麻帆良の小さな戦士たち   作:ハクアルバ

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ダンボール戦機のゲームはもう何年もプレイしてません。この話は当時を思い出しながら書いてます。大人になってからさらに年月が経過した今となっては、子供向けのゲームを純粋に楽しむのは無理かもしれない。


ep.10 パートナーは誰がいい?

翌日 昼休み

 

「ふぁ~ぁ……昼はねむい……」

 

陽気に満ちた暖かい春の日。エヴァンジェリンは校舎の屋上で午前中の授業をサボっていた。そのまま屋上で昼寝をしようとしたが、思い立ったように制服のポケットから自分のLBXを取り出した。

 

「こいつ、そろそろ修理しないとな……面倒だし、ハカセにでも頼むか」

 

LBCSの発動というのは、本来は所有者本人の魔力を消費してアーマーフレームを体に装着することである。カウンターシステムを誤作動させるという強引なやり方を繰り返したため、ヴァンパイアキャットの装甲は魔力による負荷に耐えられず、所々にヒビが入っていた。

 

眠気でぼんやりしながらも、中等部の技術室へ足を運ぶ。

 

「ハカセ、LBXの修理頼めるか?」

 

「そこ置いといてください。これ終わったら直しますので」

 

LBXの修理に集中する葉加瀬聡美、通称"ハカセ"。ルーペで視野を拡大しながらLBXの細かい配線を接続している。

 

エヴァンジェリンはハカセの隣の椅子に座り、作業を眺める。

 

「ヨウキヒ…古菲のか」

 

「あの人素手でバトルするから、すぐ手のパーツが壊れるんです。しかも機械音痴だからいつも私か超さんに修理頼むんですよ?」

 

「ふーん、あいつらしいな。ふわぁ~」

 

「人のこと言えるんですか? その子ボロボロじゃないですか。パテ埋めくらいは自分で…」

 

ハカセがエヴァンジェリンに目をやると、彼女は机に突っ伏して静かに寝息を立てていた。

 

「やれやれ、夜更かしも程々にしてくださいね」

 

ぼやきながらも修理を続けるハカセであった。

 

 

 

 

 

所変わって女子中等部の廊下。昼食を終え3-Aの教室に向かうネギ。その顔色はどんよりと暗かった。

 

(はぁ~、まさか僕の生徒に吸血鬼がいるなんて……僕にもパートナーがいれば……)

 

エヴァンジェリンとの戦いから一夜明け、今朝は学校に行きたくないと駄々をこねていたネギ。アスナに強引に連れてこられ、午前中の授業は終始浮かない顔をしていた。

 

「ネギ君朝から元気ないなー?」

 

「あ、木乃香さん……」

 

「アスナさんが言ってましたわ。パートナーを探してるそうで」

 

(アスナさん、喋っちゃったんだ……)

 

「先生の欲しがってるパートナーって、結婚相手のこと?」

 

「この中だと誰がタイプ? 私の調べだとウチのクラスの8割は彼氏いないから、選び放題だよ」

 

「えっ!? べ、別にそういうつもりじゃ……」

 

桜子と朝倉に詰め寄られるネギ。多感な女子中学生の恋愛談義に振り回されそうになる。

 

("魔法使いの相棒"だなんて言えないしな……そうだ!)

 

少し考えたネギは話題を逸らすことにした。

 

「え、LBXバトルの相棒が欲しいかなーと思って……ほら、二対二のタッグバトルってあるじゃないですか」

 

「なーんだ、そういうパートナーか」

「恋バナじゃないの? つまんなーい」

「ネギ君ってば子供なんだからー」

 

LBXに興味がないチアリーディング部の三人は話題から脱落した。

 

「ネギ君もやりたいんだー。タッグバトルって楽しいよねー」

「はいですー。互いの長所を生かし、短所を補うバトルがとっても熱いです!」

「コンビネーションや駆け引きとか、考えることも多いんだけどね」

 

普段から二人一組での対戦を楽しむ鳴滝姉妹はタッグバトルの魅力を語る。

 

「そういうことでしたら、是非この雪広あやかにご指名を! LBXの実力には自信がありまして」

 

我先にとしゃしゃり出る委員長。そこにハルナが続く。

 

「私もネギ君と組んでみたいなー。みんなでバトルして一番強い人がパートナーってのはどう?」

 

「待つです。ハルナ、それだとナンバーワンを決めるだけです。相棒は強ければいいというものではありません。ネギ先生との相性も重要です。皆さんがネギ先生とバトルして、実力と相性を見てもらうというのはどうですか」

 

「夕映さんの言うとおりですわ。では、参加希望者は用意してください」

 

(僕もバトルするの!? ……ま、いっか)

 

委員長は机の上にジオラマを展開した。ジオラマの周りには委員長とハルナの他に木乃香と裕奈が集まった。

 

「行きますわよ、ジ・エンペラー!」

「ジョーカー!」

「月光丸~」

「ジャンヌ・D! あれ?くーちゃんはやらないの?」

「ヨウキヒは今修理中アル」

 

「四人ですか。ではいきますよ、K・アーサー!」

 

K・アーサーは四角いジオラマの中心に、他の四機は四隅にそれぞれ降り立つ。四対一のバトルが始まった。

 

(LBXバトルにはプレイヤーの癖やセンスが出てくるんだよな……パートナー選びの参考になるかも)

