あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~ 作:だいだろすちひろ
前回のあらすじ
過剰稼働により暴走してしまったルベド!
真の防衛戦が今始まる!!
♦
―――ルべドが暴走した。
メッセージ越しに聞こえて来たタブラの声から、理解しがたい言葉が各階層のギルメン達に届いた。
その内の一人―――八階層にて侵入者達を壊滅させたモモンガは、聞こえて来た言葉の意味を考えるが、『暴走』という言葉には聞き覚えはない。
暴走?一体それはどう言う事だ?
「モモンガさんどうしたの?」
「…ルべドが暴走した。」
モモンガのその言葉を聞き、リーネはポカンと呆気にとられる。彼女もまた、暴走と言う言葉に聞き覚えはないからだ。
たっち・みーとてそうだ。彼の雰囲気から、困惑が見てとれた。
「暴走?なによそれ?ルベドが暴走するなんて私聞いてないわよ…。」
「というより、ルベドを実践投入していったのか…いくらなんでも独断専行すぎるぞ、博士。」
二人のその言葉に、モモンガは深く頷く。
ルべドは
言うなれば、『ダイゲンガー二号機』。
プロトタイプであるダイゲンガーの欠点を更に改良し、スペックアップを果たした究極の起動兵器だ。
その戦闘能力は、あのたっち・みーすらも凌駕する。
そのルべドが暴走した。状況はかなり不味い様に思えた―――が、いかにルべドが強いと言っても、各階層のギルメン達も一筋縄ではいかない猛者達だ。
四階層にはダイゲンガーもある。ルべドが暴走し、手が付けれなくなったとしても、抑え込むなり、最悪破壊する事くらいは出来る様に思える。
そう思える―――しかし、モモンガの中にある予感が過る。悪い予感が過ってくる。
「リーネ、至急四階層に向かうぞ。たっちさんもッ!いいですねッ!」
モモンガの声に緊張感が宿っている。その言葉を聞いた二人も一緒だ。二人もまたモモンガ同様に言い知れぬ予感を感じ取っているのだろう。
こくりと二人は頷く。
「チッ!」
それと同時に、モモンガが一つ舌打ちをした。
この舌打ちは、転移ができない事によるものだ。
モモンガが自らの指に嵌められている指輪『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』を見つめる。
指輪に埋め込まれた宝玉は、いつもの眩い光を放ってはいない。くすみ、光を失っている。
これは『ヴィクティム』の拘束能力の代償だ。強力な能力で敵を束縛する以上、自らだけ安全地帯に逃げる事ができない様、転移能力を封じられてしまう。
メリットにはデメリットを―――特大の能力ならば尚更だ。
指輪から視線を戻したモモンガは、急ぎ走り出し、たっちとリーネもそれに続いた。
三人は階層を急ぎ駆け上がっていく―――膨れ上がる言い知れぬ予感を感じ取りながら。
♦
「…強制
ルべドのその言葉が、この広い四階層に響いていく。
しかし、その言葉の意味を理解している者達は思いのほか少ない。タブラとガーネットの二人だけだ。
弐式も、建御雷も、茶釜も、やまいこも、ぺロロンチーノもこの言葉には聞き覚えはない。
勿論ゲンガーもその一人だ。ダイゲンガーの肩から、ルべドを見下ろしているゲンガーの視界に映るルべドの体に突如異変が起きる。
ルべドの体の隙間から―――パーツの接続部から、メラメラと炎が沸き上がり出す。
「
四階層の全ての者達が、その揺らめく炎に目が釘付けになっていく。
次第に激しくなっていく炎と共に、ルべドから発せられた言葉、それは―――絶望の始まりだった。
「―――
揺らめいていた炎が一気に噴き出し、四階層を照らす。
噴き出した炎は瞬時に収束し、ルべドの体の隙間から継続的に燃え上がり続けていく。
しかし、その炎の質は先程までの炎とはまるで違った。
