あんてぃりーねのゆぐどらしる☆だい☆ぼう☆けん☆ ~泣き虫が伝説になるまで~   作:だいだろすちひろ

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前回のあらすじ

ナズル「元部下からパワハラを受けました。」

ファーイン「メンゴwww」


母への気持ち/母への気持ち

 

 

 

 

 

「―――――――――!」

 

 

歪みが自らの存在全てを包み込む、その様は結界に囚われてしまったかの様にも見えた、包む歪みが徐々に徐々に収縮していき、やがて一つの点になり―――消滅した。

 

 

歪みが消滅したその場所には誰もいない―――誰もいない

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

歪みの消滅と共に自らの眼前に無遠慮に入り込んできた光景に特大の困惑が訪れる。この光景は―――部屋は”見覚え”がある。

 

 

「嘘...ここ...”ユグドラシル”?また”来れた”の?」

 

 

その言葉に返答する者は今はここにはいない。言葉だけが虚しく響いていく。驚愕に支配された胸中で鼓動が高まりをましている、その理由は果たして”負の感情”だけなのか―――それとも

 

 

 

 

―――モモンガさんがINしました―――

 

 

 

 

―――”期待”によるものなのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第 六 話 「母への気持ち―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――モモンガさん?)

 

 

アナウンスの音により囚われていた混乱から少女―――リーネ―――が我に返る。それから幾ばくもせぬ内にその人物”モモンガ”のアバターが具現化してきた。

 

 

「おはようございます。おっ、”いると思った”ぞリーネ流石は未来の廃人ゲーマーだな。」

 

 

たっちさんはまだ来ないか、休日は忙しいんだろうな。そう独り言を呟く存在を目にし鼓動が落ち着きを取り戻していく―――

 

 

―――そして

 

 

「まぁでも、たっちさんは今日は来れるらしいからそれまで二人で―――リ、リーネ!?」

 

 

気づけばモモンガの体に飛びついていた、一心不乱に駆け出した、自らに襲い掛かる不安をかき消すようにモモンガの体に抱き着いた―――縋りつく様に。

 

 

「...モモンガさん。」

 

 

「おっ...おっふ...な、なんだ?どうした?」

 

 

挨拶するやいなや急に抱き着いてきた目の前の存在に対してモモンガのビックリメーターが一撃でレッドゾーンまで突き抜ける。驚きすぎて変な声が出てしまう。

 

 

訳が分からず混乱しているモモンガに声が聞こえてくる、非常に小さく、そして―――震えた声が

 

 

「モモンガさんは...いなくならないよね...。」

 

 

「うん?”いなくならない”の定義が分からないな。”ログイン”という意味ならずっとは―――」

 

 

「答えて!!!」

 

 

一方的に突きつけられる言葉、感情を優先した、理性の欠けた言葉―――

 

 

―――子供の言葉だ

 

 

「...いなくならないぞ。ログアウトはするが、次の日も、その次の日も―――”一緒”に遊ぼうな。だから元気を出すんだ。”らしくないぞ”。」

 

 

これは”空手形”に等しい言葉だ。これから先どうなるかは分からない。飽きてさっさと引退してしまうかもしれないからだ。現状モモンガにはそんな気持ちはこれっぽっちも無いが”絶対”と言いきれない。

 

 

しかしモモンガには今のリーネを納得させる術が見当たらないのだ。重圧が重く乗し掛かってくる―――また”約束”を”破って”しまうのではないかと...そうモモンガが思考を巡らせていると―――

 

 

「”らしくない”?なによそれ...モモンガさん私の何を知ってるの!これが私なんだもん!こうやって皆困らせて!皆から嫌われて!悪い子で!駄目な子で!知らないじゃん!!モモンガさん知らないじゃない!!私は―――」

 

 

濁流の様に押し寄せる言葉、内包する様々な負の感情を考えれば”怨嗟”であろう―――負に囚われている話などできない

 

 

モモンガは思う、一体どうしたのだ?っと”昨日”あの後何があったのか?たった”一日”でこうまで変わる物なのか

 

 

「落ち着け...落ち着くんだ...。」

 

 

「―――!!―――!!―――!!―――!!」

 

 

怨嗟の声は止まない...呪詛の様に響き渡る...その言葉を聞きながらモモンガはずっとリーネを抱きしめていた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

 

「...うん...ごめんなさい。」

 

 

あれからしばらく喚き散らしていたリーネだがようやく落ち着いた様だ。溜まりに溜まった物が爆発し、理性というダムが壊れ堰き止められていた”気持ち”が一気に流れ出してきた。

 

 

