あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~ 作:だいだろすちひろ
前回のあらすじ
恋はいつでもギャンブルだった。
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「準備は整った…それじゃ、いくぜ。」
常世の闇を思わせる様な闇夜の中、微かに照らす月明かりの下で、ある一人の人間―――プレイヤーの一人がそう言った。
その言葉の後に、複数の言葉が続いていく。
了解。
分かった。
いよいよだな。
多くの言葉が暗闇の中で飛び交っていく。
辺りを見渡せば、そこには多くのプレイヤーの姿が見えた。
数はざっと五十はいるだろうか、人間種で構成されたプレイヤーの集団が、中央に立つプレイヤーの言葉に対し、皆一様に了解の意を示す。
中央に立つプレイヤーが、こくりと頷き、右手を天高く突き上げていった。
その右手―――人差し指には豪華な指輪が嵌められているのが見てとれた。
豪華で、歪で―――不気味な指輪が、少しずつ紫色の光を帯びていく。それはこの闇夜の中で存在を主張し続けていく。
紫色の光が最も強く光輝いた時、指輪は消え去っていく。
そしてその後に現れたるは―――蛇。
自らの尾を自らの口に咥え、円を描くかのような邪悪な蛇が、中央に立つプレイヤーの頭上で、ゆっくりと回転を始めていく。
その邪悪な蛇を見上げたプレイヤーが厳かに言葉を吐いていく。
「俺の…いや、俺達の
―――ウロボロスよ。
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ナザリック地下大墳墓
――第九階層ロイヤルスイート――
そこにはギルメン達の住居があるだけではなく、様々な施設が設置されている。
大図書館、スクロール工房、傭兵モンスター召喚所、はたまたスパリゾートまである始末だ。
先に挙げた施設も、まだほんの一部に過ぎない。
様々な施設がある中で、先にあげていない施設―――鍛冶工房に二人の人物が、談笑を交えながら鍛冶に励んでいた。
―――カーン、カーン、カーン。
金属の打ち付けられる音がリズミカルに鳴り響く。
やがてその音は途絶えていく。
鍛冶が―――武器の作成が終了した合図だ。
工房に居た二人の人物の一人が、作成された武器―――剣を握り締め、マジマジとその剣を値踏みしだす。
「う~ん…
剣を値踏みする人物―――リーネがそう呟いた。
その手に持たれている剣は
ショートソードを更に短くしたような剣を見つめながら、
「マジかお前…これで長いのか?」
あまのまの言葉に頷いていったリーネが、ゆっくりと剣を構えていく。
構えた姿を見つめたあまのまが違和感を覚える。
いつもの
「…しっくりこないわね。これじゃ使いこなせない。」
剣を構えたリーネが自然体に戻っていく。そしてこう言うのだ―――使いこなせないと。
それは果たしてどう言う意味なのか。
「ごめん!あまのまさん、作り直して!」
両手をパンっと鳴らしながら、あまのまに謝罪の言葉を口にする。
実はこの行為、一度や二度ではない。もう何度謝ったか分からない程、あまのまには剣を打ち変えて貰っているのだから。
謝罪を受けたあまのまは快く了承してくれた。
これもまた、一度や二度ではないのだから。
「ここまで来たんだ、気の済むまで煮詰めようぜ。」
あまのまの声音は優しい。優しさと嬉しさが混じっているかの様な声音だ。事実嬉しいのだろう。可愛い妹分の我儘を聞いていくのが。
意気揚々と打ち直しを始めようとするあまのまに、リーネはあるお願いをしていく。
「あ!あまのまさん、この事は絶対に秘密だからね!さっきの構えも秘密よ、分かった?」
あまのまは快く了承する。そしてその後に、嬉しそうに鍛冶を始めていった。
我儘な子程、可愛いものなのだろう。
♦
ニブルヘイムの最奥―――獣王の森を抜けた先に広がる大きな山脈の一端に、アインズ・ウール・ゴウンが独占している鉱山がある。
広さ、採掘量、希少金属――七色鉱など――の沸き方。そのどれもが規格外であり、一時期はバグではないのかと言われたほどだ。
独占して半年近くなる今でも、採掘量や沸き方は修正されはしない。つまりは、現状の状態が元々の設定なのだろう。普通に考えれば異常だが、このゲームの運営人は普通ではない。PVPをここまで推奨しているゲームだ、争い、奪い合え―――そう言う事なのだろう。そう考えれば、アインズ・ウール・ゴウンが行っている、この独占と言う行為も、運営の思惑通りなのかも知れない。
PVPが加速すれば―――課金も増えるのだから。
そんな誰もが羨む巨大鉱山の中央付近に、一人黙々と鉱石を掘り続けるリーネの姿があった。
