ウマ娘~GEEN DESTINY~   作:煌めき

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前回のまでの話は?

今年、トレセン学園に入学することになった”ジーンディスティニー”。そこでどんな事が始まるのか、どんな人たちがいるのだろうか、どんな授業があるのだろうか。そんな想像ととわくわくと学園生活を待ち遠しにしていた。


第2R「俺の担当ウマ娘になってくれ」

 

 

 

 カーテンから射す光で目が覚めた。時計を見るといつもより少し早く起きてしまったようだ。二度寝しようにも眠くないので、彼女は上半身をベッドから起こし背伸びをした。

 

 

ジーン「まだ時間はあるし………走ろうかな」

 

 

 今日は学園初日の日だ。まずは体を温めるため軽く走ることにした。そして彼女はジャージに着替え、寮を出た。早朝ということもあり学園はまだ静まり返っていた。そんな静かな道を一人走り抜ける。彼女の表情は真剣そのもの。しかし、どこか楽しげでもあった。朝の空気を感じながら走るのは気持ちが良かった。しばらく走っていると徐々に前から足音が聞こえた。

 誰か走っているのだろうか。気になってペースを上げるとそこには【サイレンススズカ】が走っていた。

 

 

 

ジーン「(サイレンススズカさん!!あ、あの大逃げの!?)」

 

 

 

 サイレンススズカ………かの異次元の逃亡者と名高いウマ娘だ。彼女の走る姿は父が取ってくれたビデオで何回も見たことがある。サイレンススズカも彼女に気付いたようで速度を上げた。

――え、なんでスピードを上げるの⁉というか、サイレンススズカさん、速い!

 ジーンも負けられないのか、自然とギアを上げていった。そして、どちらともなく並走を始めた。お互いに無言だが、その瞳は闘志を燃やしていた。そして二人とも全力で走り続けた。その速度は常人には到底ついていけないものだった。

 しばらくしてジーンの息が上がり始めてきた。それを見たスズカは少しずつ減速していき、ついに止まった。そして大きく深呼吸をするとこちらに振り向いた。

 

 

サイレンススズカ「貴方、名前は?」

ジーン「ぼ、僕ですか?」

スズカ「そうよ」

ジーン「ジーン。ジーンディスティニーです!」

スズカ「じゃあ、ジーンちゃんね。ねぇ、今度一緒に走ってくれないかしら?」

ジーン「へ?」

 

 

 突然の提案に思わず間抜けな声が出てしまう。

 

 

スズカ「ダメかしら?」

ジーン「い、いえ!むしろ嬉しいくらいで!是非お願いします!」

スズカ「良かった。じゃあ、また今度ね。後、スズカでいいから」

 

 

そういうとサイレンススズカは走り去っていった。

 

 

ジーン「まさかサイレンススズカさんと一緒に走ることになるなんて……しかも名前呼び……よしっ!」

 

 

 

嬉しくなったジーンは、先ほどよりも軽やかな足取りで走り出した。

その後、学園に着くまでずっとスキップをしていた。

 

 

 

~教室~

 

 

 

ジーン「………まさかHR始まる一分前になるまで走っていたとは………」

 

 

 

 その後、走り終わったジーンは急いで制服に着替えて学園に来た。遅刻ギリギリだったが、なんとか間に合った。一息ついた彼女は席に座った。そしてすぐチャイムが鳴り、担任の先生が入ってきた。

 

 

担任「えー、お前らもこのトレセン学園に通う生徒になったんだ。学生としての勉学、ウマ娘としてのスポーツ、その他にも様々な分野で己を磨け。以上」

ジーン「うわ、適当な挨拶……」

 

 

 担任の先生のやる気のなさに呆れながらも、自分も授業の用意をし始めた。

 授業が始まり、先生の話を適当に重要だと思う所をメモしながら、教科書を読んでいく。

 

 

 

ジーン(えっと、この項目は覚えておいた方がいいよね。覚えることが一杯だな………)

 

 

 

 キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン 鐘が鳴って、休み時間になるとみんな一斉に動き始めた。友達のところに行ったり、手洗いに行ったりと様々だ。その中でジーンはせっせと次の授業の準備をし始める。周りから見ればそれは真面目ちゃんの行動だが、彼女はただ普通のことをしているだけだ。準備を終え、彼女はふぅと小さくため息を吐いた。

 

 

 

ジーン(はぁ、こんなんで私大丈夫かな?もっと頑張らないと)

 

 

 

 少し不安になるが、まあなんとかなるだろうと前向きに考え、彼女は次の授業が始まるのを待った。

先生が入ってくると同時にチャイムが鳴る。先生は出席を取り始めると、すぐに自己紹介を始める。

 

 

 

先生「○○先生だ。よろしく」

 

 

あんまり口数が少ない人なのか、それだけ言うと後は特に何も言わなかった。

担任が黒板に文字を書いていき、書き終わると説明に入る。

 

 

