麻帆良の小さな戦士たち   作:ハクアルバ

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Q.ジンと灰原とランがいるアニメってなーんだ?

我々「ダンボール戦機W」

一般人「名探偵コ○ン」


ep.25 懐刀

木乃香の悲鳴を聞き、慌てて脱衣所の戸を開けるラン。

 

しかし、ランが駆けつけた時には既に大量の鬼クノイチが斬り伏せられていた。

 

そのLBXは背中のブースターで空を飛び、鉄刀・鬼機丸と呼ばれる小さな刀を携えている。ランが開けた戸から外へと飛び出し、露天風呂の木の上にいる鬼クノイチを一撃で斬り伏せた。

 

LBXバル・ダイバー。桜咲刹那の懐刀である。

 

「あたしの出番はなかったかー。もう少しお風呂に浸かってよーっと」

 

ランは岩風呂へと戻っていった。バル・ダイバーを手元に戻し、ケースにしまう刹那。

 

その背後には、鬼クノイチに服を脱がされたのか、裸の木乃香がいた。

 

「奴らめ、LBXを使ってくるとは……お嬢様、お怪我はありませんか?」

 

「うん。それにしてもせっちゃん、LBX持っとったんか。なんで今まで見せてくれへんかったん?」

 

「見せる必要なんて、ありませんから」

 

「せっちゃん、そんな水くさいこと言わんでも……」

 

「私のバル・ダイバーは、一緒に遊ぶためのおもちゃではありません。私にとってLBXは"戦いの道具"です。お嬢様を守るための道具、ただそれだけの存在です」

 

「せっちゃん……」

 

冷徹にそう言い切る刹那。鬼クノイチの残骸を集めると、脱衣所を去っていった。

 

(この二人、どういう関係なんだろう? LBXが戦いの道具……? それにさっきの鬼クノイチ、誰が使ってたんだろ?)

 

木乃香と刹那の会話を聞いたラン。複雑な面持ちで再び湯に浸かる。

 

「まさか露天風呂でLBXバトルを見ることになるとは……ゆっくり浸からせてほしいです」

 

「そ、そうだよねー……」

 

温かい湯船に浸かり、露天風呂を堪能するランたち。頭上には星空が広がり、先ほどの喧騒が嘘のように静かだ。

 

ランの脳内は考え事でいっぱいだったが、今だけは何も考えずに疲れを癒やすことに専念した。

 

「はぁ〜、ずっと浸かってたいなぁ〜」

 

 

 

風呂からあがった夕映は長い髪を丁寧にドライヤーで乾かし、「あとはネギ先生に任せるです」と言ってのどかと共に客間に向かった。

 

ランも長い赤髪にドライヤーを当て、浴衣に着替えて客間へと向かう。

 

その途中、ホテルのロビーのテーブルに大量の鬼クノイチの残骸が並べられているのを見た。その隣でネギとカモとアスナが何やら話し込んでいる。

 

「あんたたち、何してんの?」

 

「あ、花咲さん。さっきこのかを襲ったLBXを調べてんのよ」

 

「兄貴、奴らのLBXを全部分解したんだが、どれもCPUとメモリが入ってねぇんだ。解析や逆探知ができないように対策したんだろうな」

 

「それってLBXの頭脳が無いってことだよね? どうやって動いてたの?」

 

「う〜ん、恐らくだが、LBXを遠隔操作する呪文とかで操ってたんじゃね?」

 

「遠隔操作呪文か……」

 

唐突にアスナがカモの背中をつまんで持ち上げた。

 

「カモ、あんたLBXを勝手に分解して、何がしたいのかしら?」

 

「そ、そりゃあ敵の道具の分析に決まってるじゃないっスか! メモリが入ってないから、()()()()()録画データとかは何もなかったけどな。ははは……」

 

「どうせ女湯の映像見たかっただけでしょ!? このエロガモ!」

 

「ぐえええ!! 姐さんギブギブ……」

 

カモの首根っこを掴み、上下に揺さぶるアスナ。

 

ランはカモとアスナの漫才をぽかーんと見つめるしかなかった。

 

「そういや俺っちの自己紹介まだだったっスね。俺っちはアルベール・カモミール。見ての通りおこじょっス」

 

「へー、あんたしゃべれるんだー。今度一緒にお風呂入る?」

 

「うひょーー!! いいんスかーー!?」

 

「ちょ、花咲さん!? からかっちゃダメよ。コイツすぐ調子に乗るんだから」

 

