あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~ 作:だいだろすちひろ
前回のあらすじ
火走炎火!参☆上!
♦
「ガンちゃんガンちゃん!とぉぉぉんでもなく!うあっつい武器貰って来たよ♪」
「おお!マジかよ姉ちゃん!」
「……。」
「じょじょん!んんん!ドォォォリィィィルゥゥゥ♪」
「んあん?ドリル?炎火なんでそれが熱い武器なんだ?」
「…………。」
―――イラ。
「何いってんのねこちゃん!ドリルは古えより伝わりし、うあっつい武器でしょうが!男の子は皆ね、ドリルを見せられると!好きになっちゃうんだからね!」
「うおぉぉ!でっけぇな!かっこいいぞ姉ちゃん!」
「………………。」
―――イライラ。
「んあん?なんかそう言われるとカッコよく見えて来たぞ!ドリルカッコいいぞ!んんん!ドリルルル~♪」
「ルルルル~♪うぅん!あっついわぁ!ルルルル~♪」
「……キ…キキキ…。」
―――イライライラ。
「ドォォォ―――。」
「「「リルルルルルル~♪」」」
―――ブッチン。
「キィィィー!キャイィィィー!!」
「うわぁ!!!ビックリした!!!」
♦
ここはムスペルヘイムの大都市の一つ。
その大都市の留置所に、スルシャーナを含む全メンバーがINして集合していた。
「キャイィィー!キャウゥゥゥー!!チェアァァァー!!!」
「ちょ、アラフ落ち着いて!Coolit!Coolit!」
「キャィィー!!日本人なんだ、日本語で言えば分かるっチェアァァァー!」
INしたとて特に何をする訳でもなく、三馬鹿がいつも通りの馬鹿騒ぎを室内で繰り広げていた際、急に部屋中に奇声が木霊していく。
大声で謎の奇声を発し続ける人物、アラフことアーラ・アラフを、リーダーであるスルシャーナが落ち着かせようと奮闘している。
どうどうどうと暴れ馬を相手にする様に体を羽交い絞めにしていく、程なくして動きは治まった。
「はぁはぁ…。」
「落ち着いたかいアラフ。隣で急に奇声を上げるのやめてよ。心臓止まるかと思ったよ。」
「おい…何なんだよ…何なんだよこれは…。」
「え?何って?別にいつもの―――。」
スルシャーナが言葉を言い終わるよりも早く、アラフの首がぎゅるんと方向を変えていく。
そして親指を立てて突きつけていく、騒ぎまわっている三人に向けて。
「見て見ろよ!右を見ても~…あっバカ~♪左を見ても~…あっバッカァ~♪後ろを見てもぉ~…あぁ~ブゥワァカァ~!んんんーー!バカバカバカバカバカバカバカバカ!!!バカばっかじゃねぇかぁぁ!!どうなってんだよこのクランわよぉぉ!!」
「…アラフも大概だけどね…。」
「あぁん!?今なんか言ったか!?」
「ん~ん、何も言ってないよ~♪」
アラフマウンテン大噴火。沸き上がった暴言と言う名の溶岩が、口と言う名の火口から盛大に噴出されていく。まぁ、これも最早只の日常ではあるのだが。
ゲーム何だし良いじゃないか、好きに遊ぼうよとスルシャーナは思うが、アラフが怒っている事も実は分からなくもない。
炎火の加入によって戦力は増強された、しかしそれ以上にふざけ具合が加速していったのだ。炎火の悪ふざけがねこにゃんとガンジョーをくすぐり、二人が更にふざける始末である。
最近では集まったとしても話し合いにすら発展せずに終わる事も多くなってきている。それだけならまだ我慢できるのだが、たまに挑むクエストさえも失敗に終わる事が多くなってきている始末だ。本来なら達成できていたであろうクエストさえ、三人のおふざけによって失敗に終わってしまうからだ。
(アラフが怒るのも無理ないか…ここは僕がガツンと…言えないんだよなぁ。)
本来ならばチームの輪が乱れているのであれば、纏めるのがクラン長であるスルシャーナの役目である筈だ、しかし優しい性格の彼は中々強く言えないでいる。それにここでクラン長の権限で無理くりに三人を押さえつけてしまえばメンバー間に亀裂が入ってしまう可能性もある。
そう考えれば考える程、尚の事言葉はしぶられる。
(ん~…無理だよぉ…僕には荷が重いよ。もうこの際、クラン長降りちゃおっか―――おや?)
