あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~   作:だいだろすちひろ

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 前回のあらすじ

 アンティリーネ大勝利!
 希望の未来へ!レディ・ゴーッ!!


打ち上げ 

 

 

 

 

 

 

 

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 四階層―――地底湖が騒がしくなる。

 

 侵入者と言う名のプレイヤー達を退け、続くは暴走し『ワールドエネミー』と化してしまったルベドとの究極レイドの勃発。

 

 たった一日に詰め込まれた、濃度の濃い時間。それを共にした者達が―――アインズ・ウール・ゴウンとこの防衛戦に駆けつけた助っ人達が、肩を叩き合い、叫び合い、笑顔でガッツポーズをとっていく。

 

 ルベドにkillされたギルメンや助っ人達も、リスポーンを経て、徐々に徐々にナザリックへと集まってきている。

 

 そんな中、リーネは地面に胡坐をかき、地底湖の天井をぼんやりと見つめていた。本当に今日は色々とあった。NPC達との肩を並べた激闘。袂を別ったツーヤとの再会。荒野で起きた、モモンガによる侵入者大虐殺。そして―――ルベドとの激闘。

 

 余りにも濃ゆい時間が流れた。流石にキャパオーバーと言った所だろうか。

 

 「…あぁ~…あぁ~…。」

 

 特に意味もなく、口を開き「あぁ~あぁ~」言って見る。疲れた時の薬と言えば、やっぱりこれだろう。溜まりに溜まった脳の疲労を吐き出す様に、大きく息を吸い、声と共に吐きだしていった。

 

 「…うぅ~ん…!」

 

 お次は大きく背伸びをしていく。少し気が紛れたのか、首をコキコキ鳴らしながら、周囲を見渡した。

 

 そうすれば、目に入ってきたのは―――ルベドだ。

 

 稼働を停止したルベドが、ちょこんと可愛く立っているのが見える。稼働を停止したとは言っているが、別に機能を全部シャットダウンした訳では無い。戦闘モードを解除しただけだ。現在は、置物のNPCの様に、周囲をたまにちょろちょろと見渡すくらいの行動しかとりはしない。

 

 「…うッ…。」

 

 そうやってルベドを見つめていれば、そのちょろちょろと見渡す行動を取ったルベドと目が合っていく。リーネはその瞬間、苦笑いと共に詰まったような呻き声を上げた―――もとい上げてしまった。先程までの脅威が、脳から離れない。もはや何をするでも無いとは分かってはいるが、自然とこの様な声を上げてしまうのは、先程の激闘を考えればしょうがない事の様に思えた。

 

 地面から、重い腰を上げて立ち上がったリーネが、恐る恐るルベドへと近づいて行く。ルベドの正面で立ったリーネは、ルベドのその小さな顔を覗き込んで行く。

 

 可愛い―――まず最初に浮かんだのがその言葉だ。羨ましい程の小顔に、整った輪郭、お目目は大きくぱちくり開いている。まるで天使の様だ。こんな可愛い存在が、暴走すればあれ程に恐ろしい物になろうとは。顔を覗き込んだリーネは、その余りのギャップにまた一つ苦笑いをしていく。

 

 (タブラさん、ギャップ萌えだったわよね…狙ってやってないよね…まさか?)

 

 「むぅぅぅん」腕を組みながら、リーネはルベドを見つめていく。そうこうしていれば、足音を響かせ、誰かがやって来た。

 

 振り向けば、そこにいたのは『モモンガ』『たっち・みー』『タブラ』『ガーネット』の四人だ。何やら、深刻な雰囲気を纏うガーネットが、リーネに一つ頭を下げていく。

 

 「すまん、リーネ…今回の件は全面的に私が悪い。」

 

 「え?…あぁ…はは、まぁいいんじゃない?どうにかなったことだし…ガーちゃんが好きな事だと周りが見えなくなる人だって知ってるしね。」

 

 「はは…そうか…そう言ってくれるとは…嬉しいね。」

 

 どこか困ったような、乾いた笑いをガーネットは漏らす。少し間を置き、ガーネットはルベドを見つめていく。

 

 そして、意を決したかのように言葉を吐いた。

 

 「皆さ…言うんだ…ガーネットさんだししょうがないってね。こんなことになったって言うのに…皆許してくれる…いいギルドだね…だからこそ、ケジメはつけないとね―――ルベドは『廃棄』する。」

 

 ゴクリとリーネは一つ息を飲む。重い沈黙が舞い降りた。ガーネットの言葉には、それだけの重みがあった。

 

 機械をこよなく愛する彼の事だ、断腸の思いで言ったのだろう。だからこそ、リーネには何も言えない。ルベドには何の罪もない。条件が分かっていながらも、過剰稼働させてしまったこちらに比がある。なのに破棄するとは、なんとも身勝手な物だ。だが、責任を感じるガーネットの纏う空気はなんともいたたまれない。こんな可愛いルベドが、ナザリックからいなくなるのは非常に悲しいが、それでも、これが最善の落としどころの様にリーネには感じられた。

 

 タブラもたっちも、意を唱える事はしない。恐らく、二人共自分と同じ考えなのだろうと思う。

 

 そう思っていれば―――意を唱える者が一人。

 

 「なッ!?何を言っているんです!ガーネットさん!機械はあなたの生きがいでしょう!?それを―――ルベドはあなたが心血(しんちゅう)(そそ)いだ最高傑作ではないですか!?なんで廃棄するって考えになるんですか!?」

 

 「さっきも言った―――ケジメだからだよ、モモンガさん。」

 

 「ケジメ!?なんでケジメを取る事が廃棄になるんですかッ!駄目です!それはギルド長として認められないッ!!」

 

 「廃棄しなければならないッ!!あのような悪魔の様なシステム諸共にッ!!次また暴走すれば、止めれる保証などないだろうッ!?なぁ!ギルド長!あなたはギルドが大切じゃないのかい!?」

 

 「大切ですよ!でも―――」

 

 バッと、モモンガはルベドを守るかのように腕を振りかざしていく。モモンガの手を目の前にしても、ルベドはなんの反応も示さない。当然だ、ルベドはゲーム上のプログラムに過ぎないのだから。なんの反応も示さないルベドが、只々真っ直ぐに、叫ぶモモンガを見つめていた。

 

 「―――ルベドも大事です!いや!ギルドの全てがです!無駄な物なんてないんですよ!!それはガーネットさんあなたの気持ちもです!やりたい事を我慢して…何がゲームですか!!気持ちを押し殺したあなたを、見続けるのは私は嫌ですよ!!」

 

 ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…早口で捲し上げたモモンガは、肩で息を切る。言いたい事は言った。そんなモモンガを見つめたガーネットは困った様に肩を浮かしていく。

 

 まったくしょうがない奴だ―――そう言った態度に見えた。

 

 「…廃棄するのが、一番丸く収まると思ったんだがね。どうやら、うちのギルド長は私が思うよりも頑固者なようだ。」

 

 「…ははは…今頃気づいたんですか?言っときますけど、こんな頑固者をギルド長に薦めたのは、ガーネットさんでもあるんですからね…諦めて下さい。」

 

 「はっはっは…やれやれだね…全く。」

 

 「やれやれですよ、自分でも思います…ガーネットさん、ケジメと言うのならば、ルベドを廃棄するのは間違いです…投げ捨てるのは簡単です、それはどんな方法よりも…そんな最も簡単なやり方、私は認めません。もし本当にケジメをつけたいのならば、ルベドをもっとより良い物にして下さい。ナザリックを守る、頼りがいのある『守護神』にね。」