 

先生「○○は来週から始まる。○○についてはプリントを配るので、各自で確認しておくように」

 

 

 

 それだけ言うと、後は連絡事項や、授業の進め方についての説明だけを行い、さっさと帰ってしまった。

他の生徒たちはポカンとしていたが、それもほんの一瞬だった。それぞれ思い思いのことをやり始めていた。友達のところに遊びに行く者、お喋りをする者、机に突っ伏して寝ている者など様々だが、共通していたのは、誰もかれもが楽しそうということだった。

 

 ジーンはというと、周りのテンションに置いて行かれたような感じになってしまった。そのせいか、急に孤独感に襲われて、ジーンの目から涙が出てきた。その姿を見せたくないのか自分の机の上に腕を組んで壁の方を向いた。

 

 

ジーン(やっぱり私には無理なのかな……トウカイテイオーさんみたいなヒーローになれないのかな……?)

 

 

 

 そう思うとますます悲しくなってきた。しかし、そんなことではいけないと思い、目元を拭うと心を落ち着かせた。

 

 

 

 ジーン(私はもう迷わない!絶対、どんなことがあっても諦めない!そして、夢を叶えるために努力する!うん!)気合を入れると、頬をパンッ!と叩いた。

 

 

 

 

 続いては歴史の授業である。授業開始のチャイムが鳴り、先生が入ってきた。

 

 

 

先生「○○です。どうぞよろしくお願いします」

 

 

 

 教科書を読む声は綺麗で透き通るような声で聞いていて心地よかった。先生が読み上げた文章を聞きながら、ジーンは必死にノートを取る。字もきれいで読みやすいが、スピードも早いので急いで書かないといけなかったが、なんとかついて行くことができた。

 

 終わりのチャイムが鳴って、午前中の授業が終わった。するとさっきまで静かだった教室内は一気に騒がしくなった。

 

 

 

ジーン「そっか、学食だ!」

 

 

 

急いで食堂へと向かった。

 

 

 

~食堂~

 

 

 

 

 ここ食堂は、無料のビュッフェ形式で量はどれだけ盛っても良いようで、初めて見た時はビュッフェというものが分からなかったがバイキングみたいに食べ放題だと言われて納得した。それに母の話によると、自己管理が苦手なウマ娘が食べ過ぎた結果、レースに悪影響が出るほど太ることも。そんなに食べる人なんているのだろうかと思っていたが、目の前でそれが行われていた。しかも一人じゃない。三人も。

 

 

 

ジーン(うわぁ、すっごい……よくあれだけ食べられるね……)

 

 

 

あまりの量の多さに、見ているだけで胸焼けしそうになる。そして彼女たちの食事が終われば、またすぐに次を食べようとする。

 

 

 

ジーン(あの体であれだけの量が入るんだ。すごい……ん?待てよ?ということは、私にもアレができるんじゃ……)

 

 

 

ジーンは自分の体を見る。

 

 

 

ジーン「うーん……無理だよね!」うん。あれは次元が違うんだ。

 

 

 

 その後、ジーンは昼食を終えた後、午後の授業を受ける。

 

 

 

先生「今日はこれで終わります。さようなら」

 

 

 

 チャイムが鳴り、挨拶を終えるとみんな急いで帰り支度をする。以外に早く終わったのでエントランスホールの学園掲示板を眺めていた。

 

 

 

ジーン「へぇ、いろんなイベントがあるんだ」

 

 

 

 様々なウマ娘が自分の得意とする分野のイベントに参加するようだ。中には模擬レースのようなものもあった。他にもいろいろな行事があり、楽しみに思っているとふと気づいた。自分を見る視線に。

 

 

 

ジーン(誰だろ?少なくても………トレーナーだよね?んー………)

 

 

 

 少なくても卑猥に見るような視線ではないことが分かる。え、なんでかって?経験かな?

 

 ジーンは周りを見渡すが、特に怪しい人物はいない。寒気がする。入学早々に何かあるのかと思うと少し不安になった。怖くなった彼女はすぐその場を後にした。

 そして、その人物がジーンに近づいていることに彼女はまだ気づいていなかった。

 

 

 

~夜・寮にて~

 

 

 

 夕食を終えて、お風呂に入った後、ベッドの上でのんびりとしていた。

 

 

 

 ジーン(はぁ、疲れた………それにしてもこの寮広いなぁ。でも、みんな仲良さそうだし良かった)

 

 

 

 このトレセン学園では、生徒は基本的に二人部屋らしい。ちなみにルームメイトはまだ来ていない。というかルームメイトが居るのかいないのかすら分かっていない。所謂幽霊寮生だ。そうこうしているうちに、もう消灯時間になるので、電気を消すと布団をかぶった。

 

 

 

そんな日から2週間が経った。

 

 

 

 その間、友達が出来た。【ハルウララ】と【コパノリッキー】だ。友達が出来たことを父さんに伝えると「うぉおわぁああああああああああ!!!」って電話越しで泣きながら喜んでいた。今度の休日に一緒にお出かけする約束をした。二人はすごくいい子で私も安心して仲良くできる。これからも友達をたくさん作っていきたい。

 

 ちなみに聞いた話によると今度”選抜レース”があるとのこと。なんでもトレセン学園の一大行事なんだとか。そこで良い結果を残せればスカウトされるチャンスでもあるのだとか。これは是非とも頑張らないと!

