あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~ 作:だいだろすちひろ
前回のあらすじ
ダイゲンガー降☆臨!
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”超大型人型決戦兵器 ダイゲンガー”
リーネがギルド会議で、ギルメン達を説き伏せていくのに最も苦労したのが、このダイゲンガーの件だ。
四日や五日程度ならば、それ程苦労も無いのだが、今回の鉱山の襲撃は一か月もの長期間行われていくだろう。
その様な長い期間、いかに籠城戦と言えども、数人程度では防衛は厳しい。守り切る為には規格外な物が必要、それはプレイヤーではなく―――兵器だ。ちょっとやそっとでは収まらない程の強力な兵器が必要になってくる。
テラには戦略級攻城用ゴーレムを買い与えた。無論、その費用はアインズ・ウール・ゴウン持ちである。それは当然の事だ、リスクを承知で強力して貰っているのだから。
しかし、それだけではまだ足りない、もっと強力な兵器が必要になってくる。
だからこその、ダイゲンガー。
数か月前にあった、超大型アップデート
―――<ヴァルキュリアの失墜>―――
このアップデートによって、機械や近代兵器だけに留まらず、SFチックな起動兵器の作成まで可能となったのである。
起動兵器の骨組みに使用される特殊な外装があり、それは繋げて行けば繋げて行くほどに、大きな兵器が作成できる。
難点はその特殊な外装が”課金アイテム”であると言う点なのであるが、逆を言えば、課金すれば課金する程に、大きな兵器が作成できるという事に他ならない。
ならば大量のリアルマネーをぶち込み、とんでもない兵器を生み出せば良いのではと思うだろうが、事はそれ程単純な物でもない。
作成できるのは骨組み―――外装だけであって、その外装に組み込む、金属やデータクリスタル、素材は自分達で集めて行かなければならないからだ。
外装が大きく成ればなる程に、組み込まなければならない素材は増えていく。外装の最大容量まで組み込めないのであれば、それは只の見掛け倒し、木偶の棒と一緒だ。
簡単には最強の兵器を作り出せない当たりがこのゲームの良い所だ。
巨大な骨組みを組み立てれば組み立てる程に、要求される素材は増えていく、そんな素材、普通のプレイヤーや、クラン、ギルドでは用意する事は不可能だろう。
では逆に―――普通でないギルドならどうだろうか。
様々な悪事を働き、集めて来たギルド資産を持つ、アインズ・ウール・ゴウンならば、先に言った条件を満たす事ができるのではないか。
それは―――Yesだ。
高額の課金――リーネのお金――で作成されたこの超大型の骨組みに、アインズ・ウール・ゴウンと言う大ギルドの持つ財力が投入されて行った。
ボディに使われている金属は、全てが七色鉱であり、部位ごとに規則的に七色鉱を繋げていく事によって、複数のボーナスを付与され、更に強力なボディを得るに至った。
そのボディを、最高級のアイテムで魔化していき、様々な効果が付与されたデータクリスタルを組み込んでいく。
そして極めつけは―――
ダイゲンガーの胸には小さく光る真っ赤な石が組み込まれている。
この石は
大量の七色鉱を一か所に集める事を条件に、この
――最高級の金属――
――最高級のデータクリスタル――
