あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~   作:だいだろすちひろ

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 前回のあらすじ

 ダルクニキ、ああ言えばこう言う。


カッツェ平野の大冒険

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 ―――カシャン、カシャン、カシャン。

 

 深い霧が立ち込める中、金属音が鳴り響く。この音は金属が擦れていく音だろうか。その音は規則正しく鳴り響く。

 

 ―――カシャン、カシャン、カシャン。

 

 金属音は鳴りやまない。それどころか、先程よりも多く感じられる。音の発生源が増えたかのように。

 

 「居たぞ!」

 

 金属音に混じり、声が聞こえて来た。男性の声だ。非常に野太く、厳つい声に聞こえる。

 

 「気を付けろ!魔法が飛んでくるぞ!」

 

 次に聞こえてきたのは高い声だ。この様な叫び声でなければ、非常に優しい声に聞こえる様な、そんな声。

 

 「隊長!逃げてますよ!」

 

 「あり得るか!あれは逃げているのではない、魔力を回復させているのだ!今が好機!畳みかけろ!」

 

 ―――カシャン、カシャン、カシャン。

 

 多くの金属音が、その言葉の後に鳴り響く。金属音は移動を続ける。

 

 深い、深い霧の中で、逃げまどう存在を追い駆けていく。

 

 その逃げまどっていた存在が、ピタリと止まっていく。

 

 その存在の目の前には、大きな岩が見える。これ以上進む事が出来ないのであろう。

 

 それを見て、野太い声の主が、にやりと笑った。

 

 「追い詰めたぞ…手柄は我ら、第三軍隊がいただく!分隊、とつげ―――」

 

 ―――ドス。

 

 野太い声の主が、糸の切れた人形の様に地面に倒れ込む。

 

 喉には光る矢が突き刺さっているのが確認できた。

 

 その光る矢が―――瞬時に消え去っていく。

 

 魔法の矢が消えていく―――命だけを奪って。

 

 そして響く、深い深い霧の中に、悍ましい声が。

 

 「なぜ追いかける…なぜ殺そうとする…儂が何をした…儂は只―――」

 

 言葉は紡がれる、悍ましい声が響き渡る。

 

 ―――魔法の深淵を求めているだけなんじゃ。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 「ふんがぁぁぁ!!」

 

 オラサーダルクと言い合いをしたリーネが、怒りを解消する為に大声で叫ぶ。その両手はワナワナと震えていた。

 

 ここは”バハルス帝国”の首都、”帝都アーウィンタール”。

 

 口喧嘩に盛大に負け、腹を立ててアゼルリシア山脈を後にしたリーネであるが、今日の予定は一日オラサーダルクの魔法の特訓に付き合うつもりであった。

 

 簡単に言うと暇になってしまったのだ。

 

 屋敷に戻ってもいいが、折角の休日だ、日がな一日家にいるなど、このアクティブな娘ができる筈もない。

 

 なので、折角暇が出来たのだから、兼ねてより来てみたかった帝都に遊びに来ている。

 

 ふーふーと、息を整えていく。怒りも少し治まって来たようだと、自らの頭をポリポリ掻いていく。

 

 すると、真っ赤なポニーテールがなびいていく。

 

 それと同時に、長い耳もピクリと動いた。

 

 「ふぅ…まぁいいわ。あの馬鹿の事は忘れよう。今の私はアンティリーネじゃない、今の私は、ジャンバラヤをこよなく愛す女”アサギリ”!」

 

 キランと白い歯が光るかのようなポーズをキメ、そう独り言を呟く。

 

 この変装をするのは久しぶりだ。昔はよく、”サキュちゃん”の居る、”あいつぶっ殺し亭”に通い、この変装でジャンバラヤを食べていたものだが。

 

 久しぶりに行こうか、ななどと考えながら帝都の道を観光がてら一人歩く。

 

 (う~ん…なぁ~んか、さびれてるよね~。)

 

 期待に胸を膨らまし、意気揚々と帝都に来たのは良いのだが、なんというか、余り活気が無い。道も余り舗装されてはおらず、靴が土で汚れてしまう有様だ。

 

 これがバハルス帝国と言う大国家の首都なのかと思うと、なにやらがっくしきてしまう。

 

 (なによこれぇ~、()()()()()()()()()わよ。) 

 

 当たり前だ。バハルス帝国がいかに大きな国家と言えども法国には敵わない。

 