 

 それから、学園生活にもだんだん慣れてきた。クラスの人の名前や顔も覚えたし、授業も難しくないから大丈夫!ただ歴史はちょっと苦手かも……。そういえばクラスの中でこんな噂が流れている。何でも、このトレセン学園には謎が多いトレーナーや変人ウマ娘やらが在籍しているのだとか。気にはなるけど、あんまり詮索するなって言われてるから気にしないことにする。でもそれは建前。本当は気になって仕方がない!だから私は明日の放課後に調べることにした。

 

 調べて分かったことは、聞けば「悪役」とか「問題児」と呼ばれていて男でトレーナーだからだ。そして、もう一つ分かったことがある。それがその謎のトレーナーの一人は、どうも僕のルームメイトの悪友らしい。

 

 

 ジーン「ん~………」

 

 

 

 聞けば聞くほどに分からなくなる。どうも要領を得なかった。背伸びをしてみると体がポキっと鳴る。時計を見ると16時を回っていた。そろそろ寮に戻らなきゃいけない。僕は荷物をまとめて立ち上がると、扉の前に一人の男性が立っていた。身長は高くて、髪は短く、スーツを着こなしている。目つきは鋭くて、まるで特撮に出てくる怪人のようだった。

 僕がじっと見つめているとその人は僕に向かって話しかけてくる。

 

 

 

???「……俺の顔に何かついているか?」

ジーン「あ、い、いえ……すいません……」

 

 

 

思わず謝ってしまった。だってすっごい怖いんだもん。すると、その男性は僕を見て口を開く。

 

 

 

??「少し話がある。来い」

 

 

 

 そう言うと、その男は歩き出す。ついてこいってことだよね?うわぁ、絶対ヤバい奴だよこれ。だけど、無視したらもっとマズいことになりそうなので、とりあえずついていくことにした。

 連れてこられたのは、とある教室。そこで彼は立ち止まる。

 

 

??「ここなら誰にも聞かれないだろう。まぁ、座れ」

 

 

 促されて椅子に腰かける。机は横長の長方形で、向かい合うように席が二つ置いてある。彼は僕の目の前の席に座っていた。

 

 

 

??「さて、まずは自己紹介からだな。俺は【東条ハジメ】。よろしく」

 

 

 

 そういうと、彼は手を差し出してくる。握ると力強く握り返された。痛い。

 

 

 

ジーン「……えっと、あの……なんですか?いきなりこんなところに………」

 

 

 

 警戒心丸出しで尋ねるとハジメと名乗った男は苦笑する。

 

 

 

ハジメ「まぁ、そんなに構えなくていい。お前、新入生のジーンディスティニーだな?」

ジーン「は、はい……そうですけど……なんで名前を………」

ハジメ「俺のことは知ってるか?」

ジーン「え、悪役?」

ハジメ「………間違ってねぇからなんとも言えんな」

 

 

 

 頭を掻くと、大きくため息をつく。何だろう、すごいやりにくい。なんか緊張する。

 

 

 

ハジメ「まぁ、悪役という通り名がつくくらいには悪いことしてきた自覚はある。それに、このトレセン学園に在籍している以上、悪評を広められるようなことはしたくないしな。だから、こうやって新人トレーナーとして頑張っているわけだ」

 

 

 

 なるほど。一応ちゃんとした理由があったのか。でもなんでわざわざ悪役なんだろ?

 

 

 

ジーン「……どうして悪役なんて呼ばれてるんですか?」

ハジメ「あぁ、それは……あれだ。この見た目だろ?初対面の奴らはみんな驚くし、ビビっちまって逃げちまうんだよ。あとは……この口調かな」

ジーン「なるほど……。確かにそうですね。迫力ありますもんね」

ハジメ「……まぁ、慣れたけどな」

 

 

 その言葉からは悲壮感が漂っている。きっと今まで苦労してきたんだろう。うん、なんだかちょっと可哀想になって来た。

 

 

 

ジーン「あの、その……色々と大変そうですね」

 

 

 

同情の気持ちを込めて言うと、ハジメさんは笑う。

 

 

 

ハジメ「ハッ!ありがとよ」

 

 

 

 この人、もしかして良い人なのかな?僕は彼の顔をまじまじと見る。やっぱり目つきが悪いけど、よく見るとすごく優しい目をしている。これは悪人じゃない。

 

 

 

 

 

ハジメ「さて、話というのは他でもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  俺の担当ウマ娘になってくれ」

 

 

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