あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~   作:だいだろすちひろ

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 前回のあらすじ

 激戦終幕!!


新たな王者

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 会場は割れんばかりの歓声に包まれる。

 

 新たな”世界王者”の誕生に沸き上がる。

 

 喜ぶ者、悔しがる者、様々だ。

 

 アンティリーネの応援をしていた者。

 

 アロービーチの応援をしていた者。

 

 様々な者達が、叫び―――祝福した。

 

 

 

 

 

 「アロービーチ殿…。」

 

 「お嬢ちゃん、あなたの信念、しかと見せてもらったわ。」

 

 観戦席に佇む二人がそう言った。

 

 ステラは目を細める。眩しく輝く少女を見つめながら。

 

 アロービーチは強かった。今日のアロービーチは特に。明らかな格上をねじ伏せていった少女に対し、最大限の賛辞と、熱く滾る気持ちを抱く。

 

 (こんなに滾るのはいつ以来かしら?久しぶりに、本気で体を動かしたくなってきたわ。熱くさせてくれるわね、お嬢ちゃん。)

 

 目の前では、表彰台に立ち、新たなワールド・チャンピオン・ムスペルヘイムとして紹介されている少女の姿が見える。その姿を見ていれば、また体が熱を帯びてくる。凄い少女だ、本当に、そう思う。

 

 「あら、もう行くの?」

 

 「忍、忍。」

 

 観戦席を後にしようとするギルバートに声を掛ける。表彰式はまだ終わってはいない。もう行くのか?と問いかける。

 

 「ふふ、なんだか悔しそうね。お嬢ちゃんを応援してたんじゃないの?」

 

 「忍忍、どっちもでござるよ…複雑でござるな。取りあえずは拙者達の頭を労いに行ってくるでござる。」

 

 「そう…坊やに言っといてくれる…折れるなよってね。」

 

 「笑止、あの男は簡単には折れぬでござるよ。」

 

 そう言い残し、ギルバートは観戦席を後にしていく。その後ろ姿をステラは見送った。ステラは視線を戻す。表彰台の少女を見つめながら決勝を振り返っていく。

 

 決め手になったのは―――肘。

 

 序盤の肘の脅威があったからこそ、その効果は大きかった。最後のあの土壇場で、再度肘の脅威を再発させた。忘れていた所に、そして種が割れ、警戒心の薄れていた所に、肘の脅威が再浮上した、アロービーチには、あの肘がとんでもなく大きな脅威に感じられた事だろう。

 

 故に過剰に警戒せざるを得なかった。そしてその警戒心を利用しての肘での寸止め、虚をつかれた事により、死角への対処ができなかった。

 

 (脅威をすり込まれた者は、動きに制限を掛けられてしまう。狙ってやったのかは分からないけど、あの肘の一撃が勝利への道しるべになった。)

 

 ―――見事。

 

 ステラはそれ以外に形容する言葉を持たない。

 

 (―――しかし。)

 

 たった一つの疑問が頭を離れない。あの土壇場での肘を成功させた、あの瞬間の事。違和感が拭えない、ステラはあの瞬間に、強烈な違和感を抱いた。

 

 恐らくは、朦朧状態で視界は上手く機能していなかっただろう。身体操作もそうだ、状態異常により、リンクにラグが生じていた筈―――なのに。

 

 拭えない―――違和感が消えない。

 

 どれだけ楽観的に解釈しても、あの場面の異常さが際立っていく。

 

 姿勢も、角度も、技術もへったくれもない様な動きだった。完全な朦朧状態にあったのは、あの姿を見ればよく分かる。だからこそ、そこはいい。まぁ、実際はどんな状態にあろうとも、洗練された動きを失わないのがいっぱしの武人なのだが、そこまでは求めない。

 

 ステラが感じた強烈な違和感は、上手くは言えないが、あの肘が、止まっている物に、または、ゆっくりと動いている物に、ポイントを思考しながら、つまりは、考える余裕を持ちながら、無理くり当てに行った、その様な感覚を感じ取ったのだ。余りにも荒唐無稽すぎる―――が、そう感じてならない。