 周辺国家随一の大国家の、それも首都に住む都会人のリーネにとっては、法都が基準になってしまっている。

 

 リーネはまだ知らない。あれ以上は周辺国家に存在はしないという事を。

 

 期待し過ぎた自分が悪いのであるが、それでもがっくしきてしまう。それでも、何か面白い物は無いかと、周囲を散策していると―――ある事に気づいていく。

 

 (なぁ~んか、やけにジロジロ見てくるわね。)

 

 気づいたのは周囲の―――帝都の住民達の視線だ。

 

 驚いている様な住民もいれば、なにやら、眉を顰めている様な住民さえいる。

 

 エルフがそんなに珍しいのかとも思うが、考えても答えは出なかった。取りあえずは余りジロジロ見られるのも嫌なので、どこかその辺のお店に退避しようと思い、周囲を見渡す。

 

 すると、目に入ってきたのは、飯所だ、酒場と言う字も見えるが、どちらにしろ食事をとる場所だろう。

 

 ―――ぎゅるる。

 

 その文字を見た途端、急にお腹が減ってきた、そう言えば朝から何も食べていなかったのを思い出したリーネが、休憩がてら、食事でも取ろうと、お店の中に入って行った。

 

 掛けられた眼鏡を―――見通す眼鏡をくいっと一度上げながら。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 ガヤガヤと沢山の人間の声が聞こえてくる。思っていたより客がいる様だ、理由を少し考えて、気づく。現在はお昼時、客が多くて当然だと思いながら、空いた席をキョロキョロと探していく。

 

 (うわぁ~、どこも空いてないな。)

 

 空席を探すが、どこも空いてはいない。店を変えようかと心の中で思うが、腹の虫がなり続ける。店の中の美味しそうないい匂いを嗅いだ所為で、空腹は加速している。別の店に行く時間を考えれば、席が空くのを待った方が良いかと考えていた時、ちょうど目の前で空席が出来ていく。

 

 空いたのはカウンターテーブルだ。店の店主が、カウンターに座った丸坊主の男性と談笑しながら、見事なフライパン捌きを披露している。

 

 相席の様な形にはなってしまうが、背に腹は代えられない。我慢の限界に達しつつあった食いしん坊が、スッと空席に座っていく。

 

 「へい、お客さん何にす―――エルフ?」

 

 料理を作っていた店の店主が、一瞬だが戸惑っていく。そして、一瞬と言った様に、即座に対応を戻し、注文を聞き直してきた。流石はプロと言った所か。

 

 「ふ…おやっさん、ジャンバラヤを一つ貰おうか。」

 

 「あぁ?じゃんばらや?なんだそりゃ、そんな料理うちにはないですよ。」

 

 「…ですよねぇ~。」

 

 ここはユグドラシル―――日本ではない、ジャンバラヤなどある筈もなく、しぶしぶ、パンとシチューのセットを注文した。

 

 目の前では、店の店主がその腕を見事に振るっていく。ゲームではなく、現実のリアリティに感動しているリーネに、店主が喋り掛けてくる。

 

 「しかしお客さん、エルフだろ?よく()()()()()な。」

 

 ―――ドキ。

 

 店主の言葉に心臓が一つ跳ね上がった。

 

 「ま…まぁね…余裕っしょ…。」

 

 そんな訳がない。検問など通過していないリーネは適当な事を言ってごまかしていく。帝都に入ったのも、アイテムで時間停止(タイムストップ)を発動させて、そのまま通り過ぎて来たからだ。

 

 税金など払ってはいない。不法入国も良い所だ。

 

 「そうなのか?それでも、随分吹っ掛けられただろ。足税いくら払ったんだ?」

 

 エルフって吹っ掛けられるの?そう思い焦りが出てくる。悪い事をした上に、適当な嘘をばらまいたツケが今、回ってこようとしている。

 

 検問の値段など知らない。なぜなら通っていないからだ。

 

 「…き、金貨一枚くらい?」

 

 「はぁ!?吹っ掛けられすぎだろ!」

 

 そうなの?またまた適当な事を言った事により、店主が慌てだす。嘘に嘘を塗り固めていく始末である。なんだか、どんどん墓穴を掘っている様な気さえする。

 

 「最近風当たりの強いエルフとはいえ、足税に金貨一枚たぁ…帝国も落ちぶれたもんだねぇ。」

 