#ピンポーン#
クランの惨状に頭を抱えていたスルシャーナの耳にアナウンスの音が届く。
この音はこの部屋の呼び出し音である。音を聞いたスルシャーナが入り口に視線を向けていく。
はて?とスルシャーナは思う。一体誰なのだろうか?客人か?と思うが、自分達はこのクラン以外に交友関係を殆ど持たない。やってくるとすればクシリンくらいの者であるがなんの連絡も無しに彼女がやって来るのも稀だ。
その様に考えながらスルシャーナは部屋の扉を開いていく。そして目の前に現れたのは美人な女性プレイヤーであった。
真っ黒なセミロングの綺麗な女性が、銀と青を基調とした豪華な鎧を身に纏っている。
その装いを見るに恐らくは戦士であろうか。身に纏っている装備にスルシャーナが感激していると、目の前の女性と目が合う。
「あ…どうも。え~と…どちら様でしょうか?」
「…ルビアス。」
「はぁ…ルビアスさんですか。えっと…なんの御用でしょうか?」
「…募集みたわ…入ってあげる。」
「募集…?あっ!」
一瞬何を言われたのか分からなかったスルシャーナであるが、ピンと閃きが起きた。彼女の言う募集とはクランのメンバーの募集の事であろう。
炎火がクラン入りした後も、実はメンバー募集は引き続き行っていた。
しかしこのような弱小クランに簡単に人が入る訳もなく、そのままメンバーの記憶から抹消されていたのである。
「うわぁ。うわぁ、嬉しいな。どうぞどうぞ、立ち話も何ですし、中に入ってお話しましょう。」
「…ふん…そこまで言うなら入ってあげ―――」
「くぅらぁぁ!!この糞ガキがぁぁ!!何晒してくれとんじゃぁぁ!ぶっ殺すぞぉぉ!!」
「スッと行ってドス♪スッと行ってドス♪」
「ひゅう~♪ガンちゃんイケイケ~♪Yesナイフ♪Noアラフ~♪」
「んあぁぁん!俺はドリルだぞ~♪ギ☆ガ☆ドリルルルルルルル~♪」
「キャイィィィ!!ぶっ殺すぞテメェらァァァ!!!」
ルビアスを部屋に招き入れようとしたスルシャーナの目に飛び込んできたのはあんまりにもあんまりなクランの光景―――醜態であった。
―――ギギギ。
その様な効果音が聞こえそうな程にぎこちなく、スルシャーナが振り向いていく。
「…あ、あははは、すいませんね、騒がしくて。」
「…邪魔したわね…帰らせてもらうわ。」
「まって!まって!まってくださぁぁぁい!!」
♦
「はあ。神官戦士だったんですね。純戦士だとばかり思ってました。」
「…ふん。」
帰ろうとしたルビアスをどうにかこうにか引き留めたスルシャーナがルビアスからビルドの詳細を聞いている。
募集していたのはタンク職のプレイヤーであったのであるが、背に腹は代えられない。ここで彼女の入団を断ってしまえば、次はいつこのチャンスが巡って来るかも分からないだろう。みすみす逃すつもりは無いと言う事だ。
(神官戦士かぁ。欲しかったのはタンクだけど、この際そこはいいかな。神官戦士なら回復魔法も使えるし、前線に立っても問題なく敵の攻撃も防げるよね。勿論彼女の技量次第ではあるけど…。)
「それで?どうするの?入ってあげてもいいけど?」
「え?あ、あぁ、勿論お願いします。」
(なんかこの人、性格きつくない?大丈夫かなこの先。)
「おい、ちょっと待てや。」
「あ。」
「…何?」
ルビアスのクラン加入で纏まろうとしていた話の最中に、ズイっと横やりを入れてくる人物がいた―――そうアラフだ。
アラフがぐいぐいルビアスに迫っていき、ギロリと睨みつけていく。
「おいおい姉ちゃん、あのな、神官わな、間に合ってんだよ。ここにいんだよ最高の神官がよ。俺達が欲しいのはタンクなんですぅ~。」
「ちょ、アラフそんな言い方…。」
「はぁ?何コイツ?うざ。」
「うざ!っじゃねぇんだよ。もう一度言うぞ神官は間に合ってんだよ、俺達はタンクが欲しいの、タ・ン・ク!Do you understand? Oh~~English! OK?はい!タ・ン・ク!はい!タ・ン・ク!」
ぱちん、ぱちん、ぱちん、と相手を煽るかのように手拍子を始める。リズミカルで、それでいて聞こえの良い高い音が響く。それはそれはイラつきが加速する良い音だ。
「はい!タ・ン・ク!はい!タ・ン・ク!Repeat after me?はい!タ・ン・ク!」
ぱちん、ぱちん、ぱちんと手拍子は続く、そうすればどうなるのかと言うと―――
「はい!タ・ン・ク―――うべい!!?」
―――ブチ切れられる。
アラフの暴言に耐えかねたのか、ルビアスがアラフの胸倉をがっしりと掴んでいく。
そして握り締めた拳を躊躇なくアラフにお見舞いしていった。
「うっざっ!!!ボコるぞテメェ!日本人なんだから日本語で言え!」
「ボコってる!もうボコってる!やめてぇ!やめて下さい!暴力反対!暴力反対!」
ガッガッガッと、鈍い音が鳴り響き、アラフが成すすべもなく滅多打ちにされて行く。