――最高級のクラフト工房――
――最高級のクラフター――
そして―――
考えられる全てを凝縮していったかの様な、究極の決戦兵器が誕生した瞬間だった。
そのスペックは正に桁が違う。
一対一と言う条件であるならば、恐らくは、ユグドラシルで勝てる者はいないだろう。
ワールドチャンピオンすらも凌ぎ、
破壊するには、ワールド・チャンピオンが二人必要とさえ言われる超兵器。
それに伴い、ギルドの資産は大打撃を受けた。
しかしながら、この作成の件だけで言うならば、ギルメン達もそれほど渋い顔をしなかった。
これほどの兵器だ、持っていて損はない。いっそこの際だから作成しようかと、ギルド会議は沸き上がったほどだ。
リーネが説き伏せなければならなかった件は、譲渡の件だ。
つまりは、この究極の兵器を、ゲンガー・ゾンボルトと言う個人のプレイヤーに譲渡しようと言う意見。
反対は必須であり、会議は難題を極めていった。しかしながら、リーネも引く気はなかった。
ゲンガーは友達だ、親友と言ってもいい程の。そんな親友を、リスクの高い作戦に関わらせるのに、なんの報酬も無しとはいかない。
この作戦には、いつでも気軽に鉱山に入り込む事ができるプレイヤーが求められていく。
その他のプレイヤーの強力は必須だった。だからこその、リーネの友達である”テラ”と”ゲンガー”である。
ゲンガーには”ダイゲンガー”を、テラには戦略級攻城用ゴーレムを報酬として譲り渡す、これが二人を協力させる際の条件だとギルド会議で提案をしていく。労働には対価が必要だ、それは世の理であり、社会人で構成されているギルメン達ならば理解できるだろう。
この鉱山を防衛する事が出来たならば、その恩恵は計り知れない。時間はかかるだろうが、ダイゲンガー作成の件の分の減ったリソースなど回復する事は容易い。
ダイゲンガーを譲渡できないのであれば、ゲンガーとテラの協力は無しだと強く言い放ったリーネに、ギルメン達はついに折れる。
そして―――作成は決行された。
アインズ・ウール・ゴウンだからこそ作成できる、究極の決戦兵器が誕生していった。
♦
ダイゲンガーの肩に立ちすくむゲンガーが悠々と辺りを見渡す。最高に熱い登場をキメてやった、感情が昂ってくる。
「ゲッゲッゲ…待ちくたびれたぜ。待ちすぎて首が痛くなっちまった。」
首ねぇだろうがお前!ギルドマスターはそう叫びそうになったが、何とかその言葉を飲み込んでいく。その瞬間にヒュウ~と言う風が吹くエフェクトが鉱山に起きた。
風も言っているのだ―――お前首無いだろと。
そのエフェクトを受けて、ゲンガーは親指で、自らの鼻を、へっと言う風に擦っていく。
鼻も無いだろとギルドマスターが思っていると。
「…前髪が…うぜぇ。」
「髪ねぇだろうがお前ぇぇぇ!!」
堪らずギルドマスターが叫ぶ。下手に刺激はしたくは無かったのだが、今のは流石にあんまりだろう。
突っ込み所の多すぎる人物をギルドマスターは睨みつけていく。
「ゲッゲッゲ!良いツッコミだな、漫才師になれるぜお前。だけどな、今からすんのは漫才じゃねぇんだ…。」
「―――チッ!」
「今からやんのはなぁ…プロレスなんだからよぉ!」
「―――はぁ?」
ギルドマスターの間の抜けた声と共に、ダイゲンガーが動き出した。
「おい…。」
ダイゲンガーが背に持つ”巨大な剣”に手をかけていく。
「おい…おい…。」