 

 「…奥の手でも持っているのかしら、お嬢ちゃん?本当におもしろい子ね、益々ファンになったわ。」

 

 その言葉とは裏腹に、ステラの目は細まる。

 

 鋭い眼光を向けながら、ステラは表彰台の少女を見つめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 ##―――持ちまして大会は終了させていただきます。プレイヤーの皆様、本日は忙しい中お集りいただき、ありがとうご―――##

 

 控室に戻るリーネの耳に、アナウンスが聞こえてくる。大会終了を告げるアナウンスだ。

 

 早くギルドメンバーに会いたいと、堂々の凱旋をしたいと、早足で廊下を進む。

 

 「―――あ。」

 

 そんなリーネの進行方向には、ある人物がいた。

 

 「よう、アンティリーネ。」

 

 「アロービーチ…さん?」

 

 進行方向にいたのは、アロービーチだ。

 

 リーネのその言葉を聞いたアロービーチは、一瞬呆けた後に―――大笑いする。

 

 「はっはっ―――なんだよ、さんって、えぇ?随分としおらしいじゃねぇか?」

 

 「あ…いやぁ、年上だし…ねぇ。」

 

 「ほぉう、殊勝だねぇ、悪役らしくねぇな。」

 

 「常に悪役でいるとさ、結構疲れるのよね。裏でくらいは…ねぇ。」

 

 「はっはっは、ちげぇねぇな。」

 

 「…それに、あなたみたいな強者には…敬意を掻くのは違うと思うから…失礼だと思う。」

 

 「はっ!そうかい?勝者の言葉とは思えんね。」

 

 「…あなたは強かった、私より、ずっと。結局はあなたのあの、見えない攻撃も、あの突きも、攻略はできなかった、引き出しだって全部開けれたとは思わない―――うわ!」

 

 ―――バン。

 

 アロービーチの大きな手のひらが、リーネの背中を盛大に叩く。急な事に訳が分からず、リーネは戸惑う―――そうすれば。

 

 「…え?…え?」

 

 アロービーチの右手がこちらに伸びてくる。誰が見ても分かる、握手を求めている。

 

 「俺は強かったか?」

 

 「…うん、強かった。」

 

 「そうだな、俺は強い。」

 

 「うん、強い…私より、ずっと。」

 

 「そうだな、お前より俺の方が強い、けどな、勝ったのはお前だ。」

 

 「…うん、けどもしあの時、肘で弾けなければ…勝敗は逆だった、あなたの警戒心を利用できなかったなら、負けていたのは―――」

 

 「俺は負けた、お前は勝った。それが結果で、それが全てだ。試合は一回こっきり、負ければ次はねぇ、だからこそ、そこにたらればはねぇんだよ。」

 

 「―――……。」

 

 「―――ん。」

 

 アロービーチの右手が動く。その意味を理解したリーネは右手を掴み、握手していく。

 

 「そんな風に俯いてんじゃねぇ、俺に勝ったんだ、胸張ってくれよ―――チャンピオン。」

 

 リーネの手に力が入る。そうだ、内容はどうあれ、自分は勝った。俯くのは違う、胸を張るべきだ。

 

 「ありがとう、アロービーチさん。」

 

 「さんはいらねぇ、アロビでいいぞ、皆そう呼んでる、呼びやすいだろ?あと、喜べ、お前は俺の終生のライバルに認定された―――PVPしに行くから待ってな。」

 

 「うん、ありがとう―――は?」

 

 リーネは固まる、何やら妙な言葉が聞こえたからだ。

 

 「は?ライバル…は?あ、ちょっと!?」

 

 強制的に握手を終わらせ、アロビはリーネの横を通り過ぎていく。ひらひらと手を振りながら、機嫌の良さそうな雰囲気で。

 

 「今度、地下墳墓まで遊びに行くからよ、アルトリウスって奴も呼んどいてくれ。」

 

 「えぇ~」その様な言葉が出そうになる。半ば強引に約束を作られ、リーネは苦笑いする。なんとまぁ、自由な奴だと。

 