「やめてぇ―――じゃねぇんだよ!うっぜぇなお前!」
「ちょ!ちょっと待って!痛い!痛い!」
「待った待った!ルビアスさんやめてやめて!」
「おぉぉぉい!スルシャーナ!早く助けろぉぉ―――んぎゃん!?」
「んあん?やるじゃねぇか。」
殴られ続けるアラフの視界が天を仰ぐ。
その理由は、ルビアスがアラフの足を掛け転ばしたからに他ならない。
転ばされたアラフが盛大に床に倒れていく。
格闘技で言えばテイクダウン―――そしてそれに続く物と言えば。
「待て待て待て待て!動けない動けないからぁ!」
「うっさいなぁ。動けないんじゃない、動けなくしてんの。」
馬乗りの態勢―――マウントポジションである。
マウントを取ったルビアスの拳が天に突き上げられる。
そう、この体勢から続く物と言えば―――非常に単純な物である。
「んあん♪いい鉄槌だなぁ♪いいフォームだ。」
「ねこにゃぁぁん!言ってないで助けなきゃ!!」
「んあん、都市内なんだ、ダメージ入んないし良いんじゃねぇか?」
「いやぁぁ!!助けてぇぇ!怖いぃぃ!怖いぃぃ―――わらば!!」
―――ゴッゴッゴッ。
ルビアスの鉄槌がアラフの顔面を殴打していく。
―――ゴッゴッゴッ。
鉄槌が容赦なく打ち付けられていく。
「ルビアスさん!待って下さい!確かにアラフはクッソ短気で!クッソメンドくさくて!クッソウザいけど!押さえて下さい!ストップ!ストォォォップ!!」
「えぇい!日本語で言えって言ってんだろ!」
「ストップは良いでしょ別に!」
これ以上は不味いと思ったスルシャーナが、マウントを取るルビアスを力づくで引き剝がしていく。
引き剥がされたルビアスは以前不服そうだ。スルシャーナに掴まれた腕を、バッと振りほどいていく。
「んあん、強烈な奴だな。」
「姉ちゃん、あの姉ちゃんこえぇよ。」
「う、うん。怖いね、ガンちゃん。」
「…チッ。」
舌を鳴らしたルビアスが不服そうに辺りを見渡す。
後にしようとするが。
「くぅるぅわぁぁーーー!!逃げんのかテメェェェ!!」
「…チッ、何?まだなんか…って、マジで何よ。」
部屋を出ようとしたルビアスの耳にアラフの怒声が飛んでくる。
ウンザリしながらもルビアスが振り向いていくと―――そこには仲間の影に隠れて吠え散らかすアラフの姿が目に飛び込んできた。
ねこにゃんの後ろに隠れたアラフがルビアスに罵声を飛ばしていく。キャンキャンキャンキャン吠え散らかす。
「いやさぁ…アンタさぁ…流石に情けなくないわ―――」
「死んだぜテメェ!テメェは俺を怒らしたんだ!テメェは今から俺の
「―――はぁ?真の力?なにそれだっさ。」
とは言いつつも、その真の力という物にルビアスは少し興味を惹かれる。
ユグドラシルプレイヤーならば、隠し持っている切り札の一つや二つはある物だ。かくいう自分にも、その
無言で睨み合いを続ける両者、その静寂を破り―――アラフが吠えた。
「やっちまえお前らぁぁぁ!数の暴力を教えてやれやぁぁぁ!!」
アラフの真の力、それは―――
―――プッチン。
「……。」
「あれあれ~?ビビっちゃったんじゃないのぉ~?おらぁ!ねこにゃん行って来いやぁ!ギッタンギッタンにしちまえ!」
「んあん?俺か―――んあん?」
「…………。」
コツコツと足音を立てながら、ルビアスがアラフに向かい歩を進めていく。
その際ルビアスは何も言葉を発しはしない。終始無言で歩き続ける。
そして歩き続けるルビアスの目の前に、ねこにゃんが立ちはだかり、手で制していく。
「んあん。お姉さん、ちょっと落ち着いてくれよ。悪いのはこっちなのは分かってる。ここいらで勘弁してもらえねぇ?」
「…………。」
(んあん、やっべぇなこれ。怒り通り越してんぞこの姉ちゃん。このままじゃ話になんねぇな、これがな。)
ねこにゃんの勘が騒ぎ立てる、これは良くないと。このままでは仲間になる所ではないだろう。一波乱―――いや、二波乱目がやって来る前にどうにかしなければならない。
自分の後ろでは、今尚アラフが吠え続けている。
取りあえずはコイツをどうにかしようとねこにゃんは考える。
「んあん。炎火、ガンジョウ。」
「はいはい!」
「合点だぜ兄ちゃん!」
「はぁ!?おいちょっと待てお前ら!はっなっせ!はっなっせ!」
ねこにゃんの言葉と共に、アラフが二人に羽交い絞めにされて行く。その姿を横目に、ねこにゃんがルビアスに話しかける。
「ふぅ…うるさいのは取り合えず抑えたぜ、お姉さん。もう一度言うけど、怒りを鎮めちゃもらえねぇか?後からしっかり謝らせるからよ。お姉さんとはこれから上手くやっていきたいのさ。これは本当だぞ?」
「……うっざ、どきなさいよ、私はあいつをボコボコにしないと気が済まない。」
「ん~…だよなぁ。しゃあねぇな…うん!んじゃ、アラフとお姉さんで一騎打ちといくか!」
