麻帆良の小さな戦士たち   作:ハクアルバ

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今更だけど最近気づいたことその2

2012年の夏頃、地方のイオンモールにて。ダンボール戦機のラジコンのイベントで司会を務めた謎の二人組の正体……

吉本プラモデル部のゆう太さんと片倉ブリザードさんでした。長年の謎が解けた(笑)


ep.15 VS エヴァンジェリン 後編

時刻は午後10時47分。早朝に新聞配達の仕事があるため早めに就寝したアスナだったが、CCMの着信音で目を覚ましてしまう。

 

「……ん~? 誰よこんな時間に……はい、もしもし?」

 

「姐さん! お休みのとこ申し訳ねえが、今すぐ大浴場に来てくんねえか? 兄貴がピンチなんだ!」

 

「え? ネギに何かあったの?」

 

「今エヴァの奴と戦ってるとこっス! 姐さんのクラスメイトが操られて、助けながら戦ってんだ!」

 

「はあ!? ネギ一人で戦ってんの!?」

 

「だから姐さんの力を貸してほしいんだ! アキレスを忘れずにってうわあ!!『ガキィィン』」

 

エヴァンジェリンの攻撃に怯み、カモは誤って通話を切ってしまった。アスナのCCMからは『ツーツー』という音しか聞こえなくなる。

 

「あのバカ! また一人で突っ走って! あたしが行くまで倒れるんじゃないわよ!」

 

アスナはアキレスを手に取り、眠気も忘れて一目散に大浴場へと急いだ。

 

大浴場では、エヴァンジェリンがネギを追い詰めていた。空中を浮遊しながら、三叉の槍の一端をネギの首元に突き刺そうとしている。

 

「ぐうっ……!」

 

「ほらどうした?押し返してみろ! 奴の息子だろ?」

 

左手で槍を掴んで押し返そうとするも、力が解放されたエヴァンジェリンのパワーには敵わない。

 

(そうだ、押してダメなら……)

 

ネギはブースターの向きを変え、槍を掴んだまま後ろに宙返りした。

 

「なっ!? ぐはっ!!」

 

エヴァンジェリンの体が宙を舞い、背中から壁に叩きつけられる。

 

「や、やるじゃないか……」

 

「マスター、ご無事ですか?」

 

「兄貴、LBCSで飛べる時間はあんまり長くねえぞ! 兄貴は男なんだから」

 

「わかってるよ! 降りる前にアキラさんと亜子さんを解放しないと」

 

体勢を立て直したエヴァンジェリンは攻撃魔法を放った。

 

「今度こそ撃ち落としてやる! 魔法の射手・デビルソウル!」

 

槍の先端から悪霊のような魔力の塊が三つ、禍々しい咆哮を上げながら迫ってくる。

 

ネギは軌道を読んで回避するが、魔力塊は消えることなくネギを追い続ける。

 

「うわあっ! 避けても追ってくるー!」

 

「フハハハ! 闇魔法の追尾弾だ!」

 

一発目をギリギリ躱したところで死角から二発目がブースターを掠める。体勢を崩したところを三発目が直撃する。

 

「ぐあっ!!」

 

「兄貴しっかりしろ! 落ちてるっスーー!!」

 

衝撃でネギはLBCSのコントロールを失う。真下のプールへと墜落し、派手に水飛沫が舞い上がる。

 

「ぷはっ!」

 

「下が風呂で助かったぜ……」

 

「ネギ君覚悟」

 

水中で待ち構えていたアキラ。プールを素早く泳ぎ、ネギに接近する。勢いよく振り下ろしたアンカーの一撃が大浴場の床に亀裂を入れた。

 

「ひぃっ!」

 

「武装解除が難しいならブレイクオーバーだ!」

 

「強引だけどしょうがないよね。魔法の射手・ソードビット!」

 

魔力で八本の刃を生成し、アキラへと飛ばす。

 

「無駄や。マジックウォール」

 

亜子はアキラの前に立ち、アンカーから遠距離攻撃を無効化する壁を出す。ソードビットは壁に触れた途端、消滅してしまった。

 

「チッ、アシスト役がいたっスか」

 

「包囲します。ディメンションΣ」

 

茶々丸は三体の暗黒の球体に分裂し、そのうち二体はネギの周囲を旋回しながら射撃する。もう一体はネギの肩に乗っているカモをつけ狙う。

 

「いででで! またこれかよー!」

 

「くそっ、逃げられない!」

 

「今だ、やれ!」

 

「アタックファンクション、オーシャンブラスト」

 

アキラは自身の周囲にプールの水を集め、アンカーを振り回して渦を作る。高圧の水流をネギに向けて放出した。

 

(まずい……!)

