S級隊員如月伸太郎   作:Argo(不定期更新)

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 今更ですが、スマホで書いてるんでパソコンの人たちは見にくいかもだけど許してクレメンス。
眠いのでルビは後回しにします。


如月伸太郎の実力

 戦いの火蓋は落とされた。先に動いたのは風間隊だった、オレたちの方へ向かって各々走ってくる。こちらは正面から嵐山たちが銃で迎撃する。もちろん、A級の風間さんたちがこの程度で落ちるはずもない。シールドを展開しながら確実に近づいてくる。

最初にここに辿り着いたのは歌川だ、スコーピオンを使って悠一に攻撃を仕掛けるが、悠一は軽く受け流し、逆に反撃する。歌川はスコーピオンで受けようとしたが、弧月相手でも怪しいスコーピオンの耐久性では風刃を受け止めることなど出来ない。それを分かっているからこそ歌川は素早く身を引き、風刃のブレードをかわした。

次いで攻撃が絶える間もなく、太刀川さんが上段から勢いよく切り掛かる。悠一は難なく受け止めたが、二人の力が拮抗しているため、鍔迫り合いになっている。

 

「よそ見して随分と余裕ですね、伸太郎さん!」

「おっと」

 

 普通なら視界の外になっている場所から歌川が不意を突こうとするが、オレは弧月を使って受け止める。そのまま振り返るのと同時に遠心力を乗せるようにしてスコーピオンごと歌川を吹き飛ばす。

 

「ぐっ!これ受け止めるんですか・・・!」

「伊達に長い間ボーダーにいるわけじゃないぞ、歌川」

 

 歌川と会話をしつつも視界の端で太刀川さんの動きを捉えることを忘れない。太刀川さんは悠一たちとオレを巻き込むように旋空を放つが、全員同方向へ跳んで回避をする。嵐山が反撃に一発撃つがこれもまた防がれた。

 先ほどの場所から少し離れた屋根の上に退避したオレたちは軽く今後の動きについて役割を分担する。嵐山隊はチームという利点を活かして動き、悠一はひとりで太刀川さんたちを相手取るつもりらしい。恐らく、例のプランBを円滑に進めるためだろう。

 

「伸太郎は好きに動いてくれ」

「了解、とりあえず最初はお前と動くわ。狙撃手一人くらいなら持っていって良いだろ」

「待て待て、まだ撃破はするなよ?」

「分かってるって」

「じゃ、みんな頼んだぞ」

 

 それを聞いてから各自持ち場へと散っていく。オレと悠一の方には風間隊と太刀川さんがいる。狙撃手の配置は分からないが、出水と秀次たちは嵐山の方へ行ったようだ。

 数十秒ぶりに会った太刀川さんはオレには目もくれず、悠一の姿を認めるなり思い切り弧月を振った。その一方でオレに歌川と菊地原がかなり警戒した様子で近づいてきた。

 

「そんな警戒すんなよ」

「無茶言わないでくださいよ、さっき死角から攻撃したのに防がれたんです。このくらい慎重にもなりますよ・・・」

「しかもノールックだったし・・・」

「(サイドエフェクト使ってるから、視えてはいるんだよなぁ・・・)」

 

 なんて思っていると歌川と菊地原は同時にこちらへ襲いかかってくる。息ぴったしに繰り出される攻撃は流石A級だけあり、動きにも無駄が少ない。

 

「流石遠征隊だ。でも、まだ足りない」

「何を・・・!」

「はやい・・・!?」

 

 少し腰を落として、下から歌川のスコーピオンを弧月で思いきり跳ね上げてグラスホッパーで吹っ飛ばし、そのまま軽く半円を描くようにして反対側から来ていた菊地原に弧月を叩きつけた。菊地原は咄嗟にスコーピオンを交差させたが、完全に防ぐには至らず、脇腹に切り傷を作る結果となった。

 

「くっ!どうすれば・・・!」

「そう焦んなよ、オレはここにいる」

 

 瓦礫の山から立ち上がりながら歌川は焦ったような声を出す。菊地原は一旦歌川のところまで下がり、いつもと変わらない表情でこちらの様子を伺っている。

 悠一の方はというと風間さんが悠一に切り掛かっていたがしっかりと防いでいた。風間さんはそこで攻撃を止めずに、スコーピオンの特性を活かし腕からブレードを生やして次の攻撃を仕掛けた。普通なら多少はヒットしただろうが、その直前で未来を視たらしい悠一は無傷だった。のけ反ってかわしたが、体勢を整える時に少なからず隙が出来る。悠一なら避けられるが、潜伏している狙撃手はこの隙を絶対に狙うだろう。