「ふぅ…こんなもんでいいかな。」
採掘した鉱石をアイテムボックスに詰め、一人ごちる。
あまのまの鍛冶工房で、随分と金属を消費してしまった。ギルドの資産に手を付けるのも悪いので、自分で消費する分は自分で調達していく。
しかし、この鉱山は敵対ギルドが躍起になって奪いに来ている様な場所―――いわゆる危険地帯だ。そんな場所に、のこのこ一人で採掘に来るのは危険なのではと誰しもが思うだろう。
リーネは一人で採掘に来ている。他にギルメンはいない。
ただし―――護衛は沢山居る。
リーネの周囲を取り囲むかの様に配置されている、高LVの傭兵モンスター達の姿がそこにはあった。
そのLVは全てが八十以上であり、それは金貨で召喚する事のできるモンスターの中では最高峰である。
そんな高LVモンスター達が、十体や二十体ではきかない。
タンク系統、探索系統、魔法系統、神官系統―――大量の傭兵モンスター達が、護衛としてこの鉱山には配置されていた。
鉱石の採掘を終了したリーネが、鉱山を後にしようとしたその時―――聞きなれた声が耳に届く。
「久しいでござるな―――アンティリーネ殿。」
リーネの目線の先―――少し遠くで、黒い影が溢れ出し、忍者が姿を表していく。
―――ピクリ。
夥しい程の傭兵モンスター達が、その忍者を敵だと認識し、ヘイトを向けていった―――が、その瞬間、ピタリと傭兵モンスター達の動きが止まる。
コツコツと言う足音を響かせ、リーネは現れた忍者の元まで歩いていく。
右手を見れば、そこにはコンソールが開かれていた。傭兵モンスター達に静止の命令を下していったリーネが、忍者に歩み寄る―――ギルバートの元まで。
「あら、久しぶりね。最近見ないから死んだかと思ってたわよ。」
「忍、忍。忍者はそう簡単に死なぬでござるよ。」
印を結んだギルバートが、リーネの嫌味に対してそう返していく。
「そう、残念。それで?今日は一体何の用?つまんない内容だったらコイツら全部けしかけるから。」
ギルバートが周囲に配置されている傭兵モンスター達を見渡していく。その量は尋常ではない。仮に襲われれば、成すすべもなく殺されていくだろう。
「忍…五十…いや、もっとか…身を隠させているのもいるでござるな…”ハンゾウ”が…二十はいるでござるか?よくもまぁ、これ程までに…とんでもない財力でござるな。」
「ここを奪われると痛いからね。仲間もいつもINしてる訳じゃないし、これくらいは当然でしょ?少ないくらいだわ。」
ギルメン達は皆社会人であり、リーネの様に暇人ではない、いつも全員で集まる事は出来はしないのだ。
コストは非常にかかるが、大量の傭兵モンスター達の力を借りていくしかない。しかし、この鉱山を独占し続けれるのならば、そのコストも補って余りある物がある。
悠々とモンスター達を眺めるギルバートに言葉を投げつける。
今日は何の用だと。
問われたギルバートが印を素早く結び直し、忍と一声上げた後に、ゆっくりと喋り出した。
「
―――ピク。
その言葉に反応していく。
悪い。そう言われ構えていくリーネを他所に、ギルバートは淡々と言葉を紡ぐ。
「アインズ・ウール・ゴウンと敵対している大型ギルド…この鉱山を奪取しようとしている連中が遂に本気になったでござるよ―――
「…うろぼろす?なによそれ?」
聞いた事も無い名前だ。記憶を隅々まで辿っていくが、やはりその様な名前には覚えが無い。使用すると言っている以上はアイテムの類なのだろうか。
「知らなくて当然。未だユグドラシルで使用された事の無いアイテムでござるからな。持ち主は今までずっと使用せずに保管していた…それがよもやここで使われていくとは。それ程までにこの鉱山、欲しい物と見えるでござるな。」
「いや、だから…それなに?」
ギルバートが少し間を置いていく。そして厳かに口を開いた。
「”
―――ドサ。
地面に何かがぶつかる音がする。
その音の発生源はリーネだ。腰を抜かしたリーネが、地面に尻餅を着いていった音。
地面に座り込んだまま硬直していく。内容が脳に染み渡ると同時に、震える様な声を吐いていく。
「…二十…嘘でしょ…。」
その言葉にギルバートは首を横に振っていく。残念ながら、事実なのだから。
二十―――
「拙者の得た情報によれば、敵ギルドのマスターは、運営に”アインズ・ウール・ゴウン”の鉱山への出入りに規制を掛ける事を提案する模様。もしその提案が通れば、おおよそ”一か月”は鉱山に出入りできなくなるでござろうな。」
―――滅茶苦茶だ。
