あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~   作:だいだろすちひろ

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 前回のあらすじ

 アンティリーネさん、少年漫画の主人公ムーブをかます。


アインズ・ウール・ゴウン

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 <失墜する天空(フォールンダウン)>の超熱波に飲み込まれたナザリックのHPゲージが一瞬で底をついていく。

 

 決着は付いた。ナザリック地下墳墓に侵入し、阿修羅のレイドボスと戦闘をし、その後のこのナザリックとの激闘。長い戦いに今モモンガの手によって終止符が打たれた。

 

 その事実にモモンガは歓喜に打ち震え―――てはいなかった。

 

 

 (終わりだよな!?終わりですよね運営さん!?無理っスよ!もう無理っスよ!?ニゲージ目とかあったらマジ絶望するっスわ!?)

 

 疑心暗鬼と言う言葉が相応しいのか、ナザリックのHPが空になったのを見つめながら、モモンガは心の中で震える。阿修羅を倒した後にあのような絶望を叩きつけられたのだ、警戒して当然かもしれない。もう一ゲージあったら死ねるぞと、心をガクガクぶるぶる震わせながらナザリックの姿を見つめ続ける。

 

 そして、ナザリックの全身に罅が走り―――音声が流れる。

 

 「見事…勇者達よ。」

 

  音声が流れた瞬間ビクリとモモンガは肩を浮かす。この音声はナザリックの声だ。音声に過剰に反応していったモモンガに、音声の内容がゆっくりと脳に浸透していく。これはナザリックの専用ボイスだ、それも恐らくは、戦闘勝利時の。

 

 専用ボイスが流れ―――罅を通して内部から光が漏れ出す。

 

 カラン―――ナザリックの右手に持つスタッフが床に落ち、高い音を響かせた後に、光がまるで爆発でもしたかのように膨れ上がり、ナザリックごと光の粒子になっていく。

 

 消えていく、ナザリックが消滅していく。その際もモモンガは心で、やめろよ!やめろよ!二度目くんなよ!ふりじゃないからな!と叫び続ける。

 

 そんなモモンガの心の声が通じたのか、ナザリックは再度出現する事は無く、光の粒子となり消滅していく。

 

 ふぅっと安寧の息を溢すモモンガの視界に、消滅したナザリックの居た場所からキラキラと光を放ちながら宙に浮かぶ球体が出現していく。

 

 キラキラと光る球体。これはデータクリスタルとは違う、恐らくこれは―――

 

 「…アーティファクトか。」

 

 モモンガの言う通り、この球体はアーティファクト―――特別な条件を満たした時、特殊なボスを討伐した時などに得られる特別なアイテムである。

 

 あれを回収し、いち早く他のギルメン達が待つ”第六階層”に向かわなければならないとモモンガは思う。

 

 即座に回収しようと歩を進めようとしたモモンガだが、それは躊躇われた。自分は特に活躍はしていない、超位魔法を発動しただけだ。木偶の棒の様に突っ立って、魔法を発動しただけの人物が―――悪い言い方をすれば、美味しい所を持っていっただけの人物がこれを最初に手にしてよい物か、そう思ってしまうと、必然的に足は進まなくなる。

 

 躊躇うモモンガの肩に、ポンと手が乗せられていく。何だ?そう思いながら振り向けば、そこにはリーネの姿があった。

 

 「モモンガさん、ボスのドロップだよ?早く取らなきゃ。」

 

 「…そうだな…それなら、あれはお前が取ると良い、一番活躍したのはお前だ…あれは俺が手に取る物じゃない。」

 

 「違うよ、モモンガさん…それは違う。」

 

 モモンガの言葉を聞いたリーネがふるふると首を振る。

 

 「活躍はね、()()()()んだよ?モモンガさんが指揮をとって、皆が皆の役目を全うした。それに…こんな事言うと皆に悪いかも知れないけど、私はね、()()()()()()()()()あんなに頑張れたんだよ?モモンガさんが私の心を昂らせたから、守れって言ってくれたから…だから頑張れた。あんなに滾ったのは久しぶりだよ。」

 

 こくりと頷き、リーネはすっと指を指していく。ふわふわ宙に浮かび続けるアーティファクトを指さす。

 

 これ以上は無粋か。モモンガはそう思い、アーティファクトを手に取る決心を固めていく。

 

 「そうか…ありがとな。」

 

 「うん、きちんとお礼を言えて偉いぞモモンガさん!」

 

