個性的な2-Aの生徒に振り回されながらも、初日の授業を終えたネギ先生。
「ふー、やっと一段落だー」
職員室に向かう彼の前に、一人の男性が現れた。
「やあ、ネギ君」
「あ、タカミチ!」
「どうだい? 麻帆良学園は」
「生徒が多くてびっくりしたよ! 朝の通学ラッシュも凄かったし」
「ははは。まあ、じきに慣れるさ」
「それと"マジックダンボール"っていうのも驚いたなー。LBXでバトルしても傷ひとつ付いてないんだもん! こんなのイギリスにはなかったよ!」
「そのことなんだがネギ君、一緒に学園長室に来てくれるかい?」
「え? う、うん。いいけど……?」
タカミチと一緒に学園長室に向かい、扉をノックする。
「失礼します」
「フォフォ、来たのネギ君」
扉の奥には、後頭部が異様に長い高齢の男性が椅子に座っていた。麻帆良学園の学園長、近衛近右衛門である。
「今からマジックダンボールのことを君に説明しようと思ってね。これは2年前うちの工科大学が作ったものなんだ」
「そうなんですか!? すごいじゃないですか!」
「LBXの戦場としてすぐに製品化が決定し、その頑丈さから物流にも使えないかと検討したんだが……去年から奇妙な現象が起こってね……」
「奇妙な現象?」
「ごく稀に箱が光るらしいんじゃよ。これまでに30件ほど報告を受けとる」
「我々はマジックダンボールの素材に魔力が絡んでると睨んで調査を始めた。あの箱の成分をどれだけ解析しても、普通のダンボールと同じ紙の成分しか検出できなかったんだ」
「魔力って、まずいじゃないですか! 魔法を知らない人にバレたりしたら…」
「そうなのじゃ……工科大学の連中は魔法を知らん者が多い。不用意に魔法のことは聞けん」
「既に日本中に出回ってしまった。販売元には事情を話して、海外での販売をやめさせたよ。これ以上リスクを広げる訳にはいかないからね」
「だからイギリスにはなかったんだ……でも魔法がバレるリスクがあるなら、回収した方がいいんじゃないですか?」
「ネギ君、マジックダンボールを回収するとどうなると思う?」
「LBXバトルができなくなって販売停止になります。」
「そうなんだ。国内LBXメーカーの最大手は雪広財閥の子会社、実は雪広財閥はこの学園を維持するのに欠かせない存在なんだよ」
「LBXが売れてから財閥の株は上がっておる。今LBX事業に水を差せば、ワシらの立場も危ういからのぉ……」
学園としては、魔法がバレるリスクを天秤にかけてでも、LBX事業を支持したいというスタンスである。
「な、なるほど……色々事情があるんですね……」
「説明は以上だよ。このことは魔法を知らない人に話しちゃダメだからね」
「はい、それでは」
学園長室をあとにするネギ。
彼らはマジックダンボールが存在する本当の理由を、まだ知らなかった。