 風当たりが強い?また何やら妙な事を言いだした。気になる、凄く気になる。しかし、聞いて良い物か、結果的にその所為でまた嘘を付かなくてはならない様になる気がする。何やら地雷原でタップダンスでも踊っている様な気分になっていると、店主は自分から、内容を語り出した。

 

 「法国がエルフの国と戦争始めた所為で、あんたらエルフも大変だろ?終いには周辺国に圧力まで掛けていく始末だ…皆が皆悪いエルフじゃないだろうに。」

 

 なる程と、先程までの色々な違和感の答えが頭の中で出ていく。だからあれ程ジロジロと嫌な視線を送られていたのか。法国が圧力をかけている以上、都市にすら入れたくない。それが過剰な通行税の正体なのだろう。

 

 まぁ、払ってないんだけどね。

 

 「こんな時期に大変だな。エイヴァーシャー大森林から来たのか?」

 

 ほらきたよ、嘘つきタイムだ!エイヴァーシャー大森林ってどこだ、こっちはトブの大森林しか知らないんだよ!そう言えればどれだけ良いだろうか。はいと言うべきか、いいえと言うべきか非常に迷う。はいと言えば完璧に嘘になっていく。しかし、いいえと言えば、実際には自分は法国から来ているのだから嘘にはならないだろう。

 

 これ以上嘘を言えば、追及された時の逃げ道が無くなりそうだと、本当ではないけど嘘でもない、いいえを答えていく。

 

 「い、いやぁ…そこじゃないなぁ。」

 

 「へぇ、そうなのか?じゃあどこから来たんだ?」

 

 追求してくんな!そう叫びそうになったのを頑張って堪えていく。不味い、これは非常に不味い、法国なんて言える筈もなく、じゃあどこから来たかと考えた時、どこも思い浮かばない。いや、仮に思い浮かんだとしてもそれを言うのは悪手だと思えた。更に追及されれば、返す言葉が無い。

 

 ぼろがぼろぼろ出そうだ。

 

 冷汗をばんばん掻きながらもリーネの出した答えは。

 

 「…ここではない…どこかかしら。」

 

 とんでもなく曖昧な回答だった。

 

 「なんだそりゃ?大陸のもっと先ってことか?」

 

 そりゃ、なんだそりゃになるよね!考えた自分ですら、なんだそりゃと思うのだ、店主がそう言っても無理はないだろう。

 

 追及は終わらない、それどころか、答えなければいけない事がどんどん難解になっていく気さえする。

 

 足りない頭を必死に回転させる。何かいい答えはない物か、そう考えた時、ピーンっと閃きが起きていく、これしかない。これが無理ならもう無理だ。

 

 「…長く生きて来たから…忘れたわ。」

 

 エルフの特権、長寿を生かし、なんかもう遠い昔だから忘れた作戦を実行していく。

 

 「はぁ…若く見えるけどなぁ、エルフってのはすげぇもんだ。忘れるぐらい色々行ってるって事か?旅人なのか?」

 

 「え?…あ、あぁ…まぁ…さすらいの…?ふ、風来坊…?だし。」

 

 「へぇ、なんかすげぇな。」

 

 ―――ジャ、ジャ、ジャ。

 

 見事なフライパン捌きから、美味しそうな音が鳴り響く。この音が意味する事は店主の追及は終わっていったという事だ。

 

 (乗り切ったぁぁぁ!乗り切ったぞぉぉぉ!)

 

 うぉぉぉと叫びそうになる気持ちを必死に抑えていく。行き当たりばったりでもどうにかなる物だと、心の中で安寧の息を吐いていると。

 

 「へぇ、あんた旅してんのか。」

 

 話ぶり返してんじゃねぇぞ!ここにちゃぶ台があれば盛大にひっくり返している所だ。口元をヒクヒクさせながら、声の主に視線を移していく。

 

 声の主は隣に座っている男だ。リーネがこの席に座る前に店主と話していた男、丸坊主の男だ。

 

 黒縁の眼鏡をかけた丸坊主の男。特徴的な顔をしている、やけに鼻の穴がデカく、それでいて出っ歯だ。

 

 お世辞にもカッコイイとは言えない、いや、普通に不細工だ。

 

 その男は、視線を移したリーネに向かい、再度喋り掛けて来た。

 

 「エルフの旅人たぁ珍しい、あんた名前は?」

 