 「うっせ!お前は俺のなんなんだよ…じゃあ、取らせてもらうぞ。」

 

 決心を固めたモモンガが歩を進めようとした時、チームのメンバーが集まってくる。そして皆がモモンガに喋り掛けていく。その声音はとても明るい物だった。

 

 「おっつ~モモンガさん。最後ごめんね、私タンクなのにさ…でもあそこでリーネの間に割って入る事は出来なかったのよね…そんな事すれば、ぐちゃぐちゃになっちゃうしね。」

 

 「うん、それは僕も同じだよ、かぜっち。ヘイトが散漫になれば、捌けるものも捌けなくなるしね。リーネの集中力を切らす訳にも行かなかったし…まぁ、おかげで只々突っ立ってただけになっちゃったけど。」

 

 「俺は頑張ってたけどな!!」

 

 「確かに頑張ってたな、忍んでる時見てたから分かるッスよ。ていうか最後のあれなんなんスか、人間業じゃねぇッスよあれ。」

 

 「だろだろ、もっと言っていいッスよ弐式さん。しかし何はともあれ、皆さんお疲れ様でした。特に、モモンガさんとちんちくはね。しかし、何だな、ボス二連戦とかあんまりだよな、運営は何がしたいのかね。」

 

 その言葉にはモモンガも同意だ。流石に悪質すぎる、普通に考えてあんな物、初見でどうにかなる物じゃない。いや、初見でなくともかなり厳しいだろう。このメンツ―――ビルドのみならず、驚異のプレイヤースキルを持つメンツだからどうにかなったが、普通のプレイヤー達ならデスマラソン必死の難敵だった。帰ったら運営に抗議のメッセージでも送ってやろうかとモモンガは考える。

 

 「しかし流石ね、モモンガさん。あの状況でも課金しないんだもの…恐れ入ったわよ。ぶっちゃけ、課金してー、課金アイテム使ってーって思っちゃったもん私。」

 

 「いやいや、出来たら流石にしたぞ…()()()()()()()()()()()―――」

 

 「え、()()()()()?」

 

 「―――え?」

 

 課金アイテムによる超位魔法の発動までの時間のカット、そんな物モモンガだって即座に思い浮かんだ、しかし戦闘中であり、課金などできる筈もないと思い込んでいたモモンガにりーネから衝撃の言葉が飛んでくる。

 

 「は?え?出来るの?」

 

 「いや、出来るでしょ?()()()()()()()()のよ?モモンガさんだって知ってるでしょ?そんな、決まった場所でしか()()使()()()()()()()()()()()()()()じゃん。このユグドラシルはね、いつ、いかなる時も、マネーの使用はウエルカムなのよ!」

 

 ズガシャーン。モモンガは背後に雷でも落ちたかの様に驚愕していき、その場にへなへなと蹲る。それと同時にモモンガは理解した、運営が何をしたかったのかを、運営の意図を、伝えたかった事を。

 

 それは―――勝てなかったらお金使ってね(課金してね)♡テヘ☆ペロという事だ。

 

 へなへなと蹲ったモモンガを、仲間達は不思議そうに見降ろす。

 

 「…俺、今度から課金します。」

 

 「!モモンガさん…やっとこっち側に来る気になったのね…あのモモンガさんが…立派になった物ね。」

 

 ぼそりと呟いたモモンガの言葉に感激するリーネが、続いてウルベルトに抱き着いていく、そして耳元で囁くのだ。こっちこいよ~、こっちこいよ~と。

 

 しばし蹲っていたモモンガは、ふるふると頭を振り、ゆっくりと立ち上がる。目的を思い出したからだ、こんな事をしている場合じゃなかった。

 

 「う、うぅん…皆さん、本当にお疲れ様でした。そして…ギルド長として、このアーティファクトは私が回収させてもらいます。」

 

 その言葉に、全員が一つ頷いていく。その光景を見渡したモモンガがアーティファクトに手を付けた瞬間―――視界に文字が浮かび上がる。

 

 ―――第六階層に転移します―――

 

 その文字を見た瞬間、転移が始まり、モモンガ達は第六階層に転移していった。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 視界が戻り、モモンガ達の目に映ったのは先程とは全く違う場所。遺跡の様な、石で作られた建造物が並び、長い階段の頂上に、モモンガ達は転移させられて行った。

 

 ゆっくりと、しかし着実にモモンガ達は階段を下に降りていく。もう何も起こるなよ、そう思いながら、少しづつ降りていく。

 