ダイゲンガーがその剣を天高く突き上げていく。
「おいぃぃぃ!!?」
そして―――上段から振り下ろしていった。
「プロレスじゃねぇのかよぉぉぉ!!?」
肉弾戦を想定していたギルドマスターは不意を突かれ、吹き飛ばされて行った。
他のプレイヤー達も一緒だ、その手に持つ、巨大な剣に斬りつけられ、盛大に吹き飛んで行く。
――”真・斬艦刀”――
そう名付けられた剣の全長は、ダイゲンガーよりも長い。
ダイゲンガーの1.2倍はありそうな所をみれば、恐らくは六十㍍にはなるだろう。この剣の作成に使われているのは七色鉱のみであり、レアリティは堂々の
敵ギルドの集団に、常軌を逸した質量が襲い掛かっていく。振り下ろされ、薙ぎ払われる剣に巻き込まれ、集団は一たまりもなく吹き飛んで行く。
しかし、それでも敵ギルドの集団もやられっぱなしではない、弱点はある筈だと考え、密集した状態から散開し各々行動に移していく。ダイゲンガーは大きすぎる、小回りが利かないと言う弱点を突き、敵ギルドの数人のプレイヤー達が背後に回り込み、その身体を斬りつけていった。
―――固い。
恐ろしい程の硬度を持つボディに戦慄しながらも、プレイヤー達は攻撃の手は緩めはしない。
少しでもダメージを蓄積させようと、スキルも用いて攻撃を続けていく―――が、プレイヤー達の目に飛び込んできたのは、信じられない光景。
無慈悲で、残酷な現実が、遠慮なく叩きつけられて行った。
ダイゲンガーの胸に埋め込まれている
これこそが、ダイゲンガーの持つ特殊な能力の一つである”自動回復能力”だ。
膨大なHPに、頑強な装甲、それに加え、自動回復能力までもが備わっている。
ダイゲンガーを破壊するには、生半可な攻撃をいくら叩きこんでも意味はない、ダイゲンガーの自動回復能力の速度を上回る程の、強力な攻撃と手数が必要になってくる。
破壊にはワールド・チャンピオンが二人必要と言われる所以はそこにある。究極のスキルである
ワールド・ディザスターでは駄目なのかと聞かれれば、それは不可能だと答えが返って来るだろう。ダイゲンガーは強力な魔法耐性を持っており、魔法では碌にダメージを与えていく事が出来ない。
物理でなくてはほぼ破壊するのは不可能な上に、その物理ですら、最強クラスの攻撃を叩きこみ続けなければならない。
伊達に究極の決戦兵器などと呼ばれてはいないと言う事だ。
絶望していく敵ギルドのプレイヤー達を見下ろしたゲンガーが、ゲッゲッゲと笑う。
そして新たな能力を発動させていく。
「あ、やば…総員退避~。」
ある事に気づいたリーネは、戦闘させていた全ての傭兵モンスター達に命令を下し、魔城へと収納していく。そのついでに、自らも傭兵モンスター達と共に魔城へと入って行く。それと同時に、ダイゲンガーの足元に、魔方陣のエフェクトが展開されていく。超位魔法と同じエフェクトだ。
その魔方陣が展開された瞬間―――空中に浮かび上がっていく。
物理でしか破壊できない兵器が、飛行能力を有していると言う事実に、絶望はより深まっていく。
ダイゲンガーは空高く浮かび上がっていく。凄まじい速度だ、それに咥え、空中で見事な旋回までお披露目してくる。
機動力もまた―――化け物クラス。
空中に陣取ったダイゲンガーが、両手を広げていく。
その瞬間、胸に埋め込まれた
「ゲッゲッゲー!一発凄いのかましてやるぜぇ―――あっ!