「ふぅん…話分かるじゃんアンタ。」
「おぉぉぉい!何言っちゃってんのお前ぇぇぇ!」
アラフを助けるかと思われたねこにゃんから出た言葉はまさかの一騎打ちであった。このまま話あった所で、ルビアスの殺意は治まりそうにない、そう判断したからだ。
これから仲間になるかも知れない人物だ、遺恨は残したくない。だからこその一騎打ちであり、全力でぶつかって欲しいとねこにゃんは考えた。
ポキポキと指を鳴らす様な仕草をしながら、ルビアスがアラフに向かい歩きだす。
「嫌だぁ!嫌だぁ!無理無理!無理無理!我神官ぞ!?我純神官ぞ!?神官戦士と殺り合って勝てる訳ないぞよ!?」
裏切者ー!とねこにゃんに対し罵声を飛ばすアラフの元にルビアスは辿り着く。
そして
「おいおい、お姉さん、何しようっての?」
「はぁ?一騎打ちなんでしょ?武器を出すだけだけど?」
「ひぃぃぃーーー!!!」
「まぁ待て待て。一騎打ちとは言ったが、別にPVPとは言ってないんだ、これがな。」
ルビアスの動きがしばし止まる。そして続けろとばかりに顎を動かす。
「お姉さん見た所相当できるだろ?なんとなく分かんだ、これがな。アラフとPVPしても一方的にアラフがボコられるだけだ。ぶっちゃけた話、戦いにすらならない。自分よりも弱い奴を一方的にボコすとか…ダッサイと思わない?」
「俺はダサいと思わんがな―――うべべべい!首絞めんな!」
「黙ってろって、兄ちゃん。」
「ふん…じゃあどうしろっての?」
「んあん、別の事で決着付けようって事さ、PVPするにしても都市外まででなきゃだろ?そんな面倒な事しないで中で決着つけようぜ。なぁに、舞台は俺が用意してやるよ。おい炎火、ちょっと来てくれ。」
「え?いいけど…どうしたの?」
「おっ♪離したぞ!今の内に―――んぎゃ!刺すな!刺すな!」
「おいおい、兄ちゃん、逃げんなよ~。」
羽交い絞めを解かれたアラフが逃げようとしたのをガンジョウは見逃さない。瞬時に右太ももにナイフをぶっ刺し、ぐりぐりしながらアラフを脅す。
そしてねこにゃんが炎火に耳打ちをした後―――炎火がニヤリと笑った。
「うっ
「だろ?頼んだぜ、炎火。」
「…ちょっと…何をこそこそと。」
「んあん、すまねぇな。この一騎打ちはここじゃ出来ねぇんだわ。悪いけどよ、都市の遊戯場まで行って待ってちゃくれねぇか?俺達も後から行くからよ。それと、一つ約束する。この一騎打ちはフェアだ、絶対に不正はしねぇ、それじゃ意味ないからな。」
「…分かった…逃げるなよ。」
その言葉を吐き捨て、ルビアスは部屋を出ていった。
バタン!っと強く扉が叩きつけられる音と共に、ふうっと部屋中に溜息が漏れていった。
「すまないね、ねこにゃん。本当はリーダーである僕がどうにかしなきゃならないのに。」
「んあん?気にすんな。」
「よし!でかしたぞねこにゃん!作戦練ってアイツをボコボコに―――あだ!」
「やめろっての、これがな。」
アラフにねこにゃんのチョップが炸裂していく。どうやらこの男、全く懲りては居ない様だ。
「お前…殴ったな…サービス開始から一緒に遊んできたこのアラフを…くぉのアラフをーーー!!!」
「んあん?なんか聞いた事あんぞその台詞。漫画の台詞だよな?「俺は品性まで売った覚えはない。」だったか?なんの漫画だったかな?」
「正にこの状況にぴったりな台詞だね。」
「…まぁ、冗談はさておきだ。」
「本当に冗談だったのか?兄ちゃん?」
「んっんん!つーかマジでやんの?PVPじゃなきゃ何すりゃいいんだよ、俺は。」
「んあん?秘密だぞ、着いてからのお楽しみってやつだ。」
「ほらほら!話してる暇ないよ!皆用意を済ましていくよ!夕日の中で殴り合った二人は一発で親友になっちゃうんだからね!うぅん、うあっついわぁぁ!」
「ほらぁぁ!やっぱ殴り合うんじゃねぇか!!」
「殴らないっつうの。ほら待たしちゃ悪いしな、さっさと準備しようぜ?」
その言葉と共に各々が準備を進めていく。しかし準備と言っても、装いを外行きに変える位なのであるが。
憂鬱な気分のまま準備を進めるアラフであったが、ふと気になる事を思い出し、スルシャーナに問いかけていった。
「そういやよスルシャーナ。なんか俺があの暴力女に殴られてる時に、なんか俺盛大にディスられてた気がすんだが?」
「え?そうなの?気のせいじゃない?」
♦
ブルルン…ブルルン…。都市の遊戯場にエンジン音が鳴り響く。
遊戯場―――ユグドラシルの最大の売りはその途轍もない自由度にある。一からアイテムを制作し、またそのグラフィックさえも自分達でデザインする事も可能であるし、ギルド等に至っては、時間と金―――課金さえすれば自分達の臨むままにいじる事も出来てしまう程だ。
ギルド、ビルド、アイテム作成、ユグドラシルの自由度は―――その程度では終わらない。
