あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~ 作:だいだろすちひろ
前回のあらすじ
敵対ギルド、ミサイルで吹き飛ばされる。
♦
城の内部の一室から、鉱山を奪いにワラワラと鉱山内に侵入してきた敵ギルドの集団を、リーネは優雅に見据える。
―――魔城 プロトガッデム―――
トブの大森林に拠点を構えようと考えたリーネが、この二年間、試行錯誤を繰り返し、ようやく少し形になってきた拠点像を反映させた、城型の拠点アイテムである。
”プロト”と名が付いている様に、これは試作品であり、プロトタイプという事だ。
ギルバートが素早く情報を伝えて来た事により、十日という大きな時間を確保できた事は幸運だった。敵ギルドに気づかれない様に、自らが集めていた隠蔽用の幻術アイテムを用いて、拠点アイテムの隠蔽をしながら、迎撃用の機材の設置や、傭兵モンスターの増量など、様々な準備を行っていく事ができた。
”情報は力だ”それを改めて理解していく。同時に、ギルバートの持つ力の大きさ―――情報のネットワークに舌を巻いていくと共に、感服していく。
ギルバート・リー、味方に付ければこれ程頼りになる存在は、恐らくこのユグドラシルにはいないだろう。
「ま、情報屋として、個人を感情で支援するのはどうかとは思うけどね。」
―――ピポパポパ。
独り言を呟きながら、素早い手つきで、城内部に設置されている機材のボタンを押していく。
今いる場所は、城の”中央操作室”と言われる部屋だ。
巨大なモニターが複数設置された広い部屋であり、そのモニターには、城の周囲の映像が鮮明に映し出されている。
機械音が鳴り響きながら、城に設置された迎撃用の大量の機材―――兵器が動き出し、侵入してきた敵ギルドの集団に照準を合わせていく。
―――そして。
「ガッデェェェム!!」
どこかのプロレスラーの様な言葉を叫びながら、ポチリとボタンを押していく。
兵器が火を噴き、低い音と共に、複数のミサイルが射出されて行く。目標は勿論、敵ギルドの集団である。
「弾ちゃ~く…いま!!」
着弾と共にけたたましい爆発音が鳴り響き、プレイヤーの集団が吹き飛び、宙を舞っていく。
ギャグマンガかよと叫びながら、腹を抱えながら笑うリーネが、吹き飛ぶプレイヤーの集団をモニター越しに鑑賞していく。
ひ~、ひ~、と笑いながらも、震える指でもう一度ボタンを押していく。
「はぁ…はぁ…やばこれ…目の前~には~♪ミサイルの雨~…ってか!」
再度ミサイルは射出されていき、プレイヤーの集団に着弾していく。
クラッシュ!プレイヤー達が吹き飛び宙を舞う。
フラッシュ!眩い光が炸裂していく。
吹き飛び宙を舞い続けるプレイヤー達を鑑賞していたリーネは、堪らず爆笑し、部屋の中を転げまわる。
ゴロゴロ転げまわり、最終的に腹を抱えて蹲っていった。しばし、ぷるぷると体を震わせていたが、笑ってばかりもいられないと、強靭な精神力で気持ちを抑え、立ち上がっていき―――
「ひ~…ひ~…ひ、ひ、ふ~…ふぅ、ちょっと落ち着いた。それじゃ皆、ヒール役の入場といくわよ!」
その言葉に―――
♦
魔城から姿を表した、骸骨の魔法詠唱者と、ハーフエルフの戦士。
今ではユグドラシルの代表的プレイヤーと言っても過言ではない、魔王モモンガと、その魔王の騎士アンティリーネだ。
プレイヤーの集団にざわめきが起きていく。ありえない事が起きているからだ。今自分達の目の前にいるのは、立ち入りを禁止された筈の二人であるのだから。
「あ、ありえねぇ…運営は確かに承諾した、効果発動の連絡も来た…なんでだ…なんでこの鉱山に入ってこれ―――」
「騒々しい、静かにせよ!」
敵のギルドマスターが吠える中、モモンガが右手を振り、威厳溢れる声で叫ぶ。
その振る舞いは正に魔王然としており、吠えていたギルドマスターだけに留まらず、その他のプレイヤーも口を閉じ、沈黙していく。
辺りが静かになったのを確認したモモンガがこくりと頷き、口を開いた。
「
優しく、言い聞かせるかのように紡がれた言葉を聞いたプレイヤーの集団に、またもやざわめきが起きていく。
それはこのゲームのプレイヤーならば、誰もが知っている常識である。そんな事はギルドマスターも分かってはいる、しかし、実際にそれが可能かと言われると、非常に難しいと言わざるを得ないだろう。
