結果、とんでもない殺戮兵器になってしまいました。
 お話を考えながら、この人どんな顔で眼球潰してるんだろと考えて、絶対真顔だよねと思ったりしました。
 この人怖すぎ...。
 ちょっと盛りすぎたかなとか思います。
 合理性とか結構くどかったですね。反省。


 ・ヤングダルク

 オタサーでアラサーオタクなヤングダルクさんです。
 ドラゴンを友達にと考えた時、真っ先に浮かんだのがこの人です。
 実際この人、滅茶苦茶優秀だと思います。柔軟な発想が出来ると言うのでしょうか。
 原作では竜王にまでなって頭が凝り固まってしまってたけど、若い頃は結構頭が柔らかかったんじゃないのかなと思います。
 ツアーの様に、世界を旅し、見聞を広めた訳でもなく、アゼルリシア山脈と言う小さな世界に閉じこもっていたドラゴンとは思えません。
 決してちひろがオラサーさんが大好きだから褒めまくってるのではありません。
 本当ですよ?
 まぁそれでも、100年後、つまり原作開始くらいにはいつものオラサーさんになってると思います。
 ぶっちゃけ、うちのリーネと友達になったからと言って、そんなに優しくなってたりしません、あんま変わんないと思います。
 なのでご安心を、普通にムンウィニアと決闘して、普通にドワーフの都市一つ巻き込んで滅ぼして、普通にクアゴアを支配下に置いて、普通にクアゴアに酷い事してると思います。
 ヨンサマとはそれなりに仲間意識はありましたが、リユロには全くありません。普通に下等生物です。ぺの氏族には少しだけ優しいです。誰かがうるさいので。
 強さも原作と余り変わりませんね、魔法面が少し?結構?強化されてる位です。理由はちょっと言えません。
 お馬鹿なリーネちゃんを強い口調で注意し、時には正してくれる貴重な人材です。

 ・エルミレ
 
 速攻で死にました。
 何という事だ。
 滅茶苦茶にハチャメチャに強かったフロスト・ドラゴンです。
 そのLVは脅威の70です。
 エルミレ、貴女は強すぎた、殺す方法も中々浮かんでこなかった程です。
 あんな殺し方してごめんね。
 
 ・卵から生まれてくる子
 
 そのうち出ます。
 多分すぐ出ます。
 
 ここまで読んでくれてありがとうございます。

 次で2.5章は終わりですね。えっ?まだあるのかって?あるんです、これがな。

 次回も読んで下さいね。それでは、シュバ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。