戦いや冒険、そういうRPG的な要素だけではなく、現代の―――リアルでは実現不可能になった事や、困難になってしまった事ですら楽しむ事が出来る。
簡単に言えば娯楽面も充実していると言う事だ。
スポーツ、賭博、劇場など様々な娯楽がユグドラシルには溢れている。
この遊技場もその一つである。この遊技場には元々は何もない。がらんどうのだだっ広い空間だけが広がっており、その中央にコンソールパネルの様な物だけがぽつんと置かれている。
そしてそのコンソールパネルを広げて見れば、その中には無数のゲームが登録されている。
シューティングゲーム、レーシングゲーム、スポーツゲーム、ロボットゲーム、様々な登録されたゲームの中から、遊戯したいゲームを選択する事で、このがらんどうの空間はそのゲームに相応しい空間へと変換される。
それが遊技場であり、プレイヤー達の憩いの場でもある場所だ。
ブルルン…ブルルン…。エンジン音が鳴り響く。
都市の遊技場を貸し切ったスルシャーナ達が一騎打ちに選んだのは、遊技場でのバイクレーシングであった。
「…はぁ…遊技場って言うから何かと思えば、バイクレース?得意じゃないんだけどな。」
「ぶつぶつ言ってんじゃねぇ…俺だって得意じゃねぇよ…。」
「…はん。でしょうね、不器用そうだもんねあんた。」
「自分…不器用ですから…。じゃねんだよ!不器用そうなのはお互い様だろうが!」
数百年前に有名になったCMの様な台詞をアラフが吐いていく。
二人の準備は整っている様に見えるのだが、なぜかレースは開始されない。
「…チッ…まだなの?早くして欲しいんだけ―――」
「んんんんん!!来た来た来たぁぁぁ!うあっついメンツが集まって来たぜぇぇぇ!!ファイアーーー!!」
炎火の叫び声と共に、並んだ二人の横に二人のプレイヤーの影が現れていく。
そう、ここはユグドラシル。最高の自由度を誇るこのゲームの遊戯場ともあろう場所が―――プレイヤー達の憩いの場とも言われるこの場所が、
準備が整っていた二人が待っていたのは、このレースを一緒に遊ぶ仲間達であり、別の遊技場で待機しているプレイヤー達である。
ホストはこちら―――スルシャーナ達であり、あちらの二人はこちらにアクセスしてきたという事になる。
ブルルン…ブルルン…。アクセスしてきた二人も準備は良い様だ。
黒く塗りつぶされた二つの影が、準備は良いぞと右手でサムズアップしてくる。
このアクセスしてきた二人が何故黒塗りかと言うと、それはあちら―――アクセス側が設定で姿を隠しているからに他ならない。つまり身バレを嫌がって伏せていると言う事だ。
「…はぁ…全く、一騎打ちじゃなかったの?何で余分なのも呼ぶのよ。」
ルビアスがそうごちる。
この勝負は一騎打ちであった筈だ、外野はいらないであろう。ではなぜこんな状況に置かれているのか。
それは簡単な話である。そう、只の悪ふざけだ。
遊技場に着いた当初は二人の一騎打ちと言う形で話は進んでいた。しかし時間が経つにつれて、こうした方がいんじゃね?こうした方が面白いよねと、ねこにゃん達のテンションと共に暴走を始めたのである。
そして気づけばこの有様である。
ルビアスは溜息をつく。段々とこのクランのヤバさが分かってきたからだ。最初はアラフの強烈なインパクトに気を取られていたが、周りの連中も相当にヤバい。よくよく思いだせば最初から他の連中もヤバかった様な気もするが。
「はぁ…何よこれ…。」
「…はは。」
本日何度目になるか分からない溜息をルビアスが吐いた途端に、隣から聞こえてきたのは笑い声である。
ギロリとその方向をルビアスは睨みつける―――アラフを睨みつける。
「うざ…何よ。」
「はは…いや…。良い感じにお前さんも
「はぁ?どういう事―――」
「レディース&ジェントルメェン♪舞台は整ったぜぇぇ野郎どもぉぉ!うあっつい舞台がなぁぁ!ファイアーーー!このレース!実況はこの私!ユグドラシルで最も熱い女!火走炎火がさせてもらうぜぇぇぇ!!」
その言葉と共にギャラリーから歓声が上がる。
黒塗りの二人も両手を突き上げ飛び跳ねている。
「このうあっついレースの選手達!いや戦士達!いや!英雄達を紹介していくぜぇぇぇ!まず一人目ぇぇ!口だけ番長ぅぅ!アァァァラ・ウアァァァラフゥゥ!」
「ぶっ殺すぞテメェ!!」
「二人目ぇぇ!力こそが正義ぃぃぃ!良い時代になった物だなぁぁぁ!あぁぁぁ、暴力女ぁぁぁ!ルゥゥゥビアスゥゥゥ!!」
「…よし…後で死なす。」
「三人目!黒塗りの挑戦者!ここは名前じゃなく!バイク名で呼ばせてもらうぜぇぇ!一+一わぁぁぁ、あっ!二百だぁぁぁ号ーーー!!」
「凄い名前だね…全く意味が分からないよ…一+一は二でしょ普通。ていうか、あっ!って何?あっ!て。」
「そして最後の英雄はぁぁぁ!うあっつい英雄はぁぁぁ!ヘラン・フーシェ号だぁ!」