「ペットと一緒にお風呂なんて、別におかしくないでしょ?」

 

「コイツは正真正銘のケダモノよ! セクハラは日常茶飯事なんだから! てかあんた、おこじょがしゃべったのになんで驚かないのよ!?」

 

「ここに来る前にピンク色のしゃべる(シータ)と知り合いだったから、別に驚かないかなー」

 

「ああ、そう……」

 

アスナの手が緩み、その隙に拘束から逃れるカモ。短い足でランの肩によじ登る。

 

「よろしくな、空手のラン姉ちゃん!」

 

「その呼び方やめて。あたしは工○新一の彼女じゃないから」

 

「へい……」

 

「それにしても、桜咲さんがLBX持ってるの、意外だったわね。おもちゃで遊ぶ人って感じじゃないけど」

 

「そうかぁ? こっちの世界で生きてる若い女の子なら大体持ってるぜ? LBCSの使い手として」

 

ランの肩からネギの肩へと飛び移るカモ。

 

「じゃあ、桜咲さんも魔法使いってこと?」

 

二人と一匹でこの場にいない刹那の話をする。

 

ランはネギの目を盗み、ロビーの奥にあるバトルフィールドの隣の作業スペースへと向かった。

 

そこには作業台でLBXのメンテナンスをする刹那がいた。砥石を使って鉄刀・鬼機丸の刃を研いでいる。

 

ランは先ほど刹那が木乃香に言った一言が心に引っかかっていた。

 

「……ちょっといい?」

 

「はい、何でしょう?」

 

「さっきLBXを"戦いの道具"って言ったよね? クラスのみんなと対戦しないの?」

 

「しません。仕事以外でLBXにダメージを与えては、いざという時使い物になりませんので」

 

作業しながら淡々と答える刹那。

 

「仕事?」

 

「このかお嬢様を守るのが私の仕事です。お嬢様と私は『主従関係』ですので」

 

「だからって、友達とバトルを楽しまないってのは損だと思うけどなー。友達なのにLBXを見せてなかったのって、やっぱり変だと思うよ」

 

刹那は手を止め、ランの顔を見上げた。

 

「友達……お嬢様と私が、友達に見えるのですか」

 

「うん。だってさっきLBXで助けてあげたじゃん。このかって言ったっけ。あの子、あんたのLBXに興味あるみたいだし。友達じゃなきゃ何なの?」

 

「もう一度言いますが、『主従関係』です。あなたの言う友達とは、全く異なるものです」

 

「主従……? 同級生なのに、立場が違うの?」

 

「はぁ……こちらの事情がわからないのであれば、もう何も言わないでください。余計なお世話です」

 

冷淡に言い放つ刹那。メンテナンスを終え、客間へと向かった。

 

「……」

 

友達を『お嬢様』と呼び、仕え、護り、謙遜する。ランには刹那の言動が理解できなかった。

 

ランは客間に向かわず、刹那がいた席に座る。ショルダーバッグを開き、ミネルバ改とジャッジをテーブルに置く。しばらく使ってないジャッジの関節にグリスを差し、メンテナンスを始めた。

 

(一緒にLBXで遊ぶ友達が目の前にいるのって、あたりまえじゃないんだよね……)

 

友人とはぐれ、アミと合流できていないランは今、一人。孤独を味わうランだからこそ、友達の有り難みを再認識していた。

 

「花咲さん、ここにいたんですね」

 

「あ、ネギ君」

 

「勝手によそへ行かないでください。あなたは僕が護衛してるんですから」

 

「はいはい、そうでした」

 

ミネルバ改とジャッジをバッグにしまい、客間へと向かう。ネギの指示でアスナたち5班と同じ部屋を使うことになった。

 

ランが客間に入ると、木乃香とのどか、酔い潰れたハルナは布団で眠りについていた。夕映は布団ではなく窓際の椅子に腰かけたまま寝息を立てていた。

 

(もうみんな寝てる。あたしも眠気が……)

 

ランも布団に入り、すぐに眠りについた。とても疲れた一日だった。

 

 

 

「神楽坂さん、このかお嬢様はっ!?」

 

「え……そこのトイレに入ってるけど?」

 

誰かの声が聞こえる。

 

『入っとりますえ〜』

 

「ま、まだですか!? も、もう……もるです〜〜!」

 

ドンドンと戸を叩く音まで聞こえる。

 

そうだ、これは夢だ。夢に違いない。あたしは疲れてるんだ。ゆっくり休ませて。

 

