今回はランの心情を書きたいので、一人称視点です。
side-ラン
どこかの学園に飛ばされたと思ったら、アミはなぜか京都にいて、今度は中学生の修学旅行に同行? わけわかんない事ばっかり続いてるような……
でも、アミの居場所がわかってるだけまだマシだよね。アミって頭いいから、イフリートを探す手掛かりも見つけてくれそう。
「おい兄貴、エヴァンジェリンの言ってたこと鵜呑みにする気か? 魔法関係者でもねぇ奴の護衛なんておかしくね?」
「やっぱり変だよね。今から学園長に電話して確認するよ」
あたし、この子に守られなきゃならないの? 中学の先生らしいけど、なんか頼りなさそうだなー。
「…はい、任せてください。親書も必ず届けますので」
「あいつの言うとおりだったか」
「うん。魔法協会が保護するつもりだったのに、脱走したんだって」
「脱走犯かよ!? そりゃエヴァの奴慌てて電話するわけだ」
ちょっと聞いてみよっか。
「ねえ、あたしはずっと護衛されなきゃなんないの?」
「はい、学園長から正式に指示が下りましたので」
「べつに守ってもらわなくても、あたしは結構強いんだけどなー。空手やってるし、いざって時はLBCSも…」
「あっ!ダメですよ!? 人前でLBCSを使っては!」
やっぱりLBCSのことはデリケートみたい。エヴァちゃんもLBCSのこと隠そうとしてたよね。
「ちょっとネギ、この人は誰なの? うちの学生じゃないみたいだけど」
気まずい……
「皆さんに紹介しますね。こちらが修学旅行の間だけ一緒に行動する花咲ランさんです」
「は、花咲ランです……清水寺にいる友達に会いに行こうとしたら、一緒に旅行することになっちゃいました。あはは……」
「奇遇ですね。僕たちも初日に清水寺に行く予定なんですよ」
「花咲さん、よろしくねー」
よその学校の修学旅行に混ざるなんて、どういう辱しめなの……早くアミに会いたい。
「ここから京都までずっと新幹線アル?」
「いえ、一度東京駅で東海道新幹線に乗り換えです。ちゃんと旅のしおりを読むです」
……ん? 東京駅?
「品川駅に行かないの? リニアの方が速いのに」
「!?」
あ、でもリニアは京都には行かないんだっけ。新大阪だったかな? そこで乗り換えて京都に行けば、新幹線よりも早く着くはず。
「あ、あなたは何を言ってるです?」
え?
「おいおいマジかよ……」
「2003年にあるわけないヨ」
なんか頭の良さそうな人が何人かこっちを見てる。あたし、変なこと言った?
「委員長さん、リニアって何ですか?」
「リニアモーターカーとは、電磁石の力で高速で進む乗り物ですわ。走行試験では最高速度552km/hを出しており、開業すれば東京から大阪を片道約1時間で移動できるようになるのです」
「え?うそ? まだできてないの?」
「当たり前ですわ。もうできてると思ってたんですか?」
「花咲さんって、外国の人なん?」
「日本のことよく知らないんですか? 大丈夫ですよ、僕もリニアのこと知りませんでしたから」
年下の男の子に同情された。恥ずかしい……
あと外国人じゃないから! 生まれも育ちも日本だから!
てか今2003年なの!? タイムスリップじゃん! アミは別世界って言ってたけど、違うってこと?
ああ、もう! 頭の中ぐっちゃぐちゃだよ!
『新幹線あさま506号 まもなく発車致します』
東京駅行きの新幹線が来ると、ネギ君が班ごとの点呼を始めた。一応先生としての仕事はこなしてるみたい。
「6班はエヴァンジェリンさんと茶々丸さんが欠席で人数不足なので、ザジさんは1班、桜咲さんは5班に入ってください」
「了解です」
え!? エヴァちゃんと茶々丸さんもここの生徒なの!?
欠席って……二人とも普通に元気そうだったけど、気が乗らなかったのかな?
『あのぉ、私はどうしたらいいですか?』
「ああ、相坂さんも6班でしたね。じゃあ、3班に入ってもらえますか?」
『朝倉さんの班ですね。わかりました』
「さよちゃん、修学旅行楽しもうね!」
『はい!』
ネギ君、今LBXと会話してたような……いや、気のせい気のせい。これ以上頭使って考えたくない。
「花咲さんって何年生?」
「高校1年だよ」
「ウチらよりひとつ先輩やな」
「LBX持ってますかー?」
「うん、持ってるよ。ミネルバ改っていうんだ」
鞄から取り出して見せてあげる。LBXを見せるのはコミュニケーションの始まりだからね。
「見たことない機体でごさる。非売品でござるな」
「このツインテールって、飾り?」
「スラスターじゃない? これでさよちゃんみたいに飛ぶんだよ」
「なるほど、軽量なストライダーフレームがベースで、スラスターを頭部と脚部に搭載することで飛行が可能というわけですか。武器腕は威力重視で、ビーム砲による遠距離攻撃も可能と。これは面白い! LBX開発の参考になります!」
ハカセって人がミネルバ改のこと褒めてるんだけど、あたしは機械とか全然詳しくないんだよねー。改造とか開発とかは全部山野博士たちがやってくれてたし。
「空中戦ができる格闘機ってことアルね。いつかヨウキヒで戦ってみたいアル!」
LBXを見せたら、みんな興味持ってくれた。やっぱLBXっていいよね。見ず知らずの人でも、互いにLBXを知ってればすぐに打ち解けられる気がする。
『まもなく終点、東京です』
「皆さん、次は京都行きの新幹線に乗り換えですよ」
東京駅周辺はミゼレムの襲撃で壊滅しちゃったんだよね……懐かしいなー。街も全然壊れてないし、ここが"過去の世界"って実感する。
「肉まんまだ残ってますよー」
「そこのお姉さん、肉まん食べるカ?」
「おっ、美味しそう! 急いで出発したから朝食とってなかったっけ。5つください!」
「そんなに食べるの?」
空手とLBCSの任務でカロリー消費するから、食べなきゃやってらんないんだよね。
あ、でもこの時代でLBCSの任務ってあるのかな? 人前でLBCSの話はタブーみたいだし、今度ネギ君に聞いてみるか。
「みんなー、LBXバトルの代わりにカードゲームやろー。勝った方がおやつ獲得のルールで!」
肉まん食べたら眠くなってきた……昨日はなかなか寝つけなかったし、今朝はアミに電話で起こされたっけ……
「ここで炎の呪文のカード発動! パルに5ダメージね」
「あーん、やられたー」
「花咲先輩もやる?」
「カードゲーム? あたしはいいや。頭使うの苦手だし、なんか眠いし」
「今は無理しないで寝てた方がいいです。眠いと旅行は楽しめませんので……って、もう寝てるです……」
…………
………
……
…
「花咲さん、起きてください。京都に着きましたよ」
「ん~、着いたの?」
やれやれ、寝る時間はずらすもんじゃないね。
さて、清水寺に着く前にアミに電話しとこう。待ち合わせの場所を決めとかないとね。
To be continued
修学旅行の班分けを一部変更してます。さよちゃんを3班に入れたことで3班が六人になったので、原作では3班に入ってたザジを1班(双子とチアリーダーの班)に入れました。
リニアの話を取り入れましたが、現実での大阪~名古屋間の開業は2054年までにできるんでしょうか? 東京~名古屋間の予定が7年遅れてますし。
ちなみに最高速度552km/hは1999年4月の記録であり、2003年12月に581km/hに更新されてます。