 「あ、あとよ、骸骨の魔法詠唱者のクランにいる、青い髪の男とPVPする事にでもなったら気を付けとけよ…でたらめに強いぞ、そいつ。」

 

 「は、はぁ…ありがとう。」

 

 「おう!じゃあな!」

 

 そう言い、アロビは去っていく。恐らく、控室まで戻るのだろう、彼にも仲間がいるのだから。

 

 「…はぁ、調子狂うなぁ~もう…強い奴は気持ちも強いわね、ほんと。」

 

 苦笑いを浮かべるリーネは歩き始める。自分も仲間の元に向かう為に。

 

 「…青い髪…青い髪…どこにでもいそうねぇ。ていうか、骸骨の魔法詠唱者って…はぁ~、物好きが他にもいたかぁ…。」

 

 モモンガ以外にもそんな物好きがいるとは驚きだ。そう思うが、よくよく考えて見れば、自分の祖国―――スレイン法国に祭られている”死の神”も、確か骸骨の魔法詠唱者だった筈だ。

 

 六大神―――恐らくはプレイヤーだろう。そう考えれば、ユグドラシルが広く、出会わないだけで、意外と物好きは多いのかもしれない。

 

 「う~ん…名前はなんだったか…スルシャーナ…だったかな?」

 

 六大神と呼ばれるプレイヤーの名前を記憶から掘り起こしながら、リーネは仲間の元へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うらぁ!うらぁぁ!うらぁぁぁ!!」

 

 「ちょっとちょっと、ウルベルトさん、叫び過ぎですよ…ひゃっはぁぁぁ!ざまぁぁぁ!罵声飛ばしてたやつらざまぁぁぁ!」

 

 「あまのまさんも叫んでんじゃん!リネちぃぃぃん!早く帰って来いよぉぉぉ!」

 

 「ほらね!俺は分かってたからね!リーネが勝つって分かってたからね!!」

 

 「おいおい、ベルリバー、嘘つけってお前!いよっしゃぁぁぁ!」

 

 「やまちゃん!あんちゃん!勝ったよ!リーネが勝ったよ!!」

 

 「うん!そうだね、かぜっち!私手に汗握ったよ!」

 

 「うおぉぉぉ!滾る!滾るッ!!滾るゥゥゥッ!!」

 

 ―――ガンガンガンガン。

 

 滾る気持ちを表す様に、やまいこがガントレットを打ち付ける音が響く。その音は非常にうるさく聞こえるかもしれない、しかし、今のこの控室では、その音は全くうるさくは感じない。勝利へのファンファーレに聞こえる程だ。

 

 控室にいるギルメン達が、肩を叩き合いながら叫びまわる。可愛い妹分の勇姿を称えながら、そしてそんな中に、見慣れぬ人物達も。

 

 「どんなもんじゃぁぁぁい!!」

 

 「ひゅうぅぅぅ!いいよぉ!テラくんいいよぉぉぉ!」

 

 「よっ!この色男!カッケかったぜ!!」

 

 「ゲンガーさんもお疲れさん!リーネの為にありがとよ!!」

 

 「ゲッゲッゲッ~!良いって事よぉ!!」

 

 「鼻こすっても鼻ねぇからぁぁぁ!いよっしゃぁぁぁ!!」

 

 「お礼に、ダイゲンガーに新しい武装追加しとくよ!とびっきり凄いやつをさ!楽しみにしといてよ!!」

 

 「ゲッゲッゲッ~、マジか、期待しとくぜ!!」

 

 その見慣れぬ人物達は―――テラとゲンガー。

 

 罵声飛び交う会場で、リーネに吹く風の向きを変えていったのは、間違いなくこの二人だった。

 

 嫌われ者のアインズ・ウール・ゴウンでは、どう足掻いてもあんな事にはならない。一般プレイヤーのこの二人だったからこそ、他のプレイヤーの胸を打っていったのだから。

 

 「おやおやぁ~、朱雀さんもタブラさんも、はしゃぎ足りないんじゃなぁ~い?」

 