これほどの物をこの子は抱えていたのかとモモンガに畏怖の念が沸いてくる。続いて気づいて上げられなかった自分に罪悪感も―――

 

 

謝罪の言葉が聞こえてくる―――モモンガさんは悪くないのにっと

 

 

「モモンガさん。き、嫌いにならないで私いい子にするから。」

 

 

「...何があったんだ?昨日の今日だぞ?」

 

 

”昨日”リーネはやはりと思う”こちらも時間が進んでいない”っと続いてこれぐらいの思考はできるようになった自分に安寧する。多少は冷静さを取り戻せたみたいだ。

 

 

「うん...あの...ね。私”お父さん”いないの。ずっとお母さんと生活してたんだけど―――」

 

 

綴られる言葉は余りに重たい、モモンガが驚愕している、出だしからこれかと言う風な雰囲気を醸し出し―――がすぐにその雰囲気は掻き消える”聞き手”に徹するのであろう。

 

 

「でも...お母さんはいつも厳しくて...それが辛くて...でも私はそれでも”認められたくて”一生懸命頑張ってたの。だから―――」

 

 

ぶつ切りだ、纏まっていない、子供の言葉だ―――

 

 

―――それでも必死に言葉を紡ぐ

 

 

「でも―――お母さんは私の事が...嫌いだったの!”いらない子”だって!”目の前から消え失せろ”って!”出ていけ”って!!」

 

 

沸々とまた負の感情が沸き上がり全身を征服しようと駆け巡り出した、声に怒気が宿り出す―――怨嗟の言葉が再度綴られだす

 

 

一瞬だけ、モモンガの雰囲気が豹変した様に思えた。だがそれはすぐに掻き消える、そして言葉を発する事無く静かに話を聞いている―――リーネの言葉は止まらない

 

 

「もう私信じられないもん!何も信じられないもん!頑張ったのに!私頑張ったのに!ひどいよ!嫌いだ!皆嫌いだ!私を虐める皆!お母さんなんて...お母さんなんて...き...嫌い...だ。」

 

 

言いたくなかった言葉―――認めたくなかった言葉―――頑張って我慢していた言葉―――そして―――言ってしまった言葉

 

 

沈黙する...静寂が部屋を支配する...そして、ゆっくりと目の前の存在―――モモンガが口を開いた。

 

 

―――本当にそうなのか?

 

 

 

 

 

 

―――お母さん―――お母さん―――目を開けて―――

 

 

物心付いた時から俺には”父親”はいなかった。無理をし過ぎて職場で死んだらしい、それしか知らない―――それ以上は知らない

 

 

気づけば”母親”と二人で生活していた。俺達は”貧困層”だ。決して裕福な事は出来ず細々と暮らさなければならない、”裕福層”とは”違う”のだから

 

 

社会は、世界は理不尽だ―――”貧困層”は”裕福層”にとっての”働き蟻”であり、何もしらず、何も考えずに、”社会”の”歯車”になる事が求められる

 

 

いつまでも続く貧しい生活、それでも辛くはなかった、”母”がいたから、”母”の”苦労”を知らなかったから、俺が―――

 

 

―――子供だったから

 

 

頑張って”勉強”して、”進学”して、母に恩返しして上げられると思っていた、そう、”勉強”、”進学”―――それがどれほど”母”に”とって”大変”な事か”分かっていなかった”―――

 

 

―――分かっていなかった、俺は―――子供だったんだ

 

 

いつまでも続くと思っていた、一緒に居ると”約束”してくれた、そして、”約束”は唐突に―――”破られた”

 

 

俺が”小学生”の時に母が職場で倒れた、働き過ぎによる”過労”だ、貧困層にとってそれは別段珍しい事ではない、でも、俺は―――

 

 

―――受け入れられなかった

 

 

何で”無理をした”、何で”辛い”と言ってくれなかった、何で、何で、何で、何で俺を”一人”にしたんだ、何で”約束”を”破った”―――

 

 

―――一緒に居てくれると言ったじゃないか

 

 

大人は勝手だ、できもしない事を―――守れない約束を平気で語り、そして破る。子供にとってそれがどれだけ辛いかも知らないで。

 

 

言いようのない”悲しみ””怒り””寂しさ”、その負の感情は怨嗟となり飛び交った―――愛する母へと

 

 

小学校を卒業できた俺は社会に飛び込んだ、”理不尽”な”世界”を構築する”歯車”の一つになる為に

 

 

働いて、働いて、働いて、俺は”子供”から―――

 

 

―――”大人”になった

 

 

辛い”現実””理不尽な世界”そして繰り返されていく、日常、そして少しづつ”理解”していく―――母の”気持ち”