 そして降りていくにつれて聞こえてくる―――歓声。

 

 見下ろせばそこにはギルドの仲間達がいた。武器を手にし、今の今まで戦っていたという様子だ。

 

 「POPしていた敵たちが消えたから間違いないとは思っていたけど、モモンガさん達も攻略したんですね。」

 

 その声はぷにっと萌えの声だ。聞こえた声に対し、モモンガが一つ頷けば、歓声は更に大きくなっていく。

 

 「よっしゃぁぁぁ!やってやったぜ!やってやったぞ糞運営!初見攻略じゃぁぁぁ!」

 

 「まっ!俺は出来るって思ってたからね!」

 

 「おいおいベルリバー、お前さん最初反対してただろ!現金な奴だぜ!いやっほぉぉぉい!」

 

 巻き上がる歓声に、自分達が何を成し遂げたのか、その意味がじわじわと胸に染み渡っていく。

 

 モモンガは笑った。実際には表情は動かないが、それでも笑う。その笑みはとどまる事をしらない。

 

 歓声と言う名の勝算が飛び交う中、モモンガ達は階段を降りていく。最も強いボスを倒した褒美として。

 

 「さぁ、モモンガさん、あそこにそれを。」

 

 たっち・みーの指し示す方向に目をやれば、石碑があり、そこにはモモンガが手にした珠と全く同じ四つの珠と、一つの穴が開いていた。それを見てしまえば何をすればいいのかなど一目瞭然だ。

 

 モモンガは真っ直ぐにそこに進み、手にした珠を最後の穴にはめ込む。吸い込まれるように球は穴に収まり、仄かな光を全ての珠が放った。

 

 モモンガはごくりと息をのむ。光と共に、モモンガの元へと空から巻物が落ちて来た。そして石碑は消失し、代わりに巨大な水晶の玉座が出現していく。

 

 まず間違いなく、巻物が占有権であり、玉座はアイテム―――アーティファクトだろうか。だとすれば、五つのアーティファクトの集合体だ。そのレア度は計り知れないだろう。

 

 伝説級(レジェンド)―――いや、間違いなく神器級(ゴッズ)であると確信を持って言える。普通はどちらか一つ―――占有権かアイテムになるのだが、この規模と、あれ程のボスが待ち構えていたダンジョンだ、この報酬でも納得はいく。

 

 「おっと。」

 

 玉座に気を取られていたモモンガは慌てて上を確認する。そうすれば、光に包まれた巻物が、ゆっくりとゆっくりと落ちてきていた。

 

 (んもぉう、じれったいなぁ、もう。)

 

 こういう感動させるための演出的遅さにはよく苛々させられる物だが、今回はそれ程でもない、逆に噛みしめていける事に若干の感謝を感じる程だ。

 

 モモンガは巻物に手を伸ばし、空中でそれを握り締める。きちんとつかめた事にホッと胸を撫で下ろす。ここで失敗したらカッコ悪い、つかめて良かった。

 

 ##CONGRATULATION!あなた方はナザリック地下墳墓を攻略しました。これにより、ギルドホーム――ナザリック地下墳墓の占有権を獲得します!##

 

 響き渡った男の声に後押しされるように、モモンガは巻物を開き、占有権をギルドメンバー全員に閲覧可能にする。

 

 皆で自分達が得たギルドホームがどれほどの物か、領土の所有によって生まれる税収入などのデータを調べていると、にわかにどよめきが起きた。

 

 「ねぇ…これ…N()P()C()()()()()()()()()()()()()()()とかなってるんですけど…。」

 

 震える様な声を発していったのはリーネだ。その言葉を聞き、ギルメン達は皆が一様に確認していく。

 

 「はぁ?ちんちく、そんな訳な―――うぅわ!マジじゃん!」

 

 「なんでそんな高レベルなんだ!?」

 

 そしてリーネと同じように驚愕していく。一人、また一人と、驚きが伝染していく。

 

 その言葉を聞き、慌ててモモンガも言われた部分を確認していく。そしてそれを見て目を見開く。言われた通りの数字だったからだ。

 

 ユグドラシルに九つしかない”三千レベル級”に近い数字。ここがたまたまそれにあたる物だったのだろうか。それとも、今まで未発見であった為に内部ポイント的な物が上昇しての結果なのか。

 

 何か理由が無いか。もしあれば、今後の役に立つとギルドホームの情報を詳しく調べていると。最初に発見した人物―――リーネの声が聞こえてくる。

 