言葉の出ない敵のギルドマスターに向け、モモンガは自らの右手を見せつける。そして左手で見せつけた右手を叩いていった。
―――カーン、カーン。
金属音が鳴り響く。
その理由は、モモンガの両手に装備された手甲が打ち鳴らされたからだ。
モモンガの右手には、純白の美しい手甲が嵌められており、その純白の手甲を、左手に嵌められた黒く禍々しい手甲で二度叩く。
存在をアピールする為に―――これが
その様な行動を取った後でも敵ギルドからは反応がない。未だ言われた言葉の意味が理解できないのだろう、いや理解したくないのか。
沈黙し、固まる相手に対し、フフフと魔王然とした微笑を響かせた後に、モモンガはもう一度手甲―――”強欲と無欲”を打ち鳴らしていく。
ハッとした様に我に返るギルドマスターが口を開こうとするが、それよりも先に、リーネの言葉が相手に届いていく。
「そう言う事。うちを舐めないでよね。
そう言いながら、自らの腰を指さしていく。そこには大きな巻物が装備されているのが見えた。
「ありえねぇ…
ユグドラシルの究極の秘宝である、
狂った様に慟哭するギルドマスターをモモンガは見つめながら、心の中でほくそ笑む。
(二つじゃないんだなぁ~。うちは
チラリとモモンガは自らの腹部に目をやる。そこには、赤く発光を続ける球体が、あばらの骨に守られているかのように存在していた。
これはモモンガが常時装備する事を許された
”強欲と無欲” ”山河社稷図” ”モモンガ玉” そして、もう一つ。
現在この場には四つの
最凶のギルド、アインズ・ウール・ゴウンが誇る最高峰の五つの秘宝がこの場には四つ。最後の一つは”諸王の玉座”であり、こちらはギルド拠点から持ち出す事は出来ない。つまりは、持ち出せる分はすべて持ち出して来たという事だ。
非常に危険な行為だ。一歩間違えれば、全ての秘宝を失う事にもなりかねない程の。しかし、それでもこの鉱山を失う訳にはいかない。
死守したければ、リスクを取るしかないのだから。
「――~~~!アインズ・ウール・ゴウン…ここまでか…ここまでのギルドだったか…しかしなぜだ、なぜお前達は襲撃の事を知っている…なぜ情報が漏れた…なぜ知っている。」
焦り吠え散らかすギルドマスターを一瞥したモモンガが、はぁと言う溜息と共に、おどける様にして首を振り、両手を浮かしていく。
そして敵の集団を指さし、誰かを探すかのように、人差し指を動かしていった。
「う~ん…
「はっ!あの者のギルドはとても素晴らしく…愚かなギルドだと思います。」
くつくつとモモンガは笑う。本当に楽しいと言わんばかりに。
その振る舞いと、突きつけられた衝撃的な内容に、敵のプレイヤー集団に波紋が広がっていく。
俺じゃない。
お前か。
お前じゃないのか。
前からお前は怪しかったんだ。
疑念が渦を巻き、敵の集団を侵食していく。
モモンガは、くつくつ笑いながら、その光景を見つめる。
(ま、嘘なんだけどね。本当の事言う訳ないだろ、馬鹿か?疑心暗鬼に陥りやがれ。)
敵の集団が疑心暗鬼に陥り、混乱していく。ギルドマスターもその内の一人だ。激しく取り乱し、仲間に詰め寄っている。
その光景を見つめながら、モモンガは心の中で、敵のギルドマスターに言葉を投げつけていった。
(ははは…どうだ、凄いだろ。俺はな―――)
―――演技が上手いんだ。
♦
「誰だ!誰が裏切った!?どれだけの報酬を貰った!出てこい!」
哀れだ。モモンガはそう思う。仮に自分が相手の立場であったなら、あのように取り乱したりはしない。
同じ状況下に置かれたとしても、自分は
仮に本当に裏切られていたとしても、自分は仲間を恨まない。それは、自分が裏切られるだけの存在であったからなのだから。それだけの魅力しかないギルドマスターだった、只それだけの事。全ては自分の所為だ、笑って許せる。
「もういい…お喋りはここまでだ。」
モモンガが取り乱す敵ギルドの集団にそう告げ、右手を振りかざいした。
タクトが振られて行き―――全ての傭兵モンスター達が、群がるかのようにして、敵ギルドの集団に突撃を開始する。
超希少金属鉱山を掛けたギルド戦争が幕を開けていく。
群がるかのように突き進む、数百にも及ぶ傭兵モンスター達、その全てが八十LVを超えている。
対する敵ギルドのプレイヤー達、その数は五十人、そしてLVは全員がカンストしており、百LVである。