 

 

完全に理解できたとは思わない、俺はそれほど”立派”な人間ではないし”親”にもなっていない、”友人”もいない―――それでも

 

 

辛い現実を繰り返し、打ちひしがれる様な悔しさを知った、そして積もる疑問―――母はなんで耐えられた?自分の事ではないのに

 

 

”大人”になった今だから分かる、ほんの少しだが分かるんだ、そう、母は―――

 

 

―――”俺”の事が”大事”だったんだ

 

 

目の前にいるのは傷だらけの少女、心に深い傷を負った哀れな少女だ。”大好き”だった”母親”に拒絶され何もかもが信じられなくなっている。―――そして

 

 

かつての―――昔の自分だ

 

 

”過程”は違うかもしれない。完全に一緒だとも思わない。それでも”根本”は一緒だと思えた。母への憤りを持ってしまった、泣きじゃくる―――子供だ

 

 

大人になったモモンガだから、母への気持ちを克服したモモンガだから問う―――目の前の存在に、”母”が”嫌い”という少女、アンティリーネに、モモンガは問う―――

 

 

―――かつての”自分”に―――本当にそうか、と

 

 

「えっ...?どういう事?」

 

 

「本当にお母さんの事が嫌いなのかって事だ。」

 

 

今まで静かに話を聞いていたモモンガから投げかけられる質問。問われる気持ち。

 

 

「き、嫌いだよ!だってお母さんも私の事嫌いだったんだもん!」

 

 

「お母さんが”そう言ったん”だな。」

 

 

そうだよ!そう言おうとした、そして思う―――”嫌い”とは”言われていない”っと

 

 

「き、嫌いとは...言われてない...かも...でっでも!出て行けって言われたもん!嫌いって事じゃん!」

 

 

「お母さんになんでそんな事を言うのか聞いたか?」

 

 

リーネが口ごもる。そんな事聞く暇なかった。言ってもどうせ聞いてくれない。そんな言葉ばかりが脳裏を駆け巡る、そしてモモンガに反論しようとして―――モモンガが先に口を開いた。

 

 

「リーネ。大人ってな、素直じゃない生き物なんだ。不器用ともいうかな?」

 

 

唐突にそんな事を言われ頭の中に?マークが浮かぶ。モモンガの言葉は続く

 

 

「何でもかんでも隠し事してな、特に感情の事は、自分の事は中々口にしやがらない。恥ずかしいのかもな。」

 

 

言葉は続く―――続いていく

 

 

「そして大人には責任もあるんだ...いや”親”というべきかな?その責任が大きければ大きいほど一つの感情が大きくなっていくんだぞ。」

 

 

続いていく言葉に対してリーネが言葉を―――疑問を問いただす

 

 

―――それってなぁに?

 

 

「それは”愛情”だ。リーネを一生懸命育てようと、大事にしようとする、それが親の責任だ、そして”愛情”はそれに比例して大きくなっていくんだ。お母さんはきっと、リーネの事が”好き”だと俺は思うぞ。」

 

 

これは酷い言葉になるのかも知れない。本当にそうだと言う確証もない。でも、この”理不尽な社会”においてはどんな理由があるかも分からないのもまた事実だ。

 

 

子供を”突き放さなければならない”ような大きな”理由”だってあるかもしれない。これは希望的観測だ、”そうかも”しれないし”―――そうじゃない”かもしれない。

 

 

けれどモモンガは信じている”親”が”子供”を”本当の意味”で”嫌う”事はないと”親子の絆”は確かにあると。自らの母がそうであった様に、己を犠牲にしてまで大事にしてくれた様に。

 

 

「す...好き?そんな事...ある訳...。」

 

 

「リーネ。もう一度聞くぞ。本当にお母さんの事が”嫌い”なのか?」

 

 

再度問われる質問、先ほどは答えられた質問、先ほどと同じように答えればいいだけの質問、簡単な質問だ―――しかし口ごもる、中々答えが出てこない。

 

 

しばらくの沈黙の後リーネは答える、震える声で―――泣き声で

 

 

「そんなの...ぎまっでるじゃん...ずきだよ。」

 

 

言いたかった言葉―――認めたかった言葉―――頑張って我慢していた言葉―――そして―――言えた言葉

 

 

「言えたな。うん。それでいい!そうやって言えばいいさ!どうやれば良いかこのモモンガ”お兄さん”が教えてやろう!」

 

 

「えっ?本当?どう言えば聞いてくれるかな?」

 

 

それはな~。モモンガがにやりと言う風な顔で―――表情は出ないが―――ニヒルに笑う―――そして

 

