ひねくれ野郎はバニーガールなんて見たくない 作:パイナップルの後味
学校に行きたくない。
そんなくらい感情を持ちながら私──桜島麻衣──は着慣れていない制服を身につけて通学路を歩いていた。
周囲からの視線は感じる。が、誰も話しかけはせず、一定の距離を保ちこちらを見ながらひそひそと会話をしている。
本来なら4月から高校1年生として学校に通っているはずなのに芸能活動の休止が少し長引き、しっかりと登校できるのは夏休み明けの二学期となってしまった。
学校での会話は今まで1度もない。一学期の最初の頃にもう既にグループ形成がされていたし、そもそも一学期はまともに学校に通えなかった。そんな私に声はかけずらいだろう。まして私は芸能人だし。桜島麻衣だし。
そうして学校に着く。靴を履き替える。教室に着く。席に座る。あとはこのまま帰りの時間を待つだけだ。
少し寂しい気持ちはあるけど、無理ではない。辛くはない。ただ、帰り道に気のいい友達とクリームパンを買い食いして帰るということが出来ないのは少し悲しいとは思った。
そんな日のお昼だった。あなたが話しかけてくれたのは。
あなたの周りには常に人がいた。その集団の中心ではないけど、なくてはならない、そんな人。そんな人が周囲からの評価や視線を顧みず私に声をかけてくれた。
ただそれだけで救われた。本当よ。
そのときは口にも顔にもそれを出すのが恥ずかしくて、気づかれたくなくて変に意地を張っちゃって少しキツく当たってしまったけど、今ならそんなことも言える。
最初あたりの私の冷たい対応にも懲りずに、いえ、めげずに話しかけにきてくれて本当はとても嬉しかった。
あなたを通じて他の人とも関われるのではないかと思ったりもした。実際そんなことは無かったけど、そういう思いを抱けた時点で登校最初の頃の私とは全然違った。
私はあなたに救われた。本当に救われた。安っぽくなってしまうとしても、何度でも言う。
あなたが私を底から救いあげてくれた。
あなたに何故私に話しかけてくれたのかと聞いても、はぐらかされてしまったりしてきちんと答えてくれなかったり、日々の小さなことや大きなことでありがとうと言ってもあなたはなんてことはない、と私に何も気負わせない。気負わせてくれない。
そんなあなたの背中は頼もしくて、だけどどこか悲しげで頼りなくて。
高校生活は仲のいい人、話す人は増えなくて、あなたとしか過ごしてないけど、3年生になった。なれた。私はあなたから貰ったものばかりで、抱えきれないほどで、それをどうにかしてこれから返していきたい。
だから、だから。
もういちど、私に声をかけてよ。
興味を持っていただけたら幸いです。
ちんたら書いていく予定です。