 

 「難しいね~…うちのギルド長は中々に鬼畜な男の様だ…いいだろう―――やってやろうじゃないか。」

 

 二人は見つめ合い、そして笑い合う。そこには、先程までのわだかまりはもうない。

 

 リーネはちらりと残りの二人―――たっちとタブラへと視線をずらす。

 

 そんなリーネに気づいたのだろう。二人もやれやれと言った風に肩をすくめた。どうやら、二人もリーネと同じ気持ちだった様だ。今回の件は、明らかにガーネットが悪い。しかし、だからと言って、ガーネットに自分の気持ちを抑えてまで、ギルドに在籍して欲しかったわけではない。大切なギルドの仲間が、毎日意気消沈している姿などいたたまれないだろう。しかし、ガーネットの気持ちも分かる。何かケジメをつけなければ、彼自身がギルドに居続けるのは気持ち的にも厳しい物があっただろう。

 

 そんなガーネットの気持ちを、ギルド長の熱意で持って、モモンガはねじ伏せていった。ケジメの矛先を、ガーネットの機械への熱意へと方向転換させると言う荒業までやってのけた。

 

 リーネは―――三人は思う。やはりモモンガをギルド長に推して正解だったと、ギルドの他の誰にも、今回のこの結果を成しえた者はいないだろう。モモンガだからできた―――素直にそう思う。

 

 取りあえずは、ルベドが廃棄されずに済んだ事に安心したリーネは、ひょっこり振り返り、ルベドの顔を覗き込んで行く。

 

 「良かったね、ルベド、モモンガさんが庇ってくれたよ。大切なんだってさ、ルベドが…でも、必死だったね、モモンガさん…笑っていいよ。」

 

 ルベドからはなんの反応もない。語り掛けてくるリーネを見つめたまま、ルベドは只々立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

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 モモンガとガーネットのぶつかり合いから、幾分かの時間が経った。

 

 地底湖の騒がしさは現在ピークを迎えている。リスポーンした全員が、再度集い終わったからだ。

 

 集った全員は一堂に介し、その正面にギルド長であるモモンガが立つ。ぺこりと頭を下げたモモンガが感謝の意を述べれば、辺りからは拍手喝采が鳴っていく。

 

 ここに集った全員を、今後アインズ・ウール・ゴウンが全面的にバックアップする事を告げていけば、先程を越える歓声が地底湖に響いた。

 

 「あ~…皆さん…静粛に…静粛に。」

 

 「流石はアインズ・ウール・ゴウンのギルド長ネ。器デカいヨ、アイツ。」

 

 「うむ…何という御仁だ、正に大ギルドの頭に相応しい。」

 

 「ゲッゲッゲ~!流石だぜ、モモの字!」

 

 「うらァァァ!!アインズ・ウール・ゴウンが俺達のバックじゃァァァい!!これでなんでもかんでもやりたい放題じゃァァァい!!」

 

 「なぁ…青髪…やっぱこいつやばくねぇか?」

 

 「んあん?アラフはこんなもんだっての。」

 

 ワイワイ―――ガヤガヤ。

 

 地底湖は騒がしさを増していく。「静粛に静粛に」とモモンガが宥めている時だった。ある者が、ある者の元へと歩いていく。

 

 「…ふふ…私になにか用かしら―――たっち・みー。」

 

 言葉を発したのはステラだ。つまり、ステラの元に歩み寄っていったのは、たっち・みー。相対する両者の姿が目に入った瞬間、騒がしかった地底湖に静寂が舞い降りた。

 

 皆が一様に黙る。舞い降りた静寂の中、たっち。みーが口を開く。

 

 「…凄まじい…初めてですよ…相対するだけで戦慄を覚えるのは。」

 

 「あら?光栄ね…あなたこそ、帝王の名に恥じぬ男の様ね。」

 

 静寂の中、二人の言葉は全員の耳に良く届いていく。全員がごくりと一つ息を飲んだ。目の前の二人から、バチバチと火花が散るかのような、その様な幻覚さえ思わせていく。

 

 ―――()るのか!?ここで!?!?

 

 全員の脳裏を駆け巡るその言葉―――それと同時に思う。

 

 ―――どっちが強い!?!?

 

 二人を見つめる全員に緊張が走っていく。もしかしたら、自分達は今から『ユグドラシル最強』を決める闘いを目撃するかもしれないのだから。

 

 ピリつく空気―――しかし。

 

 「はいはいッ!!はいはァァァいッッッ!!そこの二人ィィィ!!そう言うのはねェッ別の機会にどうぞッ!!今から打ち上げを兼ねた慰労会をするんですからッ!!」

 

 パンパンパン―――モモンガが手を打ち付ける音と共に、二人を制していく。

 

 ピリついた空気は瞬時に飛散し、ステラとたっち・みーは一瞬目を合わした後に、軽い苦笑いを作った。

 

 確かにモモンガの言う通りだ。どうやら二人共、柄にもなく気持ちが昂っていた様だ。

 

 落ち着いた二人を見つめたモモンガは、その後周囲を見渡していった。そして最後に、パンっと一つ手を鳴らす。

 

 「それでは、皆さん!今日は本当にありがとうございました!ささやかな物でございますが、これから皆さんと、戦利品あさりと言う名の慰労会を行いたいと思います!」

 

 全員がきょとんとした―――いや、全員とは言うがそれは、助っ人組の全員だ。きょとんとする助っ人組を、にやにやしながら見つめるギルドメンバー達の目の前で、意味を理解した瞬間―――爆発的な歓声が上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

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 「あぁ~…ごっついで~…こらぁ…ごっついで~。」

 

 何やら聞きなれた言葉が聞こえてくる。勿論これはテラの言葉だ。テラが辺りを見渡せば、見えてくるのは、アイテムの山、山―――山。

 

 ここは第八階層―――荒野。

 

 千を越えるプレイヤー達のドロップ品が、荒野にはそこかしこに散らばっているのが見える。

 

 テラはソロプレイヤーだ。それも非常に弱く、弱小プレイヤーと呼ばれる類の。実際、テラにとってはそれでいい。テラはユグドラシルでギャンブルをするのが生きがいだからだ。そんなテラだ、ユグドラシル金貨はギャンブルに消えていく。装備品を作る為のアイテムも、クリスタルも、全て商人ギルドに流して金貨に変える。つまりは装備など作る事はない、店売りの安い装備だけでここまで続けてきた。そんなテラの目の前には山の様な装備群が見える。テラがごっついごっつい言うのも頷けるだろう。

 

 「よう、色男。」

 

 「へ―――んが!?」

 

 バシンと背中を叩かれたテラが何事かと振り向けば、そこにいたのは『アロービーチ』。テラがドギマギしていく。目の前にいるのは、とんでもない大物だからだ。

 

 「最後の突撃、カッケかったぜ?魅せるじゃねぇか、えぇ?」

 

 「え…えぇ…あぁ~いやぁ~…。」

 

 「そうね、粋だったわよ、あなた。」

 

 「あ、あぁ…そうですか―――ってうわァァァラスボスゥゥゥ!?!?」

 

 「「はぁ?」」

 

 キョロキョロ―――アロービーチとステラが周囲を見渡す。

 

 ラスボス?一体こいつは急に何を言いだすのかと思った時、ステラより先に意味を理解したのだろう、アロービーチが腹を抱え笑いだす。

 

 「だっはっはっ!!ステラの姉さん!あんたラスボスだってよぉ!」

 