 「え…あぁ、アサギリだけど。」

 

 「アサギリか、俺の名前は”ハナ”。ハナ・ノアーナだ。」

 

 ハナノアナ?正にお前の顔面の事じゃないかと思うが流石にそんな事は言えない。

 

 心の中で、丸坊主の男にハナノアナと言うアバウトなあだ名を付けていく。

 

 「アサギリ、あんたも色々旅して、色々な物を目にして来たんだろ?だったら、この辺にもなにやら面白そうな場所があるって知ってるか?」

 

 「面白そうな場所?」

 

 そう答えたリーネの表情を見たハナノアナが笑う。その反応は知らないなと言いながら。

 

 「はは、この帝国付近にはな、すんげぇ霧で覆われた場所があるんだ。」

 

 「ちょっと、ノアーナさん。そんなこと言っちゃあ駄目ですよ。あそこは危険なんだから。」

 

 「大丈夫ですって、おやっさん、ちゃんと危険だって伝えますって。」

 

 「??」

 

 「でだ、アサギリ。旅人のあんたの心をくすぶる様な不思議な場所がこの付近にあるんだ、そこは霧で覆われた、アンデッドの蔓延る危険地帯―――カッツェ平野だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      アンティリーネの大冒険 

  

      ―――Mission➁―――

    ―――カッツェ平野を探索せよ――― 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 

 深い深い霧の中を、リーネは着々と進んで行く。

 

 ハナノアナの話を聞き、好奇心に駆られてしまい、居てもたってもいられなくなってしまった。非常に危険な場所だと言われたが、ヤバそうなら逃げればいい、それ相応のアイテムは持ってきているのだから。

 

 そんなこんなで、ここカッツェ平野に冒険―――もとい観光と言う名目でやって来た。平野とは言われているが、意外と荒れ果てている。

 

 荒野に近いかも知れないな。そんな事を思いながら、一人黙々と、カッツェ平野を探索していく。

 

 「帝国の近くにこんな場所あったんだ。意外と法国からも近いわね。アンデッドいっぱいいるけど、法国軍はなにやってんのよ、遠征した事ないわよこんな場所。」

 

 カッツェ平野はアンデッドが蔓延る危険地帯。アンデッドという事は全ての生きとし生ける者の敵だ。人間の支配域にこれ程危険な場所があるのに、人類救済を謳っている法国は何をしているんだとリーネは言っているのだ。

 

 法国がここ、カッツェ平野に軍を派遣する事は殆どない。全くない訳でもないが、それこそ、規格外のアンデッドが発生した場合くらいだ。

 

 法国はもっと別の”内部”ではなく”外部”からの敵―――侵略者の相手でいっぱいいっぱいだからだ。

 

 カッツェ平野のアンデッド掃討は、基本的には、王国と帝国と言う二大国家が行っており、そこに在籍する”冒険者”達が主となり掃討している。

 

 丸投げしている様にも見えるが、法国だって侵略者を抑える為に手いっぱいだ、そこに裏切者のエルフの国との戦争も追加されてくる。法国からすれば、自分達の身辺くらい、自分達で掃除してくれ、そう言う事だ。

 

 ぶつぶつ独り言を呟き歩くリーネの元に、かちゃ、かちゃという何やら可愛い音が聞こえてくる。

 

 また来たか。そう思う。

 

 周囲には大量のスケルトンが自分を取り囲む様にして集まってきている。またと言う様に、このスケルトンの襲撃はこれが初めてではない。もう三度目だ。

 

 はぁ、と溜息を一つ付き、先程から行っている、ある行動を取っていく。

 

 「ごめんなさいね。別に討伐に来たわけじゃないの。観光に来ただけだから。」

 

 それは会話だ。全てのアンデッドが話の通じない奴らばかりではない。少なくとも、リーネはそう信じている。そしてその思いは、”イビルアイ”との邂逅で確信に変わった。

 

 ここは現実だ。意志もあり、会話も出来る。アンデッドの特性である、生者への憎悪、それから解き放たれ、自らの意志で行動できる個体も中にはいるのだ。

 

 会話もせずに、一方的に悪と決めつけ、退治するのは嫌だ。そんな思いから、会話を試みる。言葉が理解できない可能性もあるので、身振り手振りで自分の気持ちを表していく。

 

 そんなリーネに―――スケルトン達は群がっていく。

 