 

「ネギ君、ウチらの動きちゃんと見といてなー」

 

「そんじゃ私から行くわよーー!」

 

いの一番にジョーカーが駆け出した。K・アーサーに向けて鎌を振るが、ネギはバックステップで躱す。

 

「おっと、当たりませんよ」

 

「ネギ先生! 熟練者の挙動を見てくださいませ!」

 

ジ・エンペラーもK・アーサーに接近し、ハンマーを叩きつける。K・アーサーには躱されるが、近づいてきたジョーカーは邪魔だと言わんばかりに弾き飛ばしてしまった。

 

(委員長さん、テストプレイヤーやってるだけあって強いな……アスナさんと対等に喧嘩できるくらいだから、武術のセンスもありそうだ)

 

「いいんちょさん、上手だねー」

「ええ。ハルナとは雲泥の差です」

「なにを~! 私だってー!」

 

ハルナはムキになり、ジョーカーをK・アーサーのすぐ側まで接近させる。エンペラーの攻撃を剣で防いでいる所に横から斬りつけようとしたが、鎌の刃ではなく柄の部分が当たってしまった。

 

「ありゃ? 距離感ミスったかな?」

 

(ハルナさんの戦い方は相手に近寄り過ぎかな? 今の間合いだと、リーチの短いナックルの方が向いてる気がする……)

 

「ウチも負けへんえ~」

 

木乃香の月光丸はというと、K・アーサーにまるで追いつけていない。木乃香のCCMの入力操作が遅くぎこちないためである。

 

それでも攻撃を当てようと剣を振るが、斬撃と呼ぶにはやや遅い速度で空を切った。

 

(木乃香さんは性格からしてゆったりしてるな。接近戦には向いてないかも)

 

「う~ん、せっちゃんのマネしたらええんかなー?」

 

近接武器の三機を同時に相手にするK・アーサー。少し離れた場所からジャンヌ・Dがふたつの銃口を向ける。

 

「おりゃおりゃー!」

 

「うわっ!?」

 

弾丸を連射するジャンヌ・D。背後から射撃をくらい、K・アーサーは慌てて避難する。

 

「あっはは! 三人も相手してちゃまともに動けないでしょ? 当てたい放題だにゃー」

 

「漁夫の利ですか。ずるいですわ」

 

(かなり被弾しちゃった……ゆーなさん初心者なのに射撃うまいなー。この中だったら、パートナーは誰がいいかな……)

 

飛行形態に変形し、ジャンヌ・Dの射程から遠ざかる。しかし安全地帯などないジオラマの中、すぐに四機が追ってくる。

 

「今度こそ、当たれー!」

 

ジョーカーの攻撃に剣先をぶつけて弾く。そこにジャンヌ・Dの放った弾丸が襲った。弾は左膝の関節に直撃し、K・アーサーはその場で膝をついた。

 

「しまった!」

 

「隙ありですわ!」

 

エンペラーはハンマーを振り上げ、強烈な一撃を叩き込もうとする。

 

(まずい……!)

 

K・アーサーは片膝を着きながらも剣を構え、防御しようとする。勢いよく振り下ろされたハンマーがぶつかり、鈍い衝撃音を発した。

 

だが、叩き潰されたのはK・アーサーではなく……

 

「……え? アキレス?」

 

K・アーサーを庇うようにアキレスが倒れていた。アキレスの右足の脛はエンペラーのハンマーによって装甲が陥没してしまった。

 

「アスナさん!? 邪魔しないでください!乱入はマナー違反ですわよ!?」

 

「あー、ごめんねー。こいつLBXの調子が悪かったのよー」

 

咄嗟に嘘をつくアスナ。K・アーサーを守ったのは理由があってのことだった。

 

「なーんだ、そうなら言ってくれればいいのに」

 

(アスナさん? K・アーサーは壊れてないですけど……)

(あんたエヴァちゃんに狙われてるんでしょ? いざって時にLBCS使えなかったらどーすんのよ!)

(そ、そうでした……)

 

当然ながら、LBXが故障していればLBCSは性能が落ちてしまう。いつエヴァンジェリンに襲われるともわからない状況でLBXバトルをしてしまったネギは迂闊だった。

 

LBXを片付けていると、午後の授業の予鈴が鳴る。

 

「ほらネギ、授業の準備しないと」

「は、はい!」

 

「ヨウキヒ直ったらバトルしてほしいアル!」

「のどかとの相性も見てあげてください。彼女はLBXの購入を検討中です」

「ちょ…ちょっと、ユエ~」

「ネギ君モテモテやなー。ウチはもっと練習せななー」

 

 

そしてその日の授業が終わり、ネギとアスナは学生寮に帰ってくる。

 

「アスナさん、止めてくれてありがとうございます」

「エヴァちゃんの件が終わるまで、あんたはLBXバトル禁止ね」

 

「いいや、それには及びませんぜ」

 

ネギとアスナの会話にいきなり何者かが割り込んできた。しかし、声の主が見当たらない。

 

「え? 誰かいるの?」

 

「下ですよ下!」

 

二人が足元を見ると、そこには一匹のおこじょがいた。

 

「あーー! カモ君!!」

「お久しぶりっス、ネギの兄貴!」

 

「お、おこじょがしゃべった……?」

 

 

To be continued

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