 「えぇ!?なによぉ!もぉう!!私ってばそんなに怖いかしらァッ!?えぇッ!?」

 

 「あ―――あわわわわ!?!?」

 

 「だっはっはッ!よぉう、色男!こう言うのはよぉ、ラスボスじゃなくて『裏ボス』っつうんだよ!ラスボス越えた裏ボスっつうんだ!!だっはっはッ!!」

 

 「もぉう!?なによなによッ!!二人してッ!!ふんッだッ!!もう良いわッ!好きなだけ笑ってなさいなッ!!」

 

 プンスカプンスカ腹を立てながら、ステラは別の場所を漁りに行ってしまった。そのステラの姿がツボに入ったのか、アロービーチは更に腹を抱え笑う。バシバシとテラの背中を叩いたアロービーチは満足したのか、ステラとはまた違った場所まで進んで行った。

 

 「はぁはぁはぁはぁ―――ビビったでぇ~。」

 

 そんな、ドギマギするテラの肩へとポンっと手が置かれていく。

 

 「ぎゃあッ!?」

 

 「うわッ!!なによぉう!そんな驚かなくたっていいじゃないッ!?」

 

 飛び跳ねるテラの耳に届くは聞きなれた声だ。振り向けば、そこにいたのはリーネであった。テラはホッと胸を撫で下ろす。

 

 「なんやリネきちぃ~、驚かすなや。心臓ポ~ン飛んで月まで行ってまうかと思うたで。」

 

 「知らないわよッ!そんな驚かしてないし!!」

 

 やいのやいの言い争いをする二人。これはいつもの事だ。そして最後には、結局二人で笑っている。今だってそうだ、徐々に怒鳴り声が笑い声に変わっていっている。

 

 「ははは…テラさん、ありがとね…助けに来てくれて。」

 

 「何言うとん?当たり前やろ、俺を舐めんなよ?ここで知らんぷりできる様なら友達なっとらんで。」

 

 ケタケタ笑うテラにつられ、リーネもまたケタケタ笑っていく。

 

 一しきり笑った後に、リーネはテラにある物を手渡していった。

 

 それは―――首飾り。

 

 一目見ただけで豪華だと分かる首飾りを手渡されたテラが「なんやこれ?」と言いながら、首飾りをマジマジと見つめていく。

 

 「なんかさ、なんちゃらちひろって奴が持ってたアイテムらしいよ。建やんに、今回の立役者だからって言われて貰ったんだけど…テラさんにあげる。MVPだからね、テラさんは。」

 

 「うぅ~ん?そうなんか?くれるんなら貰うけど…。」

 

 「そうそう、貰っときなさい。あとそれ―――()()()()()()()()だから、絶対に売ったりしたら駄目だからね?アイテム鑑定もここでは禁止!留置所に帰ってから一人で鑑定してね…いい?くれぐれも…ひ・と・り・で…だからね?」

 

 「お…おぉう…なんや念を押すな…わ、分かった…そうすんで。」

 

 念を押すだけ押して、リーネは「そんじゃね」と言いながら別の場所まで行ってしまった。頭上に?マークを浮かべたテラだったが、気を取り直してアイテム漁りを再開する。

 

 余談だが、リーネに言われた通り、留置所に帰ってアイテム鑑定をしたテラが、余りの驚きにひっくり返る事になるのは言うまでもない。

 

 恐る恐る装備して、自らに<世界の守り>が付与されたのを見てしまったテラが、しばらく周囲に怯える事になるのだが、それはまた別の話だ。

 

 

 

 

 

 

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 テラに、だいだろすちひろから奪い取った世界級(ワールド)アイテムを手渡したリーネは、気を取り直して戦利品漁りに励む。

 

 自らのお眼鏡に叶う物はあるかと、鼻歌交じりにアイテムを拾っていく。昔はよく、PKと言う名の不意打ちで、この様に他人からアイテムをぶんどってはいたのだが、ステラにボコられてからはその様な事は極力控えていた。まぁ、無暗なPKは―――という意味だが。

 

 「~♪~♪」リーネの機嫌がどんどん良くなっていく。無暗なPKは控えてはいたが、別に戦利品が嫌いな訳では無い。頑張った自分へのご褒美の様に、この様にドロップ品を品定めする行為は、いつになっても彼女は好きな様だ。

 

 「~♪お?」

 

 そこかしこに散らばるアイテムの中に、武骨ながらも豪華さを秘めた刀が目に入ってきた。

 

 キュピピピ~ン―――リーネのお宝センサーがキュッピッキュッピッ音を鳴らしていく。

 

 間違いない、これは掘り出し物だとリーネの感が告げるや否や、即座に刀を手に取っていく。

 

 手に取った刀を頭上に掲げ、舐める様な目つきで、リーネは刀を品定めしていく。

 

 絶妙な長さだ。長くもなく、短くもない。無論、自分が扱う獲物と考えたならば、非常に長い―――いや、長すぎるぐらいだが、それでもこの尺は万人が使いやすいと評価するであろう長さだ。

 

 続いて鞘に目が行く。黒を基調に、淡い白の靄の様な模様が描かれている。主張し過ぎていない感じが、どこか風流さを感じさせる。

 

 そして柄部。シンプルだ―――至ってシンプル。正に、THE刀と言った所か。ヴィジュアルはリーネにとっては満点に等しい。

 

 「うっほッ♪洒落乙ね、これ。」

 

 「おぉ、かっけぇな、その刀。」

 

 刀を品定めしていれば、後ろから知った声が聞こえてくる。振り向けば、そこにいたのは『アロービーチ』―――と、何やら中華風な男だ。

 

 「あぁ、アロビ。おっつ~。」

 

 「おぉう、マジで疲れたぜ、今日は。」

 

 「初めましてネ、アンティリーネ…いや、ワールド・チャンピオン・ムスペルヘイム。」

 

 「あ…どうも。」

 

 ぺこりとリーネは一つ頭を下げていく。少々棘のある言い方に聞こえたため困惑していったが、恐らくは、この中華野郎はアロビの仲間だろう。公式大会で、自分はアロビに勝ち、この称号を得た。ちょっとした嫌味と言った所か。

 

 中華野郎の隣では、アロビが何とも言えない空気を纏っている。やはり先程の言葉は嫌味だったのだと、確信を得たリーネだが、特に気にする事も無く、品定めを再開していく。そうすれば、自分もその刀に興味津々だと言わんがばかりの雰囲気で、アロビもまた刀の品定めに入って行く。

 

 「ランクはどんくらいだ?<伝説級(レジェンド)>くらいか?」

 

 「ん~…どうだろ?最低伝説級(レジェンド)だろうね。」

 

 そう言いながら、リーネは鑑定アイテムを用いて、刀の情報を調べていく。そして出た結果は。

 

 「あ…これ<神器級(ゴッズ)>だ。」

 

 「ほぉ~う、ど~りでな、なんつ~かこう、風格あるもんなその刀。」

 

 伝説級(レジェンド)は最低あるだろうと踏んでいたが、まさか神器級(ゴッズ)だったとは。やはり掘り出し物だったかと思うと共に、次は秘めたる性能を鑑定していく。

 

 

 