胸で光輝いた
―――チュン。
解き放たれた光はレーザーの様に一直線に空に伸びていき、そして―――弾けた。
ダイゲンガーの持つ、複数の特殊能力の最後の一つである”ゲンガーブラスター”。
二十四時間に一度しか使えない、切り札とも呼べる特殊能力だ。これこそが、ダイゲンガーにとって、数が無意味となる最大の理由である。
解き放たれた熱量はレーザーの様に射出され、空中で弾けていき、そして―――降り注いでいく。
高熱量のレーザーの雨が大地に降り注いだ。
―――ジュッ。
直撃を食らったプレイヤーが一瞬で蒸発していく、カンストプレイヤーがだ。
一人、二人、三人と、敵ギルドのプレイヤーがレーザーの直撃で消滅していく。そんな中、消滅しないプレイヤーも散見された。それは、炎に対する完全耐性を確保してきたプレイヤー達だ。このレーザーは炎の属性ダメージが付与されている、しかしながら、そんなプレイヤー達でも、瀕死のダメージを負っている様だ。このレーザーには炎の属性ダメージだけではなく、物理ダメージも一緒に入っている、ダメージの大半は炎属性でありアイテムで対策はできるのであるが、物理ダメージ一つとってもこの威力―――前衛職のカンストプレイヤーを一撃で瀕死に追い込む程だ。
ゲンガーブラスターにより、敵ギルドの半分以上が瞬時に消滅していった。残った敵ギルドのプレイヤー達も、そのHPは残り少ない。
ダイゲンガーにとって、数は利にならない。むしろ好都合なのだ、一網打尽にしていく為に。
リーネが傭兵モンスター達を魔城に避難させていったのは、このレーザーに傭兵モンスター達を巻き込ませない為だ。ここにいるメンバーはフレンド登録を既に済ましている為に、フレンドリィ・ファイアで守られているが、傭兵モンスター達はその限りではない。
リーネが魔城の内部に入った事により、魔城にもフレンドリィ・ファイアが適応されて行った。あそこで傭兵モンスター達を避難させなければ、数百と言う高LVモンスター達が一瞬で塵に消えてしまう所であった。そんな光景を目撃してしまえば、リーネは失神してしまうだろう。
盛大に必殺技をぶちかましていったゲンガーが得意げにゲッゲッゲと笑っている。
―――すると。
「おぉぉぉい!やるなら言ってやぁぁぁ!こっちは盛大に食らってったでー!」
「おぉ、すまねぇな、テラの字。」
急に大技をぶちかましてきたゲンガーにテラが大声で文句を言っている。こんな早いタイミングでこのスキルを発動させるなど打ち合わせには無かった、テンションに身を任せ暴走するゲンガーに文句をいいながらテラがゴーレムの上で飛び跳ねている。
そんなテラであるが、フレンドリィ・ファイアのお陰で無傷だ、ダメージは入ってはいない。ならばなぜこんなに怒っているのかと言うと、ダメージを食らったのはテラではなく―――ゴーレム達だ。
ゴーレム達の体にはダメージ痕が見える。テラが言うには、HPの三分のニを持っていかれた様だ。打ち合わせ通りなら自分達が巻き込まれる筈はなかった為にこのゴーレム達には炎の耐性を付与してきてはいない、大ダメージも良い所だ。
しかしながら、耐性を付与してはいなくとも、戦略級攻城用ゴーレムのHPと耐久力はずば抜けている、無論、ダイゲンガー程ではないが、それでも相当なものだ、そのゴーレム達のHPを三分のニ程刈り取っていったと言う事実が、ゲンガーブラスターの威力がいかに高いかと言う証明になっていく。カンストプレイヤーが一撃で消滅するのも頷けるという物だ。
テラがゲンガーに大声で文句を言っているのをギルドマスターは見つめながら、ある思いが飛来してくる。
不味い―――不味すぎる。
最早あんな物をどうにかできる筈もない。既に半数以上の仲間が消滅した、残りの仲間も、自分も、残りのHPは少ない。いや、仮に全快であったとしても、そんな物はなんの意味も持たないだろう。
そう思った時、口から出る言葉は思いのほか早かった。
「撤退だ!撤退しろ!」
ギルドマスターは撤退を宣言していく。勝つとか勝たないとか、鉱山を奪えるとか奪えないとか、もうそんな次元ではない。
このままでは壊滅する、一度拠点に戻り、作戦を練り直す必要があるだろう。取りあえずは、あの化け物をどうにかしなければならない。
最悪の場合、
―――チュドン。
「…は?」
眩い閃光が走り抜け―――残った仲間の半分が、瞬時に消滅して行った。
ミケラダーン強すぎワロエナイ\(^o^)/
どうもちひろです(ΦωΦ)
究極の決戦兵器投入!
100レベル?ゴッズ装備?なにそれ美味しいの?くらいにやばいです。
アインズ・ウール・ゴウンのギルメン達が本気で作った兵器ですからね。
次回ウロボロス編決着!
それでは!シュバ!