 

ネギに襲いかかる大量の水。ニヤリと嗤うエヴァンジェリン。もうだめかと諦めかけたそのとき……

 

「ライトニングランス!」

 

大浴場の入り口から、電気を帯びた青白いエネルギーが放たれた。水流に横からぶつかり、水を伝って電気が流れる。

 

「「うあああっ……!」」

 

「な…なにっ!?」

 

アキラと亜子はオーシャンブラストを逆流した電気に感電し、LBCSが解除された。先ほどの二人と同様、気を失って倒れ込む。

 

「なんとか間に合ったわね!」

 

「アスナさん! 来てくれたんですね!」

 

「姐さんありがとうございますーー!!」

 

先ほどまで余裕の無い表情をしていたネギとカモだったが、アスナの援護により窮地を救われた。ネギは笑顔を取り戻し、カモは涙を流して喜んでいる。

 

アスナは茶々丸の分裂体を蹴散らし、槍を持ったままの拳でネギの頭を小突く。

 

「このバカネギ! 逃げればいいのに一人で戦って! 心配したんだからね!?」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「操り人形が全滅……フン、所詮ただの小娘か」

 

気絶した四人を一瞥するエヴァンジェリン。クラスメイトに対する容赦の無い発言にアスナは憤る。

 

「あんたもいい加減にしなさいよ! ネギを襲ったりまきちゃんたち操ったり! ただの小娘って、あんた何様よ!」

 

「マスター、停電復旧まであと1時間と12分です」

 

「もたもたしてられんな。茶々丸、ぼーやを集中攻撃だ!」

 

「了解です」

 

ネギの頭上から急襲するエヴァンジェリンと茶々丸。

 

「やらせないわよ!!」

 

アスナは槍を両手で持ち、穂先と末端で二人の武器攻撃を防ぐ。

 

「邪魔をするな!」

 

「ネギ!早く逃げて! あと1時間耐えるのよ!」

 

「う、うんっ!」

 

ネギはブースターを噴かし、大浴場の窓を割って逃走した。

 

「逃がすか! そいつの相手はいいから追うぞ茶々丸!」

 

「はい、マスター」

 

大浴場を飛び出したネギはそのまま飛行を続けた。エヴァンジェリンと茶々丸もその後を追う。

 

「兄貴、どこまで行くんスか?」

 

「学園の外! エヴァンジェリンさんは学園の結界から出られないからね」

 

「なかなかせこい作戦じゃないか」

 

「げっ、来たっスよ!」

 

「もう一度撃ち落としてやる! 魔法の射手・デビルソウル!」

 

「同じ手はくらいませんよ! 魔法の射手・ソードビット!」

 

闇の魔力の塊が三つ、ネギに襲いかかる。ネギも光の刃を八本生成し、迎撃を図る。

 

ネギに向かって愚直に飛んでくる魔力塊に刃が突き刺さる。

 

だが魔力塊は怨念のようにしぶとく、二本、三本と刺さるがまだ消えず、四本目が刺さりようやく消滅。二個目の魔力塊も同様に破壊した。

 

「やるな。だが、」

 

ネギの背後から撃ち損じた一発が着弾し、爆発を起こした。

 

「「うわぁ!!」」

 

「ひとつ落とし損ねたな。LBCSも使いこなせてないし、そろそろ限界なんだろ?」

 

LBCSの制御が覚束なくなり、急激に高度を下げるネギ。

 

「兄貴、あの橋に降りようぜ! ブースターの出力が落ちてやがる!」

 

「くっ、もうちょっとなのに……」

 

ブースターを止め、学園の外へと架かる橋の上に着陸する。

 

「結界の外には行かせんぞ」

 

エヴァンジェリンと茶々丸は速度を上げて先回りし、ネギの通路を塞ぐ。

 

「ううっ……」

 

「俺っちに任せろ! オコジョフラーッシュ!!」

 

カモは密閉容器からマグネシウムの粉塵を空中にばらまき、ライターで着火して閃光を起こした。

 

ちなみにこのマグネシウムの粉塵、コアスケルトンを修理したときの削りカスである。

 

「ちぃっ、目眩ましか!」

 

「ありがとうカモ君!」

 

エヴァンジェリンと茶々丸は目を覆い、その隙に結界の外へと急ぐネギ。だが、すぐにエヴァンジェリンが回り込み、槍を突きつける。

 

「エヴァンジェリンさん! もう諦めてください!」

 

ネギは剣を構え、エヴァンジェリンの隙を窺う。

 

「茶々丸、包囲しろ」

 

「発動、ディメンションシグ…」

 

「させるかあっ!!」

 

橋の向こうからアスナが猛スピードで疾走してきた。その勢いのまま茶々丸の背中に右肩でタックルをかました。衝撃で互いの装甲にヒビが入るほどの威力だった。

 

「もう来たのか、体力バカめ」

 

「アスナさん! 茶々丸さんを頼みます!」

 

「オッケー! 手出しはさせないわよ!」

 

アスナはうつ伏せに倒れた茶々丸の右腕を右手で掴み、さらに背中のハッチが開かないように左手で押さえつけた。

 

「ぐっ…マスター、申し訳ありません」

 

「まあいい、ぼーやのLBCSは限界が近い。私一人で仕留める!」

 

「……こうなったら僕の全力を出します。LBCS解除!」

 

ネギの体からK・アーサーの鎧が外れ、丸腰となった。

 