 名前―――なし

 武器名―――<刀>

 <全能力上昇Ⅴ><物理カット突破Ⅲ><(けん)(あつ)Ⅲ>

 <鋭利減少Ⅱ> <耐久上昇Ⅱ> <属性強化Ⅲ>

 <クリティカル補正10%>  <回避補正40%>

 <斬撃補正10%><刺突補正10%><連撃補正10%>

 <サイズ差補正無視>  <星幽(アストラル)体補正無視>

 <炎属性付与> <雷属性付与> <氷属性付与>

 <聖属性付与> <即死属性付与>

 <竜特攻Ⅲ>  <人型特攻Ⅲ> <両手持ちⅢ>

 <残像Ⅲ><分身Ⅲ><心眼(しんがん)Ⅲ><神眼(しんがん)Ⅲ><刀歩(とうほ)Ⅲ>

 <身躱しⅢ> <明鏡止水> <死屍累々>

 

 

 鑑定アイテムを用いて、能力の詳細を見ていく、リーネとアロービーチ。しばし無言で思案した二人が出した答えは。

 

 「普通に強いわね。」

 

 「だな、普通に強いな。」

 

 でた答えは―――普通に強い。

 

 「ただ、補正がやたら低いわね。無理くり詰め込んだって感じ。」

 

 「まぁ、こんだけスキル詰めこんだらそ~なんだろ。つ~か、こいつ詰め込み過ぎだろ…節操ねぇな、マジで。」

 

 「手あたり次第に強スキル入れてるよね…性能に頼り過ぎぃ~…雑魚相手には『万能』になれるけど、『強敵』相手だと、これ器用貧乏よ?」

 

 「あれもこれもは悪手だぜ?なぁ、持ち主さんよぉ?おかげで、折角の強スキルがⅢまでしか上げれてねぇじゃねぇか。」

 

 「特攻系もⅢじゃ微妙よね。Ⅴまで上げないと、ボス戦じゃ余り意味無いし。」

 

 「死屍累々入れてんのに、連撃補正10%とか…繋げる自信がないんか、こいつ?んなら死屍累々いらねぇだろ?」

 

 「ていうかさ、残像と分身いらなくない?それなら心眼(しんがん)神眼(しんがん)Ⅴにした方が強いでしょ?」

 

 「あぁん?お前…回避補正に40%も振ってんだぞ?身躱しもⅢまで振ってんし、回避主体の奴だったんじゃねぇか?心眼(しんがん)神眼(しんがん)は攻守両立だが、どっちかと言えば回避よりだろ?」

 

 「あぁ~…な~る…しかし、流石神器級(ゴッズ)ね、こんだけ詰め込んで明鏡止水とか振れるんだ…課金して容量増やしてるわね、これ。」

 

 「明鏡止水つえ~よな、まぁ俺はそんなもんに頼らんがな。それいれるくらいなら、クリティカル補正と刺突補正を100%にすんね。」

 

 「これが剣圧Ⅲじゃなくて、(けん)()Ⅲだったらゲロ強ワロリンティ~ヌだったわね。」

 

 「いやいや…こんだけ詰め込んでんのに(けん)()Ⅲなんか詰め込める訳ね~だろ、ギルド武器並みだぞそれ。」

 

 「あ、あと属性強化いらない。」

 

 「そ~か?全能力上昇のがいらなくねぇか?」

 

 「全能力上昇はいるくない?属性付与は必須だけど、強化はいらないでしょ?手数でどうにでもなるし、割食わせるの勿体ないでしょうが。」

 

 「い~や、いらねぇな。あくまで全能力上昇はだけどよ。筋力上昇Ⅴで十分だ。他はいらねぇ、余った分は全部補正に回すね、俺なら。」

 

 やいのやいのと二人は武器の性能について語り合っていく。なんだかんだ、この二人は馬が合うのだろう。

 

 「まぁでも、総合評価は普通に強いね。」

 

 「あぁ、普通に強いな。」

 

 そして会話は最初の答えにリターンしていく。そう、この武器は普通に強い―――そう、普通に強いだ。

 

 この二人にとっては、それぐらいの評価でしかない。

 

 「折角の神器級(ゴッズ)なんだしさ~…やっぱ尖らせないとさ…ねぇ?」

 

 「だな、特化型が結局一番つえ~からな。」

 

 「私なら、死屍累々と連撃補正200%だけでこれは完成ね。まぁ、余った分は速度上昇に回すかな?」

 

 死屍累々は、敵を殺せば殺す程、ステータスが上昇していくスキルだ。一見滅茶苦茶に強い様に聞こえるが、次の敵を殺すまでのスパンが非常に短い為、最速で敵を殺していく事が前提となるスキルだ。

 

 故に手数が必要となっていく。だからこその、連撃補正200%という事だ。使い手を選ぶスキルであり、腕が試されるスキルでもある。

 

 ケタケタ笑うリーネに対し、腕を組みながらこくこく頷くアロービーチの姿があった。

 

 「腕がないんなら死屍累々なんかいれんなよな」と言うアロービーチに対し、リーネもまた「そうそう」と言いながら頷いていく。

 

 二人でそうして話をしていれば。

 

 「皆が皆、お前達みたいに強くないヨ。」

 

 気持ちよく武器談義をしていた二人の会話をぶった切るかのような、龍の棘のある言葉が聞こえてくる。

 

 アイテムを漁りながら、その様に言う龍の方に、二人は振り向いていった。

 

 「特化させるいうこと、それすなわちシンプルになるいうことネ。シンプルになればなるほど、己が力量試されル…腕でリカバリーせざる得なくなるヨ?」

 

 アイテムを漁る手を止め、龍は二人に向き直る。

 

 「あれも欲しい、これも欲しい思う…普通の事ネ。性能に頼る…何もおかしいこと違うヨ?お前達もう少し、凡人の気持ち分かった方がいいネ。皆が皆、お前達みたいに腕でカバーできない…今一度、自分達の力量見つめ直すヨロシ。」

 

 「「…あ、はい。」」

 

 「ヨロシ」そう言った龍は、またアイテム漁りを再開していく。

 

 黙々とアイテムを漁る龍の後姿を見つめていた二人は、ふと顔を合わせ、盛大に苦笑いをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 「あひゃひゃひゃひゃ!!ばんざぁい!ばんざぁい!アインズ・ウール・ゴウンばんざぁい!うひひひひ!!」

 

 狂気じみた笑い声を上げながら、アラフが落ちているアイテムを一心不乱にアイテムボックスの中に投げ込んでいる。

 

 拾っては投げ込み、拾っては投げ込み―――そこには恥も外聞もない。全て俺の物だと言わんがばかりに、目につくアイテムを無造作に拾い集めていく。

 

 「ちょ…ちょっと、アラフ…流石に下品すぎないかい…その…恥ずかしいんだけど。」

 

 アラフのそのあんまりにもあんまりな行為に、堪らずクラン長であるスルシャーナから声が掛かった。

 

 確かに自分達は弱小クランであり、この様な高品質なアイテムの山を見てしまえば、気が動転してしまうのは分かるのではあるが、流石にこれはあんまりだ。節度くらいは弁えて欲しいと思ってしまう。

 

 「うっせぇ!!これは俺んのだ!俺んの何だよォッ!!いいからお前らもさっさと拾いやがれってんだ!!取られちまうぞォッ!!」

 

 「うへへへへ」気持ちの悪い声を上げながら、アラフはまた黙々とアイテムを拾っていく。溜息をつきながら肩を落としたスルシャーナがきょろきょろ辺りを見渡せば、他のクラン員―――『ねこにゃん』『ガンジョウ』『炎火』『ルビアス』も一様に溜息をつき、肩を同じく落とした。

 

 「アラフ…流石にそれは…冷えっ冷えよ。」

 