ランはそう願ったが、一向に場面が変わる気配が無い。

 

『入っとりますえ〜』

 

「あっ、これは……」

 

「お札がしゃべってる〜!?」

 

この変な夢はいつ終わるのか。煩わしくて仕方ない。

 

「ネギ、ごめん!! このかが誘拐されちゃった!!」

 

ネギに電話するアスナの声でランは事態を理解した。これは夢ではないと。

 

飛び起きてアスナの後を追う。眠気や疲れなんてどうでもいい。見て見ぬふりなんてできなかった。

 

浴衣のまま夜の京都を疾走するラン。体力には自信がある。目の前を走るネギとアスナと刹那に追いついた。三人は猿とパンダの着ぐるみを追いかけている。

 

「さっきの聞いたよ! 友達が攫われたんでしょ!?」

 

「花咲さん!? 客間で寝てなきゃダメじゃないですか!」

 

「今はそんなクソ真面目なことどーでもいいでしょ! 誰かが連れ去られるのを黙って見てらんない! あたしにも手伝わせてよ!」

 

ネギは何も言い返せなかった。今は緊急事態。協力者は多いに越したことはない。ネギはランの脱走を黙認することにした。

 

「協力に感謝します」

 

「あの着ぐるみ捕まえたらいいんだね!?」

 

「はい。お嬢様はパンダの着ぐるみが抱えています。できれば、お嬢様にお怪我が無いように」

 

「了解!」

 

猿とパンダの着ぐるみは駅で電車に乗った。ランたちもその電車に乗り込む。

 

着ぐるみが貼った人払いの呪符の効果なのか、ランたち以外に乗客はいなかった。電車が発車し、京都駅に向かって走り出す。

 

猿の着ぐるみを着た女は電車の連結部で立ち止まり、呪符を取り出した。

 

「お札さんお札さん、ウチを逃がしておくれやす」

 

呪符を放った女はすぐに連結部の扉を閉める。呪符からは大量の水が溢れ出し、ランたちのいる後方車両を水没させた。

 

「な……なんで水が!?」

 

「お、おぼれる〜〜!」

 

「ホホ……車内で溺れ死なんようになー」

 

「ラステ…ボゴボボ……」

 

ネギは魔法で水をどうにかしようとするが、水中では詠唱ができない。

 

(やばい、息が……でも、あきらめるもんか!)

 

ショルダーバッグからミネルバ改を放ち、CCMで操作するラン。

 

(やれ、ミネルバ!)

 

スラスターを吹かし、水中を泳ぐミネルバ改。

 

連結部の扉に接近。拳のスラスターを急激に吹かすことで勢いを増した拳、それが扉を吹き飛ばした。

 

「あ〜れ〜〜」

 

車内に溜まった大量の水が前の車両に流れ込み、猿の着ぐるみの女を押し流す。ランたちのいる後方車両の水嵩が下がり、呼吸が可能になる。

 

「ゲホゲホっ!」

 

「みんな大丈夫!?」

 

「花咲さん、ありがとうございます」

 

電車は京都駅に到着。ドアが開くと同時に車内の水が外に溢れ出した。

 

「ほう、なかなかの腕のLBX使いがおりますなぁ。しかし、このかお嬢様は返しまへんえ」

 

前方車両から木乃香を抱えたパンダの着ぐるみが飛び出し、駅の構内へと走り去った。猿の着ぐるみの女、天ヶ崎千草もそれに続いた。

 

千草は逃げる時に呪符を一枚床に落とす。その呪符から、大量のLBX鬼クノイチが出現した。黄色に輝く『鬼クナイ』を両手に持ち、ランたちに襲いかかる。

 

「は? いきなりLBX!? どうなってんの!?」

 

「CPUもメモリもねぇLBXだ! あいつが魔法で操ってんだ!」

 

「ちっ、またこんなものを……皆さん、先に行ってください! ここは私が!」

 

バル・ダイバーを取り出そうした刹那だが、ランは刹那の背中を押した。

 

「え……?」

 

「先に行くのはあんたでしょ!? あんたの友達を、あんたが助けなくてどうすんの!?」

 

一人でLBXの集団と戦うラン。鬼クノイチはミネルバ改の殴打に次々と倒されていく。

 

「ですから、主従関係……まあいいか。ここは頼みます!」

 

「まかせて!」

 

 

To be continued




刹那のLBXはバル・ダイバー。共通点は『飛行能力を持つ日本刀剣士』でございます。
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