「何をする気だ?」

 

「ちょっと!? 装着してないと危ないわよ!」

 

「セットアップ、エクスカリバー!」

 

ネギが叫ぶと、K・アーサーの持つ剣だけが巨大化した。ネギの背丈ほどの長さの剣を両手で持ち、構える。

 

「兄貴!? 武器だけ出してどうするんスか!?」

 

「来れ雷精風の精! 雷を纏いて吹きすさべ! テンペストブレイド!!」

 

剣を媒介にして呪文を唱えるネギ。周囲には嵐が巻き起こり、剣から発生した電気のエネルギーが空へと伸びる。暴風と雷鳴が空気を振動させ、凄まじい轟音をかき鳴らす。

 

「な、なによこれ……」

 

「そうか! 兄貴は適合率が低いから、大技はこうやって撃つしかねぇんだ!」

 

「そんな不完全な技など消してくれる! アタックファンクション、デビルソウル スワーム!!」

 

槍を地面に突き刺し魔方陣を描くと、巨大な悪魔が姿を現した。

 

悪魔が咆哮を上げると、無数の悪霊がネギに襲いかかった。

 

「なんだこの技!? デビルソウルの強化版か!?」

 

「怯むな兄貴! やっちまえー!!」

 

ネギの周囲に発生した嵐と大量の悪霊がぶつかり合う。強力な必殺ファンクション同士の力比べである。

 

「ネギー! 負けるんじゃないわよーー!!」

 

「うおおおおーーー!!」

 

嵐が悪霊をかき消し、悪霊が嵐の勢いを弱めていく。不完全な技だとみくびっていたエヴァンジェリンだったが、ネギの技の威力は想像を超えていた。

 

「押しきれない!? こいつにまだこんな力が……!」

 

雷を纏った剣を右上から斜めに振り下ろす。巨大な悪魔とエヴァンジェリンを、雷で焼きながら袈裟斬りにした。

 

「ぐあああっっ!!」

 

「マスター!」

 

巨大な悪魔は斬られ、跡形もなく消滅。高圧の電流によるダメージをLBCSが軽減しきれず、感電するエヴァンジェリン。装甲は煙を出し、エヴァンジェリンの体から剥がれ落ちる。

 

「やったぜ兄貴! これでエヴァンジェリンは丸腰だ!」

 

「ぜぇ、ぜぇ……僕の、勝ちです……」

 

魔力の大半を使い果たし、息を切らすネギ。

 

エヴァンジェリンも橋の欄干にもたれかかりながら立ち上がる。LBXに戻ったヴァンパイアキャットを拾い上げ、握りしめる。

 

「くっ、まだ決着はついてないぞ! LBCSが無かろうと……うぁっ!」

 

未だ溢れ出る魔力で空を飛ぼうとしたその時、エヴァンジェリンに強い衝撃が走った。

 

「予定よりも停電の復旧が7分早い!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

「マスターの魔力を抑える封印が復活しました! このままでは湖に!」

 

橋の下へと転落するエヴァンジェリン。持っていたヴァンパイアキャットを手離し、共に落下する。茶々丸はアスナの拘束を振りほどき、慌てて救出へと向かう。

 

湖に落ちたかに見えたエヴァンジェリンだが、体が水に沈むことは無く、『ゴゴゴゴ……』という噴射音を聞く。

 

「……茶々丸か?」

 

「僕ですよ」

 

ネギは咄嗟にLBCSを再装着し、ブースターを噴かしながらエヴァンジェリンを抱きかかえていた。

 

「ぼ、ぼーや……! なぜ助けた!?」

 

「え? だって、エヴァンジェリンさんは僕の生徒じゃないですか」

 

「……」

 

少し顔を赤らめ沈黙するエヴァンジェリン。それが意味するものは感謝か呆れか、はたまた含羞か。

 

「マスター、落としましたよ」

 

ヴァンパイアキャットを空中でキャッチした茶々丸。LBXの胴体には、大きな斬り傷と焼け痕が痛々しく刻まれていた。

 

LBXが破損したにもかかわらず、エヴァンジェリンは表情ひとつ変えることなく、無言でそれを受け取る。

 

 

 

三人は橋の上に戻り、学園への帰路に就く。

 

「さて、これで一件落着っスね」

 

「もうこんなことはやめて、授業にも出てもらいますからね」

 

「フン、わかったよ。おまえには助けられたしな。呪いを解くのも後回しにしてやる」

 

「安心してください。呪いのことは僕が猛勉強して、マギステル・マギになったら解いてあげますから」

 

「それまで何年待たなきゃならないんだ! おまえの血があればすぐに解けるんだよ! 私はまだ諦めた訳じゃないからなー!」

 

結界が復活し、再び魔力を封じられたエヴァンジェリン。彼女が本来の力と自由を取り戻すのは、まだまだ先の事である。

 

 

To be continued




余談

プールに落ちたときにCCMを持っていましたが、『CCMはある程度の防水性能がある』という前提で書いてます。水に浸かる場面で毎回壊れてたら話が進みませんので。
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