 「んあん…まぁ、気持ちは分からんでもないがな。」

 

 ひょいっと、ねこにゃんは足元に落ちていた『短剣』を拾っていく。非常に立派な短剣だ。装飾も鮮やかで、LVの高い金属も使用されているであろう。ランクで言えば、恐らくは<伝説級(レジェンド)>くらいはありそうだ。

 

 右手で短剣をくるくる回しながら、ねこにゃんは周囲を見渡す。そこには、高品質のアイテムがそこらかしこに散らばっているのが見える。

 

 尋常な光景ではない。アラフの目がくらむのも分かると言う物だ。

 

 「んあん、俺もぼちぼちアイテムでも漁るか…この階層以外のアイテムも回収しなきゃだしなぁ…―――!?」

 

 右手でくるくる短剣を回していたねこにゃんの目つきが瞬時に変わる。

 

 鋭い目つきで見据えたその先―――前方から、青白い斬撃がこちらへと物凄い速度で接近しているのを発見したからだ。

 

 スルリとねこにゃんは体を捻り、その斬撃を皮一枚で回避していく。

 

 敵はいない。気の知れた仲間とアイテム漁りに勤しんでいるこの状況下で、気の緩んだ状況下ですら、咄嗟の攻撃にすら瞬時に対応し、軽々と回避していく様を見れば、やはりこの男もユグドラシル屈指の強者であるという事をまざまざと実感させられる。

 

 「んあん?なんだ―――」

 

 「あぎゃあッ!!?」

 

 「―――んあん?」

 

 スルリと斬撃をねこにゃんが回避したと思えば、後方から聞こえるは叫び声だ。

 

 ねこにゃんが振り向けば、そこには、斬撃が直撃し、吹き飛んで地面に突っ伏しているアラフの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 「~♪~♪」

 

 「機嫌いいなぁ、えぇ?おい。」

 

 拾った刀を肩に担ぎ、リーネは機嫌よくアロービーチと一緒にアイテム漁りを続けていく。

 

 魔法能力補正(大)の金色の<指輪>。

 レンジャー能力補正(大)の黒い<短剣>。

 身体能力補正(大)の虎柄の<グローブ>。

 魔力系魔法を強化する<杖>

 

 この様な装備品以外にも。

 

 特級の<ポーション>。

 最高位の<スクロール>。

 最高位の<転移>アイテム。

 使用回数(大)の蘇生の短杖(ワンド)

 ――最高位蘇生魔法を収納―― 

 使用回数(大)の回復の短杖(ワンド)

 ――最高位回復魔法を収納―― 

 最高位の<魔封じの水晶>。

 最高位の<召喚>アイテム。 

 

 その他にも、呪い等の状態異常回復アイテム、膨大な魔力を内包した魔力石など、様々な消耗品アイテム等を鼻歌交じりに回収していく。

 

 「まぁね~♪有用アイテムが山の様にあるんだし、当然でしょ~♪」

 

 「それはそうだがよ…まとまりなくねぇか?消耗品は分かるけどよ、装備品はお前に絶対必要ないやつだよな?」

 

 アロービーチが疑問を抱く。

 

 リーネが鼻歌交じりで回収していく装備群は、殆どがレンジャー系や魔法系、後は身体能力上昇系のものばかりだ。戦士系の装備など、先程拾った刀だけの様に見える。

 

 「いいのいいの♪使い道はあるからさ♪」

 

 「そうか?まぁ、『分解』して素材に変えりゃいいか。」

 

 拾っているアイテムは全てが<聖遺物級(レリック)>以上。<伝説級(レジェンド)>も多数と言った所だ。この品質の装備なら、分解してしまえば、相応の素材が得られていくだろう。

 

 使うもよし―――売るもよし。

 

 恐らくは後者だろうとアロービーチは思う。アインズ・ウール・ゴウンは今回の防衛戦で甚大な被害を被った。防衛戦には勝利した物の、修繕費は計り知れないだろう。

 

 ユグドラシル金貨は今から必須になっていく。完成品の装備を売るよりも、素材を売った方が効率よく金貨を得られていくだろうから。

 

 完成品だと、需要が偏る。しかし、素材ならば、使える用途が増える分、需要は高まっていくだろう。

 

 意味を理解したアロービーチが腕を組みながらこくこく頷く。

 

 そんな中、リーネは一息と言う様に背伸びをし、手に持つ刀をまじまじと見つめた。

 

 (ん~…あけみ…これ喜ぶかなぁ…あの子はちょっと特殊だからな…こんなゴリッゴリに強スキル詰め込んだ刀とか嫌がりそうだなぁ…。)

 

 あけみは非常に気難しい女だ。自らの技術を練り上げるのが趣味である為、シンプルな武器を好む。この様に、スキルを盛り込んだ武器など御法度である。

 

 特に全能力上昇と言うのはいただけない。自らの身体スペックの上昇などはあけみの最も嫌う能力である。

 

 (…ん~、便利なんだけどなぁ~。)

 

 全能力上昇と言う言葉が頭に過ったリーネは、頭の中でそう呟いた。

 

 こちらの世界―――ユグドラシルと、リーネの住む世界では、能力の効果が微妙に違っている物が多い。この全能力上昇もその一つになっていく。

 

 ユグドラシルでは、戦闘ステータスの上昇しか齎されないこのスキルではあるが、リーネの世界では話がガラッと変わっていく。

 

 全能力という名前の通りに、ユグドラシルには存在しない能力―――ステータス以外も軒並み上昇していく。

 

 思考能力や集中力、危機感知能力だけにとどまらず、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚面の上昇、それに加え、反射神経や動体視力などの神経伝達能力の上昇も追加されていく。

 

 特に、集中力の上昇は現実世界に置いては目を見張る物がある。現実世界特有の強力な能力―――『武技』は途方もない集中力を要求される。故に、集中力の上昇は、現実世界の戦士職の者にとっては特大のアドバンテージになっていくだろう。

 

 そして、全能力上昇の効果はこれだけでは終わらない。様々な耐性にも効果を表していく。毒や麻痺などに代表される、特殊なバッド効果に対する耐性も、軒並み上昇するという事だ。

 

 フレーバーテキストが現実になる異世界ならではの効果と言った所だろうか、ゲームの効果―――それに付随するテキストが現実になった事により、化けた能力の代表と言ってもいい。

 

 これが非常に便利な物で、最近では、リーネは軍の座学の際、全能力上昇Ⅴを付与した指輪を装備する事で、頭の回転を上げて、勉学に勤しむのが日課になっている。

 

 おかげで、座学の成績が飛躍的に上昇し、母が「私の娘は天才よ~」と言いながら屋敷をスキップしているのを見てしまった時には、気づかれない様にそっと屋敷を出て、罪悪感に苛まれながら、無言で空を見上げたほどだ。

 

 この様に、非常に便利なスキルに化けた全能力上昇ではあるが、やはり、あけみは気に入りはしないだろう。

 

 しばしリーネは頭を抱えたが、やはりこれはあけみにあげるべきではないと判断する。彼女には今度別に、もっとシンプルな刀を作ってプレゼントしようと心のメモに書いていく。

 

 (んッ!じゃあこれは自分へのご褒美にしよう!向こうに持って帰って飾ろう!この武骨で風流なヴィジュアル気に入ったもの!!)