「んあん?へらんふーしぇ?何か聞いた事あんぞ?なんだったったけな?」
炎火の熱い実況にほんの少し間が空き―――爆発したかの様に叫ぶ。
「テメェェェラァァ!準備はいいかぁぁぁ!?」
「はぁ…たく。いいぜ、始めろよ。」
「準備はぁぁぁ!良いんだなぁぁぁ!!」
「とっくの昔に整ってるわ…始めなさい。」
ブルルン…ブルルン…。黒塗りの二人もOKとばかりにアクセルを吹かしていく。
「テメェらの銀のメタリックハートにぃぃぃ!そのハートの導火線にぃぃぃ!火を付けやがれぇぇぇ!レースゥゥゥ―――」
―――始めいやっはぁぁぁん!!!―――
その言葉を皮切りに、四人のレーサーが一斉にアクセルを吹かし飛び出していった。
「不思議な程Highな気分になってこぉぉぉい!テメェェェラァァァ!!んんんん―――」
―――ドライバァァァズハァァァイ!!―――
♦
「――~~~!!やるじゃない!!」
「はっ!テメェもな!」
爆音と共に風を切り、マフラーから煙を吐き出しながら、アラフとルビアスはコースを攻めていく。
優勢なのはアラフだろうか。そのすぐ背後にルビアスが控え、虎視眈々と切り込む隙を伺っている。黒塗りの二人は少し遅れて後ろを走っている様だ。
先頭を走るアラフの目の前に急なカーブが見えてくる。
そのカーブを、アラフはエンブレを効かせながら切り返していった。
「くっそ…!できる…不味い!直線!!」
カーブを超えた先には長い直線が見えてくる。二人のバイクの性能自体は余り変わらない、カーブで差を空けられた上にこの直線でまで差を付けられれば付け入る隙が無くなってしまう。
そう思考するルビアスの目の前でアラフのバイクの速度が急速に上昇していく。
(――~~~!?馬鹿じゃないの!?そんな速度で走れば次のカーブを超えれない!ぶつかってコースアウトよ!!?)
焦るルビアスとは裏腹に、アラフのバイクのマフラーから火が上がる。轟音を轟かせた後に、パン、パンと甲高い音と共に火花が散っていく。
「はっ!流石はユグドラシルって事かよ!バックファイアまで再現してやがる!!この直線で引き離す!リスクは高いが…やるっきゃねぇだろが!」
そう叫んだアラフの声はルビアスには届かない。マフラーから発せられる轟音にかき消されて行く。
アラフが尚もアクセルを吹かす。限界まで振り絞っていく。
(レッドゾーンまでぶち込んでやんよぉぉぉ!!!)
急激に振り絞られたアクセルにより、バイクの速度は限界ギリギリまで急加速していく。タコメーターに目をやれば、とうの昔にレッドゾーンまで到達している様だ。
長い直線を走り抜ける為に、アラフのバイクが急加速を続けていく―――そして。
(はぁ!!?車体が浮き上がった!?ありえない!何であの速度からウイリーすんのよ!?)
ルビアスの目の前ではありえない光景が広がっていた。加速を続けるアラフのバイクの車体が突如浮き上がる。この速度で―――ありえない。
(はは!そういや、昔漫画でこんな場面があったな!実体験するとは思わなかったぜ!このまま突き放す!!いくぜぇぇぇ!ゼッツゥゥゥーーー!!!)
アラフのバイク―――ZⅡがバックファイアを轟かせ、ルビアスを急速に引き離していく。
「いけるぜ―――」
「くっそ!不味い―――」
##おぉっとぉぉ!接戦を繰り広げる、うあっつい二人ぃぃぃ!しかしこちらもあついぞぉぉ!一+一は、あっ!二百だぁ号ぅぅぅ!これはぁぁ!これはぁぁぁ!レイジング・ストームだぁぁぁ!!##
「―――はい?」
「―――は?」
レースに集中する二人の耳に炎火の実況が入ってくる。しかし言っている意味が良く分からなかった。何やら不穏な言葉が聞こえた気がしたかと思えば、その後、ゴォォォウとギャグの様な音が後方から聞こえて来た。
直線をかっ飛ばしていく二人―――気をそらしてはいけないのは分かっているが、それでも気になって後ろを振り向いていく。
「「はいぃぃぃぃぃ!!!?」」
振り向いた二人の目に飛び込んできたのは、ゴォォォウとギャグの様な音をたてていた正体―――巨大な竜巻が目に入ってくる。
良く目を凝らせばその竜巻の内部にポツンと黒塗りの影が見えてくる。恐らくは後方で走っていたバイク―――ヘラン・フーシェ号であろう。
ヘラン・フーシェ号が竜巻に巻き込まれ、これまたギャグの様に空中に舞い上がっていた。
##おぉぉぉっと!ヘラン・フーシェ号巻き込まれたぁぁぁ##
「おいおい!嘘だろおい!?」
「はぁ!?ありなのそれ!?」
##おやぁ?先に走る二車がどうやら驚いている様だぁぁ!言ってなかったかぁぁ?このレースはなぁぁ!妨害は何でもありなんDa☆Ze☆##
「ぶっ殺すぞテメェ!!」
「聞いてないわよ!死ねぇ!」
##おおっとぉ?言ってなかったかぁ?そいつは失敬ぃぃぃ!!