数と質の戦争が幕を開けていく。
その光景を優雅に眺めていたモモンガが、右手を天高く突き上げる。
純白の手甲―――”無欲”が燃える太陽の光に照らされ、美しく輝いていた。
「あぁ~、勿体ないなぁ~…頑張って貯めたのに。」
そう呟いたモモンガの周囲に、巨大な魔方陣が出現していく。展開された魔方陣に気づいた敵のプレイヤー達が、モモンガに攻撃を加えようとしていくが、それは叶わない。悍ましい程の量の傭兵モンスター達に邪魔されていく。
「魔王様、お使い下さい。」
片膝を付き、リーネがモモンガに一つのアイテムを差し出していく。”砂時計”の様なアイテムだ。
うむ、と一つ頷いたモモンガがその砂時計を手に取り―――砕く。
その瞬間、魔方陣の光が最高潮に高まっていく。超位魔法の発動可能域に達した事を確認したモモンガが―――魔法を発動させていった。
「”
その言葉と共に、超位魔法<
この魔法は、経験値を使用―――つまりはLVダウンと言うデメリットを経て、願いと言う名の強力な効果を齎していく。
最大減少値の五LVダウンにより、モモンガのモニターには二百を優に超える選択肢が表示されていく。
その内の一つ―――
身構える敵ギルドの集団―――が、特になにも起きはしない。
混乱していく敵ギルドの集団に―――妙な音楽が聞こえて来た。
##ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリィ~♪##
―――ズシン、ズシン。
妙な音楽に合わせるかのように、鈍い音―――足音の様な物が聞こえてくる。
##ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリィ~♪##
―――ズシン、ズシン。
音楽は途絶えない。しかし、足音は大きくなっていく。
##ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリィ~♪##
―――ズシン、ズシン。
音楽と共に響いていた足音がすぐそこまで迫ってくると同時に、その足音の正体が目に見えてくる。
##ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリィ~♪いらっしゃいませぇ~、いらっしゃいませぇ~♪##
最早妙な音など気にもならない。敵ギルドのプレイヤー達は驚愕に彩られ、絶望していく。
鈍い音と共に姿を表したのは、身の丈三十メートルはあるだろう、巨大な存在―――”戦略級攻城用ゴーレム”と呼ばれる兵器が現れた。
ナザリック風に言えば”ガルガンチュア”と呼ばれる存在だ。
それが―――五体。
このゴーレムは、基本的にギルド拠点襲撃の際にしか使用する事は出来はしない。余りにも強力過ぎるからだ。
しかしながら、抜け道もあるのだ。
一区域と言う狭い空間ではあるが、今はそれで十分だ。鉱山を防衛できればいいのだから。このゴーレムは非常に強力だ、一対一なら、カンストプレイヤーが
ワールド・チャンピオンならばその限りではないが、逆を言えば、ワールド・チャンピオンでしか対処は出来ないという事。五LVダウンと言うデメリットを持ってしても、決まった区域で七十二時間しか使用できない事からも、この兵器の強力さが伺えるだろう。
##ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリィ~♪ありがとうございましたぁ~♪##
音楽は終わりを迎えていく。
五体の戦略級攻城用ゴーレムが敵ギルドの集団の前に立ち並び、その内の一体―――真ん中に立つゴーレムの頭の上には一人のプレイヤーの姿があった。
ハットを被った、人間種のプレイヤーだ。顔は仮面で隠されており見えない。その人物が妙な行動を取っていく。
「ぐ~るぐるぐる、ぐ~るぐるぐる―――」
い~と~巻き巻きの要領で両手をぐるぐるリズミカルに回していく。それと同時に、ゴーレムも同じ行動を取っていく。
行動を伝達しているのだ、ゴーレムに。つまりは、このハット仮面が、このゴーレムの所持者という事だ。
五体のゴーレムがぐるぐる手を回していく。
「ぶ~るぶるぶる、ぶ~るぶるぶる―――」
お次は右手を天高く突き上げる。右手がぶるぶる震えている。ゴーレム達の右手も一緒に―――一体何をしているのだと敵ギルドの集団が思った時。