その違いを、言葉でどう表現すればいいだろうか。四階層にいる全ての者達の視線の先で燃え上がる炎―――高密度に圧縮された炎を見た時、全員の頭の中に浮かんだ言葉は同じ、シンプルなモノだった。
攻撃的―――只々攻撃的。
まるで獲物を貪る為の鋭利な牙を思わせる程の―――本能が危険信号を上げてしまう程の攻撃的に燃え盛る炎がそこにはあった。
バチバチ、バチバチと音を響かせながら、ルベドの身を覆う凶悪な炎、それは―――『
それは『原初の炎』であり『世界創生の炎』。
世界一つに匹敵する程のエネルギーを持った炎であり
『
ダイゲンガーは
凶悪な自己修復能力がその証だ。そして試作的に搭載されたのが『ゲンガー・ブラスター』であり、熱エネルギーを炎に変換し放出するシステムである。
プロトタイプであるダイゲンガーによる、無数のサンプルによって、改良に改良を重ねられて作りあげられたのが『
「目標を補足」
ルべドが拳を握り締め、右腕をぐるりと一回転させた。可愛い声と可愛い仕草に全員が呆気にとられた―――その時。
「えい。」
ルべドの姿が―――消えた。
それと同時に鳴り響く轟音。
四階層にいる全員が、音の発生源を確かめるべく、そちらの方向に急いで振り向いた。
その場所は、建御雷が先程まで立っていた場所だ。しかし、そこにはもう建御雷はいない、代わりに立っていたのは―――ルべド。
建御雷はどこに―――その答えは、続く轟音が明らかにした。
爆発音にも聞こえそうな程の轟音が、湖の周囲に建てられた建造物周辺から聞こえてくる。
ある物が、建造物に直撃したが為だ。その音は、一度では終わらない。幾重にもわたって響き渡る。
言わずもがな、そのある物とは『建御雷』だ。
吹き飛んだ建御雷が、建造物に直撃、貫通していった音が響く。
―――何が起きた。
全員の脳裏にその言葉が浮かぶ。いや、何が起きたかは全員分かってはいた、しかし、理解したくはなかった、何が起きたと分からない振りをしたかっただけなのだろう。
答えはシンプル―――殴られた。
そう―――ただそれだけの事。
建御雷を標的にしたルべドが右拳で殴りつけた。ただその行動を、全員が視認できなかった―――ただそれだけの事なのだ。
吹き飛んだ先で、瓦礫に埋もれた建御雷が地面に倒れ伏しているのが見える。
一撃―――ただの一撃で、あの建御雷が戦闘不能に陥った。
「う、嘘でしょ…。」
震える様な声を上げたのは、やまいこだ。
その声が聞こえたのか、はたまたやまいこが近かっただけなのか、それは分からない。分からないが、突っ立っていたルべドの首が、ゆっくりとやまいこの方向に向いていく。
「新たな目標を補足…個体名『やまいこ』…脅威度…ゼロ…。」
「ひっ…。」
ここはゲーム内であり、仮想空間である。死ぬ事も無ければ、痛みもない。しかし、それでもなお、沸き上がる―――根源的な恐怖。
やまいこが小さな悲鳴を上げた―――その時。
「えい。」
轟音が響く。やまいこがルべドに蹴り飛ばされたが為に。蹴り飛ばされたやまいこは、低空飛行で吹き飛び、湖に接触し、水切りの石の様にバウンドしながら飛んでいく。
湖を越え、やまいこもまた建造物に接触し、動きを止めた。
ピクピクと痙攣しながら倒れ伏すやまいこが全員の視界に映る。
―――言葉がでない。
皆が一様に黙り込んでいる。
製作者であるガーネットも、創造者であるタブラさえも。
理不尽―――余りにも理不尽。
見たい―――自らの作りあげた『システム』、その結果を。
そして現在、ガーネットは言葉がでない。
それは感動から―――ではない。恐怖からだ。
これは、作りあげてはいけなかったシステムであり、地獄の門であった。
―――ナザリックを亡ぼす『悪魔のシステム』。
「は、博士…ヤバくないですかあれ…。早く止めないと…。」
「…止めれないよ。」
「…はぁ?」
ガーネットから返ってきた言葉を聞いたタブラは耳を疑った。止めれない?それはどう言う意味だ?止めれないとは、あの止めれないと言う意味なのか?