心の中で盛大に罵声を飛ばしていく。一か月も出入り禁止にされれば、確実に鉱山は奪われる。ここにいる傭兵モンスター達だけで、一か月間凌ぐなど土台無理な話だ。鉱山を奪われれば、敵ギルドは意気揚々と籠城の準備を整えていくだろう。そうなれば、再度鉱山を奪い返すのは至難の業―――いや、ほぼ確実に無理だろう。籠城は強い、守りに入られたギルドを陥落させるのは困難だ。自分達が良い例なのだから。
尻餅を付いていたリーネが、そのまま膝を抱える。絶望が押し寄せてくる。
「アンティリーネ殿、心中お察しする。しかし、まだ希望があるのも事実なのでござる。」
膝を抱え俯いていたリーネが顔を上げていく。視線の先にいるのは勿論ギルバートだ。リーネの視線がこちらに向いた事に気づいたギルバートは、その希望とやらを伝えていく。
「ウロボロスが使用されるのは、今から”十日後”にござる。敵ギルドはその日に全員が揃う事ができるのでな…時間はまだ残されている。諦めるでないでござる。」
「十日後…。」
希望と言うには余りに儚い様に思えた。しかしそれでも、まだ足掻く時間は残されている。
頬を両手でパチンと叩き、リーネは立ち上がる。
「十日…ね。アンタの事は嫌いだけど信用はしてるわ。ナザリックの時もそうだし、他にも色々助けて貰った…帰ってギルド会議を開く。」
「ふふ…この逆向を跳ねのける姿を、拙者に見せてくれでござるよ。」
「…
十日と言う時間は貰った、それだけあれば、考えた作戦を実行に移せるかもしれない。
しかし、大きな懸念材料がある事もまた事実。ギルドメンバーの了承と―――もう一つ。
「一番大きな問題は凌いだ後ね…もう一発やられたら…二度は無理かも。」
重く言葉を発していると―――ギルバートがニヤリと笑うかの様な雰囲気を醸し出した。
そして。
「なぁに、心配するな―――」
―――その後は任せるでござるよ。
♦
ニブルヘイムの夜が明けていく。
―――ピシリ。
それと同時に、独占されていた巨大鉱山の周囲に、見えないバリアの様な物が展開されて行った。
ウロボロスの効果で、運営の手によってアインズ・ウール・ゴウンを弾く障壁が展開されて行ったからだ。
鉱山の付近には、五十人を超える数のプレイヤー達が集い、その時を今か今かと待ちわびていく。
そして。
「午前十時…運営が約束した時間だ。野郎共!奪いつくせぇぇ!」
そのプレイヤー達を束ねる存在―――ギルドマスターが叫ぶ。
叫び声を聞いたプレイヤー達が、雪崩を打つようにして、鉱山まで一斉に乗り込んで行った。
乗り込んだプレイヤー達の目の前には、今まで散々苦渋を舐めさせられた傭兵モンスターの軍団の姿が見えてくる。
アインズ・ウール・ゴウンの連中は今はいない、恐れるに足らず。
今までの借りを返さんが如く、意気揚々と戦闘体勢に入って行くプレイヤー達。
そのプレイヤー達を―――巨大な爆発が襲っていく。
先頭を走っていた数十人のプレイヤー達が、ギャグの様に空中を舞っていく。あっけに取られる後方のプレイヤー達。そしてハッと我に返ったその瞬間、前方から飛来してくる何かが目に映る。
それは―――ミサイルだ。
「退避し―――わらば!」
退避しろ―――一人のプレイヤーがそう叫ぼうとした、だが、時既に遅く、ミサイルは着弾し、またもやプレイヤー達は盛大に宙を舞っていく。
「う、うそだろ―――あべし!」
「た、たすけ―――ぶろんそん!」
「ど、どうなってやが―――はら!」
「どっから打ってやが―――てつおー!」
空中から飛来し続けるミサイルが着弾していく度に、プレイヤー達は奇声をあげながら吹き飛んで行く。
妙な事に、ミサイルの射出方向には目立った物はない。混乱が疑問に変貌を遂げていくプレイヤー達の耳に―――サイレンの音が鳴り響く。
―――ウゥゥゥーウゥゥゥー。
サイレンの音と共に、正面の風景が歪んでいく。
突如、巨大な城が姿を表していく―――禍々しい城が。
「げ、幻術か!?」
一人のプレイヤーがそう叫ぶ。城の周囲には、”六芒星”を描くかのように、六つのクリスタルが宙にふわふわ浮遊しているのが見えた。
幻術の効果を付与されたデータクリスタル。それもかなり強力な物だろう。間違いなくアーティファクト級だと確信を持って言えた。
”陰陽の六芒”に、恐らくはシリーズボーナスも追加されている。”二重の六芒”ではないだけマシだと思いたいが、現状看破できた者がいなかった以上、その言葉はなんの意味も持たない。
慌てふためくプレイヤー達の目の前に聳え立つ、巨大な禍々しい城。
その城の中から、二人のプレイヤーが軽い足取りで外に出てくる。
骸骨の魔法詠唱者とハーフエルフの戦士が。
禍々しい居城から―――”魔城 プロトガッデム”から。
エルデンリングDLC面白すぎワロタ。
どうもちひろです(ΦωΦ)
逆向を跳ねのけろ!!
ウロボロス編――開☆幕!
読んでくれてありがとうございます!
できるだけ早く投稿します!
それでは!シュバ!