 

 落ち着いたら、あまのまに頼んで、豪華な『刀掛け』を作ってもらおうと、心のメモに書き足していく。

 

 神器級(ゴッズ)アイテムを観賞用に飾るなど、豪華すぎる。流石はアインズ・ウール・ゴウンと言った所だろう。

 

 スゥ―――リーネは鞘から刀を抜いていく。

 

 剥き出しになった刀身が姿を表せば、青白い靄が揺らめくように沸き上がってきた。

 

 「うっほッ♪やっぱ洒落乙だこれ。」

 

 「だよな!かっけぇよなこれ!このエフェクト<課金エフェクト>だろ。しかもガチャの当りときたもんだ。」

 

 「そうそう!レアもんよこれ!私も欲しかったんだけどさぁ…『四聖SFガチャ』と被っちゃったから泣く泣く諦めたんだよね…復刻してくんないかなぁって思ってたんだけど…まさか手に入るとは…。」

 

 「俺も頑張ったんだけどよ…一万溶けて半泣きになってやめたわ…。」

 

 「はぁ?一万?一万なんかガチャ神様へのお布施にもなんないわよ。」

 

 「うっせッ!この廃課金者が!一万は大金なのッ!お前の金銭感覚が狂ってんのッ!」

 

 「それ良く言われる。ていうか、私この青白いエフェクトが押しだったのよね~。」

 

 「おぉ、分かる分かる!金とか銀とかあったけどよ、やっぱこれだよな!」

 

 「攻撃にも使えんのよねこれ。あんま強くないけど。」

 

 「性能はしゃあねぇだろ?エフェクト如きが強かったら壊れになっちまうしな。」

 

 「確かに…まぁ、雑魚狩りにはいいけどね。」

 

 そう言いながら、リーネは刀を頭上に掲げ、「えい」と言いながら振り下ろした。

 

 その瞬間、青白い靄が斬撃となり、一直線に進んで行く。

 

 この様に、このエフェクトは攻撃にも使える。戦士は対空手段も限られている為、変にスキルを使用しなければならない事が多い。

 

 この斬撃は範囲もバカ広く、威力も多少はある為、スキルの使用頻度を押さえて攻撃に繋げる事も可能になっていく。リーネが雑魚狩りに有用と言ったのはその為だ。

 

 自らを覆い、防御にも使用できるなど、意外と汎用性は高いエフェクトである。流石はガチャの当りと言った所か。

 

 リーネが、青白く、神秘さを思わせる斬撃に惚れ惚れしていれば―――

 

 「あぎゃあッ!!?」

 

 ―――遠くから悲鳴が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 「だ―――だだだだだ!大丈夫ですかぁッ!?」

 

 「おまッ!マジバカやろぉだな!いくらなんでもここで振り回すのはねぇだろッ!」

 

 悲鳴が聞こえた方向へ、リーネとアロービーチ急ぎ駆けつける。

 

 アロービーチの言う事ももっともだ。いくらなんでも、こんな人が多い中であのように斬撃を飛ばすのは流石に無い。ギルドメンバーだけならいいが、現在この階層には、フレンド登録を済ませていない者達で溢れている。

 

 「んあん?アロービーチじゃねぇか…それと…。」

 

 二人の正面には青い髪の男が立っていた。駆けつけた二人が謝罪の言葉を吐いていく。

 

 一人はアロービーチだ。そしてもう一人は。

 

 「す、すいません!すいません!」

 

 ぺこぺこ頭を下げる、ハーフエルフの少女。

 

 『ワールド・チャンピオン・ムスペルヘイム』

      『アンティリーネ』

 

 の姿がそこにはあった。

 

 「はは…嬢ちゃん…いつの間にか大物になっちまったな…これがな。」

 

 「…は?え?」

 

 ―――嬢ちゃん?

 

 リーネは呆気にとられていく。何やら、この青髪の男は、自分の事を知っている様な言葉で喋り掛けてくる。

 

 自分はワールド・チャンピオンであり、ユグドラシルで最も知名度があるプレイヤーの一人である為に、知っているのは理解ができるが、何やら、先程の言葉の中身はまた少し違った印象を受ける。何というか、どこかで会ったことがあるような、その様な言い回しに聞こえた。

 

 呆気にとられたリーネが首を掲げれば、地面に突っ伏していた白い髪の男が、ゆっくりと立ち上がり、こちらに向き直ってくる。

 

 そして盛大に―――叫んだ。

 

 「嬢ちゃぁぁぁん!酷くね!?後ろから不意打ちは酷すぎぞよッ!?いやねッ!そりゃあねッ!昔あんなことしたから分かるよッ!けどさぁ―――これはあんまりじゃないかなぁぁぁ!?わし骨折れたぞよッ!?慰謝料払ってもらうぞよッ!!?」

 

 白い髪の男が、大げさに身振り手振りを使って喚きだす。

 

 どう見ても元気だ。絶対骨なんか折れてねぇだろとリーネは思うが、それと同時に、この男もまた、先程の青髪の男と同様に自分を知っているかの様な空気を纏っている。

 

 リーネは腕を組み、首を掲げていく。

 

 どこであった?いつあった?こんなうるさい奴を忘れる筈はないと思うのだが?記憶を辿るが、どうにもこうにも身に覚えがなかった。

 

 悩むリーネを見つめながら「んあん」と青髪の男が、何かを閃いたかの様な仕草をとった。

 

 「思い出せねぇか?んじゃあよ…これならどうだ?」

 

 ―――カラン。

 

 青髪の男が、手に持つ短剣をリーネの前に投げ捨てた。

 

 「嬢ちゃん―――ちょいと死んでくんね?」

 

 ―――ピキーン。

 

 リーネに閃きが起きた。新しい人類のおでこ辺りが、ピキキンと光るくらいの閃きだ。

 

 リーネは指を指し―――叫ぶ。

 

 「あぁぁぁァァァッッッ!!!?」

 

 記憶が濁流の如く押し寄せてくる。そうだ思い出した。この青髪の男と白い髪の男は、この世界―――ユグドラシルに自分がきて最初にあった二人だ。

 

 「思い出したァァァッ!私をPKしようとした二人だッ!!」

 

 「ははは、すまねぇすまねぇ、あんときは悪かったってんだ、これがな。」

 

 「言っとくがな、俺は主犯じゃねぇ。俺はあんなことしたくなかったんだ。悪いのは全部こいつだ、俺は全力で止めたからな。」

 

 「嘘つけェェェッ!!お前ノリノリだっただろォォォッ!!つーか剣投げてきたのもお前だろォッ!?覚えてっかんなァッ!私はッ!!」

 

 すまねぇと素直に謝る青髪の男とは対照的に、白い髪の男は責任の全てを青髪の男に擦り付けようとしている。

 

 やった方より、やられた方の方が覚えているとは良く言った物だ。もう随分と前の出来事だが、ひとたび思い出してしまえば、あの時の光景が鮮明にフラッシュバックしていく。

 

 「まて、焦るな嬢ちゃん。あれが嬢ちゃんを守る最善の方法だったんだ。嬢ちゃんに武器を渡して、こいつが嬢ちゃんに意識が向いた所で俺がこいつを羽交い絞めする予定だったんだよ。」

 

 「だからッ!嘘つけェェェッ!良くもまぁそんな息を吐くかのように嘘が吐けるわねアンタッ!?思考回路どうなってんのよッ!?」

 

 アインズ・ウール・ゴウンに所属し、沢山の濃ゆいメンツと時間を共にしてきた。そんなリーネを持ってしても、この白い髪の男は次元が違う。

 

 口を開けば嘘ばかり。何が一番ヤバいのかと言えば、その嘘で全ての責任を仲間に擦り付けようとしている所だろうか。

 

 ―――コイツ!本当に人間か!?