 「なにこれ?二千二百五十に()()()()()()とかなってるんだけど…誰か知ってる?」

 

 リーネの言葉に誰もが首を振る。そしてある人物が発言をしていった。

 

 「もしかして…ギルドホームに出来るダンジョンって、()()()()()()()()N()P()C()()()()()()()()()するのだろうか?」

 

 発言をしたのはタブラ・スマラグディナ。タブラの発言を聞き、一瞬場は静まり返るが、その後に反動の如き怒号が飛び交う。

 

 「うおぉぉぉい!!そんなん無理だろ糞制作!なめんなよ糞運営!」

 

 「糞制作!糞運営!どんな条件作ってんだ!馬鹿かぁぁぁ!?」

 

 盛大に怒号を上げ続ける者達から、次に上がったのは笑い声だ。お互いの肩を、背を、頭を叩き合い、自分達の成し遂げた事を祝い合う。

 

 「じゃあ、これがアーティファクトになるんだよね?」

 

 ぷにっとが玉座をしげしげと眺めていた。ぷにっとの言葉に反応し、他の仲間達もこぞって言葉を発していく。

 

 「玉座とは気が利いてんじゃねぇか。ここはギルド長である―――いや、魔王であるモモンガ様に座っていただこうじゃないか。」

 

 「おっ、いいっすねそれ。モモンガさん囲って皆で写真撮りましょうよ。」

 

 ウルベルトと弐式の言葉に皆が賛同していく。少し恥ずかしがりながらも、モモンガは皆に勧められるままに玉座に座っていく。

 

 その瞬間、モモンガのみに音声が聞こえて来た。

 

 ##CONGRATULATION!最初の九五レベル以上、かつ適正レベル()()のダンジョン初見攻略により、世界級(ワールド)アイテム<諸王の玉座>を入手しました。##

 

 (…はい?)

 

 言われた内容が脳に染み込み、モモンガはきゅうっと心臓が小さくなるのを感じた。息が出来なくなるかの様な衝撃が襲う。ユグドラシルに存在する最高峰の宝、それが今自分の腰の下にあるのだから。

 

 聞き間違いだ、そう聞き間違いなのだ。そう思いながら、震える手でコンソールを触る。自らのステータス画面を見た時、確かに表示されている文字。その身にかかるバフ表示を見た時、先程の内容が効き間違いなどではなく真実だと悟った。

 

 その文字は―――ワールド。

 

 世界を意味する究極の守護―――世界の守りが発動しているのだから。

 

 「どうしたのモモンガさん?ぽけっとして。ほら写真撮るわよ、しっかり決めてよね。」

 

 ピタリと動きの止まったモモンガに気づいたリーネが喋り掛けてくる。心を落ち着かせる為に一呼吸置いたモモンガがゆっくりとリーネに―――仲間達に聞こえる声で喋り出す。

 

 「いやな…これ、世界級(ワールド)だ。」

 

 「あぁ、そうなんだ。世界級(ワールド)なんだこれ―――はいぃ!?」

 

 周りで写真を撮ろうと集まっていた仲間達にもその言葉は聞こえ、しばしの沈黙が下りた。何を言っているのか理解できない、その様な沈黙だ。そんな中、もう一度皆に聞こえる様に、モモンガは喋り出す。

 

 「あ、嘘じゃないですよ。なんか…初見攻略のご褒美見たいです。」

 

 少しずつ仲間達の間でざわめきが起き出す、皆が口々に”世界級(ワールド)アイテム”と言う単語を吐きながら、それが漣の様に広がり―――爆発的な歓声が起きた。

 

 「冗談はよし子ちゃんだってぇぇぇ!うっそ!うっそ!マジで!?ほんとに!?うらぁぁぁ糞運営ざまぁぁぁ!!」

 

 「ほらね!俺には分かってたからね!初見攻略で世界級(ワールド)アイテム貰えるって!!」

 

 「だっからベルリバー、うっそつけってお前ぇぇぇ!ひゃっはーーー!!」

 

 「見たか!見たか見たか!セラフィムの糞野郎共!ざまぁみろぉぉぉ!天使は全員死ねーーー!」

 

 「リネちんリネちん全員死ねは言い過ぎだって、まあでもサイコー!Yesロリータァァァ!」

 

 仲間達にも共有できるように、モモンガは一度玉座から降りる。そして仲間達に座って自分の目で確かめる様促していく。そして我先にと座っていったリーネが奇声を発しながら飛び上り、奇怪な踊りを披露しだす。

