麻帆良の小さな戦士たち   作:ハクアルバ

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ep.11 助っ人参上でい!

女子寮643号室

 

アスナと木乃香、そしてネギが住んでいるこの部屋に一匹のおこじょが訪ねてきた。

 

「カモ君久しぶり! 大きくなったね」

 

「さっきのLBXバトル見てましたぜ。最後はそこの姐さんに助けられて、男としてはちょっとカッコ悪かったっスよ」

 

おこじょの名はアルベール・カモミール。かつて罠に嵌まっていた所をネギに助けられたことが出会いの切っ掛けだった。

 

「あの場にカモ君いたんだ……」

 

「どうせ、誰と仮契約しようかなーとか考えてたんじゃないっスか?」

 

「そ、そうなんだけど、誰がいいのかよくわからなくて……」

 

「そういうときは"LBXを持ってて、運動神経が良さそうな人"を選ぶのが無難っス!」

 

「やっぱりLBXを持ってる人がいいの?」

 

「LBCSの戦い方はだいたいLBXと同じっス。LBXの戦術を知ってれば、LBCSになった時に即戦力になるっスよ!」

 

「なるほど、参考にするよ」

 

おこじょと会話できることに強烈な違和感を感じながらも、アスナはカモに話しかけた。

 

「あんたおこじょのくせに妙にLBXに詳しそうだけど何者なのよ? ここに何しに来たの?」

 

「俺っちはLBXのメカニックっス! 昔ネギの兄貴に助けられた恩を返しに来たんスよー」

 

「こら、ここ禁煙よ」

 

タバコを吸いながらそう告げるカモ。アスナはタバコを取り上げ、コップの水で火を消した。

 

「メカニック!? カモ君、修理できるの!?」

 

「LBXで楽しく遊んでる人間が羨ましいんス……おこじょの短い前足じゃCCMの素早い操作はできねぇ……それでも俺っちはLBXが好きだからメカニック始めたんスよ。LBXが傷ついたら言ってくだせぇ。俺っちがすぐに直しますんで」

 

「それじゃ早速だけど、あたしのアキレスの修理してくれる? 細かい作業って苦手なのよね」

 

「まかせてくれ! おお、こりゃ派手にへこんでるっスねー。直し甲斐があるっス」

 

昼休みのバトルにて、K・アーサーを守るために慌てて乱入したアキレス。エンペラーの攻撃が右足の脛に当たり、装甲が陥没していた。

 

カモはアキレスの修理を始めた。右足のアーマーフレームを分解し、へこんだ部分を裏側から金槌で叩いて直す。装甲の傷とヒビ割れはパテで埋めていく。

 

「おこじょのくせに器用ね……あたしお風呂に入るから、あとは任せたわよ」

 

パテが乾いたら表面をヤスリがけし、青色の塗料を筆で塗る。

 

「僕も修理しとかなきゃ」

 

K・アーサーも昼休みのバトルで少しダメージを受けていた。背中に受けた弾の跡は大したことはなかったが、左膝は関節の駆動部に損傷があり、コアスケルトンを分解して修理する羽目になった。

 

「ネギー、あんたもお風呂入りなさいよー」

 

「う、うん……」

 

「姐さん、修理終わったっスよ!」

 

「誰が姐さんよ。終わったんなら返してもらうわよ」

 

「おっと、まだ触っちゃダメっスよ。塗料が乾くまでこのまま放置っス。ついでにコアスケルトンのグリスアップをしたんスよ。あと、足首の関節が削れて緩くなってたんで、瞬間接着剤で太らせたっス」

 

「へー、やるじゃないの。ありがと」

 

「これくらいお安い御用っス!」

 

アスナの謝意に鼻を高くするカモ。メカニックとしての仕事を全うした。

 

「それにしても、関節が摩耗するまで使い続けるのはどうかと思うっス。グリスを差してたら防げたのに」

 

「アスナさんは普段メンテナンスをしないからね」

 

「う、うるさいわねー。機械いじりは苦手なのよ」

 

 

翌朝、目を覚ましたアスナが着替えのために引き出しを開けると、下着が一枚も残らず消え去っていた。

 

「……あれ?あたしの下着がない! 木乃香のも!?」

 

アスナが下着を探して押し入れの戸を開けると、すぐに下着泥棒の犯人が見つかった。

 

「姐さん、おはようございます!」

 

「な…なにやってんのよあんた……」

 

カモは自分の寝床に女性用の下着を持ち込み、布団代わりに包まっていた。

 