 サイドエフェクトによって紅く染まった目で辺りを見回す。今回は建物の透過よりも、単純な視力の強化をする。予想通り、高台の方から小さな光が見えた。二つの弾丸が悠一を狙って風を切り裂きながら進んでくる。

 

「あそこか・・・!」

 

 弧月を地面に突き刺し、イーグレットに持ち替えていたオレは素早く標準をマズルフラッシュが焚かれた場所へ合わせると、そこには奈良坂と古寺が二人並んでいるのが見えた。レティクルが目標の場所で静止した瞬間にすかさずトリガーを引く。トリオンの銃弾は寸分違わず狙い通りの場所へ着弾した。

そう、イーグレットを支えている古寺の手首に。スコープ越しに見えた奈良坂と古寺の驚いた顔がなんだか面白い。

 銃を下ろすとイーグレットを持っている今がチャンスだと思った歌川と菊地原がもう一度詰めてくる。

 

「「今(だ)っ!」」

「来ると思ったよ」

「えっ」

「は?」

 

 オレは二人の攻撃を銃身で受け止めた。あまりに予想外だったようで二人の動きが鈍くなる。菊地原を片足で思い切り蹴って、歌川の攻撃をかわし、勢い余って前傾姿勢になったところをストック部分で思い切り首元を殴りつけた。よろけてたたらを踏む二人を警戒しつつ、イーグレットを解除してさっき地面に突き刺した弧月を抜いて軽く振った。

 

 

 

 

 

 

 

★☆★

 

 

 

 

 

 

 

side.狙撃手組

 

「えっ」

 

 古寺は最初、何が起こったか分からなかった。風間隊の二人と戦っていたはずの伸太郎がいつの間にかイーグレットでこちらを狙撃してきたからだ。しかも、悠一を狙って撃った瞬間、伸太郎は恐るべき反射神経でこちらを振り返ってすぐに撃ったため、お世辞にも伸太郎の体勢は良いとはいえなかった。

 古寺の手首が宙に舞った、反射的に断面に反対の手を充てがい、トリオンの漏出を防ごうとするがその驚きまでは抑えられない。

 

「なっ!」

「なぜ居場所が!いや、どうしてあの状況でこちらに当てられるんだ!」

 

 普段は冷静な奈良坂でさえ、伸太郎がやってのけた無茶に驚きを隠せないでいる。しかも伸太郎は狙撃した後すぐに襲いかかってきた二人を狙撃銃で対処し─これもだいぶ意味が分からない─怪我を負うこともなく弧月を地面から抜き取った。

 

「「・・・・・・?????」」

「ひゅー、伸太郎さんやるぅ。俺も流石にあれは出来ねぇな」

 

 奈良坂師弟は理解することを脳が拒否しているのか、背景に宇宙でもありそうな表情で固まっている。のんきに伸太郎たちの戦いを屋根の上から眺めていた当真は口笛を吹いて楽しそうに戦闘を観戦している。

 

「奈良坂先輩、狙撃手ってああいう戦い方も出来なきゃいけませんか・・・?」

「・・・いや、あれはあの人が可笑しいだけだ。普通狙撃手は遠距離から戦うから敵とああして接近することはないし、もし接近することがあってもあんな戦い方はしないし出来ない・・・。というか、あの人以外に誰が敵の真正面で堂々と狙撃するんだ」

「ですよね・・・」

「流石にヘッドショットは無理だったようだが・・・、それでも十分におかしい」

 

 呆気に取られたまま、古寺は狙撃手としての師である奈良坂に質問をするが、奈良坂は静かに首を横に振って冷静に古寺に解説する。概ね言うとおりだが、ひとつだけ間違いがある。もし、奈良坂に『ヘッドショットは故意に外したのだ』と告げれば一体どんな顔をするだろうか。

 まあ、その真実を告げるものはひとりもいないのだが。

 

 

 

 

 

☆★☆

 

 

 

 

 

Side.伸太郎

 

 引き抜いた弧月についたコンクリ片を払うように左右に振る。その動作だけで歌川たちはジリジリと後退していく。牽制という意味では間違いなく役割を果たせているはずだが、どうやら太刀川さんがこちらの狙いに気付いたらしい。内部通話を繋げた悠一が仕方なさそうに宣言した。

 

「伸太郎、プランAは失敗だ。ここからはBに移行する。手筈通りに速やかに嵐山隊の方の支援に回ってくれ」

「OKだ」

 

 歌川たちも太刀川さんに呼ばれたのか引いていく、その背が見えなくなったのを確認してから、嵐山隊が戦う戦場を目指して移動を開始した。




 お眠りやがれくださいませ。(-_-)スヤァ
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