「―――どぉぉぉん!」
右手が叩きつけられていく―――五体のゴーレムの右手が。
唖然とし棒立ちに近い状態だった敵ギルドの集団を、ゴーレム達の右手が吹き飛ばしていく。
「やったれや!ボケェェェ!!」
ハット仮面が左手を顎に乗せ、右手人差し指で敵ギルド集団を指さす。その謎のポーズを皮切りに五体のゴーレム達が大暴れしだした。行動の伝達は遮断された様だ。AIの行動に基づき、ゴーレム達は敵の排除にかかる。
「ありえねぇ!!まだ
その叫びが聞こえたのだろうか、ハット仮面は声の主であるギルドマスターに向け、チッチッチッと馬鹿にするかの様に指を振っていく。
「俺はぁぁぁ!持っとらぁぁぁん!」
「はぁ!?どういうこ―――」
「俺はぁぁぁ!アインズ・ウール・ゴウンやなぁぁぁい!」
その言葉を聞き、ギルドマスターは全てを理解していく。
現状この鉱山には、アインズ・ウール・ゴウンのメンバーは立ち入れない。つまり、逆を言えば、それ以外のプレイヤーは立ち入る事ができるのだ。
この謎の人物は自分達と同様のその他のプレイヤーと言う事だ。しかし解せない、なぜアインズ・ウール・ゴウンに肩入れをする、奴らは百害あって一利なし、庇う道理など有りはしないだろうと。
「そんな悪党どもをなんで庇う!?意味が分からん!」
「やかましぃぃぃ!悪党はお前らの方やろ!どうせアインズ・ウール・ゴウンを退けてもお前らが独占するだけや!俺を舐めるなぁぁぁ!お見通しやでそんなん!それにな、俺は只―――友達守っとるだけやでぇぇぇ!」
チッと一つ舌を打つ。どうやらこの男、ふざけてはいるが、おつむの方は悪くはない様だ。
こちらに引き込もうとしたが、どうやら無理な様だと、ギルドマスターが頭を悩ませていた時。
##しゃらら~ら♪しゃららら~ら♪しゃらら~らしゃららら~ら♪##
またもや妙な音が鉱山に鳴り響く。
そして鉱山の頭上―――空が歪み、何かが空間転移を行ってきた。
##しゃららら~ら♪しゃららら~ら♪##
巨大な物体が、ゆっくりと空に展開された大型の
その大きさは異常だ、戦略級攻城用ゴーレムよりも遥かに大きい。
五十メートルはあるだろう巨大なずんぐりむっくりした黒い物体が、空に展開された
手もある、足もある、しかし短い。そんなマスコットの様な物体が、何やらゴツゴツとした鎧を着こんで
##しゃらら~ら♪しゃららら~ら♪日曜日よりの使者~♪##
―――ズシン。
鈍い音と共に、そのずんぐりむっくりした黒い物体は地上にその短い足を付けていく。それと同時に音楽は止まり、辺りに静寂が襲う。
―――ごくり。
敵ギルドのプレイヤーが一つ息を飲む。汗が出るのであれば噴き出しているだろう。
余りにも規格外。こんなものがこのユグドラシルに存在する―――いや、作成できるなど誰が思うだろうか。
どれ程の資源を詰め込めば、これ程の存在―――兵器を作り出す事ができると言うのか。
敵ギルドの集団の心が恐怖で埋め尽くされて行くと同時に、聞こえてくる―――奴の声が。
「ゲッゲッゲェ~。」
真っ黒なずんぐりしたプレイヤー、”ゴースト”と言う異形種のプレイヤーが巨大兵器の肩に乗っかっているのが見えてくる。
その姿、その風貌は、正に今現れた兵器と一緒だ。
「ヒール役は大変だな…なぁ、
巨大兵器の上で、その人物―――ゲンガーが、親友に語り掛けていく。
イカした入場曲と共に姿を表したのは、悪役プロレスラー、ゲンガー・ゾンボルト。
ゲンガーの動きに合わせて、その兵器は同じ行動を取っていく。
規格外の巨大な兵器―――その兵器の名は。
―――超大型人型決戦兵器―――
―――<
ワールドアイテム複数持ってる三千級拠点に匹敵するギルドって反則だと思います。
どうもちひろです(ΦωΦ)
ワールドアイテム使われたらワールドアイテムで対抗するしかないよねってな感じです。
実際傭兵モンスターってこの場合どう言う位置づけになるんでしょうね、ギルドメンバーではないからセーフなのか、所属はアインズ・ウール・ゴウンだからアウトなのか…。
この作品では前者で行かせてもらっています。
そしてリーネのお友達の出番です。
この二人はこのエピソードの為に考えたと言っても過言ではありません。
急に夏がやってきましたね、皆様熱中症にはお気を付けて!
それでは!シュバ!