「それにしてもこの国の女子の下着は柔らかいっスねぇ。装甲娘として最前線で戦ってる連中はパンツがくったくたになるまで履き続けるってのに」

 

「何の話よ! このエロおこじょーー!!」

 

「アスナー、動物虐待はアカンでー」

 

この一件でアスナのカモに対する印象は、"できるメカニック"から"エロおこじょ"へと大幅ダウンしてしまった。通学中もカモへの怒りが収まらず、木乃香に宥められていた。

 

「まったく、下着泥棒のおこじょなんてとんでもないペットが来たもんだわ!」

 

「まーまー、小動物のいたずらやんか」

 

校舎に着くとカモはネギの落ち着きの無さに気付き、声をかけた。

 

「どうしたんだ兄貴? さっき…いや昨日から落ち着かないみてえだが」

 

「じ、実はウチのクラスに問題児が……」

 

「問題児? どんなヤツっスか?俺っちが相談に乗るっスよ」

 

 

「おはよう、ネギ先生。今日もサボらせてもらうぞ」

 

噂をすればなんとやら、ネギの背後にはエヴァンジェリンと茶々丸がいた。

 

「エ、エヴァンジェリンさん、茶々丸さん!」

 

「おっと、学校内ではおとなしくしておいた方が身のためだぞ。また生徒を襲われたくはないだろ?」

 

「くっ……うわああ~~ん!!」

 

「あっ、ネギ!」

 

ネギは自分の不甲斐なさに嫌気が差し、思わず廊下の奥まで逃げ出してしまった。カモとアスナはネギの後を追う。

 

「ううっ……言い返せないなんて、僕はダメな先生だ……」

 

「あの二人が問題児っスね!? ネギの兄貴をこんなに悩ませるなんて、許せねえ!! 俺っちがぶちのめしてやろうかぁ!?」

 

「エヴァンジェリンさんは吸血鬼なんだ。しかも真祖の……」

 

「し、真祖!? 最強クラスの化け物じゃないっスか! こうなったら、故郷(くに)へ帰らせてもらいま…」

 

「コラ、待ちなさいよ」

 

「でも今は魔力が弱まってるらしいんだけどね」

 

「弱体化っスか……だったら俺っちにいい案があるぜ」

 

「どうするつもりよ?」

 

「先に相方の茶々丸ってヤツを兄貴と姐さんが二人がかりでボコっちまえばいいんだよ! そうすればエヴァンジェリンも倒しやすくなるぜ」

 

「二人がかりって……アスナさんと仮契約しろってこと!?」

 

「そういうこと。二対一で各個撃破っス!」

 

カモの戦略を聞いていたアスナは、聞き慣れないワードに疑問を持つ。

 

「……ん? 仮契約ってなによ?」

 

「魔法使いと仮契約すれば、主人の魔法使いから魔力を分けてもらえるっス! 特殊能力に目覚めたり、兄貴みたいにLBCSになれたりするっスよ」

 

「なるほどね。で、どうやって仮契約すんの?」

 

「兄貴とキスするのさ」

 

「え…え~~~!?」

 

仮契約の方法に嫌悪感を抱くアスナ。流石に好きな人以外とするのは抵抗があるようだ。

 

「これが一番簡単な方法なんスよ!」

 

「アスナさんは『LBXを持ってて、運動神経が良さそうな人』……わかった、やるよ!」

 

「そーこなくっちゃ!」

 

「……やっぱいいわ。仮契約しなくてもあたしはLBCS使えるっぽいし? それに…初めてのは、好きな人としたいし……」

 

決意を固めたネギに対し、アスナは仮契約を断った。

 

「ア、アスナさん?」

 

「LBXの工場行った時、あたしだけ平気だったじゃん! それってあたしに素質があるってことでしょ? 見てなさい、LBCSコネクト、アキレス!」

 

アスナが叫ぶと、アキレスのアーマーフレームがコアスケルトンから外れ、アスナの体に貼り付いて鎧となった。槍も大型化され、アスナが右手で握っている。

 

「ほら、できた!」

 

「な、なんでできるんスか!? 普通の人はできないハズなのに」

 

「僕もわかんないよ……」

 

「体に倦怠感とかないんスか?」

 

「へっちゃらよ。仮契約はナシでいいわよね?」

 

「まあ、アスナさんが平気なら……」

 

「どうなっても知らないっスよ……」

 

 

To be continued




「塗装のときにサフ吹けよ」みたいなツッコミが入りそうですが、"学生寮なので塗装環境がない"という事情を考慮して筆塗りだけで済ませてます。
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