 「おぉ、ぷにっとくん。珍しいね、君がそこまではしゃぐとは。」

 

 「朱雀さんも私も、これでもはしゃいでるんだけどね。」

 

 ギルドの軍師、ぷにっともえが、二人に肩をかけていく。どうやらぷにっとも、相当に嬉しい様だ、彼がここまではしゃぐのは非常に珍しい。

 

 「アンティリーネちゃん、やりましたね。」

 

 「ですね!ヘロヘロさん!!んもぉう!リーネはまだかぁ?早く帰って来いってんだよ!皆でわやくちゃにしてやる!ははは!!」

 

 楽しそうなモモンガを見つめるヘロヘロ。そんな彼の後ろから、声が聞こえてくる。

 

 「強い者が必ずしも勝つとは限らない…そうですね、()()()()()()()()()でしたね…()()()()()()()()、ヘロヘロさん。」

 

 声を掛けて来たのは―――たっち・みー。

 

 「…そうですか、それは良かった。()()()()()()のですね、たっちさん。」

 

 「ははは、どうしたんです?嫌味を言うとは珍しい。」

 

 「いえいえ、嫌味だなんてそんな。」

 

 

 

 

 

 

 ―――怪物め。

 

 

 

 

 

 

 

 かつて神童とまで呼ばれた天才を持ってしても、この男の底は見えない。

 

 (愛理沙(ありさ)に比肩するか…いや、彼女は明王の化身…いかにこの男でも、あの域には…いや、よそう…二人は凡才に測れるような者達ではない。)

 

 武の道のりは、険しく、長く、そして高い。道半ばで止まってしまった自分如きが、二人を測るなど、なんと愚かしい事か。

 

 「ははは、どうしたんです?しかし、アロービーチは強かった、あの肘がなければ、勝敗は逆だったでしょう。」

 

 「…そうですね、最後の最後に、あんな状態でよくぞ決めたものです。」

 

 「同じ気持ちですね、見事としか言いようがありません。」

 

 状態異常に蝕まれながらも、あの土壇場で決めていく。見事と言うしかない、二人は称賛の言葉を口にする。

 

 「体の動きを見るに、リンクはかなりぐちゃぐちゃだったはず、視界も正常ではなかったでしょう…勘で当てに行ったと言った所か。」

 

 「恐らく、それで間違ってはいないと思います。なんとも野生染みた勘ですけどね…本当に恐ろしい子だ。」

 

 「野生の勘か」そう言いながら、二人は笑う。なるほど、リーネらしいと言いながら。

 

 一しきりそうして笑っていれば。

 

 ―――パン。

 

 手を叩く音が聞こえてくる。

 

 ギルドメンバー達は、騒ぎながらも、音の聞こえた方に振り向く。そこにいたのはテラだ。

 

 「え~…みなさん…楽しく騒いでいる所ほんますんませんねぇ~…これ見たって下さい。」

 

 そう言い、テラが取り出したのはクリスタルだ。皆が訝し気に首を掲げる。そのクリスタルは皆知っている、ホログラミングクリスタルだ。

 

 クリスタルから映像が映し出される。映し出された映像は会場内だ、観戦席が映し出されていく。

 

 先程まで騒ぎ、はしゃいでいたギルドメンバーの声がどんどん小さくなっていく。それはなぜか?それは、機嫌が悪くなってきているからだ。映る映像は、闘技場ではなく、観戦席だ、リーネの勇姿を見せられるのではなく、観戦席を見せられる。そうすればどうなるかと言うと、聞こえてくるのだ―――罵声が。罵声を飛ばしている者達と共に。

 

 「あのさぁ~、テラくんなんのつもり?私今…ひっじょ~うに気分悪いんだけど?」

 

 「のんのん、茶釜さん、ほらぁ~見たって下さいよ…こいつらの顔。」

 

 「はぁ?なんで見なきゃなんない―――」

 

 「はっはっは!!」

 

 「―――の…お?」

 