 

 リーネがそう思うのも無理からぬことであった。

 

 「どうどうどう…本当に僕の仲間がすいません。」

 

 リーネが嘘つき糞野郎に戦慄を覚えていれば、割って入ってきたのは『骸骨の魔法詠唱者』だ。

 

 種族は『オーバーロード』―――モモンガかお前はと心の中で盛大にツッコミを入れていく。

 

 青髪の男と嘘つき糞野郎を宥めている所を見れば、なるほど、この人物がこの集団のまとめ役なのだろう。

 

 リーネは思う―――やっぱモモンガだこいつと。

 

 エセモモンガと言う言葉が脳裏を過る―――が、しかしなにかしっくりこない。

 

 少し考えたリーネが、ピキンと閃いていく。そうだ、この人物の事は『パチモン』と呼ぼう。

 

 「初めまして、ワールド・チャンピオン・ムスペルヘイム。アンティリーネさん。」

 

 「あ、あぁ…ご丁寧にどうも。」

 

 ぺこりとパチモンが頭を下げれば、リーネも同時に頭を下げていく。

 

 腰の低い人物だ。この様な態度でこられてしまえば、声を荒げれば悪者は自分だろう。

 

 手段までモモンガに似ている事に、リーネは苦笑いしていく。

 

 モモンガは姉弟はいないと言っていたが、実は生き別れの兄弟とかないよなと思ってしまう。

 

 「随分と前になりますが…二人がすいません。」

 

 深々と頭を下げるパチモンの姿を見て、リーネは慌てる。

 

 「い、いえいえ!そんな…気にしてませんから私…あの時はまだこのゲームの事を分かってなかったし…ちょっと驚いただけなんで…別に何も恨んでませんから。何も知らなかった自分が悪いって思うくらいですよ…ははは…。」

 

 「よかった」そう言いながら、パチモンが頭を上げれば、嘘つき糞野郎が、なにやらふてぶてしい態度をとりだす。

 

 「お?なんだ許してもらったんか?おぉう、嬢ちゃん、ぶっちゃけあん時ぶっ殺すつもりだったけどよ、実際はPKしてねぇんだし良しとしようぜ?」

 

 ―――こぉぉぉんのやろぉぉぉッ!?!?

 

 こっちが気にしてないと伝えれば、お次は手の平を返すかのようなこの態度。本当にコイツは人間なのか!?と再度頭の中に浮かび上がってくる。

 

 そうこうしていれば、仲間達から嘘つき糞野郎が盛大に拳骨を食らっていく。

 

 「ぎゃんッ」と言いながら苦しむ姿を見れば、リーネの溜飲は見る見るうちに下がっていく。

 

 「…本当にすいません…この馬鹿が。」

 

 「…ははは…大変ですね。」

 

 「えぇ…本当にもう…あ、申し遅れました。」

 

 そう言いながら、パチモンが姿勢を正す。

 

 「僕の名前は―――スルシャーナって言います。これからもよろしくお願いしますね、アンティリーネさん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 「それでは皆さん、本日は本当にありがとうございました。」

 

 モモンガが深々と頭を下げていく。

 

 そんなモモンガに全員の視線が集まる―――かに思われたが、不思議とそんな事は無かった。

 

 正確には、アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバー以外の者達が、周囲を見渡しそわそわしている。

 

 それもその筈だ、現在、全員が集まっているのは、ナザリック第九階層―――『ロイヤルスイート』。

 

 その内の一室―――『応接室』に全員が集められている。

 

 煌びやかな調度品が完璧と思える配置で並べられており、全員が座るのも、豪華な椅子である。目の前には大きなテーブルが置かれ、贅沢な料理がそこかしこに並んでいる。

 

 そして驚きはそれだけでは終わらない。料理を運んでくる沢山のNPC達―――見目麗しいメイド達と、その中でも一際異彩を放つ六人の美女メイド。そしてそのメイド達を指揮するかのように、老執事が完璧な姿勢で立っている。

 

 ―――次元が違う。

 

 ギルドメンバー以外の全員がそう思った。

 

 アインズ・ウール・ゴウン―――ユグドラシル随一の大ギルドであるとは知っていたが、自分達はまだこのギルドの事を何も分かっていなかったと認識する。

 

 財力の次元が違う―――違い過ぎる。

 

 あのステラですら、戸惑い言葉がでない。そわそわと落ち着きのない者達を見ていれば、モモンガに誇らしい気持ちが湧いてくる。

 

 「本日皆様の手に取っていただいたアイテムは、全てお持ち帰りいただいて結構です。少ないですが、謝礼と言う形で受け取っていただきたい。」

 

 「ちょっといいかい?」

 

 モモンガの言葉に続くは、アロービーチの言葉。こくりとモモンガが一つ頷けば、アロービーチが喋り出す。

 

 「今回の防衛戦、流石のアインズ・ウール・ゴウンと言えども被害は甚大だろ?これ程の拠点だ、維持費も半端じゃねぇ…金貨の蓄えはあんのか?」

 

 「…えぇ、問題ありませんよ?」

 

 「嘘だな。NPC達も全員復活させた、それだけで半端じゃねぇ量だ。流石に財布が火の車だろ?こっちとしては、このギルドがバックに付いてくれるだけで途方もないメリットがある。アイテムくらい返却するぜ?」

 

 「いえ、それには及びません。謝礼も渡せないギルドにはなりたくはないのでね。」

 

 「はん、強情だな。じゃああれだ、金貨くらいは無利子で貸し出すぜ?こっちとしてももそれなりの蓄えはある。」

 

 「良い考えですな、アロービーチ殿。拠点修理には瞬間的に莫大な金貨が必要になる。こちらとしてもその一助をさせて頂ければ嬉しい限りです。」

 

 「あげる違う…貸すだけ…それならメンツも守れるネ…どこの大ギルドもやってるヨ?それくらい。」

 

 「いらないアイテムも分解しちゃってさぁ~売りさばいちゃおうよ♪ねぇ、クシリン。」

 

 「ジャンくんの言う通りッスね。ギルに頼んで大手の商業ギルドに声を掛けてもらうッス。割高で買って貰いましょう。」

 

 「アロービーチさん達の考えは僕達としても賛成ですね。ねぇ、みんな?」

 

 「んあん?いいぞ別に。」

 

 「当然ね、ユグドラシル最大規模のギルドがバックに付いてくれるんだし、それぐらい喜んで協力するっての。」

 

 「俺は嫌だね―――いてッ!?」

 

 「兄ちゃん…黙ってな?」

 

 「うっ()ッ!うあっついわね!アインズ・ウール・ゴウンが商業ギルドに顔をだせば、変な圧力掛けたみたいになっちゃいそうだし、中継は私達がするわ。」

 

 「それがいいだろう。このマコトシシォーも協力するぜ、アインズ・ウール・ゴウン。」

 

 「リネきちぃ~、任しとき~や。俺は口は達者やで~。最高額で売りさばいたるさかいな♪」

 

 「おぉう!流石だな、テラの字!相棒!俺も協力するぜッ!」

 

 全員が、アインズ・ウール・ゴウンを支援すると言う言葉を口々に口にしていく。

 

 そんな中、只一人無言を貫く人物―――ステラが、一枚のカードを取り出し、モモンガに向け投げて行く。

 

 ヒュン―――綺麗な直線を描き、カードが飛んでいく。モモンガはこれをパシリと掴んで行く。

 