 ―――ポカポカ、ポカポカ。

 

 群がるスケルトン達がリーネを握りこぶしで殴打し続ける。

 

 そんな事をされても、会話を続けていく。身振り手振りで気持ちを表す。

 

 数十体のスケルトン達が群がり、遂にはリーネの姿が見えなくなった―――そして。

 

 「んがぁぁぁ!!」

 

 スケルトン達が宙を舞っていった。

 

 カッツェ平野に来て一時間、スケルトンが宙を舞ったのは、これで三度目だ。

 

 頑張って見たが、どうやら話が通じないみたいだ。リーネは無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァサック)の中から豪華な杖を取り出した。

 

 「上位アンデッド退散(グレーター・ターンアンデッド)!!」

 

 第七位階に属するアンデッド退散の信仰系魔法の光が辺り一面に眩く広がっていく。

 

 取り出した杖は、信仰系魔法が封じ込められた杖であり、この杖は、神官職に類するクラスを保有していない者でも、封じられた魔法を発動させていく事が出来る。無論、誰でも使えるが故に、本職の魔法には劣っていくのだが。ソロプレイでは必須のアイテムだ。

 

 眩い光が周囲に展開され、スケルトン達を浄化していく。浄化が終わった瞬間、光は収束し、そのまま天まで駆け上がり、パァっと消滅していった。

 

 「無下には殺さないわ…来世で会おうじゃない。」

 

 アーメン。そう言いながら、胸に十字架を切っていく。ちなみに、この行為も本日三度目だ。なんか徐々にハマりつつある。

 

 スケルトンを浄化したリーネは引き続き探索を続けていく。しかし、これと言って目ぼしい物はない。なんかイベントでも起きればいいのに、そう思った矢先―――何かがやって来た。

 

 ―――ザザザザザザザ。

 

 砂をまき散らす様な音が耳に届く。

 

 おぉん?妙な音が気になり、そちらに視線を移す。音の発生源を探していき、直ぐに気づく。妙な物が、平野の砂を巻き上げながらこちらに進んできているからだ。

 

 「…え?」

 

 砂を巻き上げながら、高速でこちらにまで向かってくる、ある妙な物―――船だ。

 

 髑髏の旗をなびかせながら、船がこちらまで一直線に進んでくる。

 

 カッツェ平野の陸上を走る船―――海賊船が、こちらまでやってきて、止まっていく。

 

 そして止まった船の中から、ぞろぞろと骨の船員たちが姿を表していく。

 

 海賊が死に、白骨化したかのような風貌であるが、これはスケルトンだ。恐らくは、身に纏う服は自分達でこしらえた物だろう。海賊衣装のスケルトン達―――いや、スケルトン・ウォーリアー達が、剣を構え、船の中からぞろぞろと現れた。

 

 そして、しばし間を置き、悍ましい声を上げながら、スケルトン達の長が―――船長が姿を表す。

 

 「はっはっは。何やらもの凄い光に気づき来てみれば、これは珍しい、エルフか。」

 

 海賊船の中から姿を表した、死者の大魔法使い(エルダー・リッチ)の船長が、偉そうな雰囲気を醸し出し、腕組をしている。

 

 その風貌は、正に海賊の船長だ。来ている服もだが、頭に被ったキャプテンハットには髑髏のマークが描かれている。ご丁寧に右目に眼帯まで付けている始末だ。

 

 海賊船の船長は、にたりと言う風な雰囲気を出し、組んだ腕を解いていく。そしてこちらに向け、杖を突きつけて来た。

 

 「我の名は”バーロック”!”バーロック・ゴディナ”!このキャプテン・バーロックに見つかったのが運の尽き!我の船で、黄泉の国まで送ってやろうぞ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――片道切符だがな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 劇場版のPVをみて、ネイアパイセンの目つきが想像以上に悪くて笑いました。

 どうもちひろです(ΦωΦ)

 遂にカッツェ平野に足を運んだアンティリーネさん。
 早々に何やら海賊船の船長に絡まれましたが、果たして無事に生還できるのでしょうか!
 
           次回

 あんてぃりーねのゆぐどらしるだい☆ぼう☆けん☆
         
        「バーロック死す!」

        デュエルスタンバイ!


 …嘘です。
 
 次回 「深淵を求めて」 近日投稿予定です。

 それでは!シュバ!
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