「はぁ!?止めれない!?どう言う事ですか!?」
「うるさいなッ!止めれる訳ないだろう!止めれないから『暴走』なんだろう!?」
「なに逆切れしてんですか!?」
タブラの言葉に対し、感情が爆発するガーネット。この二人がここまで声を荒げるのは非常に珍しい。それだけ、状況は最悪なモノと言う事なのだろう。
「なんで止められないんですか!?自分で作ったんでしょ!?」
「そうだよ!私が作ったんだよ!だから言ってんだろ!止められないって!」
「なんでそんな風に作ったんですか!?」
「作る為にはそう言う風にするしかなかったんだよ!」
「作る為には!?どう言う事ですか!?」
ぜーぜーと二人は息を切らし合いながらも言い合いを続ける。そして、先に冷静になったのはガーネットだ。切らした息を整えたガーネットは、タブラに向けて説明を始める。
「ルべドは『自立稼働型』であり、優秀な『学習AI』を搭載している。そして機械として一から創造している以上、その存在は『NPC』ではなく『アイテム』に分類される。言うなればルべドは『自立稼働するワールド・アイテム』の様な物―――いや、『二十』みたいな物なんだよ。」
「自立稼働する…二十。」
「そうだ…『スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』の自立稼働迎撃システムを応用し、更に高度なモノに仕上げたのがルべドのAIなんだよ。考えて見なよ、『ギルド武器』ですらあの凶悪さなんだ、じゃあルべドは?となった時に、なんの『制約』もつけずに作る事は出来なかった…。ユグドラシルのシステムがそれを許してくれなかったんだ…ゲームバランスが崩壊するからね。」
「もしかして…それがこの暴走なんですか…。」
「そうだ…特大のデメリットを抱える事により、『C・B・M』システムは作りあげられた。暴走時にしか使用できず、暴走時にはギルドの支配から外れ、こちらにも牙を剥く様な…そんな特大のデメリットを抱えてね…尚且つ、遠隔から暴走を止める事もできない…。今のルベドは『
「デ…デメリットがデカすぎる…。」
「逆を言えば、それだけのデメリットを抱えなければ、あれ程のシステムは作れないと言う事さ…究極の諸刃の剣…一歩間違えれば、自分達が壊滅するくらいの特大のデメリットを抱えなければ…ね。」
タブラは言葉がでない。意気消沈、その言葉が相応しいかの様に、沈黙する。
終わりだ―――そう思った時、ふと脳裏にある言葉が過った。
「…博士、遠隔から…と言うのは?」
「…止めれないと言ったけど、実際は止める手段はあるんだ…強制
「手動…ですか?」
「そう、ルべドの核―――胸の
ガーネットは一枚のカードを取り出し、タブラに見せる。なるほど、それが
「あれに打ち込む…胸の
―――無理だろ。
言葉にはしないが、空気が物語っている。あれに接近し、
「もしくは、破壊するかだね。」
「はは…もっと無理でしょ。」
「理論的には破壊はできるんだ。
「はは…やっぱ無理じゃないですか。」
「…だね、だから『止めれない』と表現したのさ。」
方法はあっても、実現は不可能。
タブラは乾いた笑いを漏らした。
♦
やまいこを蹴り飛ばしたルべドはしばし静止する。メラメラと揺らめく炎を体中から吹き出しながら、周囲の探知を開始する。
「複数の個体が散開…脅威度…ゼロ…本機のエネミー足りえる個体はいないと推測される。」
そしてルべドはゆっくりと視線をある物に向ける。
「お?なんだ?やろうってのか?おちびちゃん。」
それは―――ダイゲンガー。
「脅威個体…なし…脅威機体…あり…エネミーと認定…脅威機体は、本機のプロト…ダイゲンガーであると認識…。」
グッとルべドが腰を落とす。先程とは全く違う行動、この行動は構え、CBMに移行してから、ルべドが初めて戦闘体勢をとった―――『攻撃』に移る。
―――ズシン。
それと同時に、ダイゲンガーが深く腰を落としていく。
ダイゲンガーが『受け』の構えに入った。
「全身全霊で受けて立ってやろうじゃないの…なんたって俺様は…エンターテイナーだからなッ!!」
暴走する―――『新機械神』。
相対するは―――『旧機械神』。
「こいよッ!!」
「目標を補足―――ダイゲンガー。」
可愛い声と共に―――
「えい。」
―――轟音が轟く。
千葉セバス「じぃぃぃかいよぉこくぅぅぅッ!!」
BGM―――『
~千葉セバスナレーション~
しぃ~じぃ~まぁ~のぉ~……
そぉ~こぉ~かぁ~……らァァァッッッ!!
あァァァッ!遂にその全貌を現したァァァッ!
あッ!カロリックゥゥゥ!あッ!ブレイズゥゥゥッ!
ワールド・エネミーと化してしまったァァァッ!
あッ!ルゥゥゥべドゥゥゥッッッ!!
あぁぁぁいたいするわァァァッッッ!!
きゅうゥゥゥ機械ッ神ッ!!
あッ!ダイゲンガァァァァァッッッ!!
新旧ゥゥゥッ!機械神のォォォッッッ!!
あッ!バァァァトルッ!開始ィィィィッッッ!!
そしてェェェッ!時を同じくしィィィッ!!
そぉぉぉの脅威に立ち向かうべくゥゥゥッ!
各階層の仲間達がァァァッッッ!!
ギルメン達がァァァッッッ!!
四階層に集っていくゥゥゥッ!!
今ここにィィィッ!
アァァァインズ・ウゥゥゥル・ゴウンッ!
バァァァサッッッスッ!!
ルゥゥゥべドゥゥゥッ!のォォォッッッ!!
『究極のレイドバトル』がァァァッッッ!
あッ!!勃発していくゥゥゥッ!!
うあっぴょォォォッあァァァッッッ!!
次回
あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆
「究極レイド」
千葉セバス「立ち向かえェェェッ!
アインズ・ウール・ゴウンのォッ
あッ!戦士達よォォォッッッ!!」
ちひろ(ΦωΦ)「やッみッをッあッざッむいてッ♪」