ぷっつんと二人の何かが切れた音がした。
振り向くアラフと前方を見つめ直したルビアスとの視線が交わっていく。
いがみ合っていた二人が、憎み合っていた二人の心が今日初めて―――一つになった。
(あぁ、分かってるぜ―――)
(えぇ、分かってる―――)
―――レースが終わったらあいつぶっ殺す―――
♦
「おっと!おっとぉぉ!?空中に舞い上がるヘラン・フーシェ号のドライバー!!しかしこれはぁぁぁ!?何だぁぁぁ!?一+一は、あっ!二百だぁ号のドライバーがぁぁ!飛び上がったぁぁぁ!」
「炎火ノリノリだね。ある意味凄いよあれ。」
「だなこれが…ん?いや、これがな。」
「おいおい!兄ちゃん達!見ろよあれ!空中のあの二人なんかすんぞ!!」
ガンジョウが叫びながら指さすその先には空中で組み合う二つの黒塗りの影が見えた。
「おっとぉぉぉ!おっとぉぉぉ!これは!これはぁぁぁ!!ドッキングしたぁぁぁ!」
空中で組み合を繰り広げていた二人の内の一人―――一+一は、あっ!二百だぁ号のドライバーが、ヘラン・フーシェ号のドライバーの背後にするりと回り込む。
そして回り込み、空中にも関わらず、技を極めていった。
「うへぇ…なにあれ?なんか凄いね―――ってどうしたの二人共!?」
「兄ちゃん―――」
「あぁ、ガンジョウ―――」
「これはぁぁぁ!この技はぁぁぁ!パイルドライバァだぁぁぁ!」
ズガンと空中から、一+一は、あっ!二百だぁ号のドライバーが地面に向かい飛び降りて来た。
技を極められたヘラン・フーシェ号のドライバーが力なく地面に倒れ込んでいく。
ダァァァっという掛け声が聞こえてきそうな程、高々と天に突きつけられた拳と共に、二人のドライバーがゲームアウトしていく。
バイクから落ちたのだ。ゲームオーバーと言う事なのだろう。
その光景を目にしたねこにゃんとガンジョウの様子が何やらおかしい事になっている。心配になったスルシャーナが二人に言葉を掛け―――返ってきた言葉は。
「「アメイジング」」
「ちょっと二人共!?どうしたの!?ねぇ!?」
訳の分からない言葉であった。
「兄ちゃん…なんだろ…俺、なんか感動したよ。」
「あぁ…魅せるって言葉はあの二人の為にあるのかも知れねぇ…。ガンジョウ、俺達はいま…エンターテインメントの真髄を見たんだ…これがな。」
「二人共!?二人共しっかりして!気を確かに持つんだぁぁぁ!!」
♦
視界が滲んでいく。
風切り音すら身体と同化していくかの様に。
轟音を
鋼の翼で―――突き抜ける。
(カーブが見えて来た!!いけんのか!俺!)
(――~~~!!はん!!速度は落とさないってわけね!!その速度で曲がれるのか見届けてやるよ!!)
迫るカーブをその目に焼き付けたアラフ、勿論減速はしない―――それどころか、更に一段速度を上げていく。
(うっそ!?)
(はは…俺にこんな一面があったとはな…どうやら俺って奴は…生まれつきのスピード狂だったみてぇだ…。ラストだぜ!ゼッツゥ!地平線に届くくらいに…限界までふりきってやんよぉぉぉ!!)
駆け抜けるアラフが徐々に徐々にカーブへと近づいて行く。
そして―――ハンドルを右に振り切った。
(無謀すぎる!!)
(重心をぉぉぉーーー!斜めにぃぃぃーーー!)
重心を斜めに倒しきったアラフがコースを大回りに迂回していく。
ギャリギャリとバイクが地面に擦れる音と共に眼前に飛び込むはアスファルトの姿。
最高のターンを決めたアラフ―――しかし無情にも壁は迫っていく。
##おおぉぉっとぉぉ!アラフゥゥゥ万事休すかぁぁぁ!!これは無理だぁぁぁぶつかるぅぅぅ!!ぶつかってクラッシュ!あぁ無情ぅぅぅ!そのまま大破してフラッシュ!それじゃあアラフゥゥ!来世でまたぁぁぁ会おう!Yeah!!##
無情に迫ってくるコースの壁を目にしたアラフ、その壁を見ながら―――笑った。
(やってやんよぉぉぉ!!!)
そしてアラフとコースの壁が接触し―――ZⅡが壁を激走しだした。
(はぁぁぁ!?何でそうなるのぉぉぉ!?)