 パンパン手を叩きながら、急に笑い出す者が、そこに一人―――ぷにっともえだ。

 

 「はっはっは…はぁ~…いやいや…テラさん…最高ですねあなた。」

 

 「いえいえそんな…ねぇ~♪」

 

 テラの喋り方が変わった。お代官様とでも言ってきそうな喋り方だ。テラは室内のメンバーを舐める様に見渡していく。そんな姿を見ても、他のメンバーはまだ良く分からない。訝し気に首を傾ける。

 

 「いやいやホントに…顔、覚えたよね?みんな。」

 

 もはや誰も言葉を発してはおらず、静まり返った室内には、ぷにっともえの言葉は驚く程よく通っていく。

 

 「…あぁ、覚えたぜ、ぷにっとさん。」

 

 ぷにっとの言葉を理解したであろう人物がそう言った。

 

 建御雷が右肩に手を当て、肩をぐるぐる回す。

 

 ―――ガン。

 

 ガントレットが叩きつけられる音が響く。誰がしたのかなど言うまでも無いだろう。

 

 「うんうん♪よぉ~く覚えたよ…やるねぇ~テラくん♪」

 

 ―――ガンガンガン。

 

 やまいこがガントレットを打ち付ける音が響くたびに、理解を示す者が増えていく。

 

 「ごめんね~テラくん、あんたいい男だわ♪」

 

 「たらら~んっとな…忍びに顔見せた事…後悔してもらわなにゃあ~♪」

 

 「うんうん、覚えたとも…私は記憶力に定評があるのだよ…ねぇ~タブラくん。」

 

 「流石教授ですね~、どうすれば苦しめられるか一緒に考えますか♪」

 

 「そうだねぇ~タブラくん、分からせてあげないとね…盛大にいこうか。」

 

 「ちんちくをあんだけ罵ってくれたんだ…ちょっとやそっとじゃ終わらんぞ…なぁ、たっちさん?」

 

 「おや、奇遇ですねウルベルトさん、私も今同じ事を言おうとしてた所ですよ。」

 

 「頑張って作った装備達を、目の前でちょ~っとずつ溶かしてあげましょうか…えぇえぇ、それがいいでしょう。」

 

 「狙撃は任せてねぇ~ん♪」

 

 ―――くつくつ、くつくつ。

 

 先程までは騒がしかった室内に、不気味な笑いが木霊する。邪悪な笑いが溢れ出す。

 

 この映像は、リーネに罵声を浴びせていた人物達を記録した物だ。最後は確かに盛り上がった、しかし、罵声を浴びせ、罵っていた様な奴らをテラが許す筈もない。テラは記録していた、録画用のアイテムを使い、観戦席で罵声を飛ばしている連中を。

 

 「いやいや~♪流石はアインズ・ウール・ゴウンですねぇ~、ごっついでホンマ。」

 

 ―――くつくつ、くつくつ。

 

 邪悪な笑いが止まない。更に大きくなっていく。

 

 「ほんで~、モモンガさん…いや、魔王様~…どうなさいます…うん?」

 

 「…はっはっはっ―――はっはっはぁ!!」

 

 魔王然としたモモンガが手をかざす。ロールが始まった、それすなわち。

 

 「皆の者…礼はたっぷりとしてやろうじゃないか…なぁ?」

 

 歓声が沸き起こる。今日一番と言ってもいい程だろう。

 

 「げへへへへ」と下卑た笑いを続けるテラを見つめ、ゲンガーが軽く引いていた。コイツ思ったよりえげつないな、そう思っていると―――扉が開いた。

 

 「みんなぁ~、勝ってきたぞぉぉぉ―――あれ?」

 

 勢いよく扉を開いたのは、勿論、今日の主役であるリーネだ―――が、入った瞬間気づく、何やら雰囲気がおかしい。

 

 ―――「ふへへへ」「ぐへへへ」

 

 何やら妙に気持ち悪い笑いが聞こえてくるからだ。皆どうした?そう思っていれば。

 

 「よう、相棒、おめでとうだな。」

 