 

 そんな光景を見つめていたモモンガの前に二人の人物がやってくる。たっち・みーとウルベルトだ。

 

 「いや、流石ですねモモンガさん、まさかここまでの事になるとは、貴方をギルマスに推して正解でした。」

 

 「いやほんとに…コイツとは一味も二味も違いますね。ギルマスになって最初のイベントで世界級(ワールド)アイテムを手に入れるなんて…頭おかしいっすよホント!」

 

 頭おかしいって褒め言葉なのか?そうモモンガは思いながらも、二人の賞賛を快く受け入れる。謙遜は無しだ、今日ここに至っては。

 

 二人から玉座に視線を移せば、そこには狂喜乱舞し奇怪な踊りを披露し続ける仲間達が見えた。どうやらリーネの踊りが伝染してしまった様だ。そこそこのパンデミックが起きている。

 

 なにやら葉っぱ一枚で踊り続けている連中を幻想してしまいそうな程に、やった!やった!と言いながら踊り続ける仲間達をモモンガは宥めていく。

 

 仲間達を眺め終わるとすぐにウルベルトから声が掛かる。玉座に座ってくださいと、写真を撮りましょうと。

 

 ウルベルトに押されるようにモモンガは玉座にどかりと座る。そして各々がモモンガの周りに集まり出した。

 

 「たらら~んっとな!ようよう、ウルベルトさんにたっちさん、あんたら二人はそこじゃないッスよ、魔王様の右腕と左腕なんだからさ、両サイドに行ってよ。」

 

 「おっ、いいんか?じゃあ俺は左に行こうかね。」

 

 「魔王…ですか。それはまた派手な…いいでしょう、私は右に、魔王の右腕に相応しい様にこれからも精進していきます。」

 

 すすっとモモンガの両サイドに二人は移動する。そして自らの思う最高にカッコイイポーズをキメて行く。それに合わせ、モモンガもどしりと玉座に両肘をついていく。想像以上に恐ろしい絵面だ、最早風格しかない。

 

 その光景を見た他の仲間達も刺激されて行ったのか、各々カッコイイポーズを取り出す。そんな中、モモンガが言葉を発していく、ある人物に。

 

 「リーネ、お前はそこじゃない。」

 

 「はえ?じゃあどこよ?」

 

 「ふふ…そうだな、お前は俺の前に来い、ど真ん中だぞ?」

 

 「マジ?良いの?モモンガさん映んなくない?」

 

 「映るさ、お前は小さいからな、少し後ろに下がればいい具合に絵になると思うぞ?良いですね、皆さん?」

 

 モモンガの言葉に全員が頷く、皆同じ気持ちだ、彼女のポジションはそこが一番良いと。

 

 「ギルドになったからな、これから先は今までより派手に動き回れる。そうすれば今まで以上に敵が増えるだろうさ。だから…。」

 

 ポリポリとモモンガは自分の頭を掻いていく、何やら恥ずかし気な雰囲気で、一つ間を置き、意を決したかのように言う。

 

 「だから…これから先も守ってくれるよな?」

 

 「…ふふ。」

 

 チッチッチッとリーネは指を動かしていく。そしてニヤリと言う様な雰囲気でモモンガに告げる。

 

 「モモンガさん、まだまだムーブが分かってないわね。魔王は頼むものじゃない、命令するものよ?俺を守れ…そう言えば良いのよ。あの時見たいにね。」

 

 「…ははは、そうか、そうだな!これは一本取られたな!」

 

 すぅっとモモンガは一つ息を吸い、そして吐いていく。

 

 そして言葉を発していく、重々しく低い声で。

 

 「アンティリーネよ、我が前に来い。」

 

 「はっ。」

 

 軽く右手を胸に当て、リーネは答えた。そしてゆっくりと歩み出す―――魔王の元へ。

 

 「これから先、幾多の困難が待ち受けようとも、我が前に敗北は無い。なぜならば、ここにいる信頼できる仲間達が、悉く敵を滅してくれるからに他ならない。そうだな、皆の者よ。」

 

 その言葉を聞き、全員が胸に手を当てていく。その際もリーネはゆっくりと進み、モモンガの―――魔王の前で膝を付く。

 

 「我の最も信頼を置く者、アンティリーネよ、これから先、いかなる猛者が立ちふさがろうとも―――我を守れ!」

 

 「はっ!仰せのままに魔王(モモンガ)様!!」

 