「うりゃぁぁぁ!どんなもんじゃあい!!」
ボクシング世界チャンピオンの様な叫び声と共に、カーブの壁を激走し終えたアラフがコースに戻ってくる。
残すはあと少し、直線状にはゴールが見えている。
「勝ったぁぁぁ―――」
「――――!!」
勝利の雄たけびを上げるアラフの叫び声がルビアスの耳に届いてくる。
その声と共に、ルビアスが俯き、ギュッと唇を嚙みしめた。
「ぁぁぁ…え?」
勝利を確信したアラフの目の前にはゴールが見える。いや、見えていた筈なのであるがなぜか現在そのゴールが見えない。その代わりと言っては何だが、アラフの目の前にはある物体が見えていた。
その物体は神々しい程に白く、幻想を抱かせるかの様な風貌。
白く美しい―――ルビアスが目の前にいた。
「うっそだろぉぉ。これエインヘリア―――」
バッカァァァンと言う殴打音と共にアラフがバイクから吹き飛んで行く。
いや、これは吹き飛ばされたと言う言葉の方が正しい。
真っ白なルビアスに―――殴り飛ばされた。
どちゃりと鈍い音が鳴り響く。
アラフが地面へと落ちていった音だ。
そしてそれから少しして、キキィとブレーキ音が鳴り響いた。
##なな…なな…何という事でしょう!!まさかのどんでん返し!勝ったのは…勝ったのは…ルビアスだぁぁぁ!あっ
♦
コツコツとルビアスがアラフの元まで歩いていく。しかしその雰囲気は勝利者の凱旋という訳ではなさそうだ。
どこか浮かない雰囲気を醸し出している。
「……よう。」
歩いてきたルビアスに対しアラフが喋り掛ける―――そして。
「負けたぜ。」
「負けたわ。」
ポカンという風な雰囲気が二人の間に流れていく。
「なんでだよ?勝ったのはお前だ―――」
「妨害した!」
「……はい?」
それがどうしたと言う風な雰囲気を纏ったアラフの元に、残りのメンバーが駆け付けていく。駆けつけたメンバーを見渡したルビアスが、先程の言葉の続きを喋り出す。
「コイツが言う様に、この勝負はフェアな物だった。あんた達は嘘をついていなかった。妨害は確かにこのレースではありだったのかも知れない。でも最初に聞いた話では妨害なんて言葉を一度も聞いてない。あんただってやろうと思えばできたのに…しなかった。でも私はした…だから…私の負けよ。」
「いやまぁ…確かにそうかもしれんが。」
「悔しかったんだ…。」
「はいぃぃ?もしもし?はいぃぃ?」
「負けるって思った時…悔しかった…負けたくないって思ったんだ。妨害してでも勝ちたいって…それはフェアじゃないって分かってた…それでも…自分を抑えられなかったんだ…だから…私の負け―――」
「ん。」
「―――なによ。」
ルビアスが喋り続ける中、アラフが右手を差し出していく。
訳が分からない行動にルビアスが戸惑っていると。
「なにじゃねぇんだよ。握手だよ、握手。俺も言い過ぎた、妨害の件と俺の暴言、これでチャラだ。手打ちといこうじゃねぇかよ。」
「……。」
その言葉を聞いた後、少し戸惑っていたルビアスであるが、意を決したのか、ゆっくりとその手をとっていった。
「つぅかお前”ワルキューレ”かよ。だったら早く言え、そんならタンクも務まるだろうからな。」
「……言う暇なかったし……あんたの所為で……。」
「……あ~、うんん!まぁ何だ、お前みたいなチート野郎が一人いてもいんじゃね?明日からこき使ってやるよ。」
「相変わらず偉そうね、あんた…。でもいいの…?私、口悪いわよ。」
「んあん、口が悪い奴は既に一人いるからよ。もう一人増えた所で大して変わらんぜ、これがな。」
「だね。」
うっせぇと言うアラフの言葉と共にスルシャーナ達が笑いだす。
その光景を、炎火は目を細めながら見つめる。
(ルビちゃん…。ルビちゃんも
アラフとルビアスが話す姿を目を細めながら見つめていた炎火。二人はそれに気づいたのか炎火を見つめ直した後―――二人で目くばせをし合った。
こくこくと頷き合った二人が炎火の元にゆっくりと歩み寄ってくる。
ここにきて炎火が何かに気づいていく。
二人が纏う、妙な雰囲気に。
(ん?んんん?)
あるぅえぇ?何か雰囲気おかしくナ~イツと思う炎火の肩を、二人ががっしり掴んでいく。
「よぉぉ、炎火。良い実況だったなぁ…感動したよ…いやホント。」
「ねぇ炎火、ちょっと三人でお話しない?」
「は…は
「「覚悟しろ。」」
「んあん。二人共仲良しだな。一件落着だなこれがな。」
→ To Be continued...
アラフ兄「俺を武器として使え!」
アラフヶ浜「キャイ☆武器は得意だっチェア!」
アラ塚「乗りな!湘南をかっ飛ばすぜ!」
アラ倉健「無理です、自分不器用なんで…。」
マルチ芸人アラフさん。
どうもちひろです。
ここはユグドラシル、一騎打ちにも色々な形がありますね。
全力でぶつかれば皆友達!殴り合う必要なんてないんです!
殴るなんて野蛮ですよ!
最後のバイク壁走りはネタが思いつかなかったんで適当になりました。早く投稿したかったんで…。ちひろ自身違和感しかないんでいつか書き直したいなと思っています。
六大神もこれで全員集合しました。このクランはこの六人で走ります。もう増えません!
それでは!シュバ!