 「あ、ボスもいたんだ…って!あんたぁぁぁ!最後まで言わなかったわねぇぇぇ待ってたのにぃぃぃ―――って…え?」

 

 「ま、まぁ待て…説教はいくらでも聞くぜ相棒…取りあえずは…一旦でようか。」

 

 「はぁ!?なんでよ!?って言うか、皆どうしたのよ、気持ちわる―――ってあぁ!ちょっと!」

 

 ―――バタン。

 

 扉が閉められていく。

 

 主役の退場した室内に、ギルメン達の邪悪な笑いが響いていた。

 

 

 

 

 

 

 仲間を侮辱されたアインズ・ウール・ゴウンは怒り狂う。

 

 報復は、目も当てられない程に凄惨な物になるだろう。

 

 アインズ・ウール・ゴウンは暴れ回る。

 

 大切な仲間を傷つけられ、怒り狂う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――それが、新たな火種を生むとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  





 おまけ ~アルトリウス~

 ――ナザリックのリーネの部屋――

 リーネ「あ…あぁ!駄目駄目!ローリング!」

 アロビ「うお!?パターン変わりやがった!?」

 リーネ「あぁ!もう!そんなお願いローリングばっかりしてたら…あ。」

 アロビ「あぁぁぁぁ!!!?」

 ―――YOU DIED―――

 リーネ「あ~あ、負けちゃった、あれだいたい一、二発で死ぬから。」

 アロビ「クソゲェェェェ!!」

 

 どうもちひろです。

 ワールド・チャンピオン編も、これで完全に終了です。
 アインズ・ウール・ゴウンは、ワールド・チャンピオンを二人も抱える大ギルドになってしまいましたね。
 この、ゆぐどらしるだいぼうけんでのワールド・チャンピオンの性能は、書籍版ではなく、Web版になっています。
 なので、書籍版よりずっと強いです。
 Web版のワールド・チャンピオンは、上の上プレイヤー三人相手で互角、上の中なら四人で互角、上の下なら五人で互角とか言う、破格を通り越した、ぶっ壊れ性能をしてやがります。公式チートと言うのが納得な性能です。
 守護者最強のシャルティアですら、上の下と言えば、そのヤバさがひしひしと伝わるかと思います。
 つまりは、Web版のワールド・チャンピオンは、シャルティアを五人同時に相手どれるという事になりますね。
 装備品やプレイヤースキルにも左右されるでしょうが、ワールド・チャンピオンになれるような奴が、プレイヤースキルが低い訳もなく、また、NPCであるシャルティアが、プレイヤースキルが高い訳もないので、実際に戦えば、完封まで出来るんじゃないかな?と個人的には思います。
 あと、この作品は書籍・Web混合設定ですので、シャルティアは書籍版並みに強いです。逆に、アウラは書籍版並みに弱いです。
 
 そんなこんなで、ワールド・チャンピオンになったアンティリーネさんですが、プレイヤースキルはまだ未熟です。
 その辺は、終生のライバルとなったアロビさんと切磋琢磨して練り上げていくでしょう。
 ちなみに、アロビさんのコンセプトは『噛ませ犬にならないライバル』です。
 バトル漫画などでは、主人公のライバルキャラは、どうしても噛ませ犬…もとい引き立て役にされがちです。
 物語が進んで行って、新しい敵や勢力が出てきて、その強さを際立たせる為に、無慈悲にボコられたりします。
 アロビさんは違います。
 いつ出てきても強いです。
 新しい敵キャラ倒すんじゃね?くらいに強いです。
 人造人間編で「俺は…スーパーベジータだ!」とかほざきまくって輝いていた時のベジータさんが、いつ出てきても、あの輝きと強さのままと思って貰えたらいいと思います。
 つまり、アロビさんは『噛ませにならないベジータ』なんです。
 登場はそんなに多くはない…正確には、戦闘する事はそんなに多くはないですが、出て来た時は、破竹の活躍をしてくれると思いますよ!

 四章もあと一話です。
 最後までお付き合いいただけたらなと思いますね。
 それでは!シュバ!

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