 そのカードは名詞だ。眉を顰めたモモンガへ、ステラが喋り掛けていく。

 

 「私は特に渡せる物も無いし、代わりに戦かってあげるわ。私ね、傭兵稼業をやってるの…依頼をくれればタダで請け負ってあげる。」

 

 「…ははは…それは何とも―――心強い。」

 

 「言っておくけど、私は基本タンクでやってるから…私は『盾』…あなた達を守る盾になってあげる。」

 

 徐々に徐々に周囲が湧き上がっていく。そんな者達を見ながら―――リーネが紡いだ絆を見ながら、モモンガは再度深々と頭を下げていった。

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 ロイヤルスイートでの会話は白熱し、次第に馬鹿騒ぎへと変わっていった。

 

 全員がお腹いっぱい騒ぎ、楽しんだ。

 

 気づけばもういい時間だ。本日は解散と言う流れになり、各々が帰路についていく。

 

 そんな中、スルシャーナ一行も同じ様に帰路についていく。

 

 第一階層から地上に出て、日の光を浴びたと思えば、六人の目の前に立っているのは、一人の女―――アンティリーネだ。

 

 「おや?アンティリーネさん、どうしました?」

 

 スルシャーナのその言葉に、リーネは無言を貫く。いや、これは何かを言いたげにしているが、口に出すのを躊躇っているかの様なその様な仕草に見えた。

 

 スルシャーナが一つ小首を抱えたその時、リーネは意を決した。

 

 「私ね―――スレイン法国の人間なの。」

 

 言った―――言ってしまった。

 

 あの時聞いた『スルシャーナ』という名前。衝撃が走った、まさかと思った。しかし、伝え聞く風貌とその名前を考えた時、この目の前の人物があのスルシャーナではないとどうしても思えない。

 

 そして確信を得たのが―――他の五人の名前。

 

 ねこにゃん―――風の神『輝皇天使ねこにゃん』

 アーラ・アラフ―――光の神『アーラ・アラフ』

 ガンジョウ―――土の神『ガンジョウ』

 火走炎火―――火の神『火走炎火』

 ルビアス―――水の神『ルビアス』

 自らの系譜の神―――『ルビアス』

 

 そして目の前の存在は―――死の神『スルシャーナ』

 

 法国最強の部隊―――『漆黒聖典』の信仰する最強の神だ。

 

 間違いない―――間違えるはずがない。

 

 伝承と同じ名前―――同じ風貌。

 

 そんな六人が一堂に介している。

 

 偶然?ふざけているのか?そんな事は断じてない。

 

 リーネは確信を持った。だからこそ、この言葉を伝えた。

 

 これは危険な行為になるかもしれない。しかし、無視はできない。自分と同じ、異世界とユグドラシルを行き来する存在に初めて出会ったのだから。

 

 「―――!?」

 

 スルシャーナ少し仰け反った。これは驚きからだろう。この反応やはりかと思う。

 

 「六柱の神を信仰するスレイン法国。私はね、そこの生まれなの。ここではない…異世界の出身…。」

 

 仰け反るスルシャーナがワナワナ震えだした。他のメンツも同じだ、動揺を表に出している。

 

 ―――さぁ、どうでる?

 

 リーネがそう思った瞬間だった。

 

 「…うんっわ…きんっもッ…この子…。」

 

 「…は?」

 

 自らの体を抱きながら、気持ちの悪い者を見たかのように、ルビアスがぶるぶる震えている。

 

 リーネは呆気にとられていく。想像していた言葉の中に、この様な言葉は無かった。

 

 きんっもッ?キモイという事か?なぜ自分がキモイんだ?訳が分からない。

 

 思考が渦を巻く中、ねこにゃんがぐっと親指を立てサムズアップしてきた。

 

 「んあん!流石だなッ嬢ちゃん!昔と変わってねぇようで安心したぜ!これがな!」

 

 「そうそう!思い出した!スレイン法国だッ!あれからしばらく頭から離れなくなったんだぜ?どんな設定なんだそれ?」

 

 「六柱の…神々…なぁなぁ!アンティリーネの姉ちゃん!俺その設定好きかもッ!詳しく教えてくれよ!」

 

 「うッ()ッ!うあっつい設定ねッ!恥ずかしげもなくロールできるあんた!うあっついわねェェェッ!!」

 

 「凄いよッ!凄いよアンティリーネさんッ!プレイヤーの鏡ですねッ!うんうん!そうそう!ゲームは入り込まないとねッ!勉強になりますッ!」

 

 「うっそッ…あんたらマジないわぁ…きんっもッ…私この子むりぃ~…あぁ…さぶイボでてくるぅ…ひぃぃぃきっしょいわぁ~。」

 

 ―――ッ!?ッ!?――~~~ッ!?!?ッ!?

 

 混乱が押し寄せる。意味が分からない。自分を騙しているのかと考えが過るが、その考えは瞬時に消え失せる。

 

 嘘は言っていない―――確信を持って言える。自分は、それくらい様々な人達と関わってきた。この言葉が心の底からでているのぐらいは分かる。

 

 「――~~~ッ!?えッ!?はッ!?」

 

 ガンガンガンガン頭を殴られるかの様な衝撃に見舞われる。リーネが終始混乱していれば、六人は一しきり盛り上がった後に、帰路についていった。

 

 去り際に、今度その設定教えてよと言いながら。

 

 六人が去っていった後も、リーネはしばらく放心していた。

 

 一体何が?どう言う事だ?あの六人は違うのか?様々な言葉が脳裏を駆け巡る。

 

 「…行き来…していない…?前提が…違う…の?」

 

 その言葉は、誰に言ったでもない。

 

 聞く者のいない言葉が、虚しく宙を舞い。風の音にかき消されて行った。

 

 

 

 

 

 

 





 おまけ ~宝石~

 リーネ「ダルク~相変わらず暇人…暇竜?」
 ダルク「あぁ?なんだ貴様は?用がないなら帰れ。」
 リーネ「あ~あ、いいのかな?折角お土産持って帰ってきてあげたのに~。」

 ゴソゴソ―――特大の宝石を大量に取り出すリーネ。

 ダルク「くぁwせdrftgyふじこlp~~ッ!?!?」
 リーネ「ドラゴン装備なんかある訳なかったし、宝石でいいかなって―――あべし!?」

 ダルクニキの体当たり―――リーネちゃん、ぽ~んと飛んでいく。

 ダルク「うひゃひゃひゃひゃッ!これは俺のだァァァッ!俺の物だァァァッ!」
 リーネ「こんにゃろォォォッ!返せェェェッ!!」


 

 ちひろ( ゚Д゚)「じかいよこくぅぅぅ!!…なんか違うな…。」
 千葉セバス「……」
 ちひろ( ゚Д゚)「千葉さ~ん…千葉さ~ん…」
 千葉セバス「……」
 ちひろ( ゚Д゚)「ダメか…千葉さん逝っちまった…。」

 

 どうもちひろです(ΦωΦ)

 遂にスルシャーナ達と邂逅を果たしたアンティリーネさん。
 そして当然の如く、痛い奴だと認識されてしまう。
 流石の彼女も、なにかおかしいと思いだし始めました。
 彼女が真相を知る日はくるのでしょうか?

 それでは!
 今章もここまで読んでくれてありがとうございます。
 

 ―――次回
 ExtraEpisode番外編『とびっきりの最強対最強』
 でお会いしましょう!(ΦωΦ)
 それでは!シュバッ!!
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