出会い
当時、ゲート付近ではある少女が自宅で休んでいた。眠りから覚め、異変に気づいた時には周りの住人は既に逃げており、体の弱い彼女は満足に避難もできず、両親は仕事に出ていた為に誰かに助けを求めることも出来なかった。怪物がいよいよ少女の自宅に近づき、攻撃を繰り出した瞬間。少女は何者かに助け出された。
「どうにか間に合ったな、大丈夫か?」
「・・・私、生きてるの?」
「ああ、少し掴まってろ。今、安全な場所に移動する」
少し年上に見える少年は少女を軽々と抱えながら、建物を足場にして付近で1番安全な場所へと跳躍した。
「よし、ここなら安全だろう」
「あれは何なの・・・?」
「《近界民》とオレ達は呼んでいる。質問なら後で答えるからここにいてくれ。アレを片付けたら必ずすぐに迎えに来る」
少年は再度跳躍をしようとしたが寸前で振り返り、隊服のようなものの上に羽織っていた黒いパーカーを震える少女の肩に被せた。
「アンタにこのパーカーを預けておく。目印にもなるし、寒さも凌げるだろうから羽織っておいてくれ」
それだけ言うと少年は今度こそ侵略者の方へ走り出した。少女を抱えていた時とは比べ物にならない速度で一気に近づく。
屋上から少年を見つめていた少女は、その時になって少年の腰に太刀のような武器があることに気づいた。
その頃には至近距離まで迫った少年は目にも止まらぬ速さで近界民の口の中にある目のようなものを狙って太刀を振り下ろした。
どんな現代兵器を用いても傷をつけることが叶わなかった近界民は呆気なく倒れ、数分もしない内に3体もいた侵略者は地に伏した。
少し遅れて少年の元に彼と同い年に見える男の子が現れるが少女はそれどころでは無かった。自分を助けた名も知らぬ少年に少女はいつの間にか深く見入っていた、自分でも不思議なくらいに。そうしている間にも少年は男の子と話をつけ終わったのか、飛び出した時と同じように建物を跳躍して少女の元へ戻ってきた。
「さっきの奴らでこの辺は片付いたらしい。他の箇所にはオレの仲間が行っているから直に鎮圧されるだろう」
少年の言葉に少女はあからさまにホッとして体に入れていた力を抜いたのだが、元々体調が良くなかった少女の体はそのまま前へと傾いた。硬いコンクリの床に体が叩きつけられるかと思ったが、その前に先刻と同じように抱き抱えられる。目の前が完全に暗くなる前に彼女が見たのは怪物を前にしても冷静だった少年が慌てて自分を抱えて移動をする姿だった。
☆★☆
数時間後、少女が目を開けると見慣れない天井が映った。ゆっくりと上体を起こして部屋を見渡すと壁一面にある本棚と3面モニターのあるデスクが見えた。状況が上手く読み込めず、混乱する少女の耳にタイミングよくノック音が入ってきた。
「はい、どうぞ・・・」
少女が少し身構えながら音の発生源である扉の方を見つめていると、入ってきたのは少女を救った少年だった。
「目が覚めたんだな」
「ここは・・・?」
「オレが所属する組織にあるオレの部屋だ。普段はあまり使ってないけどな。目覚めたばかりで悪いが、君に客だ」
「客・・・?」
「入ってきてください」
少女を見てホッとした表情を見せる少年。会ったばかりの時よりも言葉遣いや表情が柔らかくなっている。
少年が誰かに向かって促すと勢いよく扉が開いて、少女にとって見慣れた2つの顔が現れた。
「玲!」
「無事でよかった!」
「お父さん、お母さん・・・」
少年は親子の再会に水を差さないように静かに外へ出て、少し時間をかけてお茶の準備をしてからまた自分の部屋に戻った。その頃には3人とも落ち着いていて、少女の目の周りは少し赤くなっていた。
「お茶持ってきたので、遠慮なく飲んでください」
「ああ、ありがとう」
「何から何まで申し訳ないわ・・・」
「いえ、助けると決めたのはオレなので気にしないでください」
「あの、名前を・・・」
少女のその言葉に少年はようやく自己紹介をしていないことに気づく。出会ってから敵を倒したり、女の子が倒れてしまったりと互いに名乗る時間がなかったのだ。
ベッドに座る少女に視線が合うように膝をついて少年は名乗った。
「自己紹介が遅くなって悪い。オレの名前は
「那須玲です、助けてくれてありがとうございました」
これが、後にボーダー内で色んな意味で有名になる二人の出会いだった。
ルビとかは後で振ります。なんで朝にやってんだアホか。
↪︎ルビ機能久々使ったな〜。絶対後で使わんくなる・・・