 

「全力で叫べ!全力で暴れろ!じたばたしろ!地団太を踏め!泣き叫んで喚き散らしてやれ!”お母さんが好きーーーー!”お母さんは”どうなのーーー!!”ってな!」

 

 

はぁ?リーネは言葉が出ない。何を言ってるんだ?この骸骨は?アンデッドだから脳みそ腐ってるのかなとも思う。

 

 

「真剣に聞いてたのに!あんまりだよ!モモンガさんのアンデッド―!」

 

 

意味の分からない悪口をモモンガに浴びせるリーネに対しモモンガが返した言葉は―――

 

 

「それだよ、それ。それがお前の”最大の武器”だ!お前のお母さんが持っていない...いや、”大人”が持っていない物だ。」

 

 

???リーネが困惑する目が回りそうである。

 

 

「悪口が武器なの?」

 

 

「そうだ。悪口が言える。嫌な事は嫌だと言える。その”素直さ”がお前の”武器”だ。そして”大人が無くしてしまう”物だ。面と向かって悪口は言えないし、嫌いな事も嫌いだと言えない、そして―――好きな事もな!だから暴れてやれ!好きだと喚き散らせ!大人の本当の気持ちを引き出してやれ!子供の怖さを見せつけてやれよ!それでもお前のお母さんが嫌いだというのなら―――」

 

 

―――俺が”ガツン”と言ってやるさ。

 

 

リーネが固まっている、それを他所にモモンガが最後の言葉を吐く。

 

 

「今すぐとは言わない。落ち着いてからでいいさ。でも話はした方が良いと俺は思う。」

 

 

―――生きているうちにしか話はできないのだから。そう心の中で付け加える。

 

 

沈黙は続く、そしてしばらくしてリーネが口を開いた、”いつも道理に”、”素直”に

 

 

「モモンガさん話なが~い。すごく早口だし~聞き取りづらいよ~。でも―――」

 

 

―――今回は”分かりやすかったよ”っと

 

 

ぐはぁ~と、モモンガがいつものショックを受けているがリーネの言葉はまだまだ続く。

 

 

「でも、ありがとう。なんかスッキリしちゃった。そうだよね。聞かなきゃ分かんないよね。本当にありがとう―――」

 

 

―――モモンガおじちゃん。

 

 

おぉーまぁーえぇぇー!!モモンガの叫びが部屋に木霊する、しかしその声は―――

 

 

―――非常に”楽しそう”な声であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第 六 話  ―――母への気持ち」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狭くもなく広くもない殺風景な部屋に一人の少女が立ちすくんでいる。”何か”を”待っている”かの様に。

 

 

今日はこの世界に来て”七日目”だ。あの日もあの日も”七日目”だった、”来る”なら今日だ。

 

 

「くるんでしょ?きていいよ?もう”怖く”ないもん。」

 

 

―――カチリ―――

 

 

少女の言葉に呼ばれるかの様に音が聞こえた―――

 

 

―――歯車の噛み合ったような音が

 

 

空間が歪み波を打つ、少女を包み込む、しかし、少女は動じない

 

 

その瞳には覚悟の炎が灯っている―――強い瞳だ。

 

 

少女が歪みに包み込まれる―――そして

 

 

「行ってくるよ―――」

 

 

―――モモンガさん

 

 

―――少女は接続する―――何度でも

 

 

―――少女は行き来する―――何度でも

 

 

―――他世界を行き来する―――

 

 

 




モモンガ「俺はそれほど”立派”な人間ではないし”親”にもなっていない、”友人”もいない、彼女もいない、そーども...みしよ...う...うぅ...俺は...ゴミだ...。」

リーネ「馬の小便で顔洗わせてあげるから元気だしてモモンガさん。」


どうもちひろです。

今回も中々突っ込み所満載だったのかな?と個人的に思います。読み直していてお父さんいないくらいで悟さんは驚愕するのかな?とか思いました。悟さん両方いないし別に驚く所じゃなくない?って。まぁそのまま使ったのですが。

母への気持ちを克服した悟さんがなんでしきりに嘘に拘っていたのとか(ダンジョンの時)あれもなんといいますか大人になったら分かるけど今辛いじゃん?みたいな、自分が辛かったから子供にはしたくないんだよ。みたいな感じで一つご容赦いただけませんか?
悟さんはアンティリーネちゃんがお母さんにボコボコにされてる事はしりません、多分知ってたらここまでは言わないと思います。

お父さんいつ死んだとか悟さんの心境とかは全部捏造です。

ここまで読んでくれてありがとう。また次回も読んでくださいね。
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