 その言葉と共にリーネは立ち上がり、ひらりと身を翻していく。

 

 ガキン―――剣が床に突き刺さると共に、仁王立ちしていくリーネは叫ぶ。

 

 「王命心に刻みました魔王様!これから先、いついかなる時も、どの様な敵が現れようとも、魔王の騎士たるこのアンティリーネがいる限り、必ずや魔王様を守り抜きます!」

 

 その言葉を聞き、モモンガは仰々しく右手を振りかざし、宣言をしていく。

 

 「ここにギルドは可決された!今これより、我らがユグドラシルを席巻する!その時が来たのだ!恐怖と絶望をまき散らし、アインズ・ウール・ゴウンの名を不動のものとせよ!!」

 

 その言葉を聞いた仲間達から、力強い言葉で了解の意が聞こえてくる。モモンガはほほ笑む、本当に―――最高の仲間達だと。

 

 

 

 

 

 

 

 古代ローマの軍人、ガイウス・ユリウス・カエサルはこう言った―――賽は投げられたと。

 

 魔王により、賽は投げられた、今この時より―――アインズ・ウール・ゴウンの伝説が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 「おい、聞いたか?ナインズ・オウン・ゴールがギルドになったらしいぜ?」

 

 

 「マジで?また暴れるつもりなんかな?」

 

 

 「もうすでに暴れてんだよ、最近少し大人しかったのに…初期の頃…いや、それ以上にヤバい集団になっちまったな。」

 

 

 「へぇ、そうなんか?俺はその頃まだこのゲームやってなかったからな。くわばらくわばら。」

 

 

 ムスペルヘイムの大都市に様々な声が入り混じる、そして耳を澄ませば、何やら似たような単語が多く混じっている事に気付ける。

 

 アインズ・ウール・ゴウンと言う単語が。

 

 そんな騒がしい都市内を、コツコツ歩き続ける二人の人物。

 

 額にバンダナを巻き、腰に刀を携えた長身の男と、漆黒の衣装に身を包み込む男が。

 

 「アインズ・ウール・ゴウンねぇ。中々派手な連中だなおい。」

 

 「…忍。」

 

 長身の男と歩く漆黒の衣装を身に纏う人物―――ギルバート・リーがそう言葉を吐いた。普通の人間にはなんのこっちゃな返しであるが、長身の男は何も言わない、この返答がいつも道理だと分かっているからだ。

 

 そして長身の男は気づく、ギルバートの声音に嬉しさが混じっている事に。

 

 「ほう、何だギル、なんか嬉しそうだな。」

 

 「忍…上々でござるよ。」

 

 「おう?上々?何が?」

 

 「上々は上々でござるよ、()()()()()()殿…忍、忍。」

 

 「あっそ…もういい、良く分からん。」

 

 長身の男―――アロービーチと呼ばれた男は即座に追及するのをやめていった。どうせこれ以上聞いてもはぐらかされるだけだ。それは時間の無駄だと知っているからだ。

 

 (上々ねぇ…恐らくは、あの()()()()()の事なんだろうな。)

 

 コツコツと二人は都市内を進んで行く。仲間達の集まる留置所に向かう為に。

 

 

 

 

 

 

 





 すぅっとモモンガは一つ息を吸い、そして吐いていく。
 ↑ここで音楽がなくなる。

 そして言葉を発していく、重々しく低い声で。

 「アンティリーネよ、我が前に来い。」

 デデッデデデデって感じでクラタノイアが流れます。

 どうもちひろです。

 丸一年放置した三章もこれで終わりです。
 本当は”凡才と天才”から今話までを二話で終わらせるつもりでした。
 無理でした。
 後は番外編と幕間を入れて四章に入ります。
 綺麗に終われるのでここで終わりにしようか凄く迷いましたが続行します。Extra書いちゃったんで…。
 じゃあ次回予告いっきまーす。

  ―――BGM・小さな冒〇者―――

クシリン「ぶるるん、ぶるるん、ぶろろろ
     魔王のお城に鳴り響く
     ぶるるん、ぶるるん、ぶろろろ
     溶岩の海を目指し鳴り響く
     ぶるるん、ぶるるん、ぶろろろ
     鋼の翼で駆け抜ける
     
     次回  この素晴らしい
        ハーフエルフに祝福を 
         
          第 4 章

      【あの時から…ここから…】

      次回もあっちっちなか―――――」
               
 リーネ「( ゚д